入院歴7回目にして手術歴は今回で5回。
それもこの病院ではこの2年間で3度目ですから、
さすがに相手の出方は分かってきました。
しかしこれまでと違うのは、
当日の手術前に採血だけではなく、
MRIやレントゲン撮影がブッキングされていたこと。
これには治験に関係した理由がありまして、
僕と主治医のスケジュールを合わせた日にちが、
プログラム上の検査期日ぎりぎりだったのですよ。
詳しくいうと、前回の検査から60日後に次をやる場合、
59日後ではNGなのですが、
手術日がちょうど60日目に当たってしまったのです。
本来であれば暇な前日に検査を済ませ、
当日は手術に集中するのが一般的なんですけどね。
というわけで、
前日の24時から(正確には夕食が終わった19時から)固形物はなし、
朝6時からは水もなしというラマダン状態で、
僕は検査室をハシゴすることとなったのです。
病室に戻ったのは10時半ごろ。
ここで朝食代わりの点滴を受け、あとは手術室が空くのを待つのみ。
予定では11時半でしたがコールがあったのは12時ちょうど。
手術着に着替え、
看護師さんと一緒に歩いて手術室に向かうのはこれまでと同じ。
大繁盛病院のせいか、手前の清潔区域で説明を聞いているとき、
手術が終わった患者さんたちが次々と運び出されて行きます。
皆さん手際がいいですね。
5つある手術室の今回は5番。
以前は3番でしたが中に入ってみると違いは分かりませんでした。
50インチ級の壁掛けモニターに僕の情報が映されています。
手術台は幅が狭いのでちょっと窮屈。
でも暖かいエアブランケットで包まれるとすごく気持ちいいです。
今回の麻酔科医の先生は、
麻酔のオペレーションを逐一説明しながら進めてくれました。
「これは酸素なのでゆっくり吸っていてください。
次に眠くなる薬を点滴に混ぜますよ」
針が入っている左腕がすっと冷たくなるので、
薬が入り始めたのが分かります。
何秒で落ちるかな?
壁の時計を見ると時刻は12時20分。
僕はカウントを始めました。
1、2、3、4、5・・・なんともない。
6、7、8・・・お〜、視界がぐらっとしてたぞ。
9、10、11、1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「久保さ〜ん、終わったよ。きれいに治ってるね」
主治医の先生の声が聞こえてきました。
「ああ、どうも、ありがとうございます」
気分はたっぷり寝た日曜日の朝という感じ。
「すぐ終わりましたよ。15分かからなかったかな」
もう一度時計を見ると13時20分。
ちょうど1時間、記憶が飛んでいます。
ってことは、術前術後の処置で45分かかったのか。
僕は手術台からベッドに移され、そのまま病室まで帰って来ました。
意識はもうはっきり戻っています。
「2時間後に先生が来ますからね。
それまでに何かあったらナースコールしてください」
ひとりになって、僕はさっそくセルフチェックを開始。
手術した左足は・・・足首は回せる・・・腿の筋肉も・・・動かせる。
で、膝は・・・少しなら曲げられるな。
包帯が厚く巻かれているのでこれ以上は無理だ。
さいわい前回、前々回のような痛みはない。
僕はほっと息を吐き出し、
よ〜し、いい感じだ。
今回は内視鏡を入れて写真を撮るだけだったからな。
1時間ほど経ったのち、ベッドを20度まで起こし、
両腕を使って体を引き上げてみました。
うん、術後の鈍痛が始まってるけど、これは無視できる。
さて、ここで一番大事なチェックだ。
僕はそっと布団をどけました。
や〜っぱり。
パンツを脱がされてオムツを履かされてる。
最初にこれを見た時はグレゴール・ザムザだって真っ青だと思うよ。
やれやれ・・・でも股間の違和感がないぞ。
と思っていた矢先、看護師さんが入ってきました。
「久保さん、トイレ自分で行ける?」
「このいろんなチューブやコードを外してくれたらね」
「じゃ、18時には酸素が外れるから、それまでは尿瓶を使ってください」
お〜、今回は尿道カテーテルを突っ込まれてなかったのか!
ラッキー!
あいつを初対面の女性に抜かれるのは、3回目とはいえ勘弁して欲しいからな。
これは今回の嬉しいサプライズNo2でした。
18時には酸素マスクが外され、
体も60度まで起こせたのでだいぶ自由が利くようになった後は、
再びPCを使って仕事もOK。
ここからは水も飲めるようになりました。
そして病棟が静かになった22時。消灯時間に看護師さんが現れ、
「久保さん、着替えちゃう?」
「ぷり〜ず」
僕は一刻も早くこのビッグベイビー状態から脱出したかったのですよ。
分かるでしょ?
そこで下半身を指さしつつ、彼女に訊いてみました。
「ねぇ、君はこの経験ってある?」
「ん〜・・・ないです」
「こいつは結構ショックだぜ、特に初めての時はね」
「でしょうね〜」
こうして僕は看護師さんに手伝ってもらい、
ようやく「大人」に戻れたのです。
ふぅ〜・・・長い一日だったな。
今日はもうあれこれやらず、さっさと寝ちまおう。
まもなく点滴に入れた痛み止めと睡眠薬の効果で、
僕は本日2度目の気絶となったのでありました。
to be continued...
えーじ
2022年02月21日
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