2021年03月25日

The best Teacher

最高の教師とは誰か?

有名校の先生か?
はたまたお寺や教会の聖職者?

実はそうした縁遠い有名人ではなく、
すぐ身近なところにいらっしゃるんですよ。
僕はそれに気づきました。

あれはとある日のディナータイム。
若夫婦と60歳代のご両親の4人がご来店されまして。

皆さん、ゆっくり料理とお酒と会話を楽しみ、
そろそろデザートというときに僕が呼ばれ、

「今日はなにがあるんですか?」
「白ゴマのブランマンジェとエスプレッソプリン、
 それから赤ワインのケーキもございます」

皆さん、顔を見合わせて、

「何にしようか?」
「ん〜・・・悩ましいな」

ほどなく第一声はお母さんから。

「私は白ゴマのブランマンジェがいいわ」

続いてご主人が、

「僕もそれにしよう」

しかし、僕はここでお詫びをしなければなりませんでした。

「すみません、
 白ゴマのブランマンジェは最後のひとつなのですよ」

するとご主人がすぐ反応し、

「ああ、では僕はエスプレッソプリンにするよ」

ご主人は物静かな方ですが、
なにかにつけ、いつもこうして奥さまを気遣っていらっしゃいます。
僕は思わず、

「ご主人はやさしい方ですね」

と視線を奥さまに向けると、
彼女は「そうなんですよ」と言葉にはしないまでも、
その笑顔がすべてを物語っていました。
傍らのご主人も照れ笑い。

それを見ていた僕は一瞬で理解したのです。

これは人生の教室じゃないか。

親としてというより、人生の先輩として、
言葉ではなく、行動を通して、
この一瞬に、老夫婦は若夫婦の目の前で、多くのことを教えていた。

もちろん若夫婦がそれをどこまで理解していたかは分かりません。
しかし、たとえその晩は分からなかったとしても、
やがて二人は、その意味と重みに気付くことでしょう。

人が幸せになるために必要な知恵とは、教室や聖堂ではなく、
こうしたところから学べるのかもしれない。

僕はそんなことを考えながら、
春の日の夜に、4人の背中を見送ったのでした。

えーじ
posted by ととら at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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