先日の入院初日に薬剤師さんと会ったとき。
僕の手持ちの薬を一瞥した彼女は、
「めまいがあるのですか?」
急に声のトーンが落ちて、僕の目をのぞき込みました。
「いや、3、4年前に2回続けて困ったことがあって、
それ以来、起こっていないのですが、
念のためにファーストエイドとして持ち歩いているんですよ。
いつ、どこでなるか分かりませんから」
「実は私もメニエールなんですよ」
「え? そうなんですか!」
「仕事中になっちゃったこともあって」
「それは大変でしたね。
僕は良性頭位性めまいだったみたいで、寝ていれば大丈夫でしたが、
メニエールだとそれでも回っちゃうでしょ?」
「ええ、もうひどかったですね・・・」
「きついよねぇ、あれは」
賢人なら痛みや身体的な不自由さを、
本を読むなり相手を見るだけで分かるのでしょうけど、
僕ら凡人は、自らの体験を持って学ぶしかありません。
でも、だからこそ病気やけがの痛みや、行動の制限、
失敗による挫折感などは、単純に悪いだけではなく、
他人へのやさしさとシンパシーを教えてくれる、
先生でもあるんですよね。
そういえば、先のめまい事件で病院にいたとき、
親身になって接してくれたのは経験者の看護師さんだったし、
あとでアドヴァイスをくれたのも同じ悩みを持つ旅人だったな。
自分の身をもって痛みを学び、他人の痛みを知る。
これって、もしかしたら、
学校のお勉強や仕事のスキルより、ずっと大切なことなのかもしれない。
たとえば、思いやりとか、やさしさ、
それから、人を好きになる気持ちみたいに。
えーじ
2022年03月09日
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