2022年01月22日

便利さの裏側に

電話というより実態は小型パソコンであるスマートフォン。
ネットワーク経由で操作できる冷蔵庫や洗濯機などの情報家電。
目に見えないおカネの電子マネー。
そして無人のコンビニに運転手のいない自動運転車。

ハイテク化というより複雑化して行く身近な道具を前に、
む〜・・・っと渋い顔をしているのは僕だけではないでしょう。

いや、前回お話したデジタルディバイドのことではありません。

「便利と不便、どっちがいい? もちろん便利ですよね!」
このフレーズをいちばん素直に受け取っていないのは、
逆説的にもこれを言っている(技術で食ってる)人たちなんじゃないかな?

かつてIT業界にいたころ、
「紙とペンで出来る仕事をなぜワープロでやらねばならんの?」
から始まった素朴な疑問は、
現場で転がり回るうちに、ほどなく確信へと変わり始めました。

え? コストのことを言っているのではありません。
まぁ、それも無関係ではないのですけど、
ひとりのSEとして感じていたのは、
トラブルシューティングのリスクだったのです。
(まさしく、これが仕事のほとんどだったので・・・)

たとえばですね、
僕がライダーで国内を旅していたころ、
オートバイの選定基準はカッコよさや価格と同じ重みを、
整備性に置いていました。
なぜなら「パンクした!」や「エンジンがかからない!」ときに、
自分で直すのが前提だったからです。

え? ビンボー旅行だからだろう?

違いますよ!
当時のサロベツ原野や椎葉林道の奥で「止まっちまった!」ら、
自分でどうにかするしかないのです。
携帯電話はないし、1時間待っても他の車はまず通りませんからね。

プラグはスパークしているか?
ガソリンはキャブレターまで来ているか?

路肩に座り込み、オイルで手を真っ黒にしながら、
あれこれ奮闘していたのを思い出します。

ところが!

いまのハイブリッドカーに乗っていてトラブったら、
もうロートルSEにはお手上げですよ。
シューティングしようにも構造が複雑すぎて分からない。
(というか、まずドアが開けられないかも!)

このマクロな例がみずほ銀行で続いている障害です。
以前もお話しましたが、システムが複雑になりすぎて、物理構成から論理関連性まで、
全体像が誰にも分からなくなってしまっているんですよ。
だから根本的にはシューティング出来ない。
これまでも、この先も。

そして僕がもうひとつ気がかりなのは、
こうした複雑系がすべて電気で動いているということ。

仕事でセキュリティを担当したことのある方ならご存知のとおり、
リスク分散はいまや基本の基です。
それがエネルギー事情では真逆に収斂している。

身近な例でいいますと、オール電化ハウス。
停電したらどうなると思います?
タワーマンションもそう。
自家発電装置がなければエレベータは動きませんし、
揚水ポンプが停まるので水道も(トイレも!)使えない。

もっと怖い話をしますと、今や企業で常識となっている電子錠。
ほら、IDカードでピっと開けるやつ。
あれも停電したとき、(もしくはサーバとの通信が途絶えた時)
どんな振舞いをするのか知っておいて損はないと思います。
なぜなら、地震だ!→ 停電した! → うわぁ、火事だ!
というシチュエーションはこの国で十分想定されるでしょう?

実は僕が勤務していた現場で、
停電から閉じ込められたことがありました。
あの時、火災が起こっていたら・・・
(実際は抜け道(バックドア)を知っていたので脱出しましたが)

システム(道具)は使い方以上に、壊れた時のことを考える。

これ、SEや飲食店経営だけではなく、
旅人には欠かせない認識なんですよ。

えーじ
posted by ととら at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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