2026年01月23日

第27回取材旅行 その41

インド滞在25日目。
僕らは最終段階へ向けインド半島の南部を横断し始めました。
まず、3日前はタクシーでパナジから交通のハブになっているマルガオへ。
そこから一昨日は夜行寝台列車でバンガロールへ。

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昼下がりのバンガロール、ヨシュワンスプール・ジャンクション駅に到着

今日の天気は快晴。ゴア州より250キロメートルほど南下しましたが、
標高が約890メートルあるせいか、パナジよりかなり涼しいですね。

今回の夜行列車は13時間ほどの乗車時間だったので、
より密度の濃い3段寝台車両に乗りました。
狭いコンパートメントを6人でシェアするわけですから、
より、むぎゅっとした状態に。
その分、乗客同士の距離が近く、いろいろな出会いがあります。

最初は皆さん、僕らに気付いてもおずおずした感じ。
あ、外国人だ、でも、話しかけるのはちょっと・・・というムード。
その空気を一変させるのが、こちらからの挨拶です。
笑顔で「ナマステ!」と声をかけた途端、
「あ、話しても大丈夫だ!」となり、
あとは「どこから来た?」「ここで何をしてる?」「インドはどうだ?」、
と矢継ぎ早の質問が始まります。
もちろん言葉は英語とは限りません。
ヒンドゥー語でずっと話しかけられることもあり、
そうなると単語の断片から「たぶんこう言っているんだろう」と推測して、
「ジー(はい)、ジー(はい)」。

今回、僕らの対面に座っていたのはブッダガヤから観光できたという、
年配のご夫婦。お子さんはそれぞれUAEとアメリカで働いているとか。
そう言いながら双子のお孫さんの写真をスマホで表示してもうでれでれ。
この旅の費用も息子さんたちが送ってきたのかもしれません。
こうした場所で縁遠い人々のファミリーヒストリーを垣間見るのも、
旅の楽しみのひとつです。

そんな話をしているところへ現れたのが、隣のコンパートメントの子供。
これまたお約束ですな。
「ハロー!」と声をかけると、さっと隠れてしまいます。
そのうちお父さんが現れて、
「ほら、ちゃんとあいさつしてごらん」(たぶん、そう言ったと思います)
最初はもじもじおずおずですが、最後はうちとけてみんなでパチリ。

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僕らの取材は飲食店が主な舞台ですけど、
料理を理解するコンテクストは、こうした公共の交通機関がいちばん。
駅や車内でマンウォッチングしているだけでも、
人々は無言で、ときには饒舌にいろいろなことを教えてくれます。

そうしたレッスンのひとつが「情報との付き合い方」。
以前もデリーのブログでお話しましたが、
僕らがインターネットやテレビで受け取る情報とは、
現実のほんの一部を切り取ったスナップショットでしかありません。

たとえば今いるバンガロールはIT産業で有名です。
まさに日本では「インドはIT大国だ!」って話が飛び交っているでしょう?
そしていまや「GDPで日本をしのぐ経済大国でもある」って。

で、方や昨日から、
ヨシュワンスプール・ジャンクション駅界隈を歩いていて目に入ったのは、
雑然とした国鉄駅、乗降客と客引きとオートリキシャでごった返す駅前、

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ヨシュワンスプール・ジャンクション駅前、呼び込みラッシュが激しい。

すぐ脇の壁沿いは公衆トイレ化して目に染みるアンモニア臭。
ホテルは乾物問屋街の中心にあり、クラクションのシンフォニーが響き渡り、
これまた荷運びのトラックとオートリキシャで大渋滞・・・

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ホテルを一歩出るとこの状態。

pubwc_in.jpg
こういうところは・・・行かない方がいいです。

IT? それはいったい何の略称で? って感じ。

確かに道行く人々の多くがスマホを待ち、
場合によっては路上でバナナを買うにも、G-PAYで決済できることがあります。
しかし、それが社会をどう変えたというのでしょう?

バンガロールはITシティである。
それは嘘ではありません。しかし、同時に間違った認識なのかもしれない。
バンガロールの人口は東京都民より少し多い1300万人。
その中でIT産業に従事し、好景気に浴する人は、
10パーセントにも満たないという説があります。
ですからこのわずかな部分にスポットを当て、全体に拡大して再解釈することは、
木を見て森を見ず、のワナに自ら飛び込むことになるのではないか?

僕らの日本を振り返っても、同じことがいえると思いません?

輸出産業と投資家には、円安と株価の上昇が大きな利益をもたらしていますけど、
その恩恵にあやかっているのは、ほんの一部の人々でしょう?
(少なくとも僕はその一人じゃありません)
だから日銀や政府が発表するマクロな数字には、
「・・・? それはいったいどこの国の話?」とならざるをえない。
長引く円安で食材の値段が高騰し、仕入れ値の数字を見るたびに、
「む〜・・・」と唸っている横から、
「景気は好循環に入りつつある」なんて言われても誰が本気にします?

10パーセントの事実さえあれば、残りの90パーセントを無視しても、
バラ色のストーリーやこれ見よがしの理論をでっち上げられる。
政治と経済が現代版「魔術」の一種であるところの所以ではないでしょうか?

だから僕は、自分の目で見たものしか信じない、
つむじ曲がりのへそ曲がりになってしまったんですよ。

昼の取材からの戻り道、
店とトラックの間を裸足で荷運びしている人々を横目で見ながら、
彼らが感じている足の裏の熱さは、
ゼネラルインフォメーションのどこに表れているのだろうか?
僕はそんなことを考えておりました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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