2025年11月29日

第27回取材旅行 その23

日本を出発して67日目。旅の折り返しとなりました。

そこで偶然か、寝しなに読んでいた本もちょうど昨日の夜で読了。
タイトルはジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード」です。
今回はこの他、J・D・サリンジャーやパウロ・コエーリョなど、
青春時代に読んでいた本を読み返しているのですよ。
40年も経つと感じ方がだいぶ変わりますからね。

なかでも「オン・ザ・ロード」は僕のような古い旅人にとって、
バイブルのような存在。
バックパッカーはおろかヒッピーという言葉すらまだ生まれていなかった、
1950年代後半に書かれた本です。(僕もまた生まれてない)
もはや古典の域に入った作品なのですが、
半世紀以上を経てなお古びていないのは、
そのスピリッツが普遍的なものだからでしょうか。

初めてこの本を読んだ頃に比べると、スローラーナーな僕ですら、
ずいぶん後先のことを考えるようになりました。
しかし、50歳も過ぎて鏡に映っていたのは、
後先しか考えていない自分だったのですよ。
そう、そこには肝心の「今」がない。

これは大変ショックでした。
なぜなら若造のころの僕の定番フレーズは、

「人生はマラソンじゃねぇ。100メートルダッシュだ!」

だったのですから。
つまり、明日があるのを前提にちんたら生きるのではなく、
日々全力で駆け抜ける。
これを繰り返してある日、完全に燃え尽きて死ぬのさ。
こんなことを本気で言っていたのですよ。

ところが分別がつき始めると同時に、
明日を気に病み、昨日を悔やみ、
考え込んでいることがやたらと増えてしまいました。
いちばん大切な目の前のことにフォーカスできずにね。

しかし、旅に出たときは、あの頃に戻ることができるのです。
ととら亭にいると常にタスクリストが頭の中にあり、
これをやったらあれ、あれを片付けたらそれ、それを仕上げたら・・・
という無限ループにはまっていますからね。
ところが、こうして旅先にいたら、柴又での仕事はやりたくてもできません。
それが幸いして、かつてのように「今、ここ」に集中できる。

「オン・ザ・ロード」の登場人物たちはそれぞれ非常に個性的ですが、
(何といっても主人公サル・パラダイスのモデルがケルアック本人ですし、
他はギンスバーグやバロウズですからねぇ・・・)
共通しているのは「今しか生きられない」という愚直な不器用さ。
ディーンなんて若かりし頃の僕そっくりじゃないですか。
ほんと、読んでいて40年くらい過去に戻ったような気がしました。

さて、ベッドタイムストーリーだけではなく、
現実もまた原点に戻ろうとしています。
明日は午前中にエレバンを出発し、未経験の世界へ踏み出します。
事前にかなり調べたつもりですが、最後は行ってみなければわかりません。
そこでもしかしたら、2週間くらい音信不通になるかも・・・
しかし、心配しないでくださいね。
出たところ勝負は僕らの十八番。
電気仕掛けがなかったころの原点に戻り、どうにか切り抜けますから。

to be continued...

えーじ

indreamland_am.jpg
廃墟になった子供鉄道の駅で
posted by ととら at 05:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
「2週間音信不通になるかもしれない」というメッセージをきちんと伝えて下さり、ありがとうございます。毎回ブログや旅のお話を楽しみにしている身としては、えーじさんの思いやりを感じます。
このブログを読みながら、今の私も「今を大切に」と意識したいと思いつつ、この先のことを案じることが多いと気づきました。旅先からのメッセージは、私の日常にとても良い影響や活力を感じさせてくれます。また次のブログが更新されることを心待ちにしています。
Posted by あかみそ at 2025年12月01日 00:15
あかみそさま

いつも温かい応援ありがとうございます!
僕らはプランAで進んでいるものの、予想どおりインターネット環境は問題が多発し、
ブログのアップデートができない状況です。
(このレスもちょいと捻ってやっておりまして)
今どこで何をしているかは通信が回復次第お話しますので、少々お待ち下さい。

とにかく旅人一年生に戻ったつもりで頑張ってます。
そしてルーキーというからには、学べることも盛りだくさん。
一歩街に出れば、いや、ホテルの部屋のドアを開けただけで、
こ、こりゃどうしたこっちゃ? が始まりますからね。
実のところ、先日からの半月間が、この旅の最大の難所なのですよ。
正直、こういうのはとことん草臥れますが、
同時に僕たちらしい旅をしてるな、という実感もあります。
心配なのは、ここまでいろいろあると、何からどう伝えたものやら・・・
という悩みの方かな?
今いえるのは、苦労してここまで来て良かった!ということ。
それではまたカオスの街中へ行ってきますね!
Posted by えーじ at 2025年12月03日 20:44
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