2021年03月10日

消えてゆくもの

消費形態の変化が街の構造まで変えつつある。
そういわれて久しくなりました。

これはマクロな話に限らず、
ととら亭があるような住宅地型商店街の店舗構成にも表れており、
かつてどこの街にもあった業種で消えつつあるものがあります。

たとえばレンタルビデオショップ、CDショップ、
書店、写真屋などなど。

今あげた業種への淘汰圧は言わずもがなインターネットによるものですが、
影響範囲はそこに紐づく裾野産業まで広がっているのですね。

先日、野方駅でともこと電車を待っていたとき、
ちょっとショッキングなことに気付きました。

「ねぇ、環七沿いに三脚の会社があったよね?」
「ああ、Velbonさんね、ほらあそこに看板のあるビルがそうだよ」
「え? どこ?」
「ほら、11時の方角に・・・あれ?」

ふと見てみれば、ビルの上にあったはずの看板がありません。

どうしたんだろう?

と思って帰ってから調べてみると、
なんと昨年の8月に三脚事業をハクバに譲渡していたじゃないですか。

僕は驚いたというより、
そうか〜・・・そうだよなぁ・・・
という寂しい気持ちで納得したのでした。

話を戻して考えてみるに、商店街から写真屋がなぜ消えたのか?

それはカメラが売れないから。

実際、コンパクトカメラ市場は急速にしぼみ、
カシオやオリンパスなどが事業を売却してしまいました。
一眼レフカメラの市場ですら、
王者のニコンが苦戦を強いられているくらいです。

となれば、当然それに紐づく3脚や交換レンズ、
フィルターなどの業種も厳しくなる。

なかでも3脚業界は悲惨でした。
カメラの衰退以前に手振れ補正技術の進歩が、
3脚を無用のものとし始めていたのですから。

カメラはスマホがはじめて。
という方には想像もつかないことかもしれませんが、
肘を伸ばして写真を撮るなどというフォームは、
15年ほど前までありえないことでした。

なぜか?

そんなことをしようものなら画像はブレブレで、
何が写っているのやら分かったものではありませんでしたから。

ところがスマホに限らず、
最近のレンズは殆ど光学的な手振れ補正機能を実装しています。
そしてその性能は驚くほど優れている。

実際、僕が使っている8年前に買ったコンパクトデジタルカメラでさえ、
暗い室内のみならず、夜景も手持ちできれいに撮れます。

そうなると三脚はどこで使われるのか?

思えば僕も仕事上で使うともことのツーショットか、
メニュー撮影くらいしか三脚を使わなくなってしまいました。

実はその三脚もVelbon製。
旅人の先輩であり、写真の師匠でもあったN氏から、
20年以上前に譲り受けたものです。

カメラがスマホにとって代わり、手振れ補正技術が進歩した結果、
かつてあって当たり前だったものがなくなる。

社会の変化の本質とはまさにそういうことなのですけど、
Velbonが最後は自撮り棒を作っていたという話を聞くに及ぶと、
なんともいえない静寂感がこみ上げてきました。

そう、SNSのアカウントもYoutubeのチャンネルも持たない、
僕のようなスタイルも、
今となっては旧態依然としたものなのかもしれませんね。

えーじ
posted by ととら at 17:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
これは私もビルの前を歩いて通った時に「事業譲渡のお知らせ」の紙が貼ってあったので知りました。

Velbon三脚ユーザーとして寂しかったです。
Posted by にじゅうにばん at 2021年03月11日 09:17
にじゅうにばんさま

いつもコメントありがとうございます!
実はVelbonさんだけではなく、
2016年に宮坂醸造本社が移転してしまった時も、
事業譲渡ではないにせよ、
栄枯盛衰の寂寞感が身に染みたものでした。
あそこも縁があって、一度おとずれたことがあったのですけどね。
本社跡地にはいま、マンションが建っています。
住んでいる人たちは知らないんだろうな・・・
Posted by えーじ at 2021年03月12日 00:30
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