今回はまず、このフィクションから始めましょう。
とある日、僕のところへ一通の封書が届いたとします。
差出人は「葛飾区景観美化委員会」。
ん? 何だろ?
開けてみると、そこには一枚の紙が・・・
久保えーじ 殿
貴殿宅は葛飾区内における厳密公正な住宅景観審査の結果、
277,010戸中、残念ながら最低ランクのワースト1000戸に含まれました。
【理由】
1.デザインが悪い
2.拾得物が飾られ貧相
3.色調のセンスが悪い
【アドバイス】
プロのデザイナーに相談し、美観の向上にご協力願います。
なお詳細は当ウェブサイトにて写真入りで公開されております。
ご参考にどうぞ。
What's the hell?
すぐさま僕は封書にあった連絡先に電話をかけ、
「ありゃ何です?
ずいぶんとまぁ失敬じゃないですか。
すぐうちの部分を削除してください」
「それはできません」
「なぜです?」
「外観は公開情報のひとつです。
またこの目的は街を美化するという、
公共の利益に属するものですので削除には応じられません」
そしてまたとある日に、
今度は「柴又男前協会」なる組織から封書が届き、
開けてみれば・・・
久保えーじ 様
あなたは柴又4丁目在住の男性1500人のうち、
男前ランキングで下位150名に入りました。
【理由】
1.髪が薄い
2.O脚である
3.服のセンスが悪い
【アドバイス】
ファッション雑誌を研究し、エステに通いましょう。
F&%$k+n S.O.*!
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さて、これが僕ではなく、
あなたの名前だったとしたら、どう思います?
昨今、巷に溢れる「なんちゃらランキング」。
トップ10程度であればお慰みですが、
最下位まで決め、さらにそれを公表するとなると、
話は別になりません?
ましてやその企画そのものが、
事前に評価される側の了解を取り付けていなかった場合、
これはもう「公共の利益」云々という次元ではないと思います。
ちょいと前に群馬県の山本知事が都道府県魅力度ランキングについて、
調査手法に異議を唱えて一石を投じました。
僕は調査手法や法的処置の是非以前に、
自治体や企業、学校、病院から個人など、
複雑な要素の複合体を強引な数値化のもと、
定量評価すること自体に懐疑的なのですよ。
(そしてその結果の単純な拡大解釈にも)
簡単に言うと、そうした序列化行為に公益が期待できるのか?
社会にもたらす集団的感情は、ポジティブなものではなく、
陳腐な優越感と不公平感に満ちた劣等感しかないのではないか?
こうした企画に法的規制やガイドラインはありません。
しかし、明文化されたルール以前に、
僕らには思い出すべき約束があります。
それは幼稚園の庭で学んだ、
自分がされて嫌なことは相手にもしない、
ということ。
相手をまな板の上に乗せるのであれば、
まず自分が乗って、どんな気分を味わうか?
それを知ってから行動することが、
不和をまき散らさないという公益に繋がるのではないか?
僕はそんな風に考えているのです。
to be continued...
2022年09月06日
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