2022年02月21日

入院日記パート5 その3

入院歴7回目にして手術歴は今回で5回。
それもこの病院ではこの2年間で3度目ですから、
さすがに相手の出方は分かってきました。

しかしこれまでと違うのは、
当日の手術前に採血だけではなく、
MRIやレントゲン撮影がブッキングされていたこと。

これには治験に関係した理由がありまして、
僕と主治医のスケジュールを合わせた日にちが、
プログラム上の検査期日ぎりぎりだったのですよ。

詳しくいうと、前回の検査から60日後に次をやる場合、
59日後ではNGなのですが、
手術日がちょうど60日目に当たってしまったのです。
本来であれば暇な前日に検査を済ませ、
当日は手術に集中するのが一般的なんですけどね。

というわけで、
前日の24時から(正確には夕食が終わった19時から)固形物はなし、
朝6時からは水もなしというラマダン状態で、
僕は検査室をハシゴすることとなったのです。

病室に戻ったのは10時半ごろ。
ここで朝食代わりの点滴を受け、あとは手術室が空くのを待つのみ。
予定では11時半でしたがコールがあったのは12時ちょうど。

手術着に着替え、
看護師さんと一緒に歩いて手術室に向かうのはこれまでと同じ。

大繁盛病院のせいか、手前の清潔区域で説明を聞いているとき、
手術が終わった患者さんたちが次々と運び出されて行きます。
皆さん手際がいいですね。
5つある手術室の今回は5番。
以前は3番でしたが中に入ってみると違いは分かりませんでした。
50インチ級の壁掛けモニターに僕の情報が映されています。

手術台は幅が狭いのでちょっと窮屈。
でも暖かいエアブランケットで包まれるとすごく気持ちいいです。
今回の麻酔科医の先生は、
麻酔のオペレーションを逐一説明しながら進めてくれました。

「これは酸素なのでゆっくり吸っていてください。
 次に眠くなる薬を点滴に混ぜますよ」

針が入っている左腕がすっと冷たくなるので、
薬が入り始めたのが分かります。

何秒で落ちるかな?

壁の時計を見ると時刻は12時20分。
僕はカウントを始めました。

1、2、3、4、5・・・なんともない。
6、7、8・・・お〜、視界がぐらっとしてたぞ。
9、10、11、1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「久保さ〜ん、終わったよ。きれいに治ってるね」

主治医の先生の声が聞こえてきました。

「ああ、どうも、ありがとうございます」

気分はたっぷり寝た日曜日の朝という感じ。

「すぐ終わりましたよ。15分かからなかったかな」

もう一度時計を見ると13時20分。
ちょうど1時間、記憶が飛んでいます。

ってことは、術前術後の処置で45分かかったのか。

僕は手術台からベッドに移され、そのまま病室まで帰って来ました。
意識はもうはっきり戻っています。

「2時間後に先生が来ますからね。
 それまでに何かあったらナースコールしてください」

ひとりになって、僕はさっそくセルフチェックを開始。

手術した左足は・・・足首は回せる・・・腿の筋肉も・・・動かせる。
で、膝は・・・少しなら曲げられるな。
包帯が厚く巻かれているのでこれ以上は無理だ。
さいわい前回、前々回のような痛みはない。

僕はほっと息を吐き出し、

よ〜し、いい感じだ。
今回は内視鏡を入れて写真を撮るだけだったからな。

1時間ほど経ったのち、ベッドを20度まで起こし、
両腕を使って体を引き上げてみました。

うん、術後の鈍痛が始まってるけど、これは無視できる。
さて、ここで一番大事なチェックだ。

僕はそっと布団をどけました。

や〜っぱり。
パンツを脱がされてオムツを履かされてる。
最初にこれを見た時はグレゴール・ザムザだって真っ青だと思うよ。
やれやれ・・・でも股間の違和感がないぞ。

と思っていた矢先、看護師さんが入ってきました。

「久保さん、トイレ自分で行ける?」
「このいろんなチューブやコードを外してくれたらね」
「じゃ、18時には酸素が外れるから、それまでは尿瓶を使ってください」

お〜、今回は尿道カテーテルを突っ込まれてなかったのか!
ラッキー!
あいつを初対面の女性に抜かれるのは、3回目とはいえ勘弁して欲しいからな。

これは今回の嬉しいサプライズNo2でした。

18時には酸素マスクが外され、
体も60度まで起こせたのでだいぶ自由が利くようになった後は、
再びPCを使って仕事もOK。
ここからは水も飲めるようになりました。
そして病棟が静かになった22時。消灯時間に看護師さんが現れ、

「久保さん、着替えちゃう?」
「ぷり〜ず」

僕は一刻も早くこのビッグベイビー状態から脱出したかったのですよ。
分かるでしょ?
そこで下半身を指さしつつ、彼女に訊いてみました。

「ねぇ、君はこの経験ってある?」
「ん〜・・・ないです」
「こいつは結構ショックだぜ、特に初めての時はね」
「でしょうね〜」

こうして僕は看護師さんに手伝ってもらい、
ようやく「大人」に戻れたのです。

ふぅ〜・・・長い一日だったな。
今日はもうあれこれやらず、さっさと寝ちまおう。

まもなく点滴に入れた痛み止めと睡眠薬の効果で、
僕は本日2度目の気絶となったのでありました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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