2018年11月10日

僕の小宇宙 その3 神保町4

間隔がだいぶ開いて書いております神保町シリーズ。
楽器、山、音楽と続いて最後はやっぱり古本です。

20歳代の頃はみすず書房の硬い本を入れても、
月に4〜5冊くらいのペースで読んでいましたから、
懐具合が追いつかない。

さらに『学校で教えてくれない』系の趣味な本は、
図書館も『教育上の配慮』から置いてくれません。
そこで足が向かうのは必然的に古本屋になった訳です。

当時、横浜に住んでいた僕の楽しみは、
春秋年2回の神保町めぐり。
とりわけ古本まつりでの買い出しは気合が入っていましたよ。
神保町にある古書店の品揃えは質量ともに日本随一ですからね。
しかしながら相場の高さもこれまたトップクラス。
そこでなるべく価格の下がるこの時期に行っていたのです。

古書店の書架はまさしく僕の小宇宙でした。
背表紙に惹かれて手に取り、
目次に目を通して「へぇ〜!」となり、
売値を見て「はぁ〜・・・」となる。
予算は限られていましたからね。

忘れられないのは、
神田古書センター(の確か3階?)で見つけた澁澤龍彦責任編集の雑誌、
『血と薔薇』全4冊(渋澤が編集したのは3冊目まで※)です。
彼のファンなら必読とされていたとはいえ、
いかんせん1968年に創刊され1969年に終刊してしまったレアな雑誌。
しかも版元の天声出版はとうに倒産しているので復刻の可能性もない。
(2003年に白順社から1〜3号が復刻されましたが・・・スゴイ!)
僕がそれまで現物を見たのは回顧展の展示物としてだけでした。

こりゃ読むなら国会図書館に行くしかないかぁ・・・

と、ほとんど諦めていた若かりし僕は、
この4冊が売り物として書架に並んでいるのを見て、
思わず「おぉっ!?」と叫んでしまいました。
今でも手に取った時の感動を覚えています。

しかし恐る恐る値段を見ればやっぱり「はぁ〜・・・」。
4冊セットで4万円かぁ・・・
(定価は1冊1,000円だったのですけどね)

ま、プレミアがついてるのはしょうがない。
そこで僕は帰りの電車賃を除いた手持ちの全財産、
約4,000円と血と薔薇を持ってレジに行き、
店主さんに「来週また来ますのでこれをとっといて下さい!」
とかけあったのです。
僕の気迫に押されたのか店主さんは苦笑しながら快諾してくれました。

翌週、抱きしめたお宝のページを『さぼうる』の隅で開いた時、
謎の古文書を読み始めたかのような高揚感に打ち震えましたよ。
雑誌とは思えない錚々たる執筆陣とその内容でしたからね。
あれはやはり時代の奇跡のひとつだったのかもしれません。

その他にもこれまたレアなハンス・ベルメールの作品集や、
ウニカ・チュルンの『ジャスミンおとこ』など、
足を棒にして探し出した喜びは今でも忘れません。

あの「おぉっ!?」って驚きと感動は、
amasonさんの検索でヒットしたものが届けられた時には、
けして味わえないものです

残念ながら最近は時間がなくてあまり行けなくなってしまいましたが、
秋や春の季節のいい時期に、
一日中じっくりお宝探しをやってみたいですね。

えーじ

※ 販売されたのは全4冊ですが、幻の創刊準備号があると言われています。
これは関係者だけに配布されたものらしいので国会図書館にもないでしょう。
いつか探し出してやるぜ!
posted by ととら at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年11月08日

ウサギとカメ 2018

ある秋の晩。
夕方から店内に侵入した蠅がしつこく飛び回っておりました。

そして営業が終わり、
草臥れた僕が洗い物をしている後ろから・・・

いやったああああぁぁぁぁっ!

な、なんだ?

振り返ると泡だらけのスポンジを突き出して、
不敵な笑みを浮かべたともこが仁王立ちになっています。

「ど、どしたの?」
「ふふふふふ、これ!

よく見るとスポンジの上にはさっきから飛び回っていた蠅が。

やっつけた!
「ほぅ、よく捕まえ・・・ん? まだ生きてるよ」
「え?」

彼女が視線を落とすやいなや、スポンジの上で息を吹き返した蠅は、
ころっとコールドテーブルの上に落ちました。

「あ、動いてる!」

だけではなく、ここぞとばかりに離陸態勢に入ったではないですか。
そこへ凄まじいともこ爆裂拳が、

ちぇいっ! ちぇいっ! ちえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!

と3発。
気合と共に飛び散る洗剤の泡!

ところが慌てた彼女はことごとく的を外し、
その隙間を潜り抜けた蠅はゆっくり、ぷぉ〜いとエスケープ。

あ〜っ! 逃げちゃった! 腹立つ!

「・・・あのさ」

「はぁはぁはぁはぁ」

「ともこ」

「はぁはぁはぁはぁ」

「もしもし!」
「え?」

「・・・疲れない?」

「・・・・・・・・・うん」

こうして秋の夜は更けて行ったのでありました。

えーじ
posted by ととら at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年11月05日

旅の落とし穴

どんなことにも100パーセント良いことや、
100パーセント悪いことはありません。

旅もまた例外ではなく、
せっかく行った旅が結果的に本人だけではなく、
それ以外の人にも好ましくない影響を及ぼすことがあります。

その典型的なケースが『知ってるんだ症候群』。

これ、パックツアー、個人旅行を問わず、
概ね20カ国前後の渡航経験を積んだ頃に罹ることがありまして、
(僕も例外ではありませんでした)
特にインドがその中に含まれていた場合、
罹患率がぐんと上がるようです。

どんな症状かと申しますと、
自分の限られた経験を恣意的に拡大解釈し、
ひとつ知っただけで全てが分かったと錯覚してしまう。

ま、これだけなら若気の至りの範囲内ですが、
大半を空想で補った世界観に立脚し、
『知っているわたくしが無知な皆さまに教えてさしあげます』
的な活動をおっぱじめると、
ひとりよがりなトラブルメーカーの一丁上がり!
になってしまうんですよ。

このビョーキの最も不幸な面は、
その当事者がそうした旅をやめないことにあります。

というのも、ひとたび『オレは知っている』状態になると、
何処へ行って何を見ようが、
無意識的に自分の先入観やイデオロギーに合致したことしか
認識できなくなってしまうからなのですよ。

そして彼、彼女は旅をしながら自分の幻想を肥大化させ続けて行く。
これは実に悲しい。

しかし幸いにして効果的な治療方法があります。

それは『挫折』。

個人的な幻想は、
とどのつまりその閉ざされた領域を出ることが出来ません。
たいてい共同化を目論んで高い壁にぶち当り、
なんでやねん? となる。

これは難しい話ではなく、
上から目線の人に『教えてあげる』的なアプローチをされて、
「知らなかった! どうもありがとう!」
となる人はあまりいないでしょう?

この挫折の先に待っているのは、
旅のリアルな可能性と限界の地平なんですよ。
たとえば、

世界1周の旅に出ました。

それは確かに一般的にはレアな経験です。
しかし、どんな旅でも畢竟、点と点を線で結ぶ行動でしかない。
それに対して旅の舞台となるこの星は球体であり、
すべての面が時とともに絶え間なく変化し続けている。

そうして遅かれ早かれ落とし穴から頭を出した旅人は悟ります。

僕たちが知っていること、いや、知ることができるのは、
無限の中の一雫でしかない。

では、たった一雫を知るための旅に何の意味があるのか?

残念ながら僕はここでその問いに答えることができません。
でも、ただひとつ言えるとしたら、

だから、あなたにも旅をしてほしい。

これかな?

えーじ
posted by ととら at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年11月02日

旅の自由と責任と

何年もいろいろな土地を、職場を彷徨って、
40歳前後に気付いのは、
僕にとって大切なのはおカネや社会的な地位よりも、
人間としての自由だということ。
だから独立して旅を続ける今の自分は一大決心の結果ではなく、
こうした生き方を続けた成り行きなんですよ。

自由。
それはなにものにも代えがたい。

しかし僕の言う自由とは、
手放しで好き勝手に振る舞うことを意味していません。
ととら亭の仕事では経営責任が重くのしかかって来ますし、
取材や研修も個人旅行ですから、すべての結果は自分に返って来ます。

そう、自由とはただそれだけで成り立つ『権利』ではなく、
その結果の質量に比例した『責任』を伴っているのです。

で、責任です。

責任とれますか?

というのは日常的にもよく飛び交うフレーズですけど、
どういう意味で使っています?

辞書を紐解けば、
『立場上当然負わなければならない任務や義務』
とか
『自分のした事の結果について責めを負うこと』
なんて書いてありますけど、
目の前の具体的な事案に当てはめると実は漠然としているんですよね。

だから何かしでかして、
「どうすんのよ!」って詰問されると黙っちゃう。

自由主義者を標榜する僕としては、
『好ましからざる何か』が起こった時、
切るべきカードを持っていることが責任だと考えています。
(残念ながら関係者全員を納得させられるものではありませんけど)

そんなわけで今も来年の取材旅行のブッキングを始めていますが、
渡航先の選択もこのポリシーに照らして決めているのです。

旅の中で『カードを持つ』というのは、
置かれた状況をコントロールすることを意味します。

換言すると『何か』が起こった場合、
お手上げになる場所には行かないし、そうしたこともしない。

先に言いましたように、個人で取れる責任が限定的であるならば、
『自己責任』は勝手な旅の免罪符とはなり得ません。
ことそれが外国の場合、
状況によっては想像を超えた範囲の人や組織を巻き込み、
次元の異なる問題にエスカレートすることが考えられるからです。

そして最後に付け加えるなら、その旅の目的は、遊びも仕事も関係ない。
なぜなら『好ましからざる何か』を引き起こす相手は、
人間にしろ自然にしろ、
そもそも旅人の目的など関知していませんから。

『話せばわかる』は理想であって、
現実に適用できるケースは極めて少ない。

これは僕が旅で学んだことのひとつです。

えーじ
posted by ととら at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月31日

お母さんの旅立ち

とある静かな月曜の晩。
最初にのれんをくぐって来たのは、僕より少し年下と思われる女性。
彼女がオーダーしたのは、
リトアニアのギョーザのコルディナイとビールでした。

粋だねぇ。

こんな夜のBGMはちょっとシックなヨーロピアンジャズ。
Dorota Miskiewiczのヴォーカルがよく似合います。
回している作品はAle。

「あの、どこか近くの国でおすすめのところはありますか?」

彼女が不意に話しかけてきました。

「ひとりで行くのですけど、海外旅行は初心者なんですよ」
「何日くらいのご予定ですか?」
「2泊3日くらい・・・かな?」
「それじゃ台北やソウル、香港あたりはいかがですか?
 どこも治安がいいし、親日なので安心して旅行できますよ」

彼女はちょっと考えています。

「飛行機やホテルはどうやって予約したらいいでしょう?」
「旅行会社でツアーを申し込むのが一番簡単です。
 もしお買い物に興味がないのであれば、
 スケルトンタイプのツアーを選べば免税店めぐりに行かなくても済みますし」
「スケルトン?」
「ああ、航空券とホテルの予約しかない必要最低限のツアーのことです。
 空港からの移動も自分でやらなければなりませんが、
 さっき挙げた都市は交通の便がいいので心配はないでしょう」

彼女の表情がだんだん生き生きしてきました。

「実は子供が大学に入って手が離れたので、
 ちょっと旅行をして来ようと思ったのです」

なるほどね。

専業主婦も社会の役割の一つ。
区切りがついたところで新しいことにチャレンジするなんて、
素晴らしいじゃないですか。

なにより「素敵だな」と思ったのは、
彼女の過去についての姿勢でした。

区切り目の後ろ側はもう終わったこと。
それは主婦も学生も会社員も同じ。
その潔い割り切り方は、
初心者というよりむしろ手練れの旅人のものです。

となれば台北、ソウル、香港。
何処へ行こうと心配はないでしょう。

なぜなら彼女の旅は、すでに始まっているのですから。

えーじ
posted by ととら at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月28日

君の旅 僕の旅

「ちょっと! 早く持って行ってよ!」

おおっと、いけねぇ・・・怒られちゃった。

旅行の計画を立てはじめているお客さまから声がかかると、
つい足を止めてしまうんですよね。
秋の連休が終わり、年末年始に向けて、
いろいろな行き先の話を聞いています。
なかには早くも来年の10連休を視野に入れている方がいたりして。

「フランス国内の移動はやっぱりレンタカーですかね?」
とか、
「スペインならどこがいいでしょうか?」
ふんふん。
「べダペストに行こうと思っているんですよ」
なんて聞くと、
「へぇ〜、いいですねぇ!」

旅人ってのは聞くも語るも同じなんですよ
一緒になってそのルートをイメージし始めちゃう。。

そんな僕に、
「年末は南米に行くんですよ」
なんて女性のバックパッカーから聞かされちゃ、
「ああ、いってらっしゃい」の一言で終るわけがありません。

「ルートは?」
「アルゼンチンから入ってボリビア、ペルーを周ります」
「ってことはブエノスアイレスからスタートだね。
 それでボリビアに行くならウユニも考えているんでしょ?
 どういうルートでアクセスするの? チリを経由する?」
「いいえ、日にちがあまりないので直接ボリビアに入ります。
 え〜と、なんて言ったかな? 確かサルタっていう街を抜けて」
「サルタ? あ〜、それじゃ僕たちが行ったルートの逆じゃないか!」

聞けば聞くほど僕も盛り上がってきました。
というのも、彼女がやろうとしてるルートは、
概ねアルゼンチンの西部からボリビアに入り塩の平原で知られるウユニへ、
そこからラパス、さらにペルーに入ってチチカカ湖の街プーノ、
そして北上しながらクスコを目指し、最後のメインイベントはマチュピチュ!
これ、僕たちが2009年の夏にやったルートのほぼ真逆。
しかも季節も正反対なのです。

夏の南米で、僕らとは逆のルートを辿り、
彼女は何を見て、何を感じるのでしょう?

10年近く経って、あの辺も大分変ったんじゃないかしらん。
若い旅人から帰国後の話を聞くのが楽しみです。
ちょいとハードルの高いエリアですけど、
アジアで場数を踏んだ彼女なら大丈夫でしょう。

!Ten un buen viaje!

えーじ
posted by ととら at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月25日

ととら亭のナンバー1

どこの世界にもランキングというのがありますが、
ととら亭でも思えば「あの人がナンバー1だな」
という方がいらっしゃいます。

これは何も僕たちが「挑戦しますか?」とアジったわけではなく、
ごく自然な成り行きから分かったものなんですけどね。
今日はそのレアな記録をご紹介しましょう。

・ご来店頻度
 飲食店というのは業態ごとにお客さまの『来店頻度』を想定しています。
 ととら亭の場合、ランチが月1回、ディナーが3カ月で2回なんですけどね。
(それで旅のメニューが3カ月で変わるのですよ)
 ところがお客さまによっては週平均3回ランチでいらっしゃったり、
 月に平均3回ディナーにご来店されるお客さまもいらっしゃいます。

・1日のご来店回数
 なかでもレアなのが1日のご来店回数。
 一般的にお店に来るのは1日1回ですけど、
 同日のランチとディナー両方にいらっしゃった方がこれまで2名。
 
・ディナーの同日ご来店回数
 さらにレアなのがこの記録でしょう。
 ディナーの始まりに来て食事をした彼女が閉店間際に再度いらっしゃいました。
 あれ、忘れ物でもしたのかな? と思ったら、
 「デザートを食べに来ました!」
 というわけで同日ディナーで2回のご来店。これはこの方だけ。

・ランチの連続ご来店回数
 毎日メニューが変わっているわけではないにもかかわらず、
 5日連続でランチにいらっしゃったお客さまがひとり。
 飽きなかったかな? と心配になりました。

・特定のメニューにおける記録
 ととら亭が特異な飲食店である理由は、看板メニューがないこと。
 変化そのものが看板なんですよね。
 しかし、そうした中でもお気に入りのメニューを食べ続けた方がいらっしゃいます。
 どちらもデザートで、
 
 リッチプリン    お一人で通算100食以上!
 エスプレッソプリン お一人で通算80食以上!

・ランチの食べた量
 ととら亭のランチは一般的に言って量が多い方だと思いますが、
 それでも「ぜんぜん足りない!」と感じたのか、
 それとも「美味しくて止まらない!」だったのか、
 ひとりで2人分フルで召し上がられた方がこれまで2名いらっしゃいます。

・旅のメニューの完全制覇
 2010年3月に開業して以来、ご紹介した各国の料理は110種類を超えました。
 それをすべて召し上がられたお客さまが1人だけいらっしゃいます。

と、まぁこんな数字が思い浮かびましたが、
なによりも一番レアな記録は、
ととら亭の存在そのものではないでしょうか?
こんな得体のしれない飲食店が8年7カ月以上も続いているのですからね。

これもひとえに皆さまのお蔭だと、
しみじみ思う秋の日でございます。

えーじ
posted by ととら at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月22日

第6回研修旅行の準備 その1

先日パスポート更新のお話でちょろっと触れました今年の研修旅行。
行く先はインドネシアのバリ島に決めました。
期間は11月27日(火)から12月4日(火)まで。

かの地は僕にとってタイ(渡航6回)や台湾(同4回)と並んで馴染み深く、
これで4回目の渡航となります。
で、滞在地はとうぜん中部のウブド。

新婚さんには南部のクタやレギャン、
ヌサドゥアあたりのリゾートビーチがおすすめですけど、
僕らがあの辺をうろついたって浮くだけですからね〜。
(6月の北欧諸国では浮いていました。とても)
で、やっぱりバックパッカーはウブドなんですよ。
あそこは手頃なロスメン(安宿)や、
美味しいワルンマカン(ローカル食堂)がたくさんありますからね。
それに土地勘があるので地図なしでも歩けます。

今回は半分(以上?)休暇ですから宿はちょいと奮発しました。
王宮から1分もかからないウォーターパレス脇から、
ちょっと奥に入ったバンガロー。
まさにウブドのど真ん中です。
この宿は2015年の取材の時にもお世話になったところでして、
すこぶる居心地がいいんですよ。
スタッフはみなフレンドリーだし、中心にもかかわらずとても静か。
でもダブルルーム一泊がゴージャスな朝食付きで約5,500円(2人分)!

この街はクッキングクラスが沢山ありますから、
研修先のブッキングは来月に入ってからやります。
バリネーズの料理は美味しいんですよ。
それにヒンドゥー教の地域なのでポークだけではなくお酒もOK!
(そのかわりビーフがNG)
ここが以前訪れたジャワ島のジョグジャカルタやソロとは大きく違うところ。

オフタイムの楽しみは何と言ってもジャランジャラン(お散歩)に尽きます。
ウブドのモンキーフォレスト通り周辺は繁華街ですが、
外郭は美しい田園地帯が広がっていましてね。
そこを夕方、のんびり歩くなんて、
ある意味、今の僕らにとっては大きな贅沢なのですよ。

あ〜、やっぱりアジアはいいなぁ。

えーじ
posted by ととら at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月19日

僕のおすすめ その3 最終回

2010年3月にともこと僕が立ち上げた『旅の食堂ととら亭』。
業種はもちろん飲食店ですけど、
思いはそれにとどまりませんでした。

むしろ僕たちの意識として一番大きいのは、
異文化へのゲートウェイなんですよ。

誰もが予備知識なしで使える、食という世界の共通言語を用い、
目の前の食卓を時間と空間を超えた地平へ繋ぐ。

そこからそれぞれの旅が始まってくれたら、
僕らのミッションは終了です。

旅には標準化された方法も定番コースもありません。
そのひと独自のスタイルで、目指すべき場所に行けばいい。

日本を旅し、世界に範囲を広げた旅人たちは、
そうしてさまざまな国々を旅していることでしょう。

そこで最終回は、ある程度の経験を積んだ旅人に、
中、南米と中東、そしてサハラ以南のアフリカをおすすめしたいと思います。

いずれの地域もすんなり旅できる場所ではありません。
おそらく、いや、ほぼ確実に、
それまで積んだすべての経験を試されるようなことが起こるでしょう。
にもかかわらず、なぜ僕がその地域をすすめるのか?

そこには、僕たちの独りよがりな常識や価値観、
甘っちょろい理想や正義感を完膚なきまでに破壊する現実が待っているからです。

多分、ある程度の経験を積んだ旅人とは、
年齢も35歳から40歳くらいになっているのではないでしょうか?
その年齢になれば、若い頃にはなかった社会的責任を背負い、
公私ともに周囲からのプレッシャーが高まっていると思います。

しかし、直面した困難を乗り越える方法は、
いかなる公共の学校でも教えてくれなかった。
いや、そもそも『ルール通り』にやっていた自分が、
今のような状況に置かれていること自体、
想像もしていなかったのではないでしょうか?

それでも、その旅人は薄々気付いているはずなんですよ。
人生の困難を乗り越える方法は、
How to本やネットの情報から得られるものではないし、
教壇に立つ先生が上から教えてくれるものでもないということを。
ただ、それを認める踏ん切りがつかないだけ。

そうした旅人のひとりとして、
僕が中、南米や中東、そしてサハラ以南のアフリカを旅して得たのは、
圧政者や搾取を身上とする資本家からではなく、
自分自身からの『解放』でした。

王道主義者にとってもっとも受け入れ難いこと。
それは、僕らが拠りどころとしている常識とは、
生まれて初めて知った社会の在り方のことでしかない、
という事実に他なりません。

もっと言えば、政治も経済も宗教もひっくるめて、
いっさいの人間の活動を包み込む文化という人工的なレイヤーには、
普遍的な真実なんてものはない。

それを突き付けてくるのが、
他ならない、いま、ここにおける僕たち人間の多様性なんですよ。

この星には、
空気と同じように土地も人間が所有できるものではないと考える文化圏がある。
国家ではなく、民族にアイデンティティを置く人々がいる。
数の勝敗ではなく、全体の同意に重きを置く人々がいる。
復讐ではなく和解を選んだ人々がいる。

おじさんになってだんだん物言いの歯切れが悪くなって来た僕ですが、
これだけは確信している、ということがあります。

それは、
心を開いた旅で得た経験は、けしてその旅人を裏切らない、
ということ。

僕は今もそれを信じて旅を続けているのです。
いってらっしゃい!

えーじ

P.S.
今回おすすめした地域はハイリスクなので、
たとえば南西アジアの国々を陸路で国境を越え、
1週間以上、ソロで旅した経験のある方向けです。
無茶はダメですよ。
posted by ととら at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月16日

僕のおすすめ その2

日本をある程度まわった旅人たち。
その年齢はおおむね30歳前後になっているのではないでしょうか?
というのも、旅をするにはおカネ以上に必要なのが時間。
狭い島国でもある程度の密度で周ろうとすると、
10年くらいはすぐに経ってしまいます。
実は僕も国内から国外へシフトしたのはそのくらいの年齢でした。

で、30歳前後ともなれば、
社会人になってある程度の経験を積んだころ。
夢と希望に燃えた(最近は違うの?)若者たちもリアルな大人の社会の中で、
そうなのかぁ〜・・・となった年齢ですよね?

成長という意味では必要な段階かもしれませんが、
周囲が見えてきただけに、奥行きの想像もつきはじめる。
となると行き過ぎれば、壁に突き当たるのは必然的な結果です。

ご同輩はご存知の通り、
これを乗り越えるのはなかなか難しい。

そこで、そんな年頃の皆さんに、
旅先として僕がお勧めしたいのは北欧諸国とキューバ。

経験則から学んで突き当たった壁を乗り越えるヒントが、
これらの国にはたくさんあるんですよ。

僕たちがあたり前と思って密かに抱え込んでいる悩み。
たとえば学歴、経済状態、社会的ステータス、組織と自己の関係、
LGBTを始めとするさまざまな差別から、
マクロな話では政治や経済から宗教まで、
同じように悩み、しかし異なるアプローチで乗り越えようと試み、挫折し、
時には実際に『向こう側』に抜け出た人々が、この星には存在しています。

それをゲームやネットの疑似体験からではなく、
現地の空気に触れ、市井の人々の姿から学べたことは、
少なからず僕にとって大きな意味がありました。

貨幣経済の社会に住んでいる限り、おカネと無縁ではいられません。
でも、自分にとって本当に必要なものは何か?
そしてそれには幾ら必要なのか?
それを知ることは、心の平静に欠かせないんですよね。

僕らが売り上げの良い月だけではなく、
悪い月でもニコニコしていられる理由のひとつがここにあるんですよ。

反対にそこが分かっていないと、傍から見れば大繁盛店の店主でも、
金銭的な不安をずっと抱きながら働くことになってしまいます。

これは個人事業主に限らず、会社員でも公務員でも同じ。
自分の中に自分だけの基準を持たなければ、
隣に座っている同僚の給料や、日本人の平均所得なんて数字に、
一喜一憂するのは避けられません。

最悪は、この手段としてのおカネが目的にすり替わり、
人間にしか通用しない奇妙な数字の魔法に憑りつかれて、
かけがえのない一生を終わることになりかねない。

自分にとって大切なこととは何か?
家族やパートナーにとって大切なこととは何か?
自分が基準にしている優先順位は間違っていないか?

そうした疑問と静かに向き合うには、
北欧諸国とキューバはお誂え向きのところでした。

え? そのために何を準備をしてどんな旅をすればいいんだ?

大丈夫、英語が覚束なくても、
(キューバじゃスペイン語じゃないと通じないし)
特別な知識がなくても心配はいりません。

自分なりの問題意識と好奇心を持ったら、
あとは心を開いて旅をすれば、
おのずとあなただけの『何か』が見つかりますよ。

パウロ・コエーリョの『アルケミスト』や、
リチャード・バックの『イリュージョン』、
ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』は、
そんな旅のお話でしたよね?

えーじ
posted by ととら at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月13日

僕のおすすめ その1

お客さまの平均年齢がけっこう高めのととら亭。
ところがここ半年余り、
どうした訳か20歳代のお客さまが増えてきました。
そこでよく訊かれるのが「お勧めの国は何処ですか?」という質問。

もちろん彼、彼女たちが期待しているのは、
「そうだね、ボリビアかな?」
とか、
「エチオピアが良かったよ」
という答え。

でもねぇ・・・
まぁ、そんな国も頭に浮かんだのですが、
20歳代という相手の年齢を考えた僕は、

「日本がいいね」

と答えています。

なぜか?

外国に行くということは、
公務ではないにしても日本代表と見なされます。
そこで最も重要になるのは、
これから海外に行こうという人が気にする英会話力ではなく、
日本についての考えを持っているか? なんですよ。

だっていくら英語がペラペラ喋れたからって、
話すべき中身がないんじゃしょうがないでしょ?

え? 学校で習ったことを話す?
でも、それは知識であって経験じゃありませんよね?
(もちろん学生生活も経験のひとつですけど)

主語を明確に話す文法の国々で訊かれるのは、
往々にして本に書いてあったことではなく、
『あなたが何をどう考えているか?』なんですよ。
だから期待されるのは、
僕は××××××についてこう考えています、という答えなんですね。

で、日本についての意見を持つには実際に旅するのが手っ取り早い。
だからJAPANなのです。

といっても実際に旅するとなるとこの国も広い。
北海道と沖縄では気候風土だけではなく、文化もかなり違いますし。
そこで個人的にはまさしくその両方のどちらかをお勧めしています。

この前、別の文脈でちょろっと触れましたが、
沖縄と北海道は、もともと和人の住んでいた地域ではなかった。
ましてや沖縄は琉球として王朝もあった別の国でしょう?

美しい自然や美味しい食べ物を楽しむのは当然。
でも、それだけではなく、1日は沖縄でなら南部の戦跡や、
北海道ならアイヌコタンを訪れて現地の人の話を聞いてみて欲しい。
そこから何を感じるか?
それが『自分の考え』のコアになるんですよ。

20歳代の方であれば、
ぜひ一人旅にもチャレンジしてみて欲しいですね。
一人旅は二人旅やグループ旅行とはまったく次元の違う旅になります。
さらに、ツアーではなく、自分ですべてを手配する旅に出かけてみませんか?
心を開き、見ず知らずの人に接する最高のチャンスが訪れますよ。

北海道で、沖縄で、
あなたの経験がどんなものになるか、僕にはまったく分かりません。
でも、そうした旅から帰った後なら、
次の意見に同意してくれると僕はかたく信じています。

旅は究極的な学校であり、
そこで出会う全てが先生なんだ。

そうだったでしょ?

えーじ
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2018年10月10日

ランチリニューアル!

ととら亭は旅の食堂。

にもかかわらず、旅の料理がない!

とランチで言われ続けて8年7カ月。

なるべく幅広いお客さまに楽しんで頂こうと、
ランチタイムは旅ランチと洋食ランチの2本立てで、
これまでやって来ましたが、
当然のことながら、いつも売り切れになるのは旅ランチが先。
終わり間際には、しばしばこうしてお叱りを頂戴していたのですよ。

そこで思い切って、今日から旅ランチで統一しました!

毎日2ヵ国行きのランチ便を飛ばします。
記念すべき初日の行き先は、メキシコとモザンビーク。

おかげさまで全便満席となりました。
ありがとうございます!

えーじ

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2018年10月08日

あと1時間あるから

この前の定休日の翌日。
メニュー変えで寝るのが深夜になった僕がぐっすり眠っていると・・・

ブイイイイブブブブブ・・・

・・・・?

「違うよ! そっちじゃなくて!」
「え? ここじゃないの?」
「違うったら! 2軒先の方!」

・・・・?
な、なんだ?

「だからその手前だってば!」
「最初からそういえば分かるのに!」

・・・・?
うるさいな〜・・・何時だと思ってるんだ?

時計を見れば6時20分です。

なんてこった、まだ3時間も寝てないじゃないか。

外を覘くとアパートの目の前でスクーターに乗った年配の男性が、
同じく年配の女性に何か指示を出しているようです。

・・・・?
新聞? いや、チラシでもポスティングしてるのか?
この早朝に、よりによってうちの前で、
大声を出さなくても良さそうなもんじゃないか。
やれやれ・・・目が醒めちゃった。

まだ店に行くまで1時間半ある・・・か。
じゃ、溜まった書類の片づけをやりながら洗濯機を回そう。

こうして寝不足のまま出勤した僕は、
通常の業務に加えてディスプレイ写真の交換やチラシの用意など、
メニュー変えの残務処理でディナーが終わった頃にはもうくたくた。

さすがにその晩は寝るというよりシャワーを出るなりほぼ気絶。
しかし爆睡しただけあって翌日は元気いっぱい。
で、ランチが終わった後、コーヒーブレイクをして間もなく、

さて、午後のタスクは・・・
そうか、ともこの方の排水が詰まりがちだったな。
このプライオリティが一番高い。

そこで腕まくりをした僕は下水掃除用のワイヤーを持って外へ。
グリストラップ側からグリグリとワイヤーを入れての大掃除です。
約45分ほどの格闘で通水に成功。

パントリーに戻って手を洗った後、

昼食(僕らの昼食は16時半前後なんですよ)までまだ1時間ある。
これだけあれば壊れた温水洗浄便座が交換できるな。

先日、約7年間使った温水洗浄便座の電源がまったく入らなくなり、
新品を取り寄せていたのですよ。
そこで箱から取り出していると、

「え? それ今やるの?」
「ああ、水道工事部分は前回のものがそのまま使えるから簡単に交換できるよ」
「ちょっと頑張り過ぎなんじゃない? メニュー変えで疲れてるんだし。
 大仕事は一日一個にしておけば?」
「昨日ぐっすり眠ったから大丈夫。それにこれなら1時間もかからないさ」

そうして作業に取り掛かり、

お、外してみると掃除しきれなかったところに手が届くようになったぞ。
ついでに便器もきれいにしてしまおう。

そうして屈みこみながらゴシゴシやること30分。
そこから便座を交換して動作確認でさらに10分。

「大丈夫? 予定より時間がかかってるけど」
「ああ、いま終わったよ。もう使えるからね」
「ごくろうさま!」

ふ〜・・・食事まであと20分か・・・
それまでちょろっとデスクワークをやろう。

と思いつつパソコンを起動し仕事を始めたところで・・・

ん? なんだ?

右臀部の上、やや背骨よりのところに鈍い痛みが感じられます。

ん? 姿勢が悪いのか?

上半身を真っ直ぐにしてみましたが、
痛みは短い周期で増してきているような気がします。

え? なんだこりゃ?
この前の前兆そっくりじゃないか!

去る8月2日の未明、
6年半ぶりに腰部椎間板ヘルニアを大クラッシュさせた記憶が
鮮明に蘇って来ました。

やば、安全装置が外れてる!
いや違う! 起爆装置が起動したんだ!

そう、あの時はこの状態でいま座っているカウンターから、
6歩歩いたら爆発したのです。

「ともこ!」
「わぁ、びっくりした! なに大きな声出して?」
「すぐ水を持って来て!」

僕は彼女の質問に応えもせず、
脇に置いてあったバックパックからファーストエイドポーチを取り出し、
ロキソニンをダブルで口に放り込みました。

「はいお水! どうしたの? 腰が痛いの?」
「爆発寸前だ!」
「え〜っ!」

時刻は15時55分。
薬は1時間以内に効いてくる。
17時までにクラッシュしなければセーフだ。

「やっぱりさっきの作業で悪化したんだよ!」
「ん〜・・・どうだろね? 作業中はなんともなかった。
 椅子に座ってからじわじわと起爆状態になったのさ」
「どう? 動ける? 今夜ディナーの予約が2件入ってるよ」
「とりあえずこのまま様子を見よう。じっとしてる限り痛みはないんだ。
 で、18時になったら判断するよ」

こうしてひやひやしながら1時間が経ち、2時間が経ち・・・
僕は座禅を組んだように椅子に座ったまま考えていました。

何がいけなかったんだろう?
しゃがんだ作業をやっていたけど姿勢には気を付けていたし、
昨夜は早く寝て体調も回復していた・・・

いや、待てよ。

椎間板ヘルニアを爆発させる要因は姿勢だけではありません。
神経の炎症を起こさせる原因は椎間板による圧迫以上に、
ストレスと過労の影響が大きい。
思えば8月のクラッシュの時も僕はだいぶ疲れていました。

そうか、椎間板ヘルニア以上に悪いビョーキが再発していたんだ。

それは『やりすぎ病』。
僕のタスクリストは飲食業に携わる個人事業主のご多分に漏れず、
いつもいっぱいです。
で、時間さえあればプライオリティの篩をかけて、
片っ端から手を付けてしまう。

あと30分ある。ならあれが出来る。

とか、

あと1時間ある。ならこれが出来る。

という具合にね。

こうした考え方は『勤勉さ』とか『効率的な仕事の仕方』なんかじゃなく、
一種のビョーキなんですよ。

と、いうわけでメニュー変えが終わった後にやるべき行動の正解は、

なにもしない。

だったんですね。

学習&反省しました。

えーじ

P.S.
今回はさいわいセーフでした。
はぁ〜・・・危なかった!
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2018年10月06日

Old & New

先日、運転免許証とパスポートのダブル更新で、
5年ぶりに都庁に行って来ました。

公共の交通機関が充実した東京に住み始めてかれこれ18年。
ほぼ完全にペーパードライバーとなった僕にとって、
運転免許証はたんなる身分証明書のひとつになってしまいましたが、
(実家でバイクが泣いている・・・)
パスポートは仕事柄よく使っています。

今回で10年有効のパスポートが4冊目。
中でもこの前まで使っていた3冊目は思い出深いもので、
ととら亭の歴史そのものなのですよ。

会社を辞めた2009年に更新して、
最初に押された入国スタンプが3カ月間の中南米旅行で訪れたメキシコのもの。
最後の出国スタンプは今年7月に行ったフィンランド。
この10年弱の日本出国回数は22回。
その中で訪れた国は48カ国。

スタンプはともかくビザでは1ページがフルで使われてしまいますから、
この数ともなるとページが足りなくなりそうですけど、
残念ながらページの増補にはなりませんでした。
比較的行った回数の多いヨーロッパでは、
多くの国がシェンゲン協定に加盟しているので、
たとえば4カ国を周っても圏外から入った時の入国スタンプと、
圏内から出る時の出国スタンプしか押されませんからね。

中でも思い出深いページはブラジルのビザかな?
あれは日本で取得したのではなく、
メキシコシティのブラジル大使館で苦労して取ったのです。

何が大変だったかって英語が通じなかったんですよ。
大使館なのに。
しかもビザの申請書も英文併記ではなく、スペイン語のみ。
料金は指定銀行で振り込み、その証明書を持ってこなければならないとは!
スパニッシュ齧りかけの僕は完全にお手上げ。

しかしそこは親切なメキシコ人&ブラジル人。
お客さんの中から英語が話せる人を探し出し、
即席通訳をやってくれました。

こうしていろいろなスタンプやビザを眺めてみると、
写真とは別に思い出すことが沢山あります。
ただでさえ国境はドラマとトラブルに満ちているところですからね。

片やまっさらな新しいパスポート。
最初に押される入国スタンプはどこになるのか?

実はもうブッキングが終わっているのですよ。
その詳しいお話はまたあらためてしましょうね。

えーじ
posted by ととら at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年10月03日

世界のギョーザ特集パート4が始まります!

いつぞや映画プロデューサーのM氏と話していた時のこと。

「えーじさんたちはスゴイよね!
 旅して探した料理を再現してしまうんだから!」
「仕事だからですよ。
 Mさんだって普通の人じゃできないことをやってるでしょ?」
「そんなことないよ。
 オレ、映画の撮影どころかカメラの使い方も怪しいし」
「でもいい作品を作ってるじゃないですか」
「そうかな? オレがやってるのは人を結び付けることだけなんですよ。
 撮影ができなきゃ撮影できる人を呼び、
 照明ができなきゃ照明のできる人を呼んでくる。
 出来ないことがあれば出来る人を呼ぶ。
 ただそれだけ」

なるほどね・・・

今は日付が変わって26時42分。
隣の部屋でともこが寝ています。
僕は例によって旅のメニュー変えの仕事で2日間ほぼ缶詰状態。
やっと終わったところでふと頭に浮かんだのがM氏との会話でした。

彼と僕は正反対なんですよね。
DIYが座右の銘に等しい僕はこの通り、
なんでも自分でやらにゃ気が済まない。

でも、大きな仕事をする人は器が違うんですよ。
人を信じて任せることが出来るんだから。

あ、でも彼だって徹夜仕事は珍しくないんだったな。
とことんやっちゃうスタイルは同じか。

そういえば彼も元筋金入りのバックパッカーだ。

と納得(?)したところでリリースします。

世界のギョーザ特集パート4

今回はワインも含め旧ソビエト連邦圏でハラショーにまとめてみました。
気合が入ってます。

でも、今夜は力尽きました。
おやすみなさい。

えーじ
posted by ととら at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年09月30日

P.S. Say Hello again.

先日、高円寺でスーパーマーケットに入った時のこと。
レジで僕たちの前に並んでいたのは、
20歳代後半とおぼしき女性でした。

「いらっしゃいませ」

「・・・・・・・・」

彼女はスマホに目を落としたまま買い物かごをレジ台に置き、

「1,296円でございます」

「・・・・・・・・」

財布から1,000円札を2枚取り出してキャッシュトレイに置き、

「704円のお返しでございます」

「・・・・・・・・」

キャッシュトレイから釣銭を受け取り、

「レジ袋はお必要ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

彼女はスマホから顔を上げようとしません。
ちらっと見えた画面は日本語表示、
そしてイヤフォンが接続されていことから(耳から外していますが)
聴覚障害のない日本人。
ということは、彼女にはレジ係の人の声が聞こえ、
その意味が分かっているはず。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

レジ係の人がしびれをきらせてレジ袋をカゴに入れると、
彼女はまだスマホに目を落としたままカゴを持ってサッカー台へ。
その背中へ消え入るようなレジ係の人の声が、

「ありがとうございました」

ほぇ〜・・・すごいな。

僕とともこはお互いの顔を見合わせてしまいました。
彼女は一度も返事をしなかっただけではなく、
レジ係の人に視線を向けることすらしなかったのです。
これぞ完璧な無視。

かわいそうに・・・

と僕は心底思いましたよ。

いや、レジ係の人が、ではありません。
先の彼女がです。

この国の生き難さや人口1千万都市の孤独というのは、
右寄りの政治家や利益至上主義の資本家が押し付けているのではなく、
市井の僕ら、
ひとりひとりの心の闇から湧き上がってきているのではないか?

そんなことを感じた夜でした。

で、前回お話した Say Hello が世界を変えるってわけなんですよ。

えーじ
posted by ととら at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年09月27日

Say Hello!

ととら亭のお客さまは日本人に限らず、
さまざまな国から来た方たちがいらっしゃいます。

昨夜もポーランド出身の方がご来店されました。

「いらっしゃいませ」
「Hi!」

席にご案内し、メニューを渡すと、

「Thank you so much. ドーモアリガト」

そして飲み物や料理をサーブするたびに彼は、

「Thank you so much. ドーモアリガト」

と僕の目を見ながら『必ず』言います。

また僕がサーブしている時に会話を続けることは、
ほとんどありません。
さっと中断して僕の存在を意識しています。
彼は常連さんのひとりですが、
初めて来たときからこうなんですよ。

皆さんはこういう振舞いをどう思われますか?

実はこれ、
欧米とアジア圏での文化の違いのひとつなのですよ。

日本を始め、アジア圏の多くの国では飲食店に限らず、
お店に入る時に挨拶することはあまりありません。
黙って入って黙って出て行く。

ところが欧米では必ずとは言えないまでも、
多くの場合、入店した時にお店の人と挨拶を交わします。
そして物販店で冷やかしただけの時でさえ、
出る際には「Thank you」を忘れない。

これは思うに、
「私はあなたをひとりの人間として認めていますよ」
という意思表示なのですよね。

だから欧米で店に黙って入って勝手に商品を見ていると、
お店の人に対して、
「あなたは存在しないも同然」
というメッセージを送ることになってしまいます。

そんなことをされれば当然、相手もいい気持ちはしません。
そうなると、せっかく食事や買い物をしたのに、
扱いがまったく変わって来るのも無理からぬことでしょう。

僕は外国にいる時に限らず、
国内でもお店に入る時は最初に相手の目を見て挨拶します。
たとえば飲食店では、
「こんばんは。2名ですが席はありますか?」
コンビニやスーパーでも品物をレジ前に置いた時に
「こんにちは」
お釣りを受け取った時に、
「ありがとうございます」

ほんの一瞬のコミュニケ―ションですけど、
これはその場の雰囲気を変えるのに、
信じられないくらい大きな効果があるんですよ。

時には若い店員さんが機械的に「いらっしゃいませ」と言った後、
おじさんの僕に「こんにちは」と返されて、
一瞬フリーズすることがあります。
誰も彼、彼女の挨拶に応える人がいなかったからかもしれません。

でも、どんな状況であれ、相手が誰であれ、
挨拶には挨拶を返す。
これはコミュニケーションの、
いや、人間関係の基本じゃありませんか?

事前の学習も投資もいりません。

こんにちは。
ありがとう。

このふたつの言葉だけで、僕らの幸福度が上がるだけではなく、
日本という国における生きやすさも向上する。
それも確実に。

ホントですよ。

えーじ
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2018年09月24日

i

9月のダブル3連休が終わりました。
みなさん、どこかへお出かけになりましたか?

旅の食堂という職業柄、ここ2カ月ほど前から、
「パリに行こうと思ってるんですけど」とか、
「ハノイってどうでした?」
のようなお問い合わせを度々頂いていました。
ちょっとした旅行案内所のようになったととら亭です。

残念ながら『エーゲ海の豪華クルージング』や、
『ファーストクラスで行くケニアサファリツアー』
などのゴージャスな情報は持ち合わせておりませんが、
そこは質問する方も心得たもの。
僕に訊くとなれば、バックパッカーネタがほとんど。

頂いたご質問をジャンル分けすると、
ご時世柄か、治安に関するものが一番多かったですね。
次が移動ルートの妥当性と手頃な宿。
そして美味しい料理かな?

旅は人それぞれなので、
頂いた質問が同じでも、答えが同じとは限りません。
渡航先と目的だけではなく、
個人旅行か、パックツアーか?
ソロが、ペアか、グループか?
男性か、女性か?
そしてこれまでの旅の経験によって、
なにが最適かは変わって来ますからね。

でも、よっぽど無茶な計画でない限り、
共通している僕の答えは、

行ってらっしゃい!

たとえ行き先が誰もが知るところの有名観光地であっても、
旅はその人が自分で経験することに意義があります。
換言すれば、
ちっぽけな情報の小箱から、
広い経験の世界へ飛び込むことが旅じゃないですか?

なので同じ渡航先であっても、
旅人が変われば当然、旅の印象も変わります。

「帰って来ました! すんごく良かったですよ!」

僕が土産話を楽しみにしているのは、
ひとつとして同じものがないからなんですよね。

えーじ
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2018年09月21日

旅の肉体労働者

関東地方は秋の入り口。
アパートからお店までの通勤ルートにある柿の木の実が、
だんだん色づいてきました。

気持ちのいい季節ですね。

と、喜んでばかりはいられません。

季節の変わり目、とりわけ気温が下がる時は、
椎間板ヘルニア持ちにの僕にとって要注意の時期なのです。

そこで先日、MRIで椎間板の壊れ加減を検査してもらいました。
初めて病院送りになった2012年1月から6年半が経ち、
どれくらいガタがきているのか気になっていたのですよ。

「どうですか?」
「第3腰椎と第4の間、
 それから第4と第5の間の椎間板がやや乾いていますね。
 しかしヘルニアはそれほどひどくありませんよ」
「え? そうなんですか?」
「痛みがあった背骨の右側に炎症の跡が見られますが、
 神経を強く圧迫してはいないので、これなら軽症です」

そのわりに痛みは半端じゃなかったんだけどな。

「入院した時と同じ薬を処方しておきますから、
 また痛みが出たらそれを飲んでください」
「どんなタイミングで飲めばいいですか?」
「強い痛みが来てからではなく、違和感を感じた時点で飲んでください。
 ロキソニンは痛み止めで知られていますけど消炎作用もあるのですよ」

そうか、あんまり我慢しちゃいけなかったんだ。

「ひとつ相談したいことがあるのですが」
「はい、どうぞ」
「僕の仕事はある程度の身体能力が必要で、
 その為のトレーニングをやっているのですが、
 そのメニューが正しいかどうかのアドバイスが欲しいのですよ」
「・・・? どんなお仕事をされているのですか?」
「ん〜・・・そうですね、
 行動範囲が海抜マイナス400メートルから5000メートル、
 気温はマイナス20度から45度。
 そうした環境で20〜25キロの荷物を背負い、
 高低差のある道を何時間も歩かなければなりません」

ドクターは怪訝な表情で、

「それは何ですか?」
「料理探しです」
「・・・?」
「普段は東京の飲食店で働いていますが、
 年に合計で1カ月以上、料理を探して旅をしているのですよ。
 その旅ではさっきお話したような場所を訪れることがあり、
 いずれも最寄りの医療機関まで2日以上かかる場合が珍しくないので」
「大変ですね!
 それではこのあとリハビリルームで理学療法士から話を聞いて下さい」

2階で僕を迎えてくれたのは、体操の先生のような好青年の理学療法士さん。
そこで同じ説明をすると、

「へぇ〜、なるほど! 分かりました。
 それでどんなトレーニングをしているのですか?」
「週5回の基礎的な筋トレと週3回のジョギングです」
「ジョギングは問題ないですよ。筋トレは何をやっています?」
「弱い椎間板を守らなければならないので、腹筋と背筋を中心に鍛えています」
「ちょっとやってみて下さい」

そこで僕はベンチに仰向けで横になり、
両足を揃えて上げ下げするメニューをやってみせました。
30度まで10回、60度10回、そして90度10回。

「うん、いいじゃないですか。でも90度は過激ですよ。
 特に勢いを付けてやると腰に負荷がかかり過ぎます」

次は背筋です。ベンチにうつぶせになり、
手のひらを後頭部の後ろで組んでエビ反りに上半身を起こします。

「これも問題ないですよ。
 でも腹筋の時と同じように、速く勢いをつけてやると良くないです。
 全体的に呼吸を続けながらゆっくりやってみて下さい」

こうして意外にもあまりダメ出しはされず、
別の効果的なメニューも教えて頂いて、僕は病院を出たのでした。

総合的に判断すると、
椎間板ヘルニアはさいわい手術が必要なレベルではない。
トレーニングのメニューもほぼOK。
今後は腰に違和感を感じた時点でロキソニンを飲み、
炎症がひどくなる前に抑える・・・ってことかな?

安心材料をもらった僕は、その日の夕方トレーニングに行き、
ウォームアップが終わったところで試しに体のギアをトップに入れてみました。
坂道をダッシュで登り切り、
スピードを落としたら体に違和感がないかチェックします。

左足・・・OK、右足・・・OK、腰・・・OK、
上半身・・・OK。いやな感じはない。
どうやら復活したみたいだな。

とまぁ、55歳にしてこんなことをやらにゃならんのですからね。
旅の食堂ってのは、因果な商売でございます。

えーじ
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2018年09月17日

第16回取材旅行 その18 最終回

北欧諸国に『生き方の自由』の点で大きく引き離された僕らの日本。
前回は僕なりに考えた原因のひとつ、
メード イン ジャパンの悲しい『王道主義』についてお話しました。

自ら入る『概念の檻』ともいえるこのイズムは、
信仰に近い力を持って、
この島国に広く深く根を張っていると僕は考えています。

そしてその巨木から咲いた暗黒の花が『普通主義』。

これまた簡単に例を挙げると、

”僕は性的に女性が好きです。
 男性に性的な関心は持っていません。
 男性が女性を好み、女性が男性を好きなるのは自然なこと。
 そうでなければ子供が出来ませんからね。”

というのが『普通主義』の典型的な考え方のひとつ。
自然科学を引用しているようでいて、
実は自分の感覚を世界標準に拡大しているだけです。

僕がこれを怖いと言ったのは、こうした考え方が自らを『普通』と称し、
それ以外を排除しようとする傾向がきわめて強いからなんですよ。
そしてこの考え方を持つ人が増えて『普通』を『正常』と言い換え、
『普通ではない』を『異常』とした時、
さらに『正常』を『優秀』と言い換え、『異常』を『劣等』とした時、
僕たちの歴史の中では、
凄惨なエスノサイドが繰り広げられたのではなかったでしょうか?

先日炎上した杉田水脈衆議院議員の書いた記事は僕も読みましたが、
彼女が開陳した意見の後半は、
まさしく典型的な『普通主義』の吐露でした。
LGB(T)のひとは普通じゃない。
日本を自分のような異性愛以外の人が蔓延した国にしたくない・・のね。

僕は彼女が個人としてこうした思想を持つことそのものは、
どうでもいいと考えています。
しかし代表民主制の国会議員が持っているとなると、
話は思いっきり変わってくるでしょう。

なぜなら彼女が『代表』となるからには、
彼女の意見に賛同する人がそれなりの数でいるということを意味するからです。
(さいわい小選挙区ではなく、比例代表で当選した議員ですが)

これはマジで怖い。

え? そんな人は自分の周りにはいない?
そうですか?

じゃ、ちょっとしたチェックプログラムを走らせてみて下さい。
会話や文章の中で「常識」「絶対」「普通」「当然」「当り前」「ありえない」、
こうしたキーワードが
発言者の考えを正当化する目的で飛び交っていません?

僕は杉田議員の記事を繰り返し読んで、
心底「むわぁ〜・・・」っと思いましたよ。

だって彼女たちが力をつけてその主張に沿った法案を通すようになったら、
僕なんか再教育キャンプ行き間違いなしですからね。
なぜなら僕は異性愛ですが、異性愛以外の友人がいますし、
彼、彼女、そして彼でも彼女でもない人たちも好きだから。

ここでも誤解なきよう言っておかなければなりませんが、
僕は友人たちがLGBTの何れかだから好きなのではありません。
これまた僕にとってはどうでもいいことなのです。

もっと言えば、あなたの性がなんだろうが、肌が何色だろうが、
国籍が何処だろうが、何語を母語としていようが、宗教がなんだろうが、
僕にとってはあまり大きな意味はない。

なぜなら僕は、あなたをただの地球人としてしか見ていないから。

その逆もまた然り。
僕は社会的なステータスではなく、
(さいわい、ちやほやされるものはありませんけど)
素の自分として接してもらえる時が一番うれしい。

スウェーデンでは、
早くも1944年にホモセクシャルの差別が法律で禁止されました。
多様性についてのスタンスは、
2018年になっても『普通主義』が跋扈している日本を
完全にぶっちぎっていると思います。

「君は自分の国籍をどこだと思う?」

オスロで出会ったベトナム系ノルウェー人のダニエルにこう訊いた時、
「そうですね・・・」と少し考え込んでから、

「やっぱりノルウェーかな?」

彼はそう答えてきました。
これはあくまでひとつの限定された例ですが、
それでも難民の2世が下した、
受け入れ国についての大きな評価だと思います。

僕たちの日本は、こんな風に思ってもらえているのでしょうか?
(難民の受け入れ率は申請数のたった0.2パーセントですけど)

とまぁ、北欧の旅の後半は、
日本人としての自己卑下的なお話が多くなってしまいましたが、
僕は奇妙な高揚感を持って帰国の途についたのでした。

人類の壮大な社会システムの実験は共産主義で打ち止めとなり、
それがキューバを残して形骸化したいま、
僕らはバグだらけの民主主義+資本主義でやって行くしかないのか?
と、気が滅入っていたのですが、
ところがどっこい、北欧では静かな革命が進んでいたのですね。

今回の旅は行って良かった。

僕は心からそう思っています。

えーじ(生産性なし)

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See you on the next trip!!

P.S.
今回、ところどころで統計資料を引用しましたけど、
ご参考程度に読んでおいて下さい。
裏を取っていない数字は出どころが何処であれ、
僕は手放しで信用していませんので。
posted by ととら at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記