一般的に多国籍料理レストランの装飾といえば、
木彫りのお面や民族楽器でしょうか?
しかし、ととら亭でディスプレイされているのは、
何やら怪しげなものばかり。
そこでこんなご質問をしばしば頂きます。
たとえばこれ。

先日、5年ぶりに訪れたバリ島のウブドでゲットしたもの。
ムスリムの間では「ファティマの手」と呼ばれている魔除けです。
これを知ったのは2011年2月に取材旅行で行ったモロッコ。
マラケシュやカサブランカの、
混沌としたアンティーク(?)ショップを徘徊していて見つけ、
以来、ムスリムの多い国を訪れるたびに、
気に行ったデザインのものを買い求めていました。
そんなある日、
江古田のイスラエル料理店シュマイムさんに行ったおり、
壁一面にディスプレイされた大小さまざまなファティマの手を発見。
なぜムスリムの魔除けがユダヤ教徒の店にあるのかと訊けば、
彼らはこれをハムサと呼び、同じように護符として使っているとのこと。
合点のいかない僕の表情を読んだスタッフさんは続けて、
「これはユダヤとムスリムが仲違いする、
ずっと以前から中東にあった Superstition(迷信)なんですよ」
なるほど。
調べてみれば、
その起源はレバント地方で紀元前12世紀ごろに栄えた、
フェニキアの時代まで遡るそうな。
それを知ってから僕は、
旅先でシナゴーグ(ユダヤ教の寺院)を見つけると、
ハムサがないか探すようになりました。
そしてととら亭でファティマの手とハムサを並べてディスプレイし、
双方の平和を祈ることにしたのです。

買い求めた場所は上から、
トルコ イスタンブール
インドネシア バリ島
ポーランド クラクフ
フィンランド テュルク(パレスティナ難民のお店で)
ポーランド クラクフ
隣り合わせた民族が争うのは歴史の常ですが、
同様に、隣り合わせた民族ほど同じ文化をシェアしているものです。
ムスリムとユダヤ教徒のように。
そして、日本と韓国や中国のようにね。
えーじ