僕らは今、イランの首都テヘランに滞在しています。
ユーラシア大陸を横断するにあたり、
コーカサス地方からどういうルートで東へ向かうか?
カスピ海を前にして選択肢は3つ。
陸路は北へ進むロシアルートと南へ進むイランルート。
あとは空路で中央アジアへジャンプ。
そこでいかにリスクを回避しながら取材を行うか、ぎりぎりまで検討した結果、
つい先日、外務省が危険レベルを下げたイランルートに決定しました。
ところがこのルート、情報が少ない上に、その内容の確度もビミョーでして。
国境で門前払いの最悪シナリオもカードに入れつつ、
まずエレバンでタブリーズ行きのバスチケットを手配したのです。
越えるのはアルメニア南部と接するノルドゥズ国境。
イランと言えばサウジアラビアと双璧をなすガチなイスラム国家です。
強権政治の有無を言わさぬ統治の噂は以前からかなり耳にしています。
そこで陸路でも15日以内の滞在期間ならVISAなしで入国できるか、
在日イラン大使館に照会し、タブリーズのホテルの予約書を用意、
事前に入手が困難なイランレアルもゲットし、
さらにともこはドレスコード対応用スカーフを購入。
通信は検閲回避に使うVPNを実装し、
スマホにはイラン用のe-SIMをインストール。
イミグレでの想定問答も暗記して、いざ国境へ!
で、夜のノルドゥズで待っていたのは、
強面のインスペクターによる、ともこの服装のダメ出し、執拗な質問攻め、
厳密な荷物のチェック・・・
ではありませんでした。
まず、アルメニアの出国。
入国の時と同じシナリオで吹きさらしの戸外ブースに並ぶと、
インスペクターは笑顔で「トモコ?」と聞いただけ。
そして次はにっこり笑って「バイバイ!」
あ、そうね、バイバイ・・・ね。
やや拍子抜けした僕らは暗い橋を500メートルほどとぼとぼ渡り、
とりあえず明かりのついている小さなブースへ。
なかにはうら若い女性のインスペクターがひとりだけ。
ここからは完全にアドリブです。
「サラーム、パスポートコントロールですか?」
彼女はにっこり笑みを浮かべ、
「ここはご婦人だけですよ」
ともこがパスポートを出し、
「スカーフを巻いてくださいね」
「あっ、ちょっと待ってください!」
彼女が慌てて新品のスカーフを巻くと、
「うん、キュートよ!」
これだけで次へ。どうやら女性のドレスコードチェックだけのよう。
なんだか校門前の風紀の先生みたいですね。
で、大型トレーラーが雑然と並ぶ埃っぽい工事現場のようなところを抜け、
きょろきょろしながら先へ進むと、トラックの間から現れた軍服の男性が、
「あっちだよ」と前方左側の建物を指差しています。
なるほど中はパスポートコントロールでした。
さぁ、いよいよ本番だ! と気合を入れてブースへ。
ともこはシナリオどおりパスポートを提示し、にっこり笑って「サラーム!」。
さぁ、インスペクターはどう出るか?
30歳くらいの人の良さそうな男性インスペクターは、
「あ、はいはい、サラーム・・・で、日本人ね、えっと・・・ビザは・・・」
ここで僕が入り、
「滞在日数は15日以内なので、日本人はビザなしでいいですよね?」
「あ、そうそう、そうでした」
あとは写真を撮り、入国スタンプを握って、
「押す?」
ともこが僕を振り返り、目線で「どうするんだっけ?」
僕が勘違いして「いいよ」サインを送ったら、
驚いたインスペクターが「え? 押しちゃっていいの?」と再確認。
「え、あ、いや、スタンプは押さないで下さい!」
そう、イランの入国スタンプがあると、イスラエルはともかくとして、
EUを含む一部の欧米諸国に入国できなくなる恐れがあるんですよ。
インスペクターは気を使ってくれたわけですね。(いい人でした)
次の荷物検査もバックパックをX線検査装置に入れましたが、
税関職員は画面を見ておらず、同僚と何やら楽しそうに談笑中。
こんな調子で両国の出入国でかかった時間はほんの30分ほど。
僕らはあっけなくアルメニアを抜けてイランに入国したのでありました。
実はこのノリ、国際バスチケットを買ったイラン人経営の旅行代理店や、
(ここで50ユーロ分のイランリアルをゲットしたのですよ)
ほぼイラン人が乗客の国際バスの中でも感じていましたが、
メディアが伝えるイラン人の印象とは裏腹に、
彼、彼女たちはとてもフレンドリーなのですよ。
それも民間人だけではなく、制服組も含めてね。
想定どおりだったのはインターネットとATM、
クレカのような電気技がほとんど使えないこと。
決済は完全にキャッシュのみ。しかもこれが実にわかり難い。
為替が銀行系と実勢系の2種類あり、双方は4倍以上の差があります。
変動も激しく、朝と夕方で10パーセント以上も上下するのは当たり前。
さらに通貨単位が貨幣で使われるリアルと口頭で使われる一桁少ないトマンがあり、
紙幣の桁数は最低でも10,000リアル。
コーヒー1杯が1,250,000リアルというハイパーインフレーション状態です。
100米ドルを両替するとこうなります 人生ゲームのお金を思い出しました
ダメ押しの表示がアラビア文字。
(僕らはとりあえず1から10までは覚えました)
おカネのやり取りは本当に疲れます。
そして懸案のインターネット。
中国同様の厳しい検閲があると聞いていましたが、
タブリーズ滞在中はGoogle、Whatupのみならず、LINEですら使えるじゃないですか。
ところがテヘランに移動したらトラフィックがひどいだけではなく、
(道路のトラフィックもほぼカオス)
かなめのVPNがブロックされているは、ブログや一部のサイトが表示できないはの、
さまざまな問題が続発し始めたのです。
こりゃ当分ブログのアップデートはできないな・・・
と半場投げ出しかけましたが、ご存じ僕は「諦めの悪い男」。
いろいろ試した結果、バックドアを発見。キーはe-SIMのチェックの甘さです。
スマホのWi-Fiを切ってe-SIM経由でVPN接続を確立し、PCとUSBテザリングで接続。
この方法を使い、そこかしこに仕掛けられたブロックを回避できました。
ま、スピードは落ちますから写真をいくつもアップするのは無理ですけどね。
さて、イランは僕たちも初めてです。
入国してまだほんの4日間ですが、実にいろいろなサプライズと出会いがありました。
どこからお話すればいいものやら・・・それが目下の悩みです。
to be continued...
えーじ
この旅も折り返しましたが元気です!
(グレー柄のスカーフはエレバンで約1,200円でゲット)
当方、16-17年ほど前に業務渡航で、その時のパスポートにしっかりとスタンプ押されてます(が、USがめんどくさいこと言う前だったのでUS渡航にも支障ないですよ。もうパスポートも切り替わったし)。それにしてもすごい札束だw。クレジットカード使えないんですよね。死蔵イランリアルはもはや記念に取っておきますw。
街を歩く人はポーランド並みに美麗で親切だったイメージあります。なまじ欧米諸国のプロパガンダすごいので、さぞかし怖い国と思い込まされてるけど、全くそんなことなくて、きっと楽しいは
ず。お二人は満喫されること請け合いですー。
ついついエキサイトしてしまいました。いよいよ折り返しですが、気温も下がりつつあります。くれぐれもご自愛ください。
スゴ〜い! アップした途端にレスを入れてくれましたね。
さすが、行ったことのある人は違うなぁ。
たぶんイラン人の気質は西本さんが訪れた頃と変わってないでしょう。
ここは日本における欧米バイアスの濃さを意識し、
回をあらためて、また触れねばと思っています。
それから決済の厄介さも同じですよ。
さいわいTAP Persiaというサイトで鉄道やホテルの予約ができただけではなく、
決済もクレカが使えましたから(これもいわゆるバックドア?)、
取りあえず両替は50ユーロと100米ドルのみ。
物価がめちゃ安なので、たぶんこれ以上は必要ないかも?
問題は出国までにどう使い切るか・・・ですよね。
とにかくいろいろ勉強になっています。
ほんと、他に例のないディープな文化ですね。
帰国したらこの辺の意見交換をしましょう!