電話というより実態は小型パソコンであるスマートフォン。
ネットワーク経由で操作できる冷蔵庫や洗濯機などの情報家電。
目に見えないおカネの電子マネー。
そして無人のコンビニに運転手のいない自動運転車。
ハイテク化というより複雑化して行く身近な道具を前に、
む〜・・・っと渋い顔をしているのは僕だけではないでしょう。
いや、前回お話したデジタルディバイドのことではありません。
「便利と不便、どっちがいい? もちろん便利ですよね!」
このフレーズをいちばん素直に受け取っていないのは、
逆説的にもこれを言っている(技術で食ってる)人たちなんじゃないかな?
かつてIT業界にいたころ、
「紙とペンで出来る仕事をなぜワープロでやらねばならんの?」
から始まった素朴な疑問は、
現場で転がり回るうちに、ほどなく確信へと変わり始めました。
え? コストのことを言っているのではありません。
まぁ、それも無関係ではないのですけど、
ひとりのSEとして感じていたのは、
トラブルシューティングのリスクだったのです。
(まさしく、これが仕事のほとんどだったので・・・)
たとえばですね、
僕がライダーで国内を旅していたころ、
オートバイの選定基準はカッコよさや価格と同じ重みを、
整備性に置いていました。
なぜなら「パンクした!」や「エンジンがかからない!」ときに、
自分で直すのが前提だったからです。
え? ビンボー旅行だからだろう?
違いますよ!
当時のサロベツ原野や椎葉林道の奥で「止まっちまった!」ら、
自分でどうにかするしかないのです。
携帯電話はないし、1時間待っても他の車はまず通りませんからね。
プラグはスパークしているか?
ガソリンはキャブレターまで来ているか?
路肩に座り込み、オイルで手を真っ黒にしながら、
あれこれ奮闘していたのを思い出します。
ところが!
いまのハイブリッドカーに乗っていてトラブったら、
もうロートルSEにはお手上げですよ。
シューティングしようにも構造が複雑すぎて分からない。
(というか、まずドアが開けられないかも!)
このマクロな例がみずほ銀行で続いている障害です。
以前もお話しましたが、システムが複雑になりすぎて、物理構成から論理関連性まで、
全体像が誰にも分からなくなってしまっているんですよ。
だから根本的にはシューティング出来ない。
これまでも、この先も。
そして僕がもうひとつ気がかりなのは、
こうした複雑系がすべて電気で動いているということ。
仕事でセキュリティを担当したことのある方ならご存知のとおり、
リスク分散はいまや基本の基です。
それがエネルギー事情では真逆に収斂している。
身近な例でいいますと、オール電化ハウス。
停電したらどうなると思います?
タワーマンションもそう。
自家発電装置がなければエレベータは動きませんし、
揚水ポンプが停まるので水道も(トイレも!)使えない。
もっと怖い話をしますと、今や企業で常識となっている電子錠。
ほら、IDカードでピっと開けるやつ。
あれも停電したとき、(もしくはサーバとの通信が途絶えた時)
どんな振舞いをするのか知っておいて損はないと思います。
なぜなら、地震だ!→ 停電した! → うわぁ、火事だ!
というシチュエーションはこの国で十分想定されるでしょう?
実は僕が勤務していた現場で、
停電から閉じ込められたことがありました。
あの時、火災が起こっていたら・・・
(実際は抜け道(バックドア)を知っていたので脱出しましたが)
システム(道具)は使い方以上に、壊れた時のことを考える。
これ、SEや飲食店経営だけではなく、
旅人には欠かせない認識なんですよ。
えーじ
2022年01月22日
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