2020年01月28日

態度が悪い店 その4 最終回

飲食店における暗黙のルールとは何か?

話し始めようとして今更ながらに考えてみると、
そこには守って頂きたい4つのカテゴリーがあることに気付きました。
そしてこの4つは、とどのつまり飲食店に限らず、
ほぼすべての業種に当てはまるような気もします。
それは・・・

1.他のお客さまの迷惑になること
2.近隣の迷惑になること
3.お店の経営にかかわること
4.働いている人の尊厳にかかわること

お客さま商売の人がお客さまに嫌な顔をした場合、
(それ自体を絶対に我慢すべきだという意見もあるかと思いますが、
 僕は個人的に違うと考えていますし、実際に嫌な顔をします)
上のどれか、
もしくは複数のバイオレーションがあった可能性が高いと思います。

しかし、『その1』でもお話しましたように、
いずれのケースでも悪意を持ってそれをやる人はまずいないでしょう。
やはり『ルールが共有されていない』と考える方が順当です。
そこでこのカテゴリーからブレイクダウンした、
ルールをお話しなければ先が続きません。

ところが難しいのは、どんな行為が迷惑になるのかは、
ケースバイケースで決まるという点です。
たとえば居酒屋とドレスコードがあるようなレストランでは、
お客さまが求められる振舞いにも大きな違いがあるでしょう。

そこで僕たちが旅先でやっている簡単な判断方法をご紹介したいと思います。
それは・・・

他の人がやっていないことはしない。

これに尽きます。

逆を想像して頂ければ分かり易いのではないでしょうか。
たとえば静かな店内で大声を出したり、
フロアをうろうろ歩き回ったりすれば、お店の人だけではなく、
他のお客さまからも嫌な顔をされますよね?

もしかすると判断の難易度が高いのは、
項番2の『近隣の迷惑になること』の方かもしれません。
これもまた場所や時間によって迷惑となる行為が変わってくるからです。

たとえば、幅の広い歩道に面した店であればある程度の余裕はありますが、
ととら亭のように自動車が通行できない細い商店街にある店の場合、
自転車を店頭に雑然と駐輪することは、他の歩行者の妨げになるだけではなく、
道路にボトルネックを作ることで、
他の自転車による思わぬ事故の原因にもなります。
また、他店の前に駐輪することは、
他店の営業にもマイナスの影響を及ぼしてしまうでしょう。

しかし、ここでも迷惑行為を判断する明確な方法があります。
それは・・・

自分の家の前でやられたら嫌なことは他でもやらない。

これで、無秩序な駐輪だけではなく、
ゴミのポイ捨て、深夜の大声などがバイオレーションである判断が、
簡単につきますよね?

次が『お店の経営にかかわること』です。

先にお話した2種類の迷惑系は、お店の人を「大丈夫かな?」と、
まずハラハラさせますが、
このカテゴリーは「勘弁して下さいよ・・・」でしょうね。

いわずもがな、
飲食業とは資本主義社会における営利活動のひとつです。
その点においてはIT企業や自動車産業となんら変わりません。
つまり利益を出さなくてはいけない。

故に分かり易い判断方法があります。
それは・・・

自分の行為と支払う金額のバランスは取れているか考えてみる。

いい機会なので、ここで終止符を打ちたい議論があります。
ちょっと前にネット上で、
『飲食店に入ったら必ず注文しなくてはいけないか?』
という議論がありましたよね?

断言しましょう。
注文しなくては絶対にダメです。

ここでも逆の立場で考えてみて下さい。
16席しかないととら亭でランチタイムに満席になりました。
ところが「あんまりお腹空いてないんだよねぇ」な方が8名いたとします。
で、「水だけでいいです」とか、
「相手のランチをちょっとつまむだけでいいです」といわれ、
お喋りだけでランチタイムいっぱい席を占有されたら・・・
そしてそんな状況が何日も続いたら・・・

そう、お店は潰れてしまいますよね?

イートイン型の飲食店は一皿の料理を幾らで売るか?
ではなく、1席あたりで単位時間あたり幾ら売り上げるか、
というビジネスをしています。
ですから先の『注文しない』ケースだけではなく、
たとえばコーヒー1杯で6時間のんびりしていました、
というのも、経営上は看過しがたい『脅威』になるのですよ。

そして最後の『働いている人の尊厳にかかわること』。
尊厳なんて大げさな言葉を使いましたが、
飲食業、とりわけホールが、
仕事として不人気である大きな理由がここにあるのですよ。
その理由は・・・

無視されるから。

これは人間としてもっとも堪える行為の上位でしょう。

先日、珍しくファーストフード店に入った僕は、
店員さんとお客さんのやり取りをちらちら眺めていました。
そこでショックだったのは、忙しく立ち働く女性スタッフさんが、
ほとんど『演説』状態だったことです。
食券を買ったお客さまは黙って空いている席に座ります。
すると彼女は、

「いらっしゃいませ、食券をどうぞ。
 牛丼の大盛ですね。ありがとうございます。少々お待ち下さいませ」

「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」

「どうもありがとうございました!」

最低でもこれだけは話していましたが、(場合によってはもっと)
満席に近いお客さまたちはいずれも入店から退店まで、
一言も口をきかないではないですか!

これには僕も驚きました。
食券を渡す時に「お願いします」はないし、
料理が来た時に「ありがとうございます」もない。
「いただきます」はなくおもむろに食べ始め、
当然、退店する時に「ごちそうさまでした」なんてあるはずもない。

それにもかかわらず、彼女は気丈に元気よく話続けている。
彼女だけがこのホールで話続けている。

どうしたんだ日本人!

僕は心の中で叫びましたよ。

話をもとに戻しましょう。
『働いている人の尊厳にかかわること』
これにも幸い簡単なソリューションがあります。
それは・・・

自分がやられて嫌なことはしない。

いや、僕はここまで Don't系ばかり話続けてしまいましたから、
4番目の最後くらいは、その逆で締めくくりたいと思います。
それは・・・

自分がされて嬉しかったことをしよう!

これ、そんなに難しいことではありません。
たとえば、
「こんにちは(こんばんは)」、「ありがとう」、「ごちそうさま」、
この3つの魔法の言葉を使うだけでもタイトルにある『態度が悪い店』は、
世の中からだいぶ減ると思います。

本当ですよ。

End

えーじ
posted by ととら at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月26日

態度が悪い店 その3

100パーセント、あんたが悪い!

そう憤慨したことはありませんか?
特におカネを払う立場で、期待した結果が得られなかった場合、
僕たちは反射的にそう思い、
直後から自己正当化の証拠あつめに励むものです。

しかし『その1』でお話しましたように、
一般的に言って、僕らを怒らせた相手が、
悪意を持っていることはまずありません。

それにもかかわらず『その2』のようなインシデントは、
ととら亭に限らず、
皆さんの日常でも珍しくないのではないでしょうか?

なぜか?

それぞれのケースで、
さまざまな原因がこんがらがっているとは思いますが、
もっともメジャーなもののひとつは、
『その場のルールが共有されていないから』
ではないかと僕は考え始めているのですよ。

野球には野球の、サッカーにはサッカーのルールがあります。
それと同じように、家庭には家庭の、学校には学校の、
職場には職場のルールが暗黙の裡にあり、
飲食店もまた独自にルールを持つ場のひとつです。

ではそのルールは誰が作っているのか?

それは基本的に『先にいた方』が作っています。
換言すると『参加される方』が作り、
後から『参加する方』は、そのルールありきの場所から、
自分のキャリアをスタートさせなければなりません。
つまりルールを受け入れることが参加の大前提となっている。

この逆がまかり通らないのは、
みなさんも自身の経験からご存知ですよね?

僕らの旅なんてその典型ですよ。
外国に入るなり「なんでやねん?」なことはどしどし起こります。
しかし、その都度、
革命を起こして政府を転覆させるわけにはいかないでしょう?
自由意思で入国(参加)したのですから、
それがいかにバカバカしく思えても従うしかないのです。

ここでもう一丁ほり下げてみましょう。

では、その偉そうなルールとやらは、
どんな根拠を持っているのか?

作り手が自分の趣味に合わせて好みで決めた?
いやいや、自分の利益に基づいて都合よく決めたのだ?

ん〜・・・前近代であれば、そんな暴君もいましたけど、
さすがに人類も痛い目に遭って学習しましたから、
(ま、懲りずに学習中の国もありますが・・・)
最近はそういうのも減ったと思います。

ルールの根拠となる第1の目的は、秩序の維持です。

たとえばサッカーは、
サッカーのルールをプレイヤー全員が守ることによって成立しています。
誰かがボールを持って走りはじめ、相手ゴールでトライしたら、
もうそれはサッカーではなくなってしまいますからね。

第2の目的は参加者全員の利益です。

これを説明するにはその前にひとつ自問する必要があります。

なぜ僕らは、何かに参加するのでしょう?

それは参加することによって楽しくなるから。
経済学的にいうと『利益がある』から。
(フロイド流に言えば「気持ちいい」から)

ですよね?

人は選択権(肢)がある場合、基本的に楽しいことをやり、
楽しくないことはやらないものです。

選択権がない場合でも、たとえば家族や宗教、国籍など、
本人の意思を超越した参加体ですら、
そこから逃避(亡命)するという逆参加は選択肢に入ります。

ですから、参加する限りは得られる何かが期待されており、
結果的に多少の偏りこそあっても参加者全員でシェアされなければならない。
誰かが独占することは許されませんし、
もしそうなったらバカらしくて参加者がいなくなってしまいます。

話がマクロになってきました。
そろそろミクロな飲食店の世界に戻りましょう。

では、この議論の延長線上にある飲食店のルールとは何か?

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 14:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月24日

態度が悪い店 その2

先日、この店に行きましたがとても残念な経験になりました。
座っていた席を悪い席に移動させられ、
オーナーらしい男性は常連とばかり親しく接し、
私は注文をした時を除いて無視され続けたのです。
もういたたまれなくなって、食事の途中で店を出てしまいました。
本当に悲しかったです。2度と行きません。
_______________________________

グルメサイトなどで、こんなレビューを書かれた店をどう思います?
とても行く気にはなれませんよね?

実はこれ、6年ほど前に、
ととら亭で実際に起こったインシデントをもとに、
お客さまの気持ちを僕が想像して書いたものです。
(どこかにもっと強烈なのが書いてあるかもしれませんが)

次はこの同じ事実を、
もう一人の当事者である僕の視点から見てみましょう。

あれは非常に混雑した週末。
店内で空いていた席はカウンターが2席、
2人掛けテーブルがひとつだけでした。
そこで4人掛けテーブルにいたお客さまが帰ることになり、
僕が入り口でお見送りをしていると、
突然、すれ違うのもの難しいドアの隙間から、
25歳前後の女性が飛び込むようにして入って来たのです。

最後のお客さまを見送って振り返ると、
彼女はすでに空いた4人掛けの席に座っています。
耳にはスマホから伸びたイヤフォンが入っていました。

・・・? 聞こえるかな?

「何名様ですか?」
「ひとりです」

こうした場合、通常はカウンター席に案内するのですが、
彼女を見た記憶はありません。
かなり高い確率で初めて来たお客さまでしょう。
そこで僕はインパクトの強いカウンターではなく、
雰囲気に馴染みやすい2人掛けのテーブル席に彼女を案内しました。

ほどなくしてメニューを持って行くと、
彼女はまだ両耳にイヤフォンを付けたままです。

・・・・?
なるべくほっといて欲しいのかな?

ご来店のお客さまはご存知のとおり、
僕はメニューを渡した後、簡単に料理の説明をするのですが、
彼女は話を聞きたそうもなかったので、
メニューを渡しただけでパントリーに戻りました。

しばらくして注文を頂き、
飲み物をサーブしに行ったのですが、
この時も彼女はイヤフォンをしたまま。

ととら亭でもごく稀にですが、お店の人との接触を好まず、
ひとりでお酒や食事を楽しみたいと思っている(ように見える)
お客さまがいらっしゃいます。
そうした気分を察した僕は、
邪魔はしたくないので必要最低限の接客しかしません。

そしてしばらくした時、
くだんの彼女がすっくと立ち上がり、
カウンターまで来ると震える声で何かを言い始めました。
驚いて見れば財布を出しているので帰ろうとしているようです。
(この時はイヤフォンを外していました)

僕は彼女が何を言っているのか聞き取ろうとしましたが、
怒りのあまり声が震えてひっくり返り、
1万円札を出していいかどうかの部分しか分かりません。
で、とりあえず、

「いいですよ」

こうして彼女はお釣りを受け取ると足早に出て行ってしまったのです。
テーブルには料理が半分以上残っていました。

空いている時でしたら、
「どうしましたか?」くらいの声をかけますが、
彼女の挙動が入店してきた時から微妙だったのに加え
店内が非常に混雑していたので、
仕事が止まることを避けるため、
僕はここでも必要最低限の応対しかしませんでした。

さて、この両者にとって後味の悪いインシデントは、
なぜ起こったのか?

別のインシデントも含めて、
僕は今日にいたるまで考え続けることになったのです。

次回は僕が辿り着いた、暫定的な答えをお話しましょう。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月22日

態度が悪い店 その1

僕はいわゆるグルメサイトをほとんど使いませんが、
取材地では、
ホテルのフロントやタクシードライバーからのヒアリングに加え、
Trip Advisorなどの情報を参考にすることがあります。

と言っても見ているのはジャンルとメニュー、価格、そして場所だけ。
星の数は気にしませんし、レビューときたらまず読まないのですよ。

しかし時おり画面の片隅に、

Terrible!!(最低!)

なんてレビュータイトルがあると、

何をそんなに怒ってるのかしらん?

と興味を引かれることがあります。

そこで読んだ次に思うのは、たいてい、

あ〜、何をしたのかな?

いや、お店の方ではありません。
お客さんの方です。

客観的に考えると、
一見さんだけでビジネスが成り立つ店ならともかく、
リピートしてもらうことを前提とした店の場合、
『態度が悪い』というのは自殺行為ですよね?
しかし『Terrible!!(最低!)』な店は、
これまた、たいてい数年以上の営業実績を持っていたりします。

この一見矛盾する状況はどう説明がつくのか?
飲食店の経営者であれば、
この問題を考えたことは10回や20回ではないでしょう。

僕も100回以上考えました。

で、その結論をお話する前に、僕が思い至った、
人が人を怒らせる普遍的な仕組みから説明したいと思います。

______________________________

ひどいやつだ!

と僕を怒らせた相手は、(56年も生きていればたくさんいますよ)
よくよく冷静に考えてみると、
『えーじにいじわるをしてやれ!』とか『ひどい目に遭わせてやろう!』
なんて悪意を持っていたことは、多分99.9パーセントなかったと思います。

僕を怒らせた彼、彼女たちは、
自分が僕に何をしているのか分かっていないのではないか?

おそらくこれが真相でしょう。
そしてこれは連鎖反応を起こします。

やられたことに憤慨した僕は、不快感を顔に出すか、
場合によっては、
「おい、ちょっと待てよ」くらい言うかもしれません。

しかし相手は自分のやったことを分かっていないのですから、
出し抜けに僕が絡んできたと感じますよね?
すると相手もとうぜん戦闘モードに入り、
「なに言ってんだ?」となります。

カーン! Round 1 Fight!!

さて、ここで鋭い皆さんはもうお気付きでしょう。

僕の説明は『僕は何もしていないのに相手がひどいことをしてきた』、
そして『それが怒りの連鎖反応を起こした』という内容になっていますが、
ここでまた冷静かつ客観的に考えてみると、
相手がひどいことをする前に、
僕がさらにひどいことを彼、彼女にやってしまった可能性が、
スコンと抜け落ちていますよね?

しかも当事者である僕はそれに気付いていない。
何といっても僕自身が、
『相手は僕に何をしたのか分かっていない』という前提に立っており、
自分もまた分かっていない一人であることを分かっていない。

こうしてお互いが相手を「ひどいやつだ!」と決めつけ、
諍いがエスカレートして行くわけです。

いかがです?
皆さんも思い当たる節がありません?

次回はこの問題をより掘り下げるため、
ととら亭で実際に起こった事件を例に、具体的なお話に入りましょう。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月20日

運か実力か?

「トリポリやバールベックに行こうと思っていますが、
 現地の治安に問題はありませんでしょうか?」

「ああ、ぜんぜん問題ありませんよ!
 今日のところはね」

これは去年の11月28日、
レバノンのベイルートでお巡りさんと交わした会話です。

明日はどうなるか誰にも分からない。
確実に分かるのは、今、目の前で起こっていることだけ。

どんな国にいようとも、これは究極的な真実ですが、
日本のように、明日もまた今日と同じ一日が訪れると、
無根拠に信じてしまえる国は少なくありません。

ま、その良し悪しは別として、
字義通りに一寸先は闇の地域を旅することの多い僕らに求められるのは、
幅広い情報収集能力と冷静な判断力、そして欠かせないのが幸運です。

レバノンはここ数日でまただいぶ荒れてきましたね。
報道される写真や映像からすると、
場所はダウンタウンが中心だと思われますが、
原因が手付かずのままである限り、
抗議もまた、さまざまな形で続いて行くでしょう。

そしてこれが次の『因』となり、
続く『何か』が『いつ』『どこで』『どのように』起こるのか、
それは誰にも分からない。

出発前は入念に準備し、
旅行中にトラブルとあらば、
解決に向け、常に僕らはベストを尽くしているつもりですが、
こうしたニュースを読んでいると、

ラッキーだったな・・・

そう思わずにはいられません。

もしかしたら、
僕らが『実力で』成し遂げたと思い込んでいることのほとんどは、
本人の気付かないかたちで、運に救われていたのかもしれませんね。

ん〜・・・
謙虚な気持ちにさせられます。

えーじ
posted by ととら at 14:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月16日

旅のファーストフード店?

昨日、商店街を歩いていてちょっと驚きました。

銀行に行った帰り道、
松屋さんの横を通り過ぎようとしたところでふと目に入ったのは、

『松屋でジョージア料理!!「シュクメルリ鍋定食ついに新発売!」』

とな?

へぇ〜、ファーストフードでジョージア料理とは!
で、やってるのはシュクメルリ?
知らないな、どんな料理だろう?
今度食べてみようかな?

松屋さんのウエブサイトには、
ジョージアについての簡単な説明までありました。
いいですね、こういうの。
気軽な一食から、日本とは縁遠い、
コーカサス地方に興味を持ってもらうきっかけが生まれるかもしれません。

『松屋世界紀行』とコピ−があるので、
このあとブラジルのフェイジョアーダやヨルダンのマンサフなど、
ご飯と合う他のぶっかけ飯系もリリースされるのでしょうか?

僕としては小さな店ではやりにくい中央アジアのプロフや、
中東のマクブースとかやっていただけると嬉しいです。
絶対、食べに行きますよ!

えーじ

__________________________________
追記です。

ちょっと気になったのでジョージアを取材した記録を読み返してみました。
すると・・・

食べてました。

取材候補料理としては、クルミのソースを使ったサシビが上位だったので、
シュクメルリは次点になっていたのですよ。
同じチキン料理ではかぶってしまいますからね。
ちなみに英語のメニューでは、その名も Chicken with garlic sauce。

で、どんな料理だったか写真を見ながら記憶を辿ってみたのですが、
この温菜盛り合わせセットの一番下にある白い料理がそれ。

shkmeruli.jpg

味はあまりのインパクトだったのでしっかり覚えています。
ガーリック風味のミルクシチューというより、
あれはもろガーリックペースト!
一度しか食べなかったので特例的なレシピだったのかもしれませんが、
僕たちが今まで食べたガーリック系料理の中では、
にんにくの丸焼きに次ぐ横綱級でした。
まぁ、あれを食べたら2日間はデート禁止でしょうね。
(故に僕らはチキンだけすくって食べました)

たぶん、松屋さんのはマイルドバージョンじゃないかな?
要チェック!
posted by ととら at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月12日

恥ずかしい写真

と言っても、
皆さんがいま想像しているようなものではありません。

しかしやっぱり、恥ずかしいものは恥ずかしい。

で、撮り直すことにしました。
その話は旅のメニューを切り替えていた今月6日の月曜日に戻り・・・

「どう? 進んでる?」
「ああ、今回は昨日までに写真の選別が終わってたからね。
 そっちは?」
「あたしも予定よりちょっと前倒しで進んでるよ」
「・・・そう。じゃあさ、ちょっと提案があるんだけど」
「なぁに?」
「ん〜・・・説明するより見てもらった方が早いな。
 ちょっとこっちに来てくれる?」

僕はノートPCのディスプレイを彼女に向け、

「これなんだけどさ」
「あ〜、これ!」
「そう」

kebab_old.jpg
ドネルケバブライス

「この写真は・・・」
「前から気になってたんだよ。
 ピントは甘いし構図も平坦で奥行きがない」
「私の方もヨーグルトソースのかけ方がカフェ飯みたいだし、
 再現性でも現地のトマトはプチトマトじゃなかったんだよね」
「それからこれ」

mantou_old.jpg
マントゥ

「これはピントが合ってるじゃない?」
「いや、そうなんだけどギョーザのディティールを伝えようとして、
 アップにし過ぎたんだ。
 これじゃ他の写真とバランスが取れない」
「じゃ、絵を引けば?」
「いや、あれでフレームしちゃったから引けないよ。
 ってわけで両方とも撮り直さない?」
「ふぅ〜・・・忙しいのに・・・しょうがないね!」

ということになり、
急遽、本番用の食材を使って料理を作り、
撮り直した写真がこれ。

tr_donerkebabrice.jpg

tr_manti.jpg

「OK、撮れたよ」
「どれどれ、見せて。
 お〜、前のよりぜんぜんいいじゃない?」
「さすがにメニュー撮影もかれこれ10年やってるからね。
 これくらいは進歩してないと」

こうして写真を差し替え、出来たメニューをリリースしたのです。

え? 撮影用の料理はどうなったのかって?
もちろんその日の賄いで食べてしまいました。
美味しかったです。
でも、ともこは・・・

「まったく、お客さん用に仕込んどいたのに、
 1食分損しちゃった!」

ま、いいじゃないの。

えーじ
posted by ととら at 15:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月08日

トルコ料理特集パート2が始まります!

トルコを再訪しのは去年のちょうど今頃、
12年振りのことでした。

世界3大料理のひとつといわれるトルコ料理を調べるのに、
前回からこれほど間隔が開いたのは理由があります。

それは現地の治安。

トルコはととら亭を始めた時から取材候補地の上位に入っており、
実際、2017年にはブッキングする手前まで話を進めていたのですが、
直前に起こったクーデター未遂事件で戒厳令が布かれ、
見送らざるをえなかったのですよ。

中東は訪れるタイミングが難しい地域のひとつ。
たとえば先月行ったレバノンは、ただでさえ情勢が不安定なのに、
ゴーン被告が逃げ込んで対日関係が微妙になって来ましたし、
さまざまな料理のミッシングリンクがあると思われるイランも、
アメリカとドンパチ始めたからには、
とうぶん近寄れそうもありません。

やれやれ・・・

エジプト、ギリシャ、メソポタミア、インダスそして中国。
古来、これらの文明の交差点だった中東は、
食文化の観点でも調べてみたいことが沢山あります。
それにもかかわらず、
要ともいえるシリアやイラク、イエメン、イランに入れないのは、
なんとも歯痒いばかり。

しかしながら去年、いざこざの間隙を突いて、
トルコとエジプト、レバノンを取材できたのはラッキーでした。
その結果、こうして思い入れ深い国の料理を紹介できますからね。

トルコ料理特集パート2

今回は市井の食堂、ロカンタがテーマです。
そこで食べられる料理は、トルコ人にとって馴染み深いものばかり。
といっても所謂『元祖』とか『本家』というわけではありません。
先の話ではありませんが、
実はその料理のひとつひとつが、小さな文明と文化の交差点なのですよ。

一皿の料理が開く歴史への扉。

この特集が、島国で生まれ育ち、
「わが国固有の領土」なんてフレーズをためらいなく使える僕たちが、
中東という地域を理解する一助になれば・・・

そう願いつつ、初日を迎えたいと思います。

えーじ
posted by ととら at 14:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月06日

おかしな時差ボケ

僕らは不規則な生活から万年時差ボケ状態のため、
地球の裏側に行っても、あらためて時差ボケになることはありません。

しかし、もっと大きなリズムでいうと、
妙な感覚に陥ることがあります。

この年末年始がそう。

確かに仕事納め → 正月休み → 仕事始めのプロセスは、
年末年始っぽいムードを作り出しはしましたけど、
実際は休みと呼べる状態がなかったので、
精神的な区切りがつかなくなってしまったのですよ。

で、いま僕らが目指している、年末に等しいゴールは、
今朝からお店にこもってやっている、旅のメニュー変えです。
残念ながらこれが終わっても休みは月末までありませんが、
気持ちの上でなら、ひとつの区切りがつくでしょう。

さてさて、今回は僕の方が少し先行していますね。
さっきキャプションが書き終わり、写真の選定も終わりました
この先はアパートのデスクトップPCでレイアウト作業に入ります。

ともこは何をしているかな?

決まったレシピを元に仕込みのラインを組み立てながら作業しているので、
真剣そのものです。
ひぇ〜、ちょっとコワイ・・・
今日は遅くなりそうですね。

そうそう、旅のメニューを切り替える時、
おもしろいのは、店の中の香りも変わること。

同じ食べ物とはいえ、
昨日までやっていたスウェーデン料理とトルコ料理では、
材料が大きく変わります。
当然、店の中に漂う香りも別ものとなりました。
ん〜・・・いい匂い。

リリースは1月8日(水)のディナーから。

このペースで行けば、明日の夜にはウェブサイトに、
メニューを写真付きでアップできると思います。

もう少々お待ちを。

えーじ
posted by ととら at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月04日

個人目標2020

始まりました、2020年のととら亭。

そこで恒例となった個人目標の発表です!
それは・・・

まさに、この『恒例』を破ること。

独立して間もなく10年になろうとする僕らですが、
自分たち独自の生活と仕事のスタイルを作り上げたここまでの過程は、
良くも悪くも一種のルーチン化でもありました。

しかし、矛盾するような話ですけど、
僕らが僕ららしくあるために必要なのは、
変化し続けることなのですよ。

完成したスタイルは、やがて硬直化し、
僕らを限定する檻になってしまいます。
その中に安住することは、自由を標榜する旅人にとって、
看過できない自己矛盾に他なりません。

そこで求められる具体的な課題は・・・

既成概念に囚われないこと。

ところがこいつは実に難しい。
とりわけ経験則に判断の軸足を置く僕のようなおじさんにとって、
自分の認識と判断のフレームから抜け出ることは至難の業です。

しかし幸いにも、
現実はこうした無謀な試みに味方してくれますね。

スタイルが出来たとはいえ、
僕らの仕事は新しいことへの挑戦や、
トラブルシューティングがてんこ盛り。

そこで毎日のように、
トライアルアンドエラーの繰り返しが始まるわけですが、
スタックしてしまうことも珍しくありません。
(というか、ほとんど毎回そうなっちゃう・・・)
でも、その行き詰まった状況こそが、
僕らに既成概念から脱するチャンスを与えてくれるのですよ。

プランAも、BもCもダメか・・・
む〜、もう手持ちのカードは品切れだ。
ではどうする?

ここで頭を白紙にするコツさえ掴めればこっちのもの。
落ち着いて、心の底から聞こえてくる声に、素直に耳を傾ければ、

あ、そうか、その手があったか!

こうしてブレイクスルー出来るものなんですよね。

よし、今年は何ごとも柔軟に行くぞ!

えーじ
posted by ととら at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月03日

仕事始め2020

と、申しましても、ととら亭の営業は明日のランチから。

二人して朝からお店にこもっている理由は言わずもがな、
再起動に向けた仕込みとペーパーワークです。

今年こそはこのブラックさ加減を、
ホワイトとまでは行かずとも、せめてグレーにしたいですね。

それでも分単位で仕事に追われている普段に比べ、
こうしてお互いの仕事に没頭している時は、
気分的にだいぶ違います。

それに日課の読書とメディテーションも、
時間を気にせず(いつもは50分前後)集中していられました。
ま、束の間の正月気分でしょうか。

これから僕は一足先にアパートへ帰って今年の走り初め。
トレーニング中は何も考えていないので、
頭と体をリセットするにはとてもいいのですよ。

こうしてすっきりした気分で、
2020年の営業の初日を迎えたいと思います。

それでは明日!

えーじ
posted by ととら at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年01月01日

A happy new year 2020

あけましておめでとうございます!

皆さんはどこで、どんな新年を迎えられましたでしょうか?
この年末年始は9連休の方が多く、
(いいですね〜!)
今ごろ地球の裏側にいらっしゃる方も少なくないでしょう。

僕たちは昨日、高崎市にあるともこの実家へ行き、
久し振りに日本でのんびりとした時間を過ごしました。

こんな時も料理担当のともこには申し訳なかったのですが、
僕はもう湘南新宿ラインに乗ったところから完全にオフモード。
2時間弱の道中はほとんど爆睡して記憶なし。
着いたら着いたで高崎名物、登利平の鳥めし弁当を食べるなりまた爆睡。
(これ、ともこと僕の大好物なのです。いつ食べても美味しい!)
こんな調子で『食べる → 寝る』をひたすら繰り返し、
おかげで元旦は朝から元気いっぱいでした。
いやぁ、ほんと疲れが取れましたよ。

今日は午前中から僕はひとりで少林山の達磨寺へ、
9周年記念までの一年間、
お店で頑張ってくれたダルマを奉納しに行って来ました。
(パントリーの棚にいた彼です)
好天に恵まれ、碓氷川沿いの土手を歩いていたら、
雪化粧の浅間山がきれいに見えていました。

riverbank2020.jpg

毎年恒例になったこの小さな儀式が終わると、
さぁて、今年はどんな旅をしようか? という気持ちになって来ます。

そこで思ったのが、『新しいことへのチャレンジ』。

いや、小さな事ならあらためて挑戦するまでもなく、
ととら亭での日々がこれに相当しますけど、
今年は独立した時に匹敵するくらい、
さらなる未知の世界へ飛び込んでみようか?
そんな1年になるような気がしています。

僕たちにとっては、経験という言葉が、
そのまま旅と言い換えられるのかもしれません。

そう、個人の生というのは短いものですからね。
やろうと思っていたことは、思うだけで終わらせず、
本当にやってみよう。

そんな青臭い考えで頭をいっぱいにしながら、
元旦の正午、僕はひとり土手の道を歩いていました。

えーじ
posted by ととら at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月31日

in the end of 2019

旅の食堂ととら亭は、
2019年の営業をすべて終了いたしました。

東京で、日本で、世界で僕たちの旅を支えてくれた皆さま、
どうもありがとうございました。

来たる年が、すべての生きとし生けるものにとって、
よい1年でありますように。

ともこ & えーじ

greeting2019.jpg

Dear our brother and sister

We finished our all works of 2019.
Thank you so much for everyone who supported our journey in Tokyo,
Japan and the WORLD.
We hope all sentients beings will celebrate the New Year in happily.

LOVE

Tomoko and Eiji
posted by ととら at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月30日

仕事納め2019

はぁ〜、今年もここまで来ました。

なんて感慨にふけるのも、これで10回目。
しかしながら思っていることは毎年おなじなんですよ。

取材旅行はまさしく旅そのものですけど、
ととら亭での1年間というのも、
別の意味で、長いひとつの旅に他なりません。

旅先でいろいろな街を訪れ、たくさんの人と会ったように、
ここでも実に多くのことがあり、さまざまな出会いがありました。

最後のディナー営業を前にした時の気持ちは、
長い旅からの帰途、
まもなく成田空港に着陸する時のそれに似ています。

高度を下げた機内から見える千葉の街並み。
ランディングギアが下ろされる音。
そして重い衝撃とともに感じる逆噴射のマイナスG。

ああ、帰って来たんだな。
今回もいい旅だった。

ここ、野方でも、
皆さんと一緒に素晴らしい旅ができました。
本当にありがとうございます。

それでは今年最後の暖簾を出しましょうか!

えーじ
posted by ととら at 15:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月29日

2019年を振り返り

今年の旅は、
例年にも増して充実したものとなりました。

と申しますのも、
トルコ、エジプト、レバノンは常に取材候補の上位にあったものの、
治安上の理由で見送り続けていた経緯があったのですよ。

モンゴルも会社員の頃から行きたいと思っていた国のひとつでしたが、
これはどうも乗り継ぎが予定とかみ合わず、
同様に長い間、すっと行けなかった場所でした。

それが今年は幸運にもいいタイミングで条件が揃い、
ようやく料理を調べに行くことができたのです。
そしてその結果は期待を大きく上回るものとなりました。

しかし、こうして取材旅行に出ていて、
ふと、

「いつまでこんな旅を続けていられるかしらん?」

と思うことがあります。

たとえば、
英語もほとんど通じないトルコの地方都市で、
ふたり揃って病院行きになった時や、
カイロのラムセス駅から安宿街まで、
あの恐ろしい道路事情の1キロ余りを、
バックパックを背負って歩いていた時など、

「これを10年後もできるかどうかは・・・ビミョーだな」

と僕は心の中で呟いていたのですよ。

ほんと、
今年はとにかく体のいろんなところが壊れました。

駆動系で言うと、
両膝は半月板損傷とガングリオン。
左手首と右ひじは関節炎(プラスこれもガングリオンかも?)。
腰は椎間板ヘルニアの爆弾付き。

加えて春は謎のめまいで2回、、
さらに風邪で4回もダウンしたというのは、
僕の人生で最高記録です。

やれやれ・・・

と年の瀬に溜息のひとつもついてみたくなりましたが、
おっと、そうはいかねぇんだな。

いつぞやお話しましたように、
どういうわけか、僕の周りには、
がんの治療や事故の重い後遺症、進行性の眼病で失明しつつあっても、
がんばっている人たちが沢山います。

彼、彼女たちに囲まれていると、
ポンコツおじさんも、なかなか弱音を吐かせてもらえないんですよ。

というわけで、今年のすったもんだを教訓に、
トレーニングメニューと生活習慣を見直し、
来年も新しい旅に挑戦したいと思います。

えーじ
posted by ととら at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月27日

身近な謎を追いかけて

esca01.jpg

これ、
先日バレンシア出身のスペイン人のお客さまから頂いたのですけどね、
なんだか分かります?

esca02.jpg

お皿に盛るとこんな感じ。

え? なんか肉を煮た料理?
ま、それはそうなんですけど料理名は何だと思います?

実は皆さんがよく知っている料理なんですよ。
ほぼ和食に帰化したともいえるものですから。

ん? 見当もつかない?
そうですか、じゃ、答えは・・・

esca03.jpg

じゃ〜ん!
答えはエスカベッシュ(Escabeche)、つまり『南蛮漬け』です。

え? これのどこが『南蛮漬け』だって?
どう見たって魚じゃなくて肉だし、
玉ねぎの薄切りも乗ってないじゃないか?

その通り。

肉はウズラですし、一緒に入っていたのは、
ガーリック、ポワロー、ホールブラックペッパー、そして月桂樹の葉。

そしてお味の方は、
ほんのり酸味を感じる濃厚なスープに入った、
骨までほろほろに煮込まれた薄い塩味のウズラですからね。
甘味はありません。

でも、これは缶詰のラベルにもある通り、
エスカベッシュ(南蛮漬け)なんですよ。

以前、ギョーザ本の巻末でもちょろっと触れましたけど、
ポルトガル(南蛮)経由で日本に伝わった南蛮漬けは、
日本でローカライズされて僕らがいま知る形になりましたけど、
スペインでは魚に限らず、
チキンやポークなど肉のエスカベッシュもポピュラーなのですよ。

しかし、これがオリジナルではなかった。

肉じゃがや牛丼など、その国の言葉で意味がある場合は、
そこで生まれた可能性が高いのですが(例外もあります)、
ワイシャツやアイロンのように現地語で意味がない言葉は、
借用語と考えられ、当然、その語が指し示す対象も、
別の場所から伝播したと考えるのが自然です。

反対に、既存のモノを指し示すその国の言葉が、
別の外来語に置き換わるケースは滅多にない。
(ここでも常に例外の存在を忘れるべきではありませんが)

この言語の傾向をエスカベッシュに当てはめてみると、
なるほどEscabecheにはスペイン語としての意味がない。
これは分解しても同じことで、
Es + cabeche、Esca + beche、Escabe + cheなど、
さまざまな組み合わせで調べてみましたが、
いずれの音素にもスペイン語としての意味はありません。

そこで更に調べてみると、
出典は不明ですが、エスカベッシュは西暦700年から1300年の間、
イベリア半島がムーア人に占領されていた時代に、
彼らの料理、al-sikbaj(アッシクバジ)が伝わったとの情報がありました。

しかし、ではアラビア語でal-sikbajに意味があるかというと、
これまたない。

おいおい、それじゃこいつはいったいどこから来たのかと、
もう一丁しらべて分かったのが、
この言葉の語源はペルシャ語のシクバsikbaであり、
sikは酢、baは食べ物の意だそうな。
しばらく前に偶然ご来店されたイラン人の方に確認したところ、
確かに意味はそうなるとのこと。
そしてそのシクバなる料理は、蜂蜜やブドウの果汁、
デーツのシロップなどの甘味料と酢で何らかの肉を煮た料理だったそうな。

ここで僕が過去形で書いたのは訳がありまして、
これまた理由は不明なのですけど、
現在イランでシクバは食べられていないとのこと。

僕らはまだイランの地を踏んでいませんが、
確かにこれまで訪れたアラビア半島や北アフリカの国々でも、
al-sikbajやsikbaと呼ばれる料理を見聞きした記憶はありません。

しかし、この流れを裏付ける物証のひとつが、
今回お目にかけた、日本の南蛮漬けとは似ても似つかない、
ウズラのエスカベッシュなのですよ。
これは全体的に見て、よりsikbaに近いと思いませんか?

この謎を解く手がかりは、ムーア人のテリトリーである、
モロッコとアルジェリアの北部にある、と僕は考えています。

ま、こんな風にして好奇心を原動力に、
僕らは旅先を決めているのですよ。

あの辺はいついけるかなぁ・・・

えーじ
posted by ととら at 13:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月25日

国際認証を取得しました

今どきはIT企業のみならず、
われわれ飲食業も国際認証のひとつやふたつ取得することが、
企業イメージのアピールに繋がります。

そこでととら亭もHACCPの導入にとどまらず、
ISO9001を取得して・・・

という文脈ではございません。

あれは先日のディナータイムでのこと。
カウンターに座った白人カップルが、
ディスプレイの写真を眺めつつ、
英語で、

「ね、ここ分かる?」
「あ〜、そこは・・・分かった! ガムラスタンの裏通りだよ」

お、あたり〜! よく分かったね。

そう、カウンターとホールのハンガーラック上部には、
現在特集している国の写真がディスプレイされています。
いまはスウェーデン。
そこで、

「スウェーデンに行ったことはありますか?」

と訊けば、

「あ、僕はそこから来ました」

とな!

いやはや不思議なことに、
ととら亭では特集料理の国のお客さまが、
かなりの高い確率でご来店されるのですよ。
当然オーダーはフィスクソッパとショットブラール。

ならば食べ進んだところで恒例の『認証テスト』です。

「特集国の方がいらっしゃられたら、
 毎回訊いているのですけどね、
 うちで出しているスウェーデン料理をどう思います?
 率直な感想を聞かせて下さい」

彼は満面の笑みを浮かべ、

「いやぁ、
 ガムラスタンのどのレストランで出しているものより、
 ずっと美味しいですよ!」

これがととら流の国際認証。
今回も自信はありましたけど、
やっぱり本国の方のテストとなると緊張しますね。

ちなみにこのあと、ともこが登場し、日本語で、

「おいしかったですか?」

すると彼もくだけた日本語で、

「めっちゃうまかったっす!
 ボクも家でショットブラールを作るんですけど、
 肉はなにを使ってます?」

っておいおい、日本語しゃべれるんじゃん。
しかもかなり流暢に。

「え? そうかな?」
「旅行ですか?」
「いいえ、東京に住んでます」
「どのくらい?」
「13年・・・くらいかな?」

なぁ〜るほど。
そのあと日本語のメニューやチラシまで読みはじめたくらいですから、
ほんと大したものです。

彼女も彼以上に日本語が堪能だったので、
これでお互い国際認証パスとなりました。

えーじ
posted by ととら at 18:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月23日

10回目もフツーにやります

僕らが野方で迎える年末も10回目。

ととら亭は今年も、
クリスマスツリーなし、サンタクロースなし、
トナカイのコスプレなし、特別メニューもなしで、
いつも通り、フツーに旅の料理で営業します。

いいじゃないですか、
こんなレストランが1軒くらいあったって。

それから年末営業ですけどね、
これまた例年通り、
30日の仕事納めまでディナーは連日ブラック営業しています。

いいじゃないですか、
こんなレストランが1軒くらい・・・
い、いや、ちょっと待った!

最近、ただでさえポンコツ化が進行中のわがボディー。
こんなことをいつまでもやっていると、
マジでまた病院送りになっちまう。

というわけで、
業務のホワイト化を来期の業務目標に盛り込もうと思っています。

む〜・・・あと8日連続営業か!
さ、先は長い・・・

えーじ
posted by ととら at 01:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月21日

とりあえず、ではないお願い

「はい、ととら亭でございます」
「予約をお願いしたいのですが」
「ありがとうございます。
 それでは日にちとお時間、人数を教えて頂けますでしょうか?」
「明日の19時ごろ・・・とりあえず6名お願いします」

この時期、ととら亭に限らず、飲食店はいずれも繁忙期。
そしてまた、
先のようなお電話で困っている店が増える時期でもあります。

席数が40席以上ある店や、
座敷のように厳密な席数がない店であればともかく、
席数が20席もないような飲食店の場合、
予約で「とりあえず」という言葉を聞くと、

む〜・・・
っと眉間にしわが寄ってしまうのですよ。

というのも、
この「とりあえず」を放置した後で待っているのは、
たいてい・・・

「はい、ととら亭でございます」
「あの、今日のディナーで3名入れますか?」
「ああ、すみません。今夜はもう満席になっておりまして・・・」

暖簾を出せば、

「こんばんは! 2名入れますか?」
「ああ、xxxxさん! 
 すいません、今夜は満席になっておりまして」
「え〜! そうなんだ、残念!」

そして件のお客さまがご来店され、

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました。
 6名さまでよろしいですよね?」
「え? 6名っていいましたっけ?
 すいません、2人になっちゃって」

が〜ん!

これ、昨今ネットでも話題になる、
無断キャンセル(ノーショー)ほどではないにしても、
お店側のダメージは小さくありません。

ご予約は人数が確定してから。
そして変更があった場合はすぐご連絡を。


この時期、多くの小さな飲食店が、
同じ思いでいる筈です。

一席の売り上げの積み重ねで給料を創り出している、
零細企業に愛の手を。

えーじ
posted by ととら at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月19日

ようやくなんとか・・・

あいやぁ〜・・・

『僕の出番がないテーブル』
なんてタイトルのブログを書いた矢先、
こっちが出たくても出れなくなっておりました。

もうご来店のお客さまはご存知のとおりですが、
実は僕が火曜日の未明から風邪でダウンしまして、
この2日間、お店はともこのソロ営業だったんですよ。

しかしこれはあくまで裏技ですから、
少しでも早く復帰しようとしたものの、
頼みのカロナールはイマイチ効かず、
熱とのどの痛みとヘルニアまがいの腰の痛みで、
昨日の夜まではまったくのポンコツ状態でございました。

さいわいインフルエンザではなかったせいか、
今朝はようやく8割がた回復し、
ドナルドダックみたいだった声も人間らしく戻ってきたので、
明日のディナーから現場復帰します。

おっと、その前に、
これからリハビリがてら店の片付けに行って来ますね。

えーじ
posted by ととら at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月16日

僕の出番がないテーブル

ある日のディナータイムで。
旧友らしい方々が、
久し振りに集まったテーブルがありました。

みなさん、それぞれの生活や仕事の中で、
求められる役割と責任を背負っている年齢です。

しかし、この日は、

「オレはあの時さぁ!」
「え〜! ちがうよ、あたしはねぇ!」

きっちりしたスーツ姿に似合わない、
そんな言葉遣いで交わされる会話から受けた印象は、
さながらハイティーンの青年たちのよう。

そしてその集いは

「今夜は会えてよかったよ」
「ああ、また会おうぜ」

こう締めくくられたのでした。

いやはや、こんなテーブルで僕の出番はありません。

でも、彼、彼女たちを見送りながら、
僕は心の中で彼らの言葉をひとつ書き換えたのですよ。

ん〜、正しくはね、

「君に、会えてよかった」

じゃない?

人生の中で、そういえる人との出会い。

それは、おカネやキャリアとは比べられない、
ひとつの宝物なんだよね。

あ、説明はいらないか。

えーじ
posted by ととら at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月13日

第7回研修旅行 その10 最終回

この仕事を始めたころ、
世界各国の料理を紹介するために探していたのは、
たとえばイタリアのピッツァや中国の餃子のように、
その国『独自』の料理でした。

ところが!

料理を探す旅を続けるうちに、
そもそもな疑問が僕の中で膨らんできたのですよ。
それは・・・

ピッツァって、イタリアで生まれたんだよね?
ん? でも原料の小麦って、
メソポタミアで栽培が始まったんじゃなかったっけ?
そう言えばギリシャに袋状のパンでピタってのがあったよな。
似たような名前だけど、無関係なのかしらん?

とか、

イタリア料理・・・イタリア・・・
って昔はローマ帝国だったんだよね?
あれ? ローマ帝国ってヨーロッパから中東、
はてや北アフリカまでを含む、むちゃくちゃ大きい国じゃなかったっけ?
ん? でもイタリアってそんなに大きくないし、
国として統一されてから、まだ160年弱しか経ってないの?

なんてことを考えるうちに、

その国の文化100パーセントで創られたオリジナル料理ってあるのかしらん?
いや、それをいうなら、
他からまったく影響を受けずに純血を保ち続けている国ってどこかにあるの?
いやいや、そもそも、いまある国って、
アダムとイブの時代に神さまが創ったんだっけ?

という身も蓋もない、
『そもそも論』の無限ループにはまってしまったのです。

たぶん、それは僕が日本で生まれて日本で育った、
日本人だからなのかもしれません。

そしてこれまた多分、
大陸で生まれ育った人たちは、
こうしたそもそも論に陥ることはまずないでしょう。
特に、今回の旅で訪れたレバノンのような国の場合は。

古くはカナンと呼ばれ、フェニキア人が旅立ち、
その深い歴史の積み重ねを文化の土台として持ちながら、
住む人も、統治する者も、幾度となく入れ替わった場所。

さらに今の国境線は、
フランスが統治目的で大シリアを分割した結果ひかれたもの。

そこで生まれ育った人に、僕ら日本人がよく使う、
『わが国固有の領土』なんてフレーズは意味不明なんですよ。
ここでは『領土』という言葉を、
文化、民族、言語、宗教、はてや歴史と入れ替えても同じこと。

とどのつまり人間の営みにおいて、
パテントが取れるようなオリジナリティなんてのは、
ないのかもしれません。

レバノンの料理はそうした文化のダイナミクスを、
いちばん美味しい形で教えてくれたのでした。

えーじ

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See you on the next trip!!
posted by ととら at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月10日

第7回研修旅行 その9

ビジュアルレポート後編はトリポリの折り返しからですね。
ビブロス、バールベックと歴史を巡る旅を続けつつ、
さまざまな文化が混淆した料理のいくつかをご紹介しましょう!

lb_tripoliroad.jpg

トリポリバスターミナルは道路封鎖されていて使えなかったため、
僕たちは無料のシャトルタクシーで街はずれまで運ばれ、
そこで往路と同じようなバスに乗り換えました。
ビブロスはそれと分かるバスターミナルがあるわけではなく、
(バス停すらないのですよ)
ご覧のような幹線道路の『どこか』の路肩で降り、
そこから徒歩で遺跡まで行くしかありません。
とうぜん僕らはその場所がどこか分からない。
しかし心配は無用でした。
親切なドライバーさんは、僕らがビブロスで降りますと伝えておいたら、
ちゃんと一番近い所で停まって「着いたよ」と教えてくれましたから。

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幹線道路から西へ10分ほど歩いたところにあるビブロス遺跡。
その歴史は古く、紀元前15世紀頃から紀元前8世紀頃にかけて、
ラテン文字の元となるフェニキア文字を発明した、
フェニキア人の都市のひとつだと言われています。
またその地名は本来のグブラより、
エジプトのパピルスがこの地を経由してギリシャに伝わったことから、
ギリシャ語で紙を表すバイブルスが転訛した、
ビブロスという名で知られるようになり、
さらにその言葉から書物を表すビブリオン、
はてや聖書を表すバイブルという言葉が生まれたそうな。
そんな深遠な謂れをよそに、
現代のこの街は、ひっそりと地中海から寄せる波に打たれていました。

lb_byblosfortres.jpg

フェニキア人の発祥地としても知られるこの場所は、
新石器時代の住居跡まで残っており、
300メートル四方という狭い範囲ながら、
1万年を超える時間の堆積が体感できます。
遺跡に入ると目の前に聳えているのが十字軍時代に造られた城。
それぞれの時代にさまざまな民族がこの地を支配し、
そして消えて行きました。
散在する各時代の遺構を縫うように歩いていると、
あまりひと気がなかったせいか、
ひょっこりローマ人やフェニキア人と出っくわしそうな気がしてきます。

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入場口から街の中心まで延びる土産物屋横丁。
ここに出ると、とつぜん現代に引き戻されます。
数千年を一挙にジャンプするので、
暗い映画館から日中の街に出てきたような、ちょっと白々しい感じ。
そういえば今、この地の多数派はアラブ人なんですよね。
でももし歴史は繰り返すのであれば、
今から数百年経つと、
また別の民族がここに住んでいるのかもしれません。
いや、もしかしたら誰もいないかも・・・

lb_byblossunset.jpg

時計は16時15分。
さぁ、いい時間です。港まで行ってみましょう!
で、ベストタイミングで見られたビブロスの夕焼け。
古代の港に沈む夕日はまた格別の美しさがありました。
ここから地中海の西へ向けて、レバノン杉で作った帆船に乗り、
フェニキア人たちは旅立って行ったのですね。
ちなみにその一派の作った街がカルタゴです。
そう、今のチュニジアですよ。

lb_vegetables.jpg

ああ、ここから悠久の旅が始まったのか・・・
と、感慨にふけってばかりはいられません。
お仕事に戻りましょう。
中東の食事で面白いのがこれ。
オーダーした料理以外に、この野菜セットと(あえてサラダとは言いません)、
ピクルスの盛り合わせが付いてくるのです。
ん〜、でもピクルスはともかく、この野菜はどうしたもんだろう?
見ての通り、ナイフでざくざく切って食べるのかしらん?

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これは香ばしく焼き上げたラムケバブのキシュカシュソース添え。
中東の料理はこんな見かけをしていても、
それほどスパイシーではありません。
この料理も例外ではなく、ソースはトマトベースで、
ほんのりガーリックとスマックの酸味を感じる程度。
これがまたサフランライスとよく合うんですよ。

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同じラムケバブでも、
料理がより洗練されたレバノンではバリエーションも豊富です。
いかがです? ちょっとデザートみたいでしょ?
これはヨーグルトソースにドライフルーツのソースを合わせたもの。
酸味と蜂蜜を思わせる濃厚な甘みが絶妙なハーモニーを奏でていました。

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これもレバネーズならではと思われる、
シーフードのタヒーニ(ゴマペースト)ソース添え。
ゴマとチーズの濃厚なソースと淡白な白身魚の相性は、
ちょっと想像できないものかもしれません。
実はこの料理、今年の1月に行ったカイロのレバネーズレストランで、
一度食べていたのですよ。
あんまりおいしかったものですから、
ぜひ本場で試してみようと思っていました。
ん〜・・・さすが!

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へぇ〜、この料理にも歴史を感じさせられますね。
『トマトキッベ』とメニューにあったのでオーダーしてみたら、
なんと出てきたのは、ととら亭でも紹介したことのある、
アルメニア版タブーレのアルメニアンイーチじゃないですか!
それもそのはず、第1次世界大戦中、
アナトリア半島のトルコ領に住んでいたアルメニア人は、
強制移住を強いられ、その一部がレバノンに辿り着いていたのですから。

lb_manti.jpg

となればこれもあるかな?
そう思って探したら、やっぱりありました!
ソースに埋もれていて分からないと思いますが、
エレバンで食べ損ねたアルメニアギョーザのマンティです。
かりっと焼いたラムギョーザが暖かいヨーグルトソースに入っていました。
表面に振られているのはスマックです。
人と食は一体であり、その人が移動すれば自ずと食もまた移動する。
そして食は環境の変化を柔軟に吸収し、ローカライズされて根を下ろす。
こんな一皿でも、料理はまさしくタイムマシンのように、
時間を横断したものなのですね。

lb_cora.jpg

さて、せっかく念願のレバノンに来たのですから、
もう一か所、足を延ばしましてみましょうか。
行き先はローマ時代の遺跡が残るバールベックです。
しかしホテルのフロントで行き方を訊いてみると、
「治安に問題はありませんが、
 あなたたちがローカルの交通機関を使うのは・・・
 どうでしょうねぇ?」
とのこと。
で、コーラにあるバスターミナルに行ってみたら・・・
なるほどこういうことか。
バス停はご覧の通り、ただの駐車場。
シャールへロウバスターミナルも同じでしたが、
公衆トイレはなかなかの恐ろしさがありました。
バスもトリポリに行ったとき乗ったようなものではなく、
だいぶ草臥れたミニバン。
ま、これはこれで僕らの旅にはよくあることですけどね。

lb_beccavallay.jpg

僕らを乗せたバンはベイルートから東に向かい、
息を切らせながらレバノン山脈の急な上り坂を登り始めました。
やがて標高1400メートルほどの高さの峠を越えると間もなく、
ベカー高原の街、シュトゥーラです。
奥に見える山脈はアンチレバノン山脈。
そしてあの向こう側はもうシリアなのですよ。
ここはアラビア半島とは思えない緑に覆われていました。
南部のクサラではワイン造りも盛んです。
(ここのワイン、ととら亭で出していたことがあったっけ)
そして田園地帯を1時間弱、北東に進むと・・・

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着きました、1世紀、ローマ時代に建造されたバールベック遺跡です。
内戦で荒廃した国の遺跡とは思えないほど保存状態が良くてびっくり。
10月から始まった騒動の影響か、
ほとんど観光客の姿がなく、ひっそりとしていました。
ん〜、これぞ廃墟というムード。

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かつて巨大なジュピター神殿があった場所に残る6本の列柱。
この遺跡のシンボル的な存在です。

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アテネのパルテノンを上回る大きさのバッカス神殿。
保存状態がよく、ギリシャ風の壁模様もはっきり残っているので、
内側からゆっくり見れるのもいいですね。

lb_beswarma.jpg

さて、歩き回ってお腹が空きました。
バールベックの街に戻って入ったお店は中東定番のシャワルマ屋。
(トルコのドネルケバブがアラブ圏ではこの名で呼ばれています)
直感で入った小さなお店でしたが地元の大繁盛店だったようで、
テイクアウトも多く、ひっきりなしにお客さんが入って来ました。

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ここでの取材対象はローカルファーストフード。
他の地域と比較するため
僕たちはここでチキンシャワルマとファラフェルを注文してみました。
出てきたのは野菜やピクルスと一緒にラヴァシュでロールしたもの。
で、お味の方は・・・どちらもほど良くスパイシーでうまい!
なるほど人気があるわけだ。

lb_sunset02.jpg

ベイルートへ戻ったのはちょうど16時過ぎ。
天気は晴れ。となれば間に合うかな? 
と一縷の望みをかけて途中でミニバンを降り、
タクシーに乗り換えて鳩の岩まで急ぐと・・・
おお、これまたジャストのタイミングでした!
地中海に沈む夕陽。
こんな夕焼けをぼ〜っと見ていられることが、
僕たちにとって、旅の中で一番の贅沢なのかもしれません。
ほんと、美しい・・・

lb_tomokobeer.jpg

え? わたしにはこれが一番のご褒美だって?
どうやらこの『バルコニー・ビール』を出発前から企んでいたそうです。
これまた普段はまず出来ないことですからね。
ま、取材も無事、予定通り終わり、あとは帰国するだけですからいいか。
あ〜、もしもし!
それもいいけど取材ノートのまとめもよろしくね!

次回はいよいよ最終回。
UAE・レバノンの旅のちょっとディープな裏事情をお話しましょう。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月07日

第7回研修旅行 その8

お待たせしました、
レバノン研修旅行のビジュアルレポート!
今回はかなり盛りだくさんな内容だったので、
前編・後編に分けてお伝えします。
まずはベイルートとトリポリ編から。
それではさっそく行ってみましょうか!

lb_flightmap.jpg

9時50分、定刻通りアブダビ国際空港を飛び立った、
エティハド航空EY535便は、アラビア半島を西北西に横切り、
4時間40分でベイルートへ。

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先のブログで成田発便の機内食を嘆いた僕らでしたが、
アブダビ発の便でサーブされた、
ラムシチューのサフランライス添えはOKでした。
ここではたと気が付いたのですけどね、
エティハド航空さんに限らず、
成田発便の機内食はおしなべてNGなことが多いんですよ。
(あくまで僕らの主観ですが)
そこでもう一丁、その『なぜか?』を掘り下げてみますと、
ご飯にその原因があるのではないか?
という結論に至りました。
そう、ご覧のようなインディカ米は、
汁物がかかって時間が経っても美味しく食べられますが、
ジャポニカ米はぐちゃっとなってしまいますよね?
しかもエコノミーの機内食は、汁物ではないにしても、
おかずがご飯と隣接しており汁気が混ざるのを防ぐ構造になってない。
ましてやそれがかつ丼やカレーライスだったりすると、
再加熱されたときにはもう『おじや』状になっちゃってるんですよね。
今回、成田発便で僕らは機内食をチョイスできず、
問答無用でチキンカレーになってしまったのですが、
蓋を開けてみれば、これがチキンカツカレー。
カリカリのはずの衣はくしゃくしゃ、ご飯はぐちゃぐちゃで、いと悲し・・・
懐事情は苦しいと思いますが、航空会社さん、ぜひご一考を!

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話を戻しましょう。。
つい機内食ネタで力が入ってしまいました。
レバノンは準戦時国なのでラフィック・ハリーリ国際空港の写真はなし。
レバノン空軍も共有している空港なので、
こういう場所ではカメラも出さない方が無難です。
そういえば2006年にヒズボラがイスラエル軍兵士2名を拉致した報復で、
この空港も爆撃され、退路を失った外国人観光客を、
各国の救援部隊が海から救ったという事件がありましたね。

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そんなドンパチもこうした風景を見ていると遠い過去の話のようです。
ここは観光客のみならず、ローカルも集う鳩の岩。
日中もいいですが、ここから眺める地中海に沈む夕日は格別です。
道路沿いには洒落たカフェやレストランが沢山あります。

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目抜き通りのハムラストリート。
ホテルや両替屋のほか、カフェやレストランがずらっと並んでおり、
ベイルートの随一の観光拠点です。
僕らはここの西の外れにあるホテルに投宿しました。

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ハムラストリートはアート感覚に溢れており、
至るところでこうしたウォールペインティングが楽しめます。
ちょっとっした現代美術館って感じ。
無造作に貼られたコンサートや演劇のポスターもいいセンスです。

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よそ行きのハムラストリートを離れ、ローカルタウンのサナヤ地区へ。
そこでいい匂いに引かれて近付いてみれば、
おおっ! クナーファ屋じゃないですか!
これアラブのホットチーズケーキともいえるスウィーツで、
(写真、ともこの右後ろにある円形のもの)
僕らはアンマンの有名店ハビービで初めて食べましたけど、
ほんと、ほっぺが落ちる美味しさなんですよ。
ここレバノンではさらにパンにはさんで朝食にも食べるそうで、
僕らもそうやって食べてみました。

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そんなほのぼの気分で歩きつつダウンタウンに近付くと、
中心のエトワール広場は警察に封鎖されているじゃないですか。
そう、ここは10月17日に始まった反政府抗議活動の中心地なんですよね。
有刺鉄線が物々しさを醸し出していましたが、
小康状態に入ったのか、警察官たちの様子に緊迫感はありませんでした。
でもバリケードの向こうに見える、
ムハンマド・アミーン・モスクまで行けなかったのは残念!

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ダウンタウン周辺にはこうした内戦の傷跡が、
30年の時を経てもなお生々しく残っています。
写真ではよく分からないかもしれませんが、
壁には無数の弾痕がありました。
しかし、この一種のモニュメントが、
今回の騒動のブレーカーになっているような気もします。
そう、理念はどうあれ手段としての暴力がどんな結果をもたらしたか、
レバノンの人々がそれを一番よく知っているのだと思います。
今回も話し合いで解決するといいですね。

lb_hotel02.jpg

さて、僕らが投宿したのはこんなホテル。
場所はハムラストリートの西の外れの脇道にあり、
海岸沿いのラウシュ地区にも徒歩で行けます。
取材には利便性の高い立地でした。

lb_hotel01.jpg

いかがです? 広くてきれいでしょ?
このグレードにもかかわらずお代は一泊朝食付きで約5,200円也!
ハイパーコスパのホテルです。

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朝食もご覧の通り。
中東料理とコンチネンタルのハイブリッドで、
コーヒーも抜群においしい!
スタッフはみなさんラブリーだし英語も問題なく通じるしで、
とても快適に過ごせました。シュクラン!(ありがとう!)

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レバノンの通貨はレバノンポンド。
ネットで調べた為替レートは100米ドルで150,000ポンドでしたけど、
ハムラストリートの両替屋では200,000ポンドになりました。
なんか得した気分。
ちなみにクレジットカードはホテル、
中級以上のレストランであれば問題なく使えます。
現地通貨を引き出すPlus対応ATMも健在。

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僕たちが取材していたのは、
こんなファサードのローカルレストランが多かったです。
場所によっては英語のメニューがなかったりしましたけど、
英語がかなりの確率で通じましたから問題なし。

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さて、それではそろそろお仕事を始めましょうか。
ヒヨコマメをペーストにしてタヒーニ(ゴマペースト)、
塩、レモンジュース、ガーリックを加え、
オリーブオイルを添えた中東料理の定番、フムス。
これとピタパンがあれば、十分朝食が成り立ちます。

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レバノン発祥ともいわれるイタリアンパセリのサラダ、タブーレ。
これ、先のアブダビでも食べましたけど、
レバノンはブルグル(弾き割小麦)がほとんど入らず、
レモンの酸味がより効いていてさっぱり食べられます。
右側はナスのペーストのムタバル。
ん〜、食欲が湧いてきた!

lb_fetteh.jpg

これは古くなったピタパンを油で揚げ、
ナッツ、ヒヨコマメと一緒にヨーグルトで和えたフェッタ。
結構ボリュームがあり、これ一杯食べただけで満腹になりました。
動物性の食材をまったく使っていないため、
ベジタリアンにもいいかな?

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ほのかにオールスパイスが香る挽肉や野菜などを、
ブルグルでコーティングして揚げたキッベ。
これもレバノン発祥の料理と言われていますね。
ご覧の形がポピュラーですけど、
棒状のケバブでもブルグルでコーティングしたものは、
おしなべてキッベの名で呼ばれます。
前菜にいい一品。レバノンビールのアルマザにぴったり。

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さぁ、今日はちょっと遠出しましょう。
まずは北部にある第2の都市、トリポリへ。
シャールへロウバスターミナルはダウンタウン東部の高架下にあり、
ここまではタクシーで移動。
道々ドライバーさんと話をしていたのですが、
現在、景気がとても悪く、石油も不足気味で、
この週末はガソリンスタンドがみな休業してしまうとのこと。
「ガス欠じゃ商売になりゃしない!」と嘆いていました。
ちなみにここでバスチケットを買おうとしたら、
「トリポリ? それともダマスカス?」と訊かれたのですよ。
そう、今は入れないシリアの首都まで、
ここからほんの150キロメートほどしか離れていませんからね。
もしこの地域が平和だったら、
ヨルダンのペトラ、死海、アンマン、ジュラシュ、
イスラエルのエルサレム、
シリアのダマスカス、パルミラ、
そしてレバノンのビブロスやバールベックを、
あまり労せず、ぐるっと陸路で周れたんだけどな・・・
ほんと、重ねかさね残念です。

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シャールへロウを出発したバスは地中海を左に、
市街地を右に見ながら北上して行きます。
途中でビブロスを左に見ながら通過しました。
ここは帰りに寄る予定です。

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ベイルートから約90キロメートル離れたトリポリまでの所要時間は、
途中で乗客の乗降を繰り返しつつ90分くらい。
景色を楽しんでいる間にすぐ着いた感じです。
しかしあと数百メートルというところでバスが停まってしまいました。
なんでもバスターミナルのあるラウンドアバウトは、
現在封鎖されているので、これより先は入れないとのこと。
僕らは帰りのバス乗り場を確認するため、
そこから歩いて行ってみました。
で、なるほど着いてみればこの通り。
改革というより革命を訴える拳が描かれているじゃないですか。
しかしながら人々が抗議活動をしている姿はなく、
軽食の屋台がならび、さながらちょっとしたお祭りのよう。

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向こうに見えるのは旧市街の中心、タール広場にある時計塔。

lb_tripolisouk.jpg

で、僕たちのお目当ては旧市街の東に広がるスーク(市場)です。
この辺りは迷路のように入り組んでおり、
僕らも歩き始めて5分も経たないうちに現在位置を見失いました。
GPSを使っても道が細か過ぎてよく分かりません。
それでも人はフレンドリーです。
観光地ではないこのエリアで外国人の姿は珍しいのか、
目が合って挨拶すると、
「レバノンへようこそ!」と何度も声をかけて頂きました。
なんか素顔のこの国に出会えたようでうれしいですね。

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スークでは生活に必要なものなら何でも売っています。
こうした美味しそうなオリーブなんかは買って帰りたいなぁ・・・
といつも思うんですけどね。

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時間はまもなくお昼です。
僕らはローカルで賑わうレストランに入り、
先にご紹介したフェッタとフムスを注文。
これにピタパンを数枚食べたらお腹いっぱいになりました。
さて、ここで折り返し。
次は途中で通過したビブロスに向かいます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月05日

ととら亭再起動 201912

昨日はふたりしてほぼ終日お店にこもり、
再起動に向けた仕事をやっていました。
ともこはもちろん仕込み。
僕は月末月初のペーパーワークと取材ノートのまとめ。

今回は僕も頭の切り換えが早くできたようです。
たぶん、UAE、レバノンともに治安と衛生環境が良く、
心理的なギャップも少なかったからかもしれません。

ここで一度、仕事をリセットし、
心機一転、次の新しい旅へ向けて駒を進め始めます。

思えば旅は、
僕たちにとってメニュー変え以上に仕事の区切り、
いや、生活の節目なのですよ。
ほら、みなさんも、学期末や年度末のように、
何かしらの大きな節目があるでしょう?

ちょうど12月といえば、
僕たちにとって来季の予定を決める時期にもあたります。
この1年を振り返り、旅の軌跡を辿りながら、
次の来たる1年に行くべき方向を決めるのです。

訪れた国は、
トルコ、エジプト、中国、モンゴル、UAE、そしてレバノン。

ご紹介した料理は、
ポーランド、アゼルバイジャン、エジプト、そしてスウェーデン。

となると次は・・・

世界は広いですね。
何処まで行けるかは別として、旅に終わりはないのでしょう。

野方での1日もその旅のひとつ。
さて、ディナーの準備を始めますか。

えーじ
posted by ととら at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月04日

第7回研修旅行 その7

いやぁ、東京も冬に入りましたね!
昨日は意外と暖かくて温度差を感じませんでしたけど、
今朝の冷え込みはさすがに帰国したことを実感させてくれました。

僕らが野方に戻ったのは昨日の日暮れ前。
ロングフライトの後は熱い風呂に入り、
体を伸ばして爆睡しましたから今日は朝から元気いっぱいです。

ではさっそく、
時計をレバノン時間12月2日の12時に巻き戻して、
帰路のお話を始めましょうか。

ホテルをチェックアウトした僕らはタクシーで、
市内から南へ9キロほど離れたラフィック・ハリーリ国際空港へ。
(レバノンには鉄道がないのですよ)

道々ドライバーのおじさんと話をしていたのですが、
昨今の経済事情は最悪だそうで。
ひどいインフレにもかかわらず賃金は上がらず、
加えてレバノンポンドが米ドルに対してだいぶ値下がりしたため、
平均月収はおおよそ800米ドル程度、
(日本円で約8万7千円)だろうと言っていました。
なるほど、どうりで市内は空テナントが目立ち、
走る自動車も草臥れたものが多かったわけです。

そうした事情を反映してか、
空港もボーディングゲートは20以上あるもののショップはぼちぼち、
飲食店に至っては、しょぼいカフェとレストランが3軒しかありません。

正午にもかかわらず乗客も少なかったです。
僕たちはさらっとチェックインして保安検査から出国審査へ。
ここでUNIFIL、
(国際連合レバノン暫定駐留軍)のイタリア軍の方々と一緒になり、
この国が未だ準戦時国であることが思い出されました。
イスラエルとは因縁の仲ですからね。
ほんと、この辺の事情は複雑なんですよ。
そもそも中東一帯の国境線は他国によって引かれたものだし、
僕らがあたり前だと思っている近代国家の概念ですら、
アフリカの国々と同じく、強引に押し付けられたようなものですから。

そんなことをつらつら考えているうちに、
ボーディングタイムとなりました。

そうそう、今回のフライトでふと気付いたのですが、
なんと往路復路共にバックパッカーの姿を見かけなかったのですよ。

偶然かな?

でも観光資源の乏しいアブダビはともかくとして、
ラフィック・ハリーリ国際空港のターンテーブルでも、
回ってたバックパックは僕たちのものだけ。
ビブロスやバールベック等の観光地でさえ見かけなかったってことは、
偶然ではないような気がします。
そういえば、
今年の1、2月に行ったトルコやエジプトでも会わなかったな。
もしかしたら中東は、
欧米人バックパッカーから敬遠されているのかもしれませんね。

アブダビで日本に向かう便のボーディングゲートまで来ると、
急に日本人の数が増えてきました。
今回の旅でUAE入国以降、日本人の姿を見かけたのは、
アブダビのレストランで2回だけでしたから、
(レバノンではゼロ)
ああ、帰路についたんだな、という実感が湧いてきます。

みなさん、どんな旅をしてきたのでしょう?

僕たちの前のベンチで、
ツアーアンケートを真剣に記入しているふたりの女性は、
手荷物からするとスペイン帰り?

さすがに帰路となるとみなさんお疲れですから機内は静かです。
そこでひときわ目立つのが、
元気いっぱいな、ここから出発となる日本人以外の乗客たち。
やたら賑やかな白人グループは、
言葉からしてロシア人以外のスラブ系だと思っていたら、
なんとセルビアの方々でした。
これから日本のどこを訪れるのかな?

旅の始まりと終わりが交錯する機内と空港には、
さまざまなドラマがあります。
夢の詰まった荷物を持つ旅人ひとりひとりが、
それぞれの物語の主人公なんですよね。
いろいろありましたけど、
僕たちの旅も、とてもいい物語になりました。

さて、次回はいよいよレバノンのビジュアルレポートです。
お楽しみに!

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月02日

第7回研修旅行 その6

今はレバノン時間午前8時40分。
外は雨上がりの快晴です。

今回の旅は天候に恵まれました。
アラビア半島に位置するとはいえレバノンは地中海性気候なので、
ヨーロッパの国々と同じく普通に雨が降ります。
昨夜も僕らがホテルに戻った後、強い雷雨があったのですが、
僕らは滞在中、一度も傘を使わずに済みました。

さて、間もなく僕らはホテルをチェックアウトして、
14時発の便で帰路につきます。
アブダビでトランジットして22時15分発の便で成田へ。
予定通り行けば、3日の昼頃には日本に帰っているでしょう。

そこでその前に、
取り急ぎUAEの旅をビジュアルレポートしましょうか。

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UAEを訪れたのは2度目ですがアブダビは初めてです。
同じアラビア湾に面しているせいか、
海沿いの風景はドバイやカタールのドーハとそっくり。
土地が豊富なため社会主義国のように街の区画が大きく、
大雑把な造りなので、歩いて回るのはお勧めしません。
僕らは取材予定の、
散在しているスーク(市場)に行きやすい場所のホテルに泊まりましたが、
案の定、日中てくてく道路を歩いている人は殆どいませんでした。

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で、これがそのホテル。
ドバイと違い、アブダビの中心部は安ホテルがありませんね。
底値を狙っても1泊7千円台で、
それに税やサービス料が加わって8千円を超えました。

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それでしょぼい宿だったら泣けますけど、
チェックイン時に部屋がアップグレードされ、
(booking.comのフリクエントトラベラーだからかな?)
広い寝室のほかにこんなリビングまであるゴージャスな部屋へ。
む〜、こうなると値段以上かな?
ちなみにこのホテル、
レビューではスタッフの態度がボロボロに批判されていましたけど、
僕らが会った人たちはみんなラブリーでしたよ。

ae02_asahi.jpg

トイレでふと気づいた謎です。
排水溝の蓋にこんな刻印がありました。
ここから秘密のビールが出てくるのかしらん?
そんな訳はないか。

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ホテルの周辺は広い道路が縦横に走り、
中東産油国にありがちな高層ビルが林立する近代都市という感じ。

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人間臭さのない街はあまり僕らの好みではありませんけど、
スークに足を踏み入れてみれば、おお、これこれ!
アラビア湾で獲れる魚がずらっと並んでいます。
アラブ料理というと肉というイメージが強いのですが、
実はシーフードが美味しいんですよ。

ae02_restaurant.jpg

それじゃ市場の取材が終わったら、
外縁に併設されているレストランに行きましょう。
僕らはメニューを見せてもらいながら直感でこの店へ。

ae02_taboure.jpg

まずはサラダの定番、イタリアンパセリとミントのみじん切りに、
ブルグルを少々加え、たっぷりのレモンジュースでさっぱり和えたタブーレ。
この爽やかな酸味が食欲を目覚めさせます。
ちなみにヨルダンで食べたものよりブルグルが少ないですね。

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メインはこれ、シーフードタジン。
イカがたっぷり入ってボリューム満点!
ソースはスパイス感がなく、ガーリックの風味と辛味がほんのり感じる程度。
シーフードの旨味を主役にした料理です。
料理名のタジンはもちろんモロッコ由来と考えられますけど、
とんがり蓋つきのなべ焼きではなく、
単純に土鍋でサーブしているから付けられているようですね。

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で、もうひとつのメインはシーフードライス。
どうですこのボリューム!
山盛りではなくピラミッド盛りって言うんですかね?
そして肝心の味の方もピラミッド級でした。
色のわりに薄味でとても美味しい。
これに先のタジンをソース代わりにしてもりもり食べてしまいました。
うう、初日からフードファイトになっちゃった。

ae02_farafel.jpg

アブダビの滞在は正味1日しかないため、厳しい取材は続きます。
ショッピングモールに併設された近代的なスークでは、
レバノンタイプと目される、
ヒヨコマメとソラマメをブレンドしたファラフェルを見つけました。
覚えてます?
エジプトではこれがソラマメで作られターメイヤと呼ばれているのを。
そのハイブリッドタイプはどうなのか?
ん〜・・・味的にはそんなに大きな違いはないかな?

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ちなみにファラフェルはこのまま齧るより、
軽く潰して野菜やピクルスと一緒に、
このピタパンにくるんで食べるのもポピュラーです。
屋台の定番料理のひとつですね。

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もうひとつの中東の定番と言えばヒヨコマメのペーストに、
タヒーニ(ゴマペースト)とガーリック、レモンジュースを混ぜたフムス、
そして言わずもがなシャワルマ(ドネルケバブのアラブ名)。
これまた先のピタパンに入れて食べると、とても美味しいです。
また豆料理なので腹持ちもいい。
つまり・・・僕らのお腹はもうパンパンです。
うう・・・ホテルに帰ろう。

ae02_airport.jpg

翌日は早出で空港に戻り、
今回の主取材地、レバノンのベイルートへ。

この続きは冬の入り口の東京からお伝えしましょう。
それでは!

to be continued...

えーじ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

え? なに?
ブログ書いたからアップしてくれ?
おいおい、もうすぐチェックアウトしなくちゃいけないのに!
こういうのは早く言ってちょうだいよね!
じゃ・・・


ともこです!
はぁ〜、間に合った!

今日で今回の旅も最終日。
いつもながらに早かったなぁ。
短い間でも、とっても収穫の多い旅になりました。
今まで行ったことがあって、食べたこともある国の料理と、
レバノン料理の比較が興味深かったです。
野菜、特に豆類や乳製品をたっぷり使った料理は、
ヘルシーで美味しいものばかり!
いつかぜひ、ととら亭で再現してみたいです。
きっと皆さんにも楽しんでいただけると思います。
レバノンワインとビールも一緒にね!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・?
終わり? ほんとに?

じゃ、アップロードしちゃうからね。
まったくもう!
posted by ととら at 16:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月01日

第7回研修旅行 その5

今日のベイルートは晴れ。
気温は東京の10月中旬といったところでしょうか。
オープンテラスに面した席で朝食を食べていると、
気持ちのいい風が入ってきます。

今日は僕らにとって珍しい完全なオフ。
目覚まし時計に起こされるのではなく、
自然に目が覚めるまでぐっすり寝て、
シャワーを浴びた後は、
時間を気にせずにのんびり美味しい朝食を楽しむ。
(中東系とコンチネンタルが混ざったこのホテルの朝食は最高!)

かつて会社員時代にはあたり前だったことが、
今では年に数回しかなくなってしまったせいか、
今日は心の底から「オフ」って気分を堪能しています。

一昨日と昨日は情報収集を重ねに重ねた結果、
プランA通り、トリポリ、ビブロス、バールベックを周ってきました。
一部は外務省さんの危険情報レベル2地域にあたるので、
かなりいろいろな角度から慎重に検討してきましたが、
それぞれ当日は治安上の問題がなかったのはラッキーでした。
実際に現地では他のツーリストの姿もあり(ぼちぼちですが・・・)、
危険な雰囲気はまったくなかったですね。

かといって、もちろん「だから大丈夫ですよ!」とはいいません。
レバノンは様々な根深い国際・社会問題を抱え、
その緊張が人々の忍耐の限界まで高まっているので、
ちょっとした針の一刺しが、
一挙に連鎖反応を引き起こす可能性は十分あると考えられます。
しかもその正確な予測は現地の専門家でもつかず、
ひとたび起こってしまったら、政府や軍ですら制御することは難しい。

ま、この辺の詳しいお話は帰国後に譲るとして、
本題の料理の報告に入りましょうか。

タイトルは『研修旅行』のままですが、
クッキングクラスは不確定要素が多すぎるので、
今回は取材に徹することにしました。

レバノンは中東料理の発祥地である・・・
と言ってしまうと語弊がありますけど、
料理が最も洗練された国であるというならば、
同意してくれる人は少なくないでしょう。

で、その前置きとして、
皆さんの先入観をクリアするとこらか始めたいと思います。

1.中東の料理はスパイスをたっぷり使っている。

 →違います。使っていても「ほんのり」という表現が正しい。
  南西アジアや中米のようなスパイス感はまずありません。

2.中東の料理は辛いものが多い。

 →違います。
  確かにハリッサやシャッタのようなホットペーストはありますが、
  それとて辛味より香り・うまみ付けの要素に軸足が置かれており、
  料理そのものがデフォルトで辛いケースは稀れ。
  あってもピリ辛程度です。
  そもそもアラブ人は辛い物が苦手な方が多いのですよ。

3.祖先は遊牧民なので肉料理が多い。

 →違います。もちろん肉は食べますが、
  主要なたんぱく質は豆や乳製品から摂っており、
  朝食の献立はベジタリアンといってもいいほど。
  油っぽくもないのでヘルシー。

意外ですか?
僕らもすべての地域を周ったわけではありませんが、
少なくとも中東のトルコ、ヨルダン、カタール、UAE、オマーン、
そして今回のレバノン、
それから同じくアラブの食文化を共有する、
北アフリカのモロッコ、チュニジア、エジプトを調べた結果、
先の結論に達したのでした。

あ、もうひとつ付け加えるなら、
どれもおいしい! かな?
僕たちは中東料理が大好きです。

ここレバノンは人口構成でクリスチャンが3割前後いますから、
コシェル(ユダヤ教徒)、
ハラール(ムスリム)などの食の戒律が全体としては緩く、
お酒も普通に飲めるので料理のバリエーションはとても豊富。
かつ面白いのは、同じ料理の各国間における比較です。
フムスのように違いのないものもあれば、
タブーレやファラフェルのように素材が微妙に異なるケースもある。

アルメニア人が多いことからその影響も垣間見られます。
名物料理のキッベを調べていた時、
とあるレストランのメニューに『トマトキッベ』とあったのでオーダーしてみれば、
出てきたのは僕らがアルメニア版タブーレとして紹介した、
『アルメニアンイーチ』じゃないですか。
なるほどレバノンではブルグルを入れると、なんでもキッベになるのかもしれません。
他ではひき肉のケバブにブルグルをまぶして焼いたものを、
同様にキッベと呼んでいましたし。
そうそう、エレバンでは食べ損ねたギョーザのマンティもありましたよ。
もちろんチェック済です。

ユニークなものでは、
タヒーニ(ゴマのペースト)をソースに使ったシーフード料理。
これ、今年の1月に行ったエジプトのカイロで、
レバネーズレストランに入った時しったのですが、
トマトとゴマを合わせたソースは意表を突かれるおいしさでした。
もちろんベイルートでも本場のものを試してみましたよ。

また、ラムひき肉のカバブにヨーグルトソースをたっぶりかけ、
フルーツの甘味と酸味を加えた料理も他では類のないものでしたね。
それからレバノン産のビールやワインも美味しい。
しかもオープンに楽しめるし。

物価は東京よりちょっと安いかな? というレベルなので、
アラビア半島標準からすると、やや高めだと思います。
ちなみVAT(付加価値税、日本でいう消費税)は11パーセント。

今日はこれから昼食を摂りに出かけつつ、
ぶらぶらハムラストリート界隈の撮影をやってこようかな、
っと思ってます。
取材もあらかた終わっているので気分は楽。

明日は帰国かぁ・・・

うう、もっといたい。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年11月29日

第7回研修旅行 その4

ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!
ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!

な、なんだ?

ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!

え? 火災警報?

「な、なにこれ? どうしたの?」

ぐっすり眠っていた僕らは未明の警報音でたたき起こされました。

「火災警報だ。起きて、貴重品をまとめて」
「うん!」
「僕は外の様子を見てくる」

手早く服を着て靴を履き、
ドアにそっと手の甲を当てると・・・

大丈夫だ。熱くない。
ってことは廊下は燃えてないな。

次はゆっくりドアを開け・・・

煙はないし焦げた臭いもしない・・・
ここは6階だったな・・・
なら火災は7階以上か、閉鎖された部屋の中か・・・
とりあえず様子を見ながらフロントまで行ってみよう。

僕はゆっくり階段を降り始めました。

4階・・・3階・・・2階・・・

グラウンドフロアまで来ると、
フロントの裏手にあるレストランでは朝食の準備が進められています。
僕はフロントデスクに近づき、

「火災警報がなりましたが大丈夫ですか?」
「え? 何階ですか?」
「5階です」
「ああ、5階でも鳴ってしまいましたか!
 大丈夫、あれはFalse Alert(誤報)です」
「では危険はありませんね?」
「ええ、すみません。お騒がせしました」

「どうだった?」
「ああ、大丈夫、誤報だってさ」

僕はテラスに出て外から各階の様子を見てみました。

煙も炎もなし・・・か。

対面するマンションのベランダでは、
外を見ながら早起きの老人がのんびり煙草を吸っています。

彼も何かに気付いた様子はない。
どうやら本当に誤報のようだな。

「ところでいま何時?」
「えっと、もうすぐ6時」
「やれやれ、目が覚めちゃったな」

こうして幕を開けたベイルートでの2日目。
僕らは旅行中でしかない、ゆっくりした朝食を楽しみ、
昨日下見しておいた観光庁へ向かいました。
ところが・・・

「はぁ〜、やっぱりな」
「ツーリストインフォメーションは開いてないね」

室内をのぞき込むと什器や資料が散らかっており、
さながら夜逃げしたテナントです。

仕方ない。
ダウンタウンに向かって進みながら旅行代理店を探すか。

ほどなく僕らは警備にあたる警察官や軍人の姿に気づきました。
それも進むにつれて数が増えてきます。

なるほど、反政府デモの中心地はダウンタウンの広場だったな。

しかし警察官や軍人の様子から緊張感は見て取れません。
むしろのんびり談笑しているではないですか。
ならば一番治安の情報に詳しい彼らに訊いてみるか。
僕はニカっと笑顔を浮かべ、

「やぁ、皆さん、こんにちは!
 どなたか英語を話す方はいらっしゃいますか?」

突然現れた東洋人に面食らった3人の警察官は、
フランス語で応えてきました。

「すみません、フランス語は話せないんですよ」

するとひとりが偶然通りかかった女性に話しかけ、

「あら、こんにちは、どうしたのですか?」
「突然すみません。
 僕たちは昨日はじめてレバノンにやってきた外国人です。
 もし分かったら教えていただきたいのですが、
 僕たちが公共の交通機関を使ってビブロスやトリポリ、
 バールベックを訪れることは可能でしょうか?」

彼女がすぐフランス語に通訳すると、
彼らのくだけた話しぶりからして、

「ああ、なんだ、そんなことですか、ぜんぜん大丈夫ですよ」

そう言っているのが分かりました。
続けて彼女は、

「もし行くのであれば、まずコラのバスターミナルまで行って、
 目的地に行くバスを探して下さい。
 これは私の意見ですけど、初めてであれば、
 まずビブロスをお勧めしますよ。
 それから念のためにニュースは必ず目を通しておいてください」

気さくなお巡りさんたちといい、偶然通りかかった親切な女性といい、
なんだか皆さんとてもフレンドリーです。
僕たちはお礼を言って先に進み始めました。
そしてエトワール広場に近づくと急に警察官の姿が増え始め、
広場を中心に、いくつかの道路が封鎖されているのが分かりました。
その中に入れるのは住人か仕事の用がある人だけのようです。

「OK、ここで戻ろう。
 どのみちこの先の旅行代理店は開いていないだろうし、
 必要な情報も得られた」

僕らは内戦の跡が今も残る建物の間を抜け、
庶民の街、サーエフ・サラム通りを西に進んで地中海に出ました。

2千数百年前、
フェニキア人はここからレバノン杉で造った帆船に乗って、
オリエントの文化を西に伝えたのか・・・
そう、あの水平線の向こうは南ヨーロッパと北アフリカなんですよ。

旧約聖書で語られた約束の地。
入れ替わる民族と統治者。
そしてその痕跡が凝縮された料理の数々。

僕たちは海を見下ろすレストランで取材を進めながら、
地層のように重なり合う悠久の時の厚みを肌で感じていました。

明日は天気と状況次第で、
別の街まで行ってみようと思います。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 01:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2019年11月28日

第7回研修旅行 その3

ボンソワール!(こんばんは!)
僕たちは今、レバノンのベイルートにいます。

今日はアブダビのホテルを朝6時半にチェックアウトし、
眠い目をこすって9時50分発の飛行機でベイルートへ。
フライトタイムは4時間少々。
日本との時差は7時間になりました。

毎回おなじことを言っているかもしれませんが、
外国の空港からさらに別の外国へ移動するときは、
まず他の日本人を見かけませんね。
ま、イギリスやフランスなど西ヨーロッパへ行く便ならいざしらず、
ととら亭の取材対象となるような国の場合は尚更かもしれません。
今回もベイルートへ向かう飛行機の中は、
日本人というよりむしろ東洋人代表になった僕らでした。

ベイルートのラフィック・ハリーリ国際空港は、
いささか年季の入ったこじんまりしたもの。
ハイテク化が進む成田に比べ、
入国審査、税関検査ともにオールドファッションな感じでしたね。
僕らにとってはこうした空港の方が手慣れたものですが、
今回は飛行機を出たところから旅人センサー全開!
そう、政情不安のムードを検知するには、
こうした場所の警備や人々の表情から読むのが一番手っ取り早い。
そこで乗客、空港職員の様子を何気なく伺っていると・・・

フツーです。なんともない。

僕らはあっさり入国審査を抜け、
空いていた所為か、バックパックもさらっと受け取り、
あれよあれよというまにアライバルロビーへ。

そこで無料ピックアップをお願いしていたホテルのドライバーと落ち合い、
移動中に話をしてみれば・・・

「このところレバノンの治安はいかがですか?」
「・・・? 治安?」
「そう、日本の外務省によると、
 現在、レバノンは反政府デモが活発に行われており、
 滞在には注意が必要だとのことでした」
「はっはっは! ぜ〜んぜん大丈夫!」
「本当に? それでは僕らがバールベックやビブロス、
 トリポリに行くのも問題ありませんか?」
「もちろん! 私は昨日バールベックへ行ってきたばかりですよ」

しかし、ここで「はいそうですか」とならないのが僕ら。
重要な判断をするときには、
相手を変えて同じ質問を3回するのがととらルールです。

そこで次はホテルのフロントのお兄さんに訊いてみると・・・

「え? 治安ですか? そうですね・・・」

ここで彼はしばし考えこみ、

「今日のところは問題ありませんでした。
 でも、明日はどうなるか分かりません」

なるほど、そりゃごもっともで。

確かに空港からホテルまでの道中で、
軍隊の姿や警察の検問はありませんでしたし、
デモや道路封鎖もなく、一見したところ平和そのもの。
しかし、それが明日も続くとは限らない。

それでは最後に、
観光庁直営のツーリストインフォメーションで訊いてみよう!

と目抜き通りのハムラストリートを東に向かって歩いてみれば、
反政府活動こそ目に入らなかったものの、
傷んだ街並みや道路の様子は僕らの記憶に照らすと、
中東というより南米やアフリカの都市に近い感じ。
数時間前までいたアブダビとはまったく違います。

その印象に不気味さが加わったのは、
なんと目的の観光庁の前まで来たとき。

「あった、ここだ」
「え? どこ?」
「目の前の建物だよ」
「え〜っ! これ?」

ともこが訝るのも無理はありません。
平日の午後3時だというのに建物にはひと気がまったくないだけではなく、
1階のツーリストインフォメーションと思しき区画は、
さながら空きテナントのような状態です。
しかしよく見ると数カ所の窓から明かりが漏れていました。

「こりゃどうしたことだ?」
「やってないんじゃない?」
「いや、まがりなりにもお役所だよ。やってないってことはないと思う。
 おや、あそこに警察官がいる。ちょっと行って訊いてみるよ」

「すみません。
 ツーリストインフォメーションはもうやっていないのでしょうか?」
「ああ、明日の10時に開きますよ」

とな?

こうして旅行者が集うハムラストリート周辺をざっと歩いてみた限り、
空港からの道中と同じく軍隊の姿はありませんし、
警察が特別な警備態勢を取ってるわけでもない。
むしろ彼らの姿はほとんど見かけませんでしたし、
市民の様子からも緊張感は感じられません。

しかし、旅人の勘が「気を付けろ」と僕に囁きます。

「とりあえず料理の取材を始めて、
 明日の午前中にもう一度観光庁に行ってみよう。
 ベイルート以外の場所を訪れるかどうかはそのあとで判断だ」

僕たちはレストランの下見をしながら、
日が暮れる前にホテルまで帰りました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記