2024年10月17日

第24回取材旅行 その28

何が間違っていて、何が正しいのか?

単純な二元論が不幸のもとだとわかっていても、
この判断を迫られることが旅先では珍しくありません。

しかも、その問いの答えがわかった瞬間に、
もう後戻りはできなくなっている。
そしてその結果は、
原因がどこの誰にあろうとも、自分で引き受けるしかない。
バックパッカーの旅とは、そういうものなのですよ。

サルデーニャ島のサッサリからカリアリへ鉄道で向かおうとした、
まさにその朝、僕はトレニタリアから来た一通のメールに気付きました。
タイトルはInformazioni importanti.
本文の出だしが

ti informiamo che, per sciopero,
il treno Regionale 87559 è cancellato parzialmente da SASSARI a ORISTANO.

和訳するまでもなく、cancellato の単語を見たとたん、
頭の片隅から、またしても Mission Impossible のテーマが聞こえてきたのです。
そこでひと気のない駅のチケット窓口へ急ぎ、

「カリアリまでのチケットを持っているのですが」
「もうしわけございませんが、ストライキで電車は止まっています」

やってくれたな・・・
時計は8時15分。

「何時になったら動きます?」
「次のカリアリ行きは14時発ですが・・・動くかどうかはわかりません」
「代替手段はありますか?」
「バスで行くしかないでしょう」

ぐら〜っつぇ。

「どうだった?」
「プランBを探そう。まずバスターミナルへ戻るんだ」

僕らはほんの10分前にチェックアウトしたホテルの前を通り過ぎ、
フェリーターミナルから到着したバスターミナルへ戻りました。
そこでチケット窓口へ行くと・・・

「閉まってる」
「日曜日だからかな?」
「隣のカフェだけじゃなく、トイレまで全部鍵がかかってる。
 なんてこった!」

sassaribusterminal_it.jpg
すべてが閉まっていたサッサリのバスターミナル

僕はスマホをネットに繋ぎ、プランBを探し始めました。
そこへ現れた被害者第2号はローカルの母と20歳くらいのお嬢さん。
何やらともこが話していると思ったら、

「えーじ! 彼女は英語が話せるよ」
「ボンジョルノ。どちらまで?」
「カリアリまでは行きませんが、同じ電車に乗る予定でした」
「どうやったら移動できると思います?」

彼女はスマホで検索を始め、

「そうですね・・・鉄道はまったく動いていないので・・・
 このバス停から10時15分発のバスでオールロまで行き、
 そこで14時20分発のカリアリ行きに乗り換える・・・
 それで行けると思います」

午前中に着く予定だったけど、
うまくいっても最短で現地到着時刻は17時ごろ・・・か。
仕方ない。オプションなしだ。

「どうもありがとうございます」
「では、途中まで一緒に行きましょう」

orulo_it.jpg
プランCを探しに行った、人っ子一人いないオールロ駅
営業しているとは思えない閑散としたムード

こうしてリカバリーを始め、
僕らはなんとかサルデーニャ島での取材を終わらせて、
次のシチリア島へ。
そしてここからマルタ島へ渡るフェリーを探すと、
あいにく都合のいい日程で出港する便がありません。

「やれやれ、またプランBか」

で、急遽、飛行機を手配し、いま滞在しているカターニアから、
明日の未明にフォンタナロッサ国際空港へ行くことになったのですが、

「始発の列車で行けば何とか間に合うな」
「バスは?」
「ん〜・・・空港シャトルバスも・・・同じだ。
 始発なら間に合う。でも2本目じゃビミョーだよ」

そこでGoogleMapで経路を確認すると、
小さな警告マークがついているじゃないですか。
そしてその詳細に書いてあったコメントは、

Strike
""From 00:00 to 23:59 on Friday 18 October
 a national strike of Local Public Transport has been called,
 which Trentino Trasporti staff will also join. "

マジ? 5日前の日曜日に続いて、またストライキをやるんだって?

「鉄道はダメだ。バスで行こう」
「間に合う?」

フライトは7時30分発。
ということはチェックインが2時間前の5時20分。

「ん〜・・・
 4時台の国鉄バスは、同じトレニタリア経営だから動かないだろう。
 そうすると空港リムジンバスの始発が5時5分発、
 別の場所から出る別のバスが4時57分発、
 バス停双方の距離は・・・ざっと450メートル・・・か」
「それなら間に合うね」
「ああ、そのプランAが成功すればね。
 問題はプランBがないってことさ。
 もし4時57分のバスがNGだった場合、
 5時5分発のバスに切り替えようとしても、
 判断に3分待つとして、残りがたった5分じゃ、
 フル装備の状態で450mを移動するのは無理だよ」
「2本目を待つのは?」
「チェックインに間に合わないかもしれない」
「どうしよ?」
「とりあえず駅に行って、明日ストをやるかどうか聞いてみよう」

kataniastation_it.jpg
シチリア島のカターニア駅

そしてホームで見かけた女性職員2名を捕まえ、

「明日の早朝に空港へ行かなければならないのですが、
 ストライキはありますか?」
 
と聞けば、一瞬面食らった表情から笑顔を浮かべ、

「え? スト? 明日はありませんよ!」

ふぅ〜ん・・・そう来たか。
彼女たちの言うことを信じて駅まで来たにもかかわらず、
電車が動いていなかったら、始発のバスにも間に合わない。
2本あるバスに賭けても、
それがストの影響や、何らかのトラブルで運休された場合、
切り替えるべきプランBがない。

む〜・・・

僕たちの旅って、いつもこんな調子なのですよ。
あなたならどうします?

to be continued...

えーじ

cagrialibusterminal_it.jpg
ようやくたどり着いたカリアリバスターミナルで
posted by ととら at 23:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
災難続きですね。
ここは割り切ってuber をおすすめしたいところ。
アプリ入れて、出発と到着地を入れて、どのくらいの値段で行ってくれるのかを判断。朝早いことだしあまり選択肢はなさそうですね。幸運を祈ります!
Posted by ニシモト夫 at 2024年10月18日 16:28
ニシモトさま

コメントとアドバイスありがとうございます!
字数の関係で割愛していましたが、実は配車サービスも検討していたのですよ。
しかし、これがまた僕らが行くような街では頼りなくて・・・
大きな都市で日中から夜の早い時間にかけてならまぁ使えることもありますが、
地方では配車予約ができないばかりか、
日中でさえ呼ぼうにも近くに誰もいない!
彼らはたいてい駅か空港の近くに集まっており、
離れたホテル側に呼ぼうとすると無視してきたりします。

で、いまマルタまできているのですが、
(スリーマに滞在しています。懐かしいでしょ?)
ここではさらにビッグプロブレムが! それも複数同時に!!
詳しくは次のブログで。
Posted by トホホなえーじ at 2024年10月19日 18:28
こんにちは、連投失礼します。
マゾヒスチックな旅行記、楽しみにしてます。
バレッタ、素敵な街なのでしっかり堪能くださいね!!
ウチの人が「アリオッタスープ」と言ってますので是非ともレシピを確保いただき、お店での提供をよろしくです。
時間取れるようでしたら、バスでマルサシュロックもオススメ。タコも美味しいですよー。多分、セントジュリアンはお二人のツボとは違うと思います(少なくともウチにはツボらなかった)。
Posted by ニシモト夫 at 2024年10月20日 09:20
ニシモトさま

マルタは仰るとおり魅力的なところですね。
料理もアリオッタ以外にブラジリオやフィッシュケーキなど、
おいしいものがたくさんありました。
また、ワインやビールもイケますね。
残念ながらマルサシュロックまでは足を延ばせませんでしたが、
次はコゾ島など、離れた場所を中心に掘り下げるのもどうだろう?
と、真剣に思っています。

さて、明日、というか、6時間後には無事、
マルタ空港まで行けるかどうかが分かります。
(今回のプランBは気が乗らなくてねぇ・・・)

まずはひとつコマを進めてみよう。
次を考えるのはそれからだ!
Posted by えーじ at 2024年10月21日 05:17
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