2019年08月13日

夏という旅 その2

ガールフレンドをゲットするための、
十分条件である部活が終わった18時過ぎ、
ボロボロに疲れた僕は、重い体を引きずりながら家路を急いで・・・

いませんでした。

確かに急いではいたのですが、
行き先は自宅ではありません。
もちろん塾でもない。

僕が週に3、4回通っていたのは・・・

野毛の焼き鳥屋です。

え? 学生服着たまま飲みに行ってたのか?

違いますよ。
さすがにそこまでムチャクチャな時代ではありませんでした。

目的はバイトです。

なぜか?

前回お話しましたように『勤勉』なリビドーボーイの僕は、
モテるための十分条件である部活、バンド、
オートバイの3つをすべて満たしていたナイスガイ。
しかしながら、バンドをやるには元手が必要だったのです。

そこで学校にバレないよう、
(もちろん禁止されていましたから)
ちょっと離れた街で、時給のいいバイトをやっていたのです。

はじめて買ったのは、モーリス製のフォークギター。
ケース代込みで25,000円でした。
このくらいなら、当時でも1カ月間がんばって働けば、
僕にもどうにかなったものです。

ところが吉田拓郎やかぐや姫のコピーばかりやっていたのでは、
モテ効果もイマイチ芳しくない。

なぜだ?

そうか、音が小さいからかもしれない。
この程度じゃ、いかに練習しても、
教室でやるパーティ程度でしか自分をアピールできないじゃないか。

時は折しもニューミュージック全盛期。
こじんまりした4畳半フォークソングから、
オフコースやゴダイゴ、ツイストなど、
エレキギターをフューチャーしたバンドが注目され始めていました。

そうか、これで行こう!

そこで組んだのが、
2ギター、キーボード、ドラム、ベースの5ピースバンド。
(僕はリードギター&ボーカル担当)
この編成は当時主流になっていましたけど、
珍しかったのは、
僕を含めた3人が交代でリードボーカルを取り、
コーラスだけできるメンバーもいたので、
4声コーラスが可能だったことです。

おまけにキーボーディストがハイトーンボーカルでしたから、
ライブセットは演奏難易度の高いオフコースやチューリップ半分、
あとはオリジナルで構成していました。

このバンド、はっきり言って、
楽器の演奏レベルは大したことありませんでしたけど、
コーラスワークは他のバンドの追随を許さず、
ア・カペラを多用したアレンジが受けて、
けっこう集客力があったのですよ。
(つまりモテた、というわけでございます(当人比))

先にお話した焼き鳥屋でのバイト代は、
このバンドをやるための、練習スタジオ代や、
プロの音になるべく近づけようと努力するための、
機材購入費に消えていました。

そんな僕らの夏と言えば、秋の文化祭やライブに向けた特訓の季節。
当時、横浜の桜木町駅から本町通りにかかる橋を渡った左側に、
ヤマハのホールとスタジオを併設した施設があり、
練習、ライブともによくここでお世話になっていました。

練習はたいてい18時くらいからが多かったですね。
そうすると桜木町駅からスタジオまで行く道は、
関内にある県庁や企業から駅に向けて帰宅する人たちでいっぱい。

スーツを着てビジネスバッグを下げた、
大勢の大人たちの流れをかき分けるように、
髪を伸ばして楽器を背負った僕たちは歩いて行きました。

ああ、僕はこの先も、
こんな人生を送って行くのかもしれないな。

あれから38年が経ち、僕の仕事は音楽ではなく、
背負っているのも楽器がバックパックに変わりましたが、
若かりし頃の、あの予感は、あながちハズれていなかった。

Eaglesを聴きながら、ある夏の日の午後に、
僕はそんなことを思い出していたのです。

えーじ

P.S.
ととら亭のウェブサイトに、
ソロで多重録音していた頃の作品を、こそっとアップしておきました。

いつかまた、楽器を手にする夏の日のために。
posted by ととら at 14:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
聞かせていただきました。ありがとうございます。

えーじさんがこれを録音していらしたころ、私はブラームスやモーツァルトやストラヴィンスキーの楽譜を前に四苦八苦していました。

そして私は今も四苦八苦しているわけです。進歩がないといいますか。
Posted by にじゅうにばん at 2019年08月14日 11:29
にじゅうにばんさま

いつもコメントありがとうございます!

どんなジャンルにせよ、音楽はいいですよね。
特に聴くだけではなく、楽器をプレイすることは。

ギターを弾いていた頃の僕のヒーローは、
ラリー・カールトンやスティーブ・ルカサー。
ベースに転向してからはクリス・スクワイヤやゲディ・リー、
はてやトニー・レヴィンのプレイに憧れ、
それこそ「こんなの歌いながら弾けるわけないじゃん!」の日々でした。

時間が出来てまた楽器が弾けるようになったらどうかな?
それこそスケールの練習からやり直さなくてはならないような・・・

うん、多分そうでしょう。

でも、やっぱり音楽って、いいですよね!
Posted by えーじ at 2019年08月14日 15:35
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