2021年02月25日

Double surprise!

「誕生日のお祝いでディナーの予約をしたいんですけど」

とある日、10年来のお客さまからこんなオファーを頂きました。
初めて来たときはまだハイティーンだった彼女も、
今では立派な社会人です。

「ありがとうございます。で、誰の誕生日? お父さん?」
「わたしのです」
「へぇ、そうなんだ! いやはや自己申告ね」
「ええ、父と母が一緒に来ます」

そして当日。
ランチタイムの営業が終わって間もないころ。

「こんにちは〜!」

誰かと思いきやくだんの彼女です。

「どうしたの?」

見れば彼女は両手に大きな花束をふたつ持っています。

「これ、今夜のサプライズで渡したいから預かってもらえます?」
「あれ? 君の誕生日だよね?」
「はい」
「これをお父さんとお母さんに渡すの?」
「そうです」
「やるね〜、まるで結婚式みたいじゃないか!
 タイミングはデザートのオーダーをもらった直後がいいかな?」
「ええ、そこはおまかせします」
「OK、じゃ、オーダーの後、何気なくカウンターまで来てくれる?
 そうしたら花束を渡すよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いい子だね」
「きっとお父さん泣くよ」

彼女が帰ってそんな話をしていたら、
今度はそのお父さんが現れ、

「おや、こんにちは!」
「良かった、間に合った」

と手元を見れば、彼も花束を持っています。

「今夜、予約してたでしょ?
 娘の誕生日なんですよ。それでこれを贈ろうと思って。
 ちょっと預かっておいてもらえます?」
「いやぁ〜、サプライズですね!」
「ええ、まぁ・・・」

と照れ臭そう。

「おいおい、どうする?」
「渡す順番が大切よ」
「両方ともこの全体を知らない。となると・・・」
「ん〜、やっぱり最初は彼女が花束をご両親に渡して、
 ふたりが驚いている間にえーじが彼女に花束を持って行けば?」
「なるほど、それがいい」

そしてディナータイム。
デザートをサーブする直前に彼女が、
ご両親それぞれに大きな花束を持って行くと、

「え! なにそれ?
 どうしたの? わたしたちに? ふたり分あるの?」

お母さんはもうびっくり。
お父さんは「やられた〜!」って感じ。

よし、今だ!

気付いていない彼女にそっと近づき、

「おめでと〜ございま〜っす!」
「わぁ! え〜? あ、ありがとうございます」
「僕からじゃないよ」

と言ってお父さんの方に目配せすると、

「まさか先にこっちがもらうとは思ってなかったよ」

彼女は勝ち誇ったように、

「えへへ、でしょ〜?」

こうしてダブルサプライズは大成功でした。

彼女たちが帰った後も、店の中は花の香りでいっぱい。

「すてきなバースデーだったね」
「ああ」

この仕事をしていると、こんな夜もあるのです。

えーじ
posted by ととら at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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