2025年12月23日

第27回取材旅行 その30

Ассалому алайкум!(アッサラーム・アライクム(こんにちは)
日本を出発して90日、僕らはこの旅16番目の渡航国、
タジキスタンのドゥシャンベに滞在しています。

busterminal_tj.jpg
暮れなずむ郊外のバスターミナル

天気は雪。最高気温は2度、最低はマイナス1度。
標高740メートルと、昨日までいたサマルカンドと気候はほぼ同じ。
さいわい停電はしていません。(むこうはどうなりましたかね?)

iembassy_tj.jpg
ホテルの部屋から見た今朝の光景 粉雪が舞い、見るからに寒そう
左に見えるのは、なぜか中華風の塔があるインド大使館

奇しくも先日、中央アジア諸国の代表が東京に集まっていましたが、
いずれも日本ではあまり知られていませんよね?
僕らも実のところトルクメニスタンとタジキスタンは初めてなので、
少々緊張しての国境越えとなりました。

tajborder_tj.jpg
タジキスタン側の国境 ゲート前に集まっているのは
ほとんどがタクシーの客引きと闇両替屋

と申しますのも、先日訪れたトルクメニスタンほどではありませんが、
タジキスタンもまた内戦や長期独裁政権で、
いろいろ物騒な話が耳に入っていたからです。
しかし楽だったのは、30日以内であれば、日本人はVISA免除で入国できること。
そこで取りあえず国境に行ってみると、警備の物々しさも人々の緊張感もなく、
インスペクターだってフレンドリーじゃないですか。
空いていたこともあって、ウズベキスタンの出国からタジキスタンの入国まで、
20分ほどで終わってしまいました。
しかも税関は完全スルー、両替は建物内の銀行窓口で完了。
(正規レートのぼったくりなし)

ちょっとしたオチは国境を出たところにあった公衆有料トイレです。

hellstoilet_tj.jpg

ダルバザとは違いますが、これも一種の「地獄の門」でしょう。
いや、底を覗き込んでみたら、ダルバザ以上の恐ろしさが・・・
ここで転んだら一生カウンセリングを受けることになりますからね。

ジャルテパ国境からドゥシャンベまでは乗り合いタクシーで移動します。
一般的にはセダンに4人の乗客を乗せ、席が埋まったら出発。
そこで僕らが当たったのはこれです。

sheredtaxi_tj.jpg

この普通車に4人ならぬドライバーを除いて6人がムギュっと詰め込まれ、
250キロメートルの山道を5時間かけての冒険旅行。
英語の話者は一人もおらず、
僕の怪しいロシア語+タジク語と「ともこ語」でビミョーな「会話」を楽しみました。
はらしょ〜。

landscape01_tj.jpg
峻厳な雪山に囲まれた道路を疾走しました
窓にフィルムが張られていたので写真はブルーに

ドライバーはとても気のいいローカル。
しかし、ハンドルを握ったら恐るべき追い抜きマニアに変身したのです。
雪道だろうが、霧で視界が悪かろうが、ブラインドコーナーだろうが、
前に自動車がいることをけして許さないタイプ。
おかげで予定より30分以上早くドゥシャンベに着きましたが、
ガードレールがない断崖に張り付いた道をラリーカーのように走られたときは、
62年間の過去が走馬灯のように脳裏をよぎりました。

road01_tj.jpg
路面がこんな状態の山道を時速90キロ以上で走ります
それもときに片手でスマホを持ちながら話をしつつ

とうわけで、冒頭のバスターミナルに着いたときは、肩の力が一気に抜けました。
ここで自動車を普通のタクシーに乗り換え、
中心部までは約11キロメートルのドライブ。
どんな街かと思いきや、モルドバのキシナウと、カザフスタンのアルマトイ、
トルクメニスタンのアシガバートを足して割ったような雰囲気。

nightview01_tj.jpg
夜はブレードランナー風のムードになりました
こう見ると少々不気味ですが治安はいいです

さらに気分を盛り上げるのが投宿したホテル。

hotel01_tj.jpg

ホーンテッドマンションさながらの邸宅風で、部屋のなかも照明はシャンデリア。
残念ながら幽霊は出ませんでしたけどね。
また、独裁政権といえば気になる通信規制ですが、
トルクメニスタンほどはきつくありませんでした。
SNS、YouTube、ChatGPT、Wikiなどは問題なく、
ブロックされていたのはブログ系だけ。
そこもVPNで抜けましたから、こうしてお話できているわけです。

タジキスタンには主だった観光資源がないせいか外国人が珍しく、
そのおかげで場も人もスレていません。
だから僕らのようなよそ者にも、皆さんとてもフレンドリーです。
入国以来、何処へ行っても親切にしていただいておりまして。
まぁ、その分、英語はなかなか通じませんけどね。
それでも何とかなるところが、相手の思いやりに負うところでしょう。

そんな中で取材を進めています。
今回、興味深い結果が出たのは示準料理のラグマンの比較。
ウイグル発、手延べ麺の原点との説もあるスパイシーな料理ですが、
これが西に伝わるにつれて、スパイス感が減り、シンプルになって行くのですよ。
実際、サマルカンドではスターアニスとディルの風味が効いて、
非常に複雑な香りがしていましたが、ブハラに行くとスターアニスが消え、
ヒヴァではトマトも使われず、素朴なラム肉うどんになっていました。
そしてこれは、すぐ南に位置するトルクメニスタンのダシュオズでも同じ。
どうやらウイグル系の人々の人口密度と符合しているような気もします。
となると、よりウイグル自治区に近いドゥシャンベではどうなったか?
この仮説を裏付ける結果が待っていました。
過去に例がないくらいスパイシーなんですよ。店によっては辛みだけではなく、
山椒の風味まで加わって、キルギスですら味わったことのないバージョンを発見。
そこでご報告したいのがガンファンです。

ganfan_tj.jpg

僕らがかつてカザフスタンやキルギスで食べたバージョンは、
ご飯にラグマンの汁と具をかけた、いわゆる「ぶっかけ飯」でしたが、
ドゥシャンベでは一見「酢豚ライス」風になっていた店も。
さらにこれが、かつてないくらい辛いじゃないですか。
僕は平気ですが、ともこはギブアップしたくらい。
実はこの料理、今回の旅のなかでも、辛さは断トツだったのです。
そう、ユーラシア大陸の料理は、
香り、辛みなど、味の輪郭は西低東高の傾向があるみたいですね。
ここはちょいとディープなテーマなので、またあらためてお話しましょう。

もうひとつご紹介しなければならないのが、
タジキスタンの国民食ともいえるクルトップ。

qultop_tj.jpg

これはパンをちぎり、ヨーグルトソースをかけ、
茹でた肉とニンジンの漬物などを乗せ、コリアンダーとディルを散らしたもの。
まったりした味わいに漬物の酸味とハーブの香りがミックスされ、
中央アジアの他の国では今のところ似たものがない個性派。
これがハイパー特盛サイズで出てきます。
1人前で吉野家の牛丼の特盛2杯分くらいはあるかな?
でも、皆さんそれを一人で一皿平らげてしまうのです。女性もね!
さらにユニークなのがその食べ方。
たとえば4人で食べるときは4皿出てくるのではなく、
冗談のような大皿に4人前が盛られて運ばれ、
それを各々が取り皿を使わず、直接スプーンだけで食べるじゃないですか。
今日の昼に取材した店は大繁盛店で、
100人くらいのキャパが満席になっていましたが、
スーツ姿の人々がそんな風に豪快なランチを楽しんでいる光景は、
なかなか壮観なものがありました。さすがは遊牧民の末裔ですね。

さて、明日は天気が回復しそうなので、ちょっと足を延ばして市場まで行く予定。
どんな食材が並んでいるのか、とても楽しみです。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 03:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
この一文ウケた。きっと日本国民の2-3ppmくらいにしか通じないと
思ふ。ちなみに当方には通じません。

>モルドバのキシナウと、カザフスタンのアルマトイ、
>トルクメニスタンのアシガバートを足して割ったような雰囲気。

穴だけトイレは今を去ること20年ほど前にウズベクで遭遇しました。
見た瞬間に便意が消滅したのは内緒w。

25日付の日記も拝見しました。綺麗な写真に惹かれています。
素敵な旅行をお楽しみあれ。
ではメリークリスマス
Posted by ニシモト夫 at 2025年12月25日 22:02
短期滞在ながら、ドゥシャンベは興味深い街でした。
他の街と似ているものの、かといって同じではない。
それはタジキスタン全体についても当てはまる気がします。
そういえばあそこは民族もトュルクではなく、ペルシャ系なんですよね。
イランで「タジクはブラザーだ」と言われましたし。

今回の旅を教訓に、あの恐ろしいトイレを「ダルバザトイレ」と命名しました。
そう、内容はともかく、落ちたら結果的に「地獄の門」ですから。
僕があれに初めて遭遇したのは内モンゴルのガソリンスタンドでしたけどね。

さて、旅も最終フェーズに近づき、ネットでインドのe-VISAを取りました。
アライバルでも取れますが、今回デリーでのトランジットが3時間30分しかなく、
イミグレでもたもたしてると次便を逃しそうなので、先手を打ったというわけです。
しかしこれが「泣けるシステム」でした。まさしく入国前からインド全開!
詳しくは回をあらためてお話しますね。
Posted by えーじ at 2025年12月26日 01:23
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