2019年06月27日

第18回取材旅行 その8

「ホテル見当たらないね。住所が間違ってるのかな?」
「いや、ここで間違いないと思うけど」
「あれ? ユニークモンゴリアじゃなくて、
 ウインドウホテルって書いた看板があるよ」
「OK、じゃあ、そのホテルのフロントで訊いてみるよ」

建物に入るとすぐ左側にオフィスがありました。

ん? ここがレセプションなのかな?

小さな部屋の中はチェックインカウンターがあるわけではなく、
どう見てもただのオフィスにしか見えません。

ん〜・・・英語は通じ・・・ないだろうな。
ま、ダメもとで訊くだけ訊いてみよう。

「サイバイノー(こんにちは)」

挨拶だけモンゴル語でして僕は部屋に入ってみました。
中には若い女性が二人。

「すみません、
 Unique Mongolia というホテルを探しているのですが、ご存知でしょうか?」

二人は顔を見合わせています。

やっぱりダメかな?

しかし僕が印刷しておいたホテルの予約確認書を見せてみると、

「ここにはありません」

たどたどしいけれど、英語で回答がきたじゃないですか!

やった、話ができる!

「ではこのビルの住所は、
 railway district, Bayangol building 6, #69 Bayangolですか?」
「はい」
「おかしいですね、このホテルの住所もここになっています」
「電話番号は分かりますか?」
「ここにあります」
「では電話してあげましょう」

親切だね!

「・・・・電話は通じません」
「ということは、このホテルは存在していない?」
「少なくともここにはありません」
「ご親切にいろいろとありがとうございました」

「なんだって?」
「このホテルはもうないと思う」
「え〜っ! だって予約が取れているんでしょう?」
「ああ、でも予約サイトシステムの自動回答だよ。
 人間とやり取りしたわけじゃない」
「どうするの?」
「プランBだ。とりあえずここの3階にある Window Hotelへに行ってみよう」

僕たちが薄暗い階段を上がると、
Reception と印刷されたボロボロの紙が壁に貼ってありました。
見上げた先の廊下は照明も点いておらずゴミが散らかり放題。
奥に埃にまみれたカウンターが寂しく待っていました。
しかも誰もいない・・・というか人の気配すらありません。

「こんにちは! 誰かいますか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「こんにちは! ここに誰かいますか?」

僕が大きな声で2度言ったあと、
フロントの横にあったドアがゆっくり開き、
出てきたのは明らかに寝起きの若い男性。
彼は視線をそらし、無言のまま僕の前に立っています。

「2人用の部屋は空いていますか?」

彼は眠そうにあくびをすると振り返って奥の方へ歩き始めました。

「ともこはここで待ってて」

薄暗い廊下は2カ所で分岐しており、
ドアが開けっぱなしの部屋の中に数名の男性の姿が見えました。
外国人ではありません。宿泊客風にも見えない。
その少し先で立ち止まった彼は、何も言わず別の部屋のドアを開け、
中を指さしました。
それはさながら廃業して、
数年放置されたままのホテルの部屋といえば近いでしょうか。
トイレは駅並みの汚れようで床には髪の毛がべったりとついたままです。

こりゃ、ジャンキー宿か?

僕はにっこり笑って「バイラルラ(ありがとう)」

「どうだった?」
「プランCだ。今すぐこの建物を出よう!」

僕らは足早に外へ出て、日陰で地図を広げました。

この辺は同じような安宿ばかりだ。
駅前に戻ってもう少しまともなところを探すしかないか。

そこへ突然、

「どうしましたか?」

と後ろから日本語が・・・
驚いて振り返ると若いモンゴル人の男性が立っています。

「やぁ、こんにちは。日本語が話せるのですか?」
「ええ、少しですけど。ウランバートルの日本語学校で勉強しています」

怪しそうな気配がなかったので、僕は事情を話してみました。

「え? それは変ですね。僕が訊いてきてあげましょう」

もうプランAはないものと考えていましたが、
移転した可能性もあるのでお願いしてみるのも手です。
しかしほんの数分で階段を下りてきた彼はしかめた顔の前で片手を振り、

「ここはダメです! 他に行った方がいい!」

そのとおり。

そこでもう一度駅まで戻り、まともそうなホテルで料金と部屋を確認し、
ようやく昼前に僕らはバックパックを下ろせたのでした。

毎度ながら、いろいろ起こります僕らの旅。

でもこれくらいはよくあることなのですよ。
中には今回、より深刻なトラブルに遭った旅人たちもいました。

たとえば僕らが中国モンゴル国境を越えようとしていた時、
同じバスに乗っていた若いモンゴル人と思しきカップルが、
よりによって中国側で止められてしまったのです。
彼女のパスポートに何らかの問題があったようで、
しばらく別カウンターで質問を受けていたと思ったら、
そのまま別室に連れて行かれてしまいました。
困ったのは先にイミグレーションを通過してしまった彼氏の方です。
出国しているので逆戻りはできませんから、
モンゴル側から連行される彼女の後姿を見つめるばかり。
僕らも心配してバスで待っていたのですけど、
結局、彼らを残したままバスは出発してしまいました。

その後、二人がどうなったのか、知るすべもありませんが、
無事、モンゴルに入れたことを願ってやみません。

今日のウランバートルは曇り。
気温は12度前後で薄手のジャケットがないと寒いくらいです。
僕たちがアドリブで選んだ駅前のホテルは、
少々部屋が傷んでいるものの、周囲にローカル食堂もいくつかあり、
2日間の滞在なら十分でしょう。

明日は昼からテレルジという郊外の村に移動します。
いま写真をまとめていますので、
ビジュアルなレポートはもうちょっと待っていて下さいね!

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 19:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
腰とか膝とか目眩とかは大丈夫ですか?

無事に宿が見つかって良かったですね!
「これがととら亭スタイル」とか言って、偽ユニークモンゴリアンに泊まるのかとハラハラしながら読んでいたので安心しました。

こちらは台風接近中でジメジメ蒸し蒸し暇暇。
台風は東京にはあまり影響なさそうなので、明日も通常営業です。残念(?)

写真も楽しみにしてます!

おやすみなさい〜
Posted by みなみ at 2019年06月27日 23:11
みなみちゃん

ご心配おかけしております。
さいわいここまでの間、時限爆弾は爆発しないでいてくれています。
あと4日間、なんとか逃げ切りたいですね。

ととら亭スタイルは低予算の結果とは言え、
さすがにセキュリティのリスクまでは負わないのでご安心を。
実際、あの宿は僕が今まで見た中でも別格のヤバさでした。

そちらは梅雨のど真ん中ですね。
今日のウランバートルは東京でいうと4月上旬の陽気かな?
肌寒いですけど風が乾いていて気持ちいいです。

写真はもうちょいお待ちを!
Posted by えーじ at 2019年06月28日 10:30
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/186199373

この記事へのトラックバック