2019年05月03日

ととらな旅のおすすめ その4

ひとり旅。
ふたり旅。
そしてグループ旅行。

みなさんもご存知のとおり、
旅の経験の質には人数がとても大きく影響します。

では、ひとり旅とふたり以上の旅における最大の違いとは何か?

僕の個人的な経験から申しますと、
それは『他人との会話量』です。

たとえばひとり旅とグループツアーの差を考えてみて下さい。
いつも隣に話し相手がおり、道に迷うこともまずない旅で、
他人に話しかける機会がどれくらいあります?

逆もまたしかり。

ローカル側から話しかけてくる場合でも、
ひとり旅 > ふたり旅 > グループ の順に少なくなるのは、
話しかけやすさを考えれば当然ですよね?

次にもうひとつ質問です。

旅で最も記憶に残ることとは何か?

これまた僕の経験から申しますと、
人との出会い。
これに尽きます。

もちろん美しい風景に惹かれて僕も旅をしました。
広大なサハラ砂漠、突然目の前に広がったマチュピチュ、
森厳なアンコールトム、青空とのコントラストが美しいパルテノン・・・

しかし美しい青の街、ウズベキスタンのサマルカンドですら、
不思議なことに後になって思い出すのは、
荘厳なモスクやマドラサ(神学校)ではなく、
愛らしい子供たちや親切な市場の売り手たちとの出会いなのです。

そんなわけで今回のおすすめは、会話。

あ、また眉間にしわを寄せていますね?

英語は話せないって言ったじゃないか?

では僕ももう一度、断言しましょう。

心配はいりません。

大体にしてですね、
『英語は世界語』なんてのは風説もいいところなんですよ。
もし本当に世界中で標準化されているなら、
僕もここまで苦労はしませんでしたからね。

たとえば、そう、あれは2002年5月のこと。
僕たちはベトナムからカンボジアにかけて、
陸路で国境を越えながら旅をしていました。

あの時も、ともこがプノンペンに滞在中、熱を出してダウンし、
僕はひとりでモニボン通りへ夕食を食べに出かけたのです。
そこで入ったのは、よくある華僑系の中華料理店。
扉を開けて入れば、これまたフツーのお店。
しかし夜の7時過ぎにもかかわらず、お客さんは誰もいません。
僕はホールの少女に挨拶して端のテーブルにつきました。

あれ? メニューは?

店の奥には4人の少女がいます。
僕がキョロキョロしているのを察したのか、
そのうちの一人が中国語で書かれたメニューを持って来てくれました。

なるほどね。
でもみんな中華系ではなくカンボジア人だな。
さて、何を食べようか?
お腹が空いたから麺ものとご飯もの1品ずつがいい。

僕は手を挙げてホールを呼びました。
すると今度は別の少女が来たので、
ダメもとの英語で話しながら指差しオーダー。

ここまでは良かったのです。

料理が来るまで本でも読んでようかな?
と思った僕がふと顔を上げると、
4人の少女たちが揃ってこっちにやって来るじゃないですか。

ん? なんだ? どうしたんだ?

彼女たちは愛らしい笑顔を浮かべています。
推定年齢はみな18歳前後でしょうか。
そして本当のサプライズはその次です。
僕がハト豆な顔をしているのを尻目に、
彼女たちは僕を囲むようにして座り出したのですよ!

え、ええ? なにこれ?

至近距離に腰かけた少女4人が、
僕をじっと見つめながら微笑んでいます。
しかも何も喋らずに。

「あ、あ〜、君たち。英語は話せるかい?」

し〜ん・・・

今度は日本語で、

「OK、僕はクメール(カンボジア)語が話せないんだ。
 僕の言っていること分かる?」

し〜ん・・・

彼女たちは時折お互い顔を見合わせてくすくす笑いはしますが、
言葉は何語にせよ、いっさい話しません。
僕との距離はみんな約1.5メートルほど。
店内には僕ら以外、誰もいません。

おいおい、こりゃなんだ?
風俗店? じゃないよな?
うん、どこから見てもここは中華料理屋だ。
彼女たちもフツーの格好だし化粧もケバくない。
しかし、このシュールなシチュエーションはどう説明がつく?

そうこうするうちに、ふと一人が立ち上がって店の奥に行くと、
僕が注文した料理を持って来ました。

お、料理が来たか、
あれを置いたらみんな離れて行・・・かないじゃん!

そう、料理が来たのはいいのですが、
みんなさっきのまま、座って僕をじっと見ているのです!
しかもいまだ一言も喋らずに。

分かります?
この思考停止の緊張感。

「あ〜、君たち。お腹空いてるの?
 一緒になにか食べるかい?」

し〜ん・・・

「そ、そう? いらない?
 じゃ、失礼して、食べ始めてもいいかな?」

し〜ん・・・

彼女たちは変わらず、にこにこしながら僕を見つめています。
たった1.5メートルの至近距離で。

僕はこの無言のニコニコ攻撃についにキレました。
といっても怒ったのではありません。

「いただきま〜す!」

と大きな声で言ったあと、おもむろに食事を始め、
イッセー尾形氏のひとり芝居よろしく、食べながら自己紹介を始めたのです。

もぐもぐもぐ・・・

「やぁ、僕の名前はえーじ。日本人だよ。
 東京に住んでてね。仕事はシステム関係(当時)のことをしてるんだ」

もぐもぐもぐ・・・

「あ、このチャーハンは美味しいなぁ!
 汁ソバもいけるじゃないか。
 でね、今回、ワイフと一緒にベトナムから旅して来てさ」

もぐもぐもぐ・・・

こうなったら僕も長年の旅で神経戦には長けているつもりです。
相手が黙っているならこちらはしゃべり続けてやろうじゃないですか。
こうして15分から20分間ほどが経ち・・・
(僕には1時間以上に感じましたけど・・・)

「ふぅ〜、おいしかった! お腹いっぱいだ。
 それじゃお会計してくれる?」

そういうと、ひとりが金額だけ書いた紙片を持って来ました。
こうした反応を見るかぎり、
あながちまったく意思疎通が取れていない訳でもなさそうです。
加えて安心したのは、ガールズバーよろしく、
ぼったくりな追加料金が上乗せされていなかったこと。
細かい値段は忘れてしまいましたが普通のカンボジア価格でした。

「ありがとね! ごちそうさま! バイバ〜イ!」

彼女たちがドアまで出てきて手を振っています。
そう、あの愛らしい笑顔を浮かべて例の無言のまま・・・

あの夜の出来事がいったい何だったのか、未だに僕は分かりません。
しかし、共通言語がなくても、
こうして『コミュニケーション』はとれるんですよ。
そしてなにより17年の年月が流れても、
こうした経験は色褪せないものです。

というわけで日本語しか話せなくても大丈夫、
グループツアーでも買い物や食事の時に思い切って『お話』してみましょう。
きっと世界遺産の風景以上に、
あなたの旅のハイライトになりますよ!

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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