2020年04月18日

入院日記 パート3 その9

早いですね。

手術から今日で24日、退院してからは19日が経ちました。

自主リハビリは順調で、
まだ左足に荷重はかけられませんけど、
普通に曲げるだけなら130度はいけるようになったんですよ。

松葉杖の使い方もかなり上達しました。
今は通勤の登り坂を含む430メートルの道のりを平均8分15秒で歩けます。
帰りは7分30秒! 両方とも途中休憩なし。
ほんと、何ごとも地道な努力から・・・ですね。

で、ここへ至る病院における最後のハードルは、
こんなのが待っていたのです。

____________________________

いてててて・・・

時計は6時。
病院の朝は早いですね。
起床時の僕のタスクは全身の動作チェックの後、
寝転がったままの軽いストレッチ。
大きな装具で固定されている左脚は、
足首を回すところから膝に力を入れて押し下げる動作、
そして開脚と閉脚をゆっくりやります。

ふぅ〜・・・
痛みはあるものの全体的に異常なし。
左脚は微妙に良くなって・・・いる気がする・・・
というか、そう思いたい。

トイレと洗顔を済ませたら、
8時の朝食までメディテーション。
ここでの仕上げは今日のミッションのイメージトレーニングです。

松葉杖での平行移動はおおむね飲み込めた。
今日は退院に向けた最後のハードル、
布団で寝ることを想定した床からの寝起きと階段の昇降だ。

本番は10時半。
リハビリの先生が来て特訓の再開です。

「おはようございます。踵と腰の調子はどうですか?」
「踵はバンドエイドでカバーしましたし、
 腰もコルセットを付けていますから大丈夫」
「それじゃ、今日は難易度を上げましょう。
 ご自宅では布団で寝ていらっしゃるのですよね?」
「はい」

BGM: Eye of the tiger by Survivor

彼は病室の床に薄いマットを敷きました。

「ちょっと狭いんですけど、ここで床からの寝起きをやってみましょう
 まず見本を見せますね」

彼は僕と同じように左脚を伸ばしたまま、右手でベッドの縁を掴み、
ゆっくり右足を折り曲げてマットに座りました。
そして起き上がる時はその逆。

「まんま片足スクワットですね?」
「ええ、だから年配の方には難しいのです。
 かなり力が必要ですからね。
 椅子やテーブルなどに掴まってバランスを維持して下さい」

選手交代。
僕は彼の動きをトレースしてみました。

「そうそう、いいですね」

でしょ?
実はこれを想定して手術の2カ月前から、
トレーニングのスクワットの量を倍にしていたんですよ。

「それじゃ、いよいよ階段に行きましょうか」

階段は大部屋を出て5メートルほど先の右側にあります。
段数は踊り場まで15段。

「まず手すりに掴まりながらやりましょう。
 僕のやり方を見ていて下さい」

手すりは僕の左側・・・か。
アパートの階段とは逆だけど基本は同じだろう。

「先に右側の松葉杖に重心をかけ、右足を次の段に置きます。
 次に重心を右足に移し、杖を同じ段に移動させます。
 左手は手すりを掴んで床からの寝起きと同じように、
 バランスを取って下さい」

了解。それじゃいってみますか。

僕は彼から松葉杖を1本受け取り、
位置について上を見上げました。

よし、1アクションずつ、ゆっくり、確実にやろう。

僕はイメージトレーニングした動作をトレースし始めました。
そして1段登ったところで、先生を見ると、
彼の表情はゴーサイン。

OK、慌てるな。
愚直にいまの動作を繰り返して踊り場を目指すんだ。

「いいですよ、その調子」

踊り場に着いた僕はうっすら汗をかいていました。
ここで一息。

「さて、下り方をやってみせますね」

僕は振り返って松葉杖を彼に渡しました。

「登りとは逆で、今度は右足に重心を置き、
 先に左手に持った松葉杖を下の段につきます。
 それから重心を杖に移して右足を下げて着地。
 下りの方が転倒リスクが高いので気をつけて下さい」

僕は登りより更にスピードを落として下り始めました。
視線を真下の階段に向けるとフォームが崩れます。
しかし少しでも先に見たら踏み外してしまいそうな気がしてきます。
そして集中力が散漫になればバランスも崩れる。
無事に戻ってはみたものの、
体全体のモーションイメージが掴めません。

「先生、改善点を指摘して下さい」
「登りはOKです。下りでは頭が下がっているので腰が引けています。
 それから杖をつく位置が縁に寄り過ぎているので、
 もう少し手前がいいでしょう」
「分かりました。じゃ、もう一回やってもいいですか?」

彼は僕が転倒しないように真後ろについて一緒に登ってくれています。
往復した時には汗が額を伝って落ちてきました。

「1回目よりだいぶいいですよ。
 それでは手すりを使わず、松葉杖だけでやってみましょう。
 バランスを崩しやすいので、さっきよりゆっくりと」

さぁ、いよいよ最後の難関だぞ。
やってみて分かったけど、これは床からの寝起きみたいな力技じゃない。
スキーと同じく、バランスの取り方がコツなんだ。

登山をやっている時と同じように、登りは案外すんなり出来ました。
問題はやはり下りです。
視線のぶれがそのままバランスに影響してしまいます。
バランスを失うとリズムが崩れ、それがフォームに影響し、
さらにふらついてしまう。

おっと、ヤバイ・・・
負のスパイラルにはまっちまうとこだった。

僕はここで最善策に気付きました。
それは止まること。

僕は階段の途中で背筋を伸ばして目を閉じ、
ゆっくり深呼吸を始めました。

いいんだよ、えーじ。
うまくできなくたっていい。初めてやってることなんだから。

この往復はなかなか緊張感のあるものでした。
しかし僕は落ち込むどころか、
場違いともいえる達成感というか、一種の高揚感を感じていたのですよ。

よ〜し、ナイスリカバーじゃないか。
一昨日はほとんど万事休すだったけど、今日ここまでこれたんだから、
予定通り明後日の月曜日には退院できるかもしれない。
トンネルの出口が見えて来たぜ!

「先生、もう一回やってもいいですか?」

僕は視線を再び15段上の踊り場に向けました。

to be continued...

えーじ

withcruches.jpg
入院中の写真でお見せした大型の装具は前回の検診時に返却し、
いまは自前の軽量アルミ2軸ヒンジが入ったサポーターを付けています。
松葉杖の腕前?
スキーでいったら、
ボーゲンからパラレルができるようになった、ってとこですかね。
もう少ししたらモーグルに挑戦できるかも?
posted by ととら at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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