2019年04月07日

第17回取材旅行番外編 その3

「いま何時?」

ともこが起きたようです。

「18時ちょっと過ぎだよ。
 よく眠っていたみたいだけど、具合はどう?」
「うん、だいぶ楽になったみたい」
「じゃ、熱を測ってみよう」

37.8度・・・か。
解熱剤が効いてきたみたいだな。

「外は寒そうね」
「ああ、もう氷点下だ。お腹空いたかい?」
「ちょっとなら食べられると思う」
「それじゃピデ(トルコのピッツア)でも買って来るよ。
 今夜は部屋で食べよう」
「ダメよ、取材の日数が限られてるし、
 カイセリでは調べなきゃならない料理が沢山あるんだから」
「そりゃ分かってるけどさ。
 せっかく熱が下がって来たのに寒い外を歩いたりしたら、
 悪化しちゃうかもしれないじゃないか」
「大丈夫よ、薬が効いたみたいだし。
 一番近くの食堂でさっと食べて帰るだけなら平気。行けるわ」

ふ〜・・・やれやれ。
これまた長年連れ添ったから分かってるんですけどね。
言い出したら聞かないんですよ、彼女は。

「OK。それじゃ、とにかく一番近いところに入ろう。
 店の選り好みはなしだ。いいかい?」

こうして完全防寒仕様に身支度を整えた僕らは、
しんしんと冷える夜の街に踏み出しました。
さいわい直近で入った店は、
お目当てのマントゥやキョフテがあっただけではなく、
サービスで温かいヤイラチョルパ(濃厚なヨーグルトのスープ)
まで出してくれたので、頑固なともこも納得したようです。
ところが・・・

「あ〜、美味しいね! 体が温まるよ」

「・・・・・・・・」

「ヤイラチョルパはアゼルバイジャンのドゥブガに似ているな。
 でも香りは違う。ハーブはミントしか使ってない」

「・・・・・・・・」

ともこが静かです。
ということは・・・

「ゴメンね、えーじ、後は食べてくれる?」

やっぱり。

そして、そそくさと取材を切り上げた僕たちは、
急いでホテルに戻り、寝かせた彼女の熱を測ってみれば・・・

む〜・・・38度か。また上がってきちゃったな。
カロナールを追加で飲ませよう。
この分だと明日のアヴァノス取材はキャンセルするしかないか・・・
ま、旅は始まったばかりだ。
先は長いから健康回復を優先した方がいい。

ともこはすぐに寝息を立て始めました。
長距離移動の疲れもあって、
僕も22時前には眠ってしまったようです。

彼女の咳で目を覚ました時、まだ窓の外は真っ暗でした。

ん・・・何時だろう? 5時か・・・
ともこは?

彼女は毛布にくるまって眠っていましたが、
僕が起きた気配で目を覚ましたようです。

「起きたの? 何時?」
「まだ早いよ。もう少し寝ていた方がいい」

僕は黙って体温計を渡しました。
やがて小さなピープ音のあと、表示を確認してみれば・・・

まずい。38.6度に上がってる。
たっぷり寝ていたのに解熱剤が効いていないじゃないか。
どうもただの風邪じゃなさそうだぞ。

僕らが投宿した安宿の部屋は床暖房で温かいのですが、
その狭さたるもの東横インのシングルルーム級。
そこに缶詰ですから、予防接種を受けていたとはいえ、
彼女が罹患したのがインフルエンザだとしたら、
僕もただじゃ済まないと思います。
実のところ、先ほど目を覚ました時から、
僕は自分の体調の変化に気付いていました。

喉がいがらっぽい。
それになんだか寒気がする。

そこで体温を測ってみれば・・・

37度6分か。
やっぱり感染したみたいだ。
ま、無理もない。
悪寒の状態からすると熱が上がりつつあるんだな。
成田を発った頃のともこの症状とそっくりだ。
もし同じ型のウイルスに感染したのだとしたら、
抵抗力と体力の差を引いても、
今の彼女のように動けなくなるまでざっと・・・
6時間ってところか。

僕は腕時計に目をやりました。
時刻は5時40分。

ってことは、遅くとも12時までに病院を探し出し、
なんらかの治療を受けないと、
このほとんど英語も通じない街で、
二人揃って行動不能になっちまうってわけだ。

BGM: Theme of Mission Impossible

なんとかしなくちゃ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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