2019年02月22日

第17回取材旅行 その13

いま振り返ってみても、
今回のトルコ・エジプト取材旅行は、実に密度の濃いものでした。
特に初めて訪れたエジプトは、料理の奥行きと多様性だけではなく、
訪れるべき場所も多かったので、
ビジュアルなご報告は2回分割にしても収まり切れませんね。
(撮った写真はエジプトだけで約1500枚!)

そんなわけで、アレキサンドリアは次回に回し、
今日はカイロを中心に僕らの旅をご覧いただきましょう。

eg_ramsesstation.jpg

定刻を1時間ほど遅れて到着したカイロのラムセス駅。
さすが首都だけあってルクソール駅とは比較にならない規模です。
僕らはアレキサンドリア行き列車の時刻表を調べたあと、
2階にある大きなカフェで高級(?)コーヒーを啜りながら、
今日一日の行動の作戦会議です。
まず、ここから2キロメートルほど離れた場所にあるホテルまで、
どうやって移動するか? ・・・・だな。

eg_cairoroad01.jpg

なぜ2キロメートルほどの移動で鳩首会議をやっていたかというと、
カイロの交通事情は僕らの経験でも最悪の部類に入るからなんですよ。
まず首都にもかかわらず道路に信号機がほとんどないじゃないですか!
ご覧のような片側3車線道路の交差点ですらなし。
加えて『車線』という概念もない。
車が入れる隙間があれば全車突撃OK!
よって道路では激しいスペース争奪戦が繰り広げられ、
鳴り響くクラクションがデスメタル級の喧騒を作りだしています。
とりわけ僕たちがこれから横断しなければならないラムセス駅前は、
複雑なロータリーとなっており自動車と人、双方の交通量も多いため、
「右! 2台目の白い車が行ったら渡るよ!
 躊躇しないで! 今だ!
 次は左! 4台目の赤いトラックが通過するまで待って!」
てな具合で手に汗握る移動となったのでございます。
ちなみにパックツアーでエジプトを訪れたかた数名に訊いたところ、
みなさん『道を横断した』記憶がないとのこと。
そりゃそうですよね〜。

eg_cairohotela04.jpg

僕らの旅をお伝えするには、
泊った宿をご覧に入れるのが一番手っ取り早いと思います。
まず、雑居ビルの中央にあった暗い入り口から入るんですけどね。
およそホテルらしからぬ見かけですし、
外に看板も出ていないので周囲の人に訊かないと分かりません。

eg_cairohotela09.jpg

で、恐る恐る暗い建物に入ってみたら・・・こんな張り紙がありました。
僕たちが泊るのは上の Mesho Inn の方。
フロアは・・・3階ね。

eg_cairohotela08.jpg

何だか分かります?
これが先日お話した開放型のエレベーターシャフトです。
こういうのは安宿を渡り歩いているとしばしば出っくわします。
そういえばルーマニアのブカレストにもありましたね。

eg_cairohotela07.jpg

見上げるとこうなってます。
カゴと釣り合いをとるバランサーや、
それを連結するワイヤーの動きがよく見えます。
しかし全体の汚れ具合からしてメンテナンスは・・・
してないだろうなぁ・・・

eg_cairohotela06.jpg

扉の操作はフルマニュアル。
まず、外の鉄格子を開け、次にカゴの木製ドアを開けて中に入ります。
体を入れたら鉄格子をガチャン! としっかり閉め、カゴ側も閉めます。
鉄格子がきっちり閉まっていないと、
操作ボタンを押してもエレベーターは動きません。
一応、安全が考えられているんですね。

eg_cairohotela05.jpg

カゴはご覧の通りの木製電話ボックスのようなしろもの。
荷物を持っていない状態なら4人くらい乗れるかな?
最大荷重などの表示はありませんでした。メーカーも不明。
まぁ、日本製でないことだけは確かでしょう。

eg_cairohotela10.jpg

3階について吹き抜けから下を見下ろしてみたら・・・
ひぇ〜・・・というわけなので、
火災があった場合の避難ルートはしっかり把握しておきましょう。
避難誘導はおろか、火災報知機やスプリンクラーも期待しちゃいけません。

eg_cairohotela03.jpg

いかにもよくある感じの安ホテルのフロント。
エジプトのこうしたホテルでは、あまり英語が通じませんね。
チェックインしようとして待っていたら、
掃除のおばちゃんがフロントのお兄さんを連れてきてくれました。
すると案内されたのは、もう1階上の Travellers House Hotel という別の宿。
どうやら Mesho Inn は工事中でクローズ中のようです。
(でも予約は取るのね)
スタッフが行き来しているところからして経営が同じなんでしょう。
こういうのも安宿ではよくあります。

eg_cairohotela02.jpg

殺風景ですが天井が高くて広い部屋でした。
夏はいいけど冬は暖気が降りてこないので、ちと寒い。
窓の外から道路の騒音がけっこう聞こえてきますが、
耳栓をすれば眠れないことはないでしょう。
この写真では分からないと思いますが、
こういう宿で清潔感を期待しちゃいけませんよ。

eg_cairohotela01.jpg

で、とどめのシャワーとトイレはこんな感じ。
左側の大型たらいに入ってシャワーを浴びるのですが、
カーテンがないので室内全体が水浸しになります。
したがいまして使用前にトイレットペーパーを外へ出しておくのを忘れずに。
また、こういう宿で裸足で歩くのは僕らですら抵抗感がありますでの、
(ちょっと臭うし・・・)
室内用のビーチサンダルは必需品です。
ちなみにタオルはゴワゴワのアンティーク感が楽しめました。
寒風摩擦に最適です。
ま、朝食付きのダブルの部屋が1泊約2,000円(2人分)ですからね。
内容的にはこんなもんです。

eg_money.jpg

ご紹介を忘れていました。
エジプトの通貨はエジプトポンドで現在の対円レートが6.3ですから、
円換算はエジプトポンドに7をかけて1/2割引けば、
両替手数料を込みでのおおよその数字が出ます。
そういえばクレジットカードが使えない安宿では、現地通貨ではなく、
米ドルでの支払いが義務付けられているとの前情報がありましたが、
普通にエジプトポンドも受け取ってくれました。

eg_ataba02.jpg

さて、身軽になった僕たちは近くのローカル食堂でさっそく取材を始め、
腹ごしらえができたところで足を向けたのが、アタバ市場です。
観光無縁の庶民の市場は道路以上に活気と喧騒に満ち溢れていました。
日本のスーパーマーケットと衛生環境に慣れた方には、
あまりお勧めできる場所ではありません。
端的に言うと、場内で転びようものなら、
一生残るトラウマは避けられないでしょう。、
しかもそれを誘うようにぐちゃぐちゃの床が滑るし・・・

eg_ataba.jpg

途上国の市場で共通しているのは、
先進国のスーパーマーケットにあって当たり前の、とある物がないこと。
それは冷蔵庫。
肉屋もご覧の通りでございます。
したがいまして場内にたちこめる臭いは、
現代の日本であまり嗅ぐ機会がないものではないかしらん?
でもね、命を食べるってことは、こういうことなんですけどね。

eg_hanhariri02.jpg

アタバ市場からアル・アズハル通りを東北東に進み、
右手にアズハルモスクが見えてくると、
左側に並行して走るアル・モスキ通りの終点が見えてきます。
ここがハンハリーリと呼ばれる観光市場。
入り組んだ迷路に様々な雑貨店がひしめき合っています。

eg_hanhariri01.jpg

この地域はイスラム地域の北端に位置しており、
こうした壮麗なモスクが林立しています。
いずれも現役でアザーンが流れるとムスリムたちがお祈りに集まって来ます。
様式がそれぞれ微妙に違っているので見ていて飽きません。

eg_hanhariri03.jpg

さて、ここで僕たちのミッションは、
I love Egypt Tシャツでもピラミッドの置物でもなく、
ととら亭でディスプレイする『とあるもの』をゲットすること。
そこで訪れたのは雑然とした玉石混交のアンティークショップです。
そのお宝については回をあらためてお話しますね。

eg_market02.jpg

さぁ、今日はたくさん歩きますよ!
次はアズハルモスクの脇道をズウェーラ門を目指して南下しつつ、
アタバスークに続きローカル商店街で食材調査です。
いかがです? この雑然とした雰囲気。
有名観光地も悪くありませんが、
こうした場所こそが僕らのフィールドなんですよ。
あ〜、なんかワクワクして来た!

eg_tuktuk.jpg

と、浮かれてちゃいけません。
気を付けなければならないのがこれ、トゥクトゥクです。
細い路地に人が溢れているにもかかわらず、
彼らはデススターに突入するXウイングのように突っ込んでくるのです。
しかもほとんど減速せずに!(反乱軍のパイロットになれるね)
また交通渋滞とトゥクトゥクやバイクの2サイクルエンジンのおかげで、
大気汚染は北京かデリー級。
そんなわけで、ととら亭に就職を試みるのはお勧めしません。
寿命を縮めます。

eg_market01.jpg

この地域になると観光客の姿はまったくありません。
故にお店も完全にローカル御用達ばかり。
たいへん参考になりました。
野菜はモロヘイヤを除いて、
レタスなどの葉物があまりありませんでしたけど、
ジャガイモ、ズッキーニ、玉ねぎ、ナズ、ピーマン、インゲン、
ガーリック、カボチャ、キュウリなど種類は豊富でしたね。
特にトマトは政府が管理しているだけあって大量に出回っています。
南米原産の野菜が主になっているとは・・・
数奇な運命の歴史を感じますね。

eg_market03.jpg

アレキサンドリアからほど近いため、新鮮な魚介類も売られています。
おや、イカ(右上)も食べるんですね。どうやって料理するんだろう?

eg_bread.jpg

時おり見かけて目を見張ったのが、
焼き立てのエーシュ(パン)を運んでいる人。
これだけでもボリショイサーカスの入団資格を十分得られると思いますが、
自転車に乗って同じ量を運ぶ、驚くべきスーパースターもいました。
スゴイね!

eg_isramicarea01.jpg

イスラム地区の中心、シタデルが近付いてくると、
ご覧のようなモスクが入り組んだ路地のそこかしこに現れ始めます。
この辺は独特な雰囲気がありますよ。

eg_guys.jpg

こうして写真を撮っていると、
人懐っこいエジプシャンが寄って来るのはお約束。
例によって共通言語はありませんでしたけど、
片言のアラビア語と英語、
あとは笑顔があればコミュニケーションは十分できます。
自分たちの写真映りに納得した彼らは僕とハグして去って行きました。

eg_isramicarea02.jpg

夕日に染まるシタデルの外壁。
美しいですね。時間外でもう閉まっていましたけど、
ここまで来れただけで僕たちは大満足。
もし次のチャンスがあったら、
この辺は雰囲気がいいので一日使ってゆっくり歩きたいですね。
それじゃそろそろ戻りましょうか。

eg_street02.jpg

夕闇が迫るローカルの商店街。
素顔のエジプトが垣間見える場所のひとつです。
こうしたところで市井の人々を見ているのが僕らは大好きなんですよ。

eg_street01.jpg

そんな時はマップアプリもGPSも使いません。
こうした路地に入って迷ってみるのもまた一興です。
もしからしたら僕たちだけの何かが発見できるかも?

eg_dorma.jpg

さぁ、たくさん歩いてお腹が空きました。
取材準備完了です。
まずはトルコ(オスマン帝国)から伝わったと目される、
ドゥルマを比較してみましょう。
これはズッキーニに米を詰めたタイプ。
しかしトルコと違って冷菜ではありません。
スパイシー感はほどほどで中国の粽のように、
独特の味が付いた米がとても美味しい。
肉を使っていないのであっさりしています。
僕はこの料理、こうして暖かい方が美味しいと思うな。

eg_sambusa.jpg

何回でかけても、旅には常に新しい発見と驚きがあります。
この料理もその一つ。
僕はこれまでサモサはインド起源の料理だとばかり考えていたのですけど、
なんとその生れはペルシャ(今のイラン)だそうな。
そしてその名もサンブーサ。
ってことは、インド以上にアラブ諸国は文化的な距離が近いので、
オリジナルに近い物があるのでは?
そこで試してみました。
薄い小麦粉の生地で具を包んで揚げるところは同じですが、
エジプトバージョンの中身は、
サモサのようなジャガイモ、ニンジンなどの野菜ではなく、
ラムの挽肉がみっちり入っていました。
スパイス感もあまりありません。
ですので小さいながらも食べ応えがあります。

eg_kabsa.jpg

ん? なんか見覚えがあるぞ・・・と思っていたらやっぱり!
この料理は2016年の11月下旬にオマーンのマスカットで研修を受けた、
マクブースという料理にそっくりじゃないですか!
なるほどこのカブサはマクブースの別名でもあり、
起源はイエメンだそうな。
(今、お取込み中で入国できませんが・・・)
チキンをスパイスと玉ねぎ、ガーリックで炒めてから水を入れて煮込み、
火が通ったところでチキンを取り出したスープで長粒種の米を炊き込む料理。
ん〜・・・風味はドライレモンを入れたオマーンバージョンと違いますけど、
ほどよくスパイシーでおいしい!
アラブ版のジャンバラヤといったら近いかな?

eg_kababharra.jpg

これは今回の取材対象で最上位料理のひとつ。
エジプト版のビーフシチューともいえるカバブ・ハッラです。
ルクソールでも食べてみましたが、あまり大きな違いはありませんでしたね。
じっくり炒めた玉ねぎのコクとトマトの酸味が調和し、
柔らかく煮込まれたビーフを包み込んでいます。
香りはガーリックが主体で、そこにカルダモンが少々感じられました。
後から足したのか、歯ごたえの残る野菜がいいアクセントだったな。

eg_usinrestaurant.jpg

ひゃ〜、疲れた!
ルクソールから移動してすぐ、朝から3万歩近く歩いたんですよ。
毎日ほぼこんな調子ですから、
食べまくりの旅から帰っても体重が増えていないのは当然か。

さぁ、明日はこの旅の後半のハイライト、ギザのピラミッド群を訪れます。
そこでこんな時、エジプトで心配しなくてもいいこととは何でしょう?

答えは・・・

天気!

えーじ
posted by ととら at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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