何時だ? 暗くて見えない。
スマホはどこだ?・・・あ、あった・・・まだ3時前か・・・
うぅ・・・それにしても寒いな。
ん? なんで真っ暗なんだ? ベッドランプを点けておいたのに・・・
あれ? エアコンがオフになってる!
ったく・・どおりで寒いわけだ。 リモコンは? あった。
あれ? 電源が入らないぞ。 なぜだ?
え? ま、まさか・・・
停電してる!?
僕は寝ぼけた頭で、
2016年にサマルカンドを訪れたときのことを思い出していました。
ウズベキスタンは電力事情が不安定で、当時も電灯は照度がふわふわ、
扇風機は止まりそうになってはまた息を吹き返し、
ネットは落ちて通信できず、そんなことがしばしばあったのです。
高速列車でブハラからサマルカンドまで2時間
なんてこった、あの頃からまったく変わってないのか?
そういえばブハラ駅でも2回停電してトイレも入れなくなったっけ。
(入り口の保安検査でX線装置の中から荷物が出てこなくなり、
困っていたお客さんもいました)
ま、そのうち復旧するだろう。
そうして僕はまた眠りに落ちました。
ところが・・・
「う〜・・・寒いね・・・」
「起きた? いま何時?」
「8時」
「まじか!」
「どしたの?」
「どうもこうも未明から停電してるんだよ」
「え〜っ! あ、エアコン止まっちゃってる! だから寒いんだ」
僕らが泊まっているのはペントハウス風の屋上の部屋。
ホテルと言ってもドアを開ければ3階の屋上なのです。
カーテンを開けると氷雨が降っていました。
室内の気温は外とほぼ同じ、2度くらい。
僕らはベッドを出るに出られず、どうしたものかと考え込んでしまいました。
そこへドアをノックする音が。
「遅くなって申し訳ない、食事はまだでしたよね?」
外にいたのはオーナーと思しき50歳代の男性。
「ええ。それはそうと停電してますね」
「ああ、サマルカンドは電力事情が悪いんだ」と渋い顔。
「で、どうだった? うちのアパートメントは?」
「部屋はきれいでとてもいいですよ。
しかしエアコンが使えず寒くて寒くて・・・母屋の部屋に移れませんか?」
母屋はどうしたわけか、停電してもほんわか暖かいのです。
「もちろんだよ、ちょっと待ってて」
僕らがサマルカンドで投宿しているホテル
こうして僕らは難を逃れたわけですが、それで安心するわけにはいきません。
今日中にインドのe-VISAを申請しなければならないのです。
しかし停電でインターネットは落ちたまま。
2016年に来たときは真夏でしたが今回はえらく寒いです
まいったな・・・
外の氷雨が雪に変わりました。気温は朝よりも下がってマイナス1度。
仕事はできず、かといって外にも出れず。
「あ、点いた!」
僕らが顔を見合わせていると突然照明が点きました。
「停電おわって良かったね!」
「いや、復旧してないよ」
外からはモーターの音がしはじめたのです。
「発電機を回したんだ」
「でも電気が使えるようになって良かったね」
「ネットが繋がるか試してみるよ。
広域停電だと中継機器が落ちているから、
Wi-Fiが使えても意味ないんだけどさ」
ダメもとPCを立ち上げると、
「うん、アクセスポイントはあがってる。しかし・・・
お、繋がった!」
「え? ネットが使えるの?」
「ああ、有線ではなく携帯網を使ってるのか?
いつまたダメになるかわからないから、
今のうちにVISAの申請をやっちまおう!」
こうしてまず僕の分の申請を行い、次はともこの番。
ところがアカウントを作ったあたりで・・・
「おわっ!」
「ああ! また停電しちゃった!」
さっきまで聞こえていた発電機の音が沈黙しています。
そこでフロントに行ってみると、スタッフがなにやら奮闘中。
スターターワイヤーを何度も引いていますが、発電機は一向に動こうとしません。
あ〜、すんごくイヤな予感がする。
案の定、それから1時間以上たっても部屋は薄暗いまま。
どうやら完全に壊れてしまったようです。
雪は降り方がにわかに激しくなりました。
9年ぶりのレギスタン広場 前日のうちに行っておいて良かった
「ついてないけど、寒くてベッドから出られなかった昨晩よりましね」
「ああ、とりあえず暖かい部屋に移れたし。
これはたぶん床暖房だな。だから停電しても影響を受けないんだ」
こんな風に、僕らの旅では自分の力でどうにもならなくなることがあります。
そんなときは・・・
しかたない、昼寝でもするか?
こうして本を読みながらベッドでうとうと。
昨夜は寒さで何度も起こされましたからね。
そして起きたのが17時ごろ。
「ありゃ〜、もうすぐ日が沈むぞ」
「停電、直らないね」
「真っ暗になる前に、どうするか聞いてくるよ」
フロントに降りると、スタッフたちは工具を手に何やら作業中。
忙しいときに手を止めるのも悪いので僕はそのまま引き返しました。
そうして待つこと30分。
「あ、点いた!」
ホテルの入り口前には真新しい発電機が音を立てて動いています。
たぶん急遽新品を購入したか、どこからか借りてきたのでしょう。
頼みの綱の新しい発電機 これでエアコン以外の電力をまかないました
「チャンスだ、今のうちに申請をやっちまおう!」
こうして何とか仕事は終わったものの、
例によってハッピーエンドにならないのはお約束。
いま時計は日付が変わって24時29分。
かれこれ停電になって20時間以上が経ちますが、
外からは発電機の音が重く響いています。
広域停電に降雪か。
僕らは明日の朝、次の国に向かって陸路で移動なんですよ。
やれやれ、どうなることやら。
to be continued...
えーじ
出発の雪の朝 滞在中いろいろとお世話になったスタッフと
英語は苦手でしたが先が楽しみなナイスガイでした
(ちなみにまだ停電は復旧していません 24時間超え とほほ・・・)