2024年10月13日

第24回取材旅行 その27

「これとそっくりのギョーザがあるのですよ」

あれは2017年の春のこと。
拙著「世界まるごとギョーザの旅」が出版されたことをきっかけに、
世界のギョーザに興味を持つ方が、
しばしばご来店されるようになりました。
その中のひとり、H氏からこんなお話が・・・

「渋谷のイタリアンで、メニューにはないのですけど、
 頼めば作ってくれるのですよ。
 名前はクルルジョネス。
 サルデーニャ島の料理だそうです」

クルルジョネス・・・そしてサルデーニャ島。

この変わった名前と未踏の島だけではなく、
「これとそっくり」と言われたギョーザとの関連が、
僕の中で強い興味を引き起こしました。
ととら亭でH氏が注文されたギョーザとは、
本の表紙を飾ったアゼルバイジャンのギューザ
しかも、数あるギョーザの中でも、
最も複雑な包み方をするものだったからです。

以来、僕の中でクルルジョネスとサルデーニャ島は、
特別な意味を持つようになったのでした。

ギューザの包み方は別名フレンチブレイドスタイルと呼ばれ、
プロの料理人ですら「さぁ、やってみろ」と言われても、
簡単にできるものではありません。
そんな複雑な包み方をするギョーザが、
なぜアゼルバイジャンと、
地理的に離れたイタリアのサルデーニャ島にあるのか?

昨日、18時にフランスのトゥーロン港を出発したフェリーは、
翌日の6時30分、
まだ暗いサルデーニャ島のポルト・トレス港に着眼しました。

toulonport_it.jpg
フランスのトゥーロン港

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未明のポルト・トレス港

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朝日が昇るポルト・トレスのバスターミナル

そこからローカルバスで20分。
僕らはいま、サルデーニャ島の第2の都市、
サッサリに滞在しています。
「都市」といっても静かな島のローカルタウン。
これまでいたニースやジェノバと違い、
観光客の姿はほとんど目にしません。

sassaristation_it.jpg
サッサリ駅前

ここでさっそく出かけたのはこんなレストラン。

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雰囲気のいいお洒落な店内

イタリアは食事の時間が遅く、ランチは13時くらいから始まります。
このレストランは珍しく12時30分からやっており、
開店と同時に僕らが入ったときは空いていましたが、
13時も過ぎるとローカルたちでほぼ満席に。
ほとんどが常連さんなのか、
皆さんホールの人と親しげに言葉を交わしています。

僕たちがオーダーしたのは、まずエンパナーダ。
スペインでポピュラーなこの料理は、南米諸国でよく食べましたが、
ここイタリアではどんなバージョンになっているか?

empanada_it.jpg

ふ〜む、なるほど。
細かく叩いた肉をさくさくの小麦粉の生地で包んだところは、
スペインバージョンをほぼ忠実に踏襲した感じ。
熱々でおいしい。

そしてクルルジョネス!
これを食べにはるばるやってきたのです。
ん〜・・・ちょっと感動。
で、おずおずと食べる前にひっくり返してみれば、

culurgiones_it.jpg

お〜、ほんとにギューザとそっくり!
フレンチブレイドスタイルで包まれているではないですか。
中身はポテトとリコッタチーズ。
皮は厚めで、もちもちつるんとしており、
噛みしめるとニョッキのような、もったりした食感に変わります。
これが万能的なトマトとバジル、ペコリーノチーズのソースと相まって、
あぁ〜、ここまで来て良かった、と頷く味に。

帰りがけにスーパーマーケットに寄り、
冷凍食品の棚を覗いてみたら、
生のクルルジョネスがたくさん売っていました。
ここサルデーニャ島ではポピュラーな料理なのですね。
これは場所を変えて、別ソースバージョンも試してみなくては。

to be continued...

えーじ

sassarirestaurant03_it.jpg
posted by ととら at 06:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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