「楽器はこのベースとキーボードの他に何かありますか?」
先日、引越しの見積りで業者さんに来てもらったときのこと。
料理関係の資料の他に、
楽器や音楽CDが散らばる僕の仕事部屋で、
荷物のチェックが始まりました。
「え〜っと、その本棚の後ろにギターが2本あります」
・・・?
ソフトケースからヘッドの一部が出ているだけなのに、
彼はなぜベースだと分かったんだろう?
「ギターは・・・エレキとアコギですか?」
「そうです。お詳しいですね?」
「ええ、以前バンドをやっていたんですよ」
なるほど、訊けばプロデビューを目指して、
横浜を中心に活動されていたそうで。
「担当は何だったのですか?」
「ヴォーカルです。
でも、僕の力不足で契約までいけませんでした」
「実は僕も横浜でバンドをやっていたのですよ」
「え! そうなんですか?」
こんな話でつい盛り上がってしまいました。
ととら亭でも、彼のような元バンドマンや、
役者、声優、ダンサーを目指していた人は珍しくありません。
また現役で下積みをしながらプロを目指している人も沢山います。
僕は彼、彼女たちの夢を追う、あの眼差しが大好きなんですよ。
たとえそれが過去のことであり、
今は別の仕事をしていたとしても、
自分の限界まで走り切った人の持つ心の輝きは、
いつまでも失われないものです。
僕もまたその一人として、
音楽や詩や小説に没頭していた時期がありました。
え? それでようやく堅気になったのか?
いや、夢を追う人っていうのは、
対象が変わっても、別の何かを追い始めるものです。
(諦めの悪さも自信がありますし・・・)
僕の今の夢は、遠くまで行くこと。
一生をかけてもこの星は旅しきれません。
だから、残された時間でどこまで行けるか?
ラップランドの空で踊るオーロラ、
コバルトグリーンの海に崩れ落ちるアイスランドの氷河、
轟音と水しぶきで世界を覆うビクトリアの滝、
静寂に包まれたナミブ砂漠の夜、
ボルネオの森で聞く虫や獣たちの歌声、
密林に囲まれたオルメカ文明の遺跡・・・
そんなことを夢見ながら、
僕は現実の旅を考えているのです。
えーじ
2021年10月19日
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