2021年03月08日

マニアな僕らのそのココロ 後編

独立して初年から事業課題の筆頭に挙げつつ、
11年たってもクリアできないこと。
それは・・・

労働時間の短縮です。

いや、人権回復ともいえるこの問題。
今でも僕らの労働時間は、
ひとりあたり月に400時間を切ることがほとんどないんですよ。
(個人経営の飲食店はたいてい似たり寄ったりですが・・・)

その原因の一端を前回、そで看板を例にお話しましたが、
今日はフツーやらないDIY仕事がボリュームとしてどれくらいあるか、
ファサードに視点を移してご覧にいれましょう。

makingfasade.jpg

1.丸電灯に書いてある『ととら亭』の文字
  ともこがペンキで一発書きしたもの。
  やり直しがきかないのでかなり緊張して書いていました。
  
2.のれん
  まずロゴは、
  a.手描きの人物イラストをスキャナーで取り込み、
    看板と同じくベクトルデータに変換。
  b.イラストレータでその他の部分を描いて合成。
  『旅の食堂』の文字をこれまた看板と同じように作成。
   最後にそれらをレイアウトし、
  『ととらレッド』のCMYK数値を添えてデータ入稿。
  イメージが形になる。これも納品されたときは感動しましたね。

3.曜日別営業スケジュールの黒板
  歯医者さんのデザインをパクリ、PCで作成したものをパウチ。

4.メニューブック
  『旅のメニューのヒストリー』の元ネタになっているもの。
  これまたDIYの極致でメニュー写真、
  キャプション、デザインなどすべて手作りです。
  旅のメニューの再現に取材後、最低でも3カ月かかる理由のひとつがこれ。

5.踏み台
  最初に作ってくれたのは開業時にお世話になった内装工事の大工さん。
  その後の再塗装は僕たちでやっています。

6.メニューケース
  『世界の料理とお酒』の内照文字も看板と同じテクで作成。

7.営業サインボード
  看板と同じテクで作ったもの。日本語、英語、ハングルで表記しています。

8.黒板を乗せている切り株
  看板の素材と同じく荒川で拾ってきました。
  その後、腐らないようにクリアニスで表面をコーティング。

9.特集ポスター
  メニューブックのデザインをリミックスして作ります。
  印刷単位はプリンタの機能上の制限でA3を横2枚で構成するように分割。

10.チラシ
  日本語版、英語版の販促チラシ。特集が変わるたびに作り替えています。
  英語版のコメント文の監修はTabiEatsのシンイチさん。

11.ポスターボードを乗せている椅子
  これも荒川岸での拾い物。

12.営業時間短縮の告知
  都のウェブサイトからダウンロードしたステッカーと、
  具体的な営業時間を表示したポスターを作製してパウチ。

13.アンコールメニューポスター
  これも特集メニューポスターと同じく、ブック用デザインのリミックス版。

14.ワインボトルをディスプレイしているワインの空き箱
  これは酒屋さんで頂きました。

15.袖看板
  こだわって荒川岸を探し回った甲斐がありました。
  全体の完成イメージが頭にあったので、
  この板の形とサイズがどうしても必要だったのです。

16.ギョーザ本のポスター
  出版社からの販促データを使い、キャプションとデザインは僕が作ったもの。

とまぁ、こうしてととら亭は僕らの持てるスキルのすべてと、
膨大な労力を投入して作られているのですが、
そんなマニアのそのココロとは?

外注予算がないから!

なのでございました。

ちゃんちゃん!

えーじ
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2021年03月06日

マニアな僕らのそのココロ 前編

ご来店された方はご存じとおり、
ととら亭の料理はすべてともこが手作りしたものです。
しかし『手作り』しているのは料理だけではありません。

前回のブログで独立間際のボロボロ状態をちょろっとお見せしましたが、
今日はととら亭そのものがどの程度DIYで出来ているか、
その端的な例をお話しましょう。

sbmaking01.jpg

これは2010年1月4日。
当時まだ北千住に住んでいた僕らは自転車で荒川の川岸に出かけ、
なにやらこうして怪しい動きを・・・
僕は拾った板切れを手に雄叫びをあげています。
その訳は・・・

実はお店の看板を作る素材を探しに行っていたのです。
川岸を徘徊すること数時間。
「あった!これだ!」
僕はイメージ通りの形をした板を見つけ、
喜んでいたのでした。

sbmaking02.jpg

素材はこれだけではありません。
次はともこに毛筆で『ととら亭』と書いてもらいました。
ここからバトンは僕に渡ります。
で、どんなことを始めたかというと・・・

1.ともこが半紙に筆書きした『ととら亭』という文字をスキャナーで取り込み、
2.取り込んだ画像のデータ型をビットマップからベクトル型に変換。
3.『ととら亭』という文字列を『と』『と』『ら』『亭』に分解して再レイアウト。
4.各文字を拡縮しながら文字列としてのバランスを取り、
5.再度分解して各文字ごとに印刷。
6.印刷した文字の余白を切り、板の上で項番4のとおりに再構成して貼り付け。
7.彫刻刀で文字部分を浅く彫り、残った紙を剝がしたら、こげ茶のペンキで彩色。

こうしてととら亭の顔の一部である袖看板が生まれたのですが、
素材がひとつしかないため失敗は許されません。
そこで写真左端の本番に取り掛かる前に、
練習と仕上がり確認をかねたプロトタイプを作ることにしたのです。
ともこが取り掛かっているのがそれ。
ちなみに作業分担は項番1〜5までが僕。そこから先がともこです。

signboard2010.jpg

こうして出来上がった袖看板。
最後は大工さんに穴を開けていただき、鎖で吊るして完成!
こうした長い道のりを経たものですから、
この時の僕らの感動はご想像いただけるかと思います。

えーじ
posted by ととら at 09:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年03月03日

11回目の独立記念日

初心わすれるべからず。

なにごともそう言われておりますが、
僕らにとって初心に相当する独立に至る日々は、
忘れたくても忘れられない仕事の原点。

それはこの長い旅を続けるうえでコンパスのような役目もしており、
判断に迷ったり、進路を見失いそうになったとき、
いつも僕らを進むべき方向へ導いてくれるのです。

そして、その地図に相当しているのがこれ。

historybook.jpg

カウンター席の前にひっそり立てかけてある『旅のメニューのヒストリー』。
ここには2010年3月以来、
これまでに再現した140種類におよぶ旅のメニューが収められています。
ページを繰りつつ、特集やメニューの繋がりを見ていると、
11年間の長い旅のルートが鮮やかに蘇ってきます。

OK、この進路で間違いない。

今でも時々、こうして方向を確かめながら、
僕らは仕事を続けているのですよ。
とにかく何年たっても迷うことはなくなりません。
とりわけ出発したときは字義通りの五里霧中。

pretotoratei.jpg

なんだか分かります?
これ、2010年1月中旬当時のととら亭。
ホールからキッチン方向を見た状態です。
ご覧のとおり、なんにもない。まさしくゼロからの出発でした。
しかもほとんどがDIY。
可能な限り自分たちでやっていたものですから・・・

sleeping2010.jpg

こうなるわけです。
これはオープンを数日後に控えたある晩の光景。
アパートに帰れず、お店に寝泊まりする日々が続いていました。
ほんと、むちゃくちゃしんどかったです。
でも、この日々があったから今がある。
この日々を忘れないから旅を続けていられる。

blackboard2021.jpg

今日はととら歴11年と1日目。
また新しい旅の始まりです。
船体もクルーも老朽化が進み、高い波がとうぶん続きそうですが、
まだ見えない未来に向かって漕ぎ出したいと思います。

よし、錨を上げろ!

ともこ & えーじ

daruma2021.jpg
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2021年02月28日

Kick my ass!

ととら亭は朝から晩まで、いつも音楽が流れています。
出勤したらコーヒーを飲みながらの読書タイムですので、
静かなメディテーション系。
そして頭と体が起きたら一挙にアゲていきます。

営業中の民族音楽やジャズからは想像できないかもしれませんが、
掃除の時間はAORかハードロックが多いですね。
たとえば今週はAC/DC。
これはノリからして気合が入ります。
そしてバンドメンバーを思い浮かべると、
さらに「今日も行くぜっ!」という気持ちになってくるのですよ。

なぜならリードギターのアンガス・ヤングは御年65歳にして、
相変わらず小学生ルックでライブ中ずっとヘッドバンキングしっぱなしだし。
ヴォーカルのブライアン・ジョンソンなんて73歳であのヴォーカルでしょ?
(よく頭の血管が切れないな)

さらに去年発売されたアルバムタイトルがなんと Power Up!
マジですか? あの年齢でパワーアップ?
と思って聴けば、1974年のデビュー以来、
相変わらず金太郎アメのようにワンパターンですが、
シンプルなリズムとスタッカート気味のギターリフでぐいぐい引っ張る底力に、
年齢による衰えなんて微塵も感じられません。

なるほど、けしてテクニカルなバンドではありませんが、
クイーンのブライアン・メイなどの大御所からも、
一目置かれる存在であることが分かります。
(半分あきれられているのかも?)

ととら亭はまもなく11歳。
それは僕らが独立してから11年の歳月が流れたことを意味します。
当然、建物も機材も老朽化して故障の連続。

人間の方もそこかしこが壊れてきて、
ふたりしてどこも痛みがない日がなくなりました。

しかし、朝からこれを聴けば、
気分はもうギター小僧だったハイティーン!
(ってのはちと無理があるけど)

じいさんたちに負けちゃいられませんからね。

Kick me when I am down!

えーじ
posted by ととら at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月25日

Double surprise!

「誕生日のお祝いでディナーの予約をしたいんですけど」

とある日、10年来のお客さまからこんなオファーを頂きました。
初めて来たときはまだハイティーンだった彼女も、
今では立派な社会人です。

「ありがとうございます。で、誰の誕生日? お父さん?」
「わたしのです」
「へぇ、そうなんだ! いやはや自己申告ね」
「ええ、父と母が一緒に来ます」

そして当日。
ランチタイムの営業が終わって間もないころ。

「こんにちは〜!」

誰かと思いきやくだんの彼女です。

「どうしたの?」

見れば彼女は両手に大きな花束をふたつ持っています。

「これ、今夜のサプライズで渡したいから預かってもらえます?」
「あれ? 君の誕生日だよね?」
「はい」
「これをお父さんとお母さんに渡すの?」
「そうです」
「やるね〜、まるで結婚式みたいじゃないか!
 タイミングはデザートのオーダーをもらった直後がいいかな?」
「ええ、そこはおまかせします」
「OK、じゃ、オーダーの後、何気なくカウンターまで来てくれる?
 そうしたら花束を渡すよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いい子だね」
「きっとお父さん泣くよ」

彼女が帰ってそんな話をしていたら、
今度はそのお父さんが現れ、

「おや、こんにちは!」
「良かった、間に合った」

と手元を見れば、彼も花束を持っています。

「今夜、予約してたでしょ?
 娘の誕生日なんですよ。それでこれを贈ろうと思って。
 ちょっと預かっておいてもらえます?」
「いやぁ〜、サプライズですね!」
「ええ、まぁ・・・」

と照れ臭そう。

「おいおい、どうする?」
「渡す順番が大切よ」
「両方ともこの全体を知らない。となると・・・」
「ん〜、やっぱり最初は彼女が花束をご両親に渡して、
 ふたりが驚いている間にえーじが彼女に花束を持って行けば?」
「なるほど、それがいい」

そしてディナータイム。
デザートをサーブする直前に彼女が、
ご両親それぞれに大きな花束を持って行くと、

「え! なにそれ?
 どうしたの? わたしたちに? ふたり分あるの?」

お母さんはもうびっくり。
お父さんは「やられた〜!」って感じ。

よし、今だ!

気付いていない彼女にそっと近づき、

「おめでと〜ございま〜っす!」
「わぁ! え〜? あ、ありがとうございます」
「僕からじゃないよ」

と言ってお父さんの方に目配せすると、

「まさか先にこっちがもらうとは思ってなかったよ」

彼女は勝ち誇ったように、

「えへへ、でしょ〜?」

こうしてダブルサプライズは大成功でした。

彼女たちが帰った後も、店の中は花の香りでいっぱい。

「すてきなバースデーだったね」
「ああ」

この仕事をしていると、こんな夜もあるのです。

えーじ
posted by ととら at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月22日

自分を見つけた場所

ひところ前に、
『自分さがしの旅』なんてのが静かなブームになっていましたね。
それを知ったとき、
「なるほどなぁ・・」という気がしたのを覚えています。
何といっても、かくいう僕が、かつてそんな旅をしていたのですから。
(自分を探す自分とはなんぞや? という哲学的な問いはさておき)

しかし僕の場合、モラトリアムを過ぎて、
社会的なアイデンティティを見つけよう!

なんて健全な目的を持っていたわけではありませんでした。

振り返ってみるに、好奇心に駆られてふらりと出た旅が、
その後の人生に大きな影響を及ぼしていた、
というオチでしょうか。

あれは20歳代の前半、
オートバイで北海道をツーリングしていたときのこと。
いや、正確にいうと、
当時すんでいた横浜から10日間前後の日にちをかけて、
ずっと国道4号線を北上したのですから、
東北・北海道ツーリングと言った方が正しいかもしれません。

そこで何があったのか?

(BGM:ツァラトゥストラはかく語りき R.シュトラウス)

って、神の啓示をうけたようなことはありませんでした。

この時はバイク仲間の先輩が一緒だったのですが、
基本的にライダーは孤独です。
走行中は誰かと話をすることも音楽を聴くこともできません。
ただ前方を見つめ、エグゾーストノイズと路面のフィードバック、
そして風を感じながら走り続けるだけ。

それでも、なんと言ったらいいのかな?
鉄の馬と一体化したあの感じ。
そしてやがてそれが空や道とも溶け合って、
自分という存在が希薄になってくる。

バイクを止めれば、そこは見知らぬ街、
周りはすべて僕のことを知らない人々。

ああ、これが世界であり、僕自身なんだ。

こんな脈略のない旅だったのですけど、
帰ってくるとすぐ行きたくなる。
それでまた出かける。
そんなことを繰り返しているうちに、
旅はやがて目的でも手段でもない、
僕という存在の一部になってしまいました。

So no reason.

「この前の冬山はいい経験になりましたよ!」

先日、登山を始めて間もないお客さまから、
こんな話を聞きました。
彼はちょっとしたきっかけで社会人の登山クラブに入り、
高尾山からはじめ、次第に冬山まで登るようになったのです。

最初は腰が重そうでしたが、
いちど経験してみると、みるみる話す表情が変わり、
次はロッククライミングもどうかと思案中。

僕より少し年下の彼のここ数年は、
公私ともにとても厳しいものがありました。
たびかさなる困難の中で目標を失った日々は、
山行にたとえれば
深い霧の中をさまよい歩くようなものだったでしょう。

しかし、山のことを語る彼の口調には、
人生のイニシアチブを取り戻した、
どこか明るく、力強い響きがあったのです。

もしかしたら、
彼は登っていた山の中で、
何か大切なものを見つけたのかもしれません。
そう、永らく見失っていた自分自身を。

この仕事をはじめて、
そうして変わって行った人たちを何人も見てきました。

ある人は舞台の上で、ある人は自動車の運転席で、
素顔の自分に出会ったのです。

Am I on the right path?

みんな、どこかで、何かを迷っている。

その問いに答えてくれるのは、
本やネットの情報ではなく、
こうして出会った自分自身だけなんですよね。

えーじ
posted by ととら at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月19日

旅のハードル

ととら亭は旅の食堂。
必然的に旅好きな方が集まってきます。

しかし、そこで奇妙な矛盾に出会うことがしばしばありまして。
それは、

旅が好きだけど旅には行けない。

というもの。
して、そのココロは?

いや、コロナ禍だからじゃありません。

まず、国内国外にかかわらず、もっとも多かった意見は、
費用が高いから。

そこで僕は言いました。
もっとも簡潔な答えは「僕が行けるんだから心配ないよ」。
(実際、ビンボー大爆発状態でも国内各地は旅をしていましたし)

以前、こんなことを訊かれたことがあります。

「京都に行きたいんですけど、20万円くらいあれば足りますか?」

に、20万円!

僕はどこか外国のKYOTOに行くのかと思いましたが、
やはり京都でいいそうです。

「格安ツアーで贅沢しなければ、
 総額3万円前後でどうにかなるんじゃない?」
「えっ!そうなんですか!」

ご存じのように、もっと安上がりな方法もありますけど、
いきなりスパルタンな旅を勧めるのはどうかと思いまして、
無難な提案をしたのを覚えています。

海外旅行に関しては、

「ととら亭はヒマそうに見えて、ずいぶん儲かってるらしいよ」
 (だったらいいんですけどね〜)

野方の商店街でもこんな噂が立っていたそうで、
そのココロはと申しますと、
海外旅行といえばひとり100万円が相場・・・(!)。

残念ながら、そんな予算の旅はしたことがございません。
実際、まじめに申告している経理上の取材費は、
少ない場合だと年に3回、合計40日間前後の二人分の総額が、
90万円前後だった年があります。

しかしこれは仕事とスケジュールを優先した結果であって、
本来の出たとこ勝負型の旅にした場合、
30パーセント前後は少なくなるんじゃないかな?

そこで同じように海外旅行で無難にお勧めしたのは、
ソウル、台北、香港など。
たとえば台北ならスケルトンタイプのツアーで、
2泊3日4万円前後からあるでしょう。

この辺の予算感は旅慣れている方なら当然と思われるでしょうけど、
僕が実際に受けた質問の数からすると、
自分で初めて手配する方にとって、
いちばん気がかりなところなのかもしれませんね。

海外旅行の場合、次に聞く不安要素は言葉の壁。

日本語以外は喋れない。
だから行っても食事すら注文できない。

これも同じように答えました。
「僕が行けるんだから心配ないよ」

確かに僕は日常会話程度なら英語が話せます。
しかし、残念ながら英語は世界語ではありません。
メキシコ以南のアメリカ大陸、旧ソビエト連邦諸国、
エジプトを除く北アフリカの国々、そして近所では中国やモンゴルなど、
英語はまず通じませんでした。

そこでどうやって旅をしていたのか?

サバイバルレベルの現地語を50フレーズほど覚えて行ったのですよ。
ところが付け焼刃の発音が通じるかどうかはビミョー。
「トイレはどこですか?」で首を傾げられることも珍しくありません。
そんなときはどうしたのか?

ニカっと笑って日本語で話しかけました。

笑えば敵意がないことは伝わる。
そしてお互い地球人なのだから、
伝えようとする意欲と理解しようとする思いがあれば、
複雑な内容でない限り、大抵は必要なコミュニケーションがとれます。

もちろんこれば個人旅行の場合ですが、
ツアコンさんの随伴するツアーに参加すればそんな不安は解消されますし、
最近ではオフラインで使えるスマホの翻訳アプリを使うという手もあります。

一番たいせつなのは、それを学校の試験と混同しないこと。

言葉の壁を嘆く方は、たいてい真面目そうな方がほとんどでした。
旅はテストや競争じゃありません。
文法がクラッシュしていてもいいのです。
要は自分なりの目的をいかに柔軟に達成するか?
これに尽きると思います。

初めて海外旅行に行きたい。
でも、おカネは乏しいし、団体ツアーはイヤ。

先日、こんな話を20代後半の青年から聞いていたのですが、
そこでお勧めしたのは、

「じゃ、コロナが落ち着いたら、
 スケルトンツアーで台北に行って来たら?」

手ごろな予算、フライトタイムの短さ、安全、衛生、
そして言語の壁の低さを総合的に考えると、
デビューの場所としてはいいんじゃないかな?
(実はともこのソロデビューも台北でした)

彼がどんな旅をするのか、僕にはわかりません。
しかし、ひとつだけ確信していることがあります。

台北の夜市を散策しているうちに、彼は知るでしょう。
旅のハードルは思っていたより高くはない、
ということを。

えーじ
posted by ととら at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月16日

どっきり読者

ギョーザ本の企画を練っていた2016年。
内容のみならずマーケティング的な議論もあれこれしましたが、
思えばスコンと抜けていたのが読者の想定年齢。

これに気付いたのは発売後のまだ間もないころ。
高校の教員のお客さまから、

「本を読みましたよ。
 ぜひ子供たちにも読ませようと思って図書室に置きました」

と、言われたとき。

え? 学校の図書室?

「あ、そ、それはありがとうございます・・・」

と口ごもりつつ、僕は頭をフル回転させていました。

おいおい、高校生といえばまだ未成年じゃないか。
なんかヤバイこと書かなかったっけ?
反社会的なアジは? サブカルな内容は? いやいや下ネタは? 

正直、僕は読者の年齢をまったく考えていなかったのですよ。
(そういえばこのブログもそうだった!)
ましてや未成年が読むとは想像もしてなかったので、
この話を聞いたときは完全に虚を突かれました。

そしてこの件のダメ押しが来たのはさらにその直後。
中学生のお嬢さんを連れたお母さんが来店され、
タイアップで特集していた各国のギョーザを注文されたとき。
テーブルに近付くとお母さんがニッコリ、

「今日の料理は学習ずみなんですよ!」

で、視線を制服の少女に移せば彼女はまさに、
ギョーザ本に目を落としているじゃないですか!

うひ〜、ちょっと待った! 今度は中学生か!
だ・・・大丈夫かな?
R18指定・・・じゃなかった・・・はずだよね?

こうして僕は冷や汗をかきつつ、
パントリーに戻ったことを今でも覚えています。

あれから4年。
可愛らしい少女だったそのお嬢さんは、
すっかり大人びた大学生になりました。
そして先日、来店されたときに、

「今年の9月に留学することになったんですよ」
「へぇ、どこへ?」
「フィンランドです」
「じゃ、ヘルシンキ?」
「はい」

読者の年齢を考慮せず、
ましてや教育の文脈で書いた本ではありませんが、
誰かの旅の入り口になれば、との思いを込めたものではありました。

もしかして、
あの本も少しは旅人のひな鳥たちの糧になったかしらん?
だといいんだけど・・・
ん〜・・・
ま、反面教師ネタとしてなら悪くなかったかもしれない。

僕は親になった経験はありませんけど、
続く世代に後姿を見られる緊張感とは、
こんな感じなのかもしれません。

僕をうろたえさせた彼、彼女たちの旅に、
幸、多からんことを!

えーじ
posted by ととら at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月13日

旅の記憶のささやき

あれは2001年の春。

インドを旅していた僕にとって、
もっとも印象に残ったことのひとつがレストランの入り口でした。
そこは vege と non vege という言葉のもと、
ふたつに分かれていたのです。

この言葉を字義どおりに読むと、
ベジタリアンと非ベジタリアンですが、
真に意味するところはハイカーストとローカースト。

社会的階級によって、
公共のレストランでさえ入り口も食事をする場所も別々にされる。
これがあのカースト制度なのか・・・

21世紀になってもまだ、
出自の階級で一生の社会的運命が決まってしまう。
そんな差別のない日本に生まれて良かった。

この話を友人のエディーにしたとき、
彼は少し間をおいて、
何かを思い出したかのように切り出してきました。

「日本にも差別はありますよ。
 経済差別は堂々とまかり通っているじゃないですか」

経済的に困窮した家庭で育った彼が意味したのは、
いわゆる経済格差の是非ではありません。
格差からもたらされた社会的な差別のことです。

確かに、日本にも持っている(払える)おカネの量によって、
入れる場所と入れない場所が普通にあります。
これは僕にもすぐ思い当たりました。

たとえば空港のディパーチャーフロアには、
Important ではない僕が入れないVIPラウンジがありますし、
その先のボーディングゲートは、
ビジネスとエコノミーのふたつに分かれているでしょ?
そして行き着く先のシートとサービスはもっと違う。
あれがインドの vege と nonvege とどう違うのか?
アパルトヘイトの White と Colored とどう違うのか?

これはこのブログのThink Togehterでもぜひ取り上げてみたい議論ですが、
経済差別が倫理的かつ人道的に正当で、
カーストや人種による差別は間違っていると明確に説明するのは、
富の分配や所得格差の是非などメタレベルまで掘り下げた場合、
なかなか難しくなることが想像されます。
(少なくとも僕はとても歯切れが悪くなります)

まぁ、この程度であれば無害なものですが、たとえばこれを、
新型コロナウイルスのワクチン争奪騒動に当てはめてみるとですね。

世界で断トツの接種率を誇るイスラエルは、
相場の1.5倍の価格でワクチンを確保したと報道されています。

もし接種率がワクチンの入手量を前提とし、
それが相場を上回るコストを支払える経済力に依存しているとしたら、
今や全世界は『健康と生命もまたおカネ次第』という原理で動いている。
そう言えなくもありません。(よね?)

さて、森会長の辞任で揺れる東京オリンピック開催の是非。

これは僕の、旅人としての、個人的な意見なのですけどね。
オリンピックの開催条件が、
世界規模で新型コロナウイルスの感染を制御することだとすると、
WHOのワクチン配分計画COVAXが機能不全に陥いりかけている現状、
やることありきの強行開催が歴史に刻むのは、
菅首相のいう『人類が新型コロナに打ち勝った証し』ではなく、
東京オリンピックは、
『おカネ持ちと特権階級の祭典だった』という苦い記憶になるのではないか?

性差別で森会長は辞任に追い込まれました。
では追い込んだ僕らは、差別を知らない、清廉潔白で無垢の民なのか?
ワクチンの到着を待ちつつ、遠くから傍観していた開発途上国の人々には、
このドラマがどんな風に映っているのか?

能力と努力の結果である収入格差からもたらされる社会的待遇の差は、
不当な差別ではなく正当な区別である。

あなたがそうためらいなく言い切れるのであれば、
それでいい。

ただ、僕には、もうその自信がないのですよ。
なぜなら、積み重なった旅の記憶が、
見て見ぬふりをしようとする僕に、

「お前は噓つきになろうとしているな?」

そう囁くもので・・・

えーじ
posted by ととら at 10:09| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月10日

満席は満席にあらず

「さすがはととら亭。コロナ禍でもスゴイですね!
 先週末に来たら満席で入れませんでしたよ」

最近、こんなお言葉を頂戴することがしばしばあります。
そこで僕は、

「いやぁ、おかげさまで。ご贔屓にして頂いております」

と、応えられればいいのですが、
その実情は・・・

ずいぶん前に『山あり谷あり』なんてお話をしましたけど、
あれから7年近くたって出てきたトレンドの変異種は、

スピードの壁。

現在、東京都内の飲食店が置かれている悲しい喜劇は、
19時にオーダーストップ、20時に閉店というもの。
これをととら亭に当てはめると、

18時 オープン
19時 オーダーストップ
20時 クローズ

となります。
で、なぜ満席なのか?

19時にオーダーストップということは、
オープンしてから1時間以内に、
最初のオーダーをすべて出し終わらなければなりません。
と、いうことは、

60分 ÷ 一皿当たりのともこの平均調理時間 ÷ 一人分の料理数 = 入店可能人数

そこで出てきた答えが1組当たりの人数にもよりますが、
平均すると3〜4組。
つまり場合によっては3名から最大8人が限界ということになるんですよ。
(ともこがケンシロウ並みの百裂拳スピードで作っても!)
これを席数16と比較すると、稼働率は最大でも50パーセント。

限界に達したところでファサードに満席札を出してしまいますが、
かくいう『満席』の中身はこれなんですね。

さて、予想どおり非常事態宣言の解除は見送られてしまいました。
ここからまた1カ月、この調子が続くと思うとめまいがしそうですが、
この程度のハードルは、ハローワーク行きになってしまった方々や、
保健所、医療関係者、救急隊員の方々に比べれば軽いものです。
地道に、基本に忠実に、次のチェックポイントを目指したいと思います。

えーじ
posted by ととら at 01:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月07日

最初で最後のととら亭

春の入り口が見えるこの季節。

「近くにお住まいですか?」

初めてご来店されたと思しきお客さまに、
こう訊くことがあります。

「ええ、近くなんですけど、来週、引っ越すんですよ」

お客さまは続けて、

「その前に、気になっていたお店に行こうと思って」

さらに続けて、

「野方に何年も住んでいるんですけど、
 ほんと、ずっと気になっていたんですよ」

そうなんです。
気になるお店、ととら亭。

しかし、『旅の食堂』なる怪しげなコピーと、
得体のしれないオヤジがホールを担当しているせいか、
どうも一人じゃ入りにくい。
そう言われ続けて10年余が経ちました。

どんな店かは知らないけれど、
誰もがみんな知っている・・・

そんな懐古調のフレーズが頭をよぎってきたりもします。

最初で最後のととら亭。

まぁ、こうした一縁も、旅らしくていいのではないか?

BGM:井上陽水『白い一日』

お客さまの背中を見送りつつ、
こんな風に僕の早春の日々は過ぎて行くのでございます。

えーじ
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2021年02月04日

Think together case02

「はぁ〜、来月まで時短営業が延長だってさ。
 まったく、政府はなにを考えてるんだか!」
 
と、愚痴ってもしょうがない。

メディアの報道を見て一喜一憂を繰り返しつつ1年余が過ぎ、
そろそろ多くの方が気付いているだろうことがあります。

それは、常に政府が批判されている、
ということ。

たとえば入国制限や非常事態宣言。
出さねば『危機感がない』や『国民を見捨てた』ですし、
出したら出したで『遅きに逸した』と『唐突!』でしょ?

なにをやってもダメ出しが待っている。

これ、小は家族から大は企業や自治体まで、
集団のまとめ役をやったご経験のある方なら説明不要と思いますが、
どんな提案をしても批判しかしない人たちがいる。
それも必ず!

そこであなたは言ったでしょう。

「そこまで言うなら対案を出して下さい」

しかし、返ってくるのは、

「それを考えるのがそちらの仕事じゃないですか」

いかがでしょう?
ありがちな話じゃないですか?

僕には全世界を舞台としたこのコロナ劇場が、
おなじみの陳腐な台本で演じられているような気がしてならないのですよ。

そろそろこういう展開に飽きてきたところで、
僕らに求められているのは、
スポーツで例えるなら、
観客席に座った批評家としてしのごの言うのをやめ、
ユニフォームを着てグラウンドに降りること・・・

なのではないか?

上から眺めてあれこれ言うのは誰にでもできるし、
グチとモンクとヤジが同じ発話行為でも意見と別物なのは、
出てくる結果の生産性を比べればあきらかじゃないですか?

このへんで当事者として前向きに議論しよう。
そのためのウォームアップになるのが、
損得できれいに割り切れない、
トレードオフの問題をディベートすることだと思うんですよ。

たとえば旬なトピックでいうとロックダウン。

ウイルス性の感染症は、感染した生物の移動で拡散します。
新型コロナウイルスの場合、
いわずもがなウイルスの乗り物になっているのは僕ら人間。
そこで最も有効な封じ込め策がステイホームとなるわけですね。

ところが、例外なく、みんなでおうちに籠ったらどうなるか?
感染症の封じ込めには有効ですが、
生産や物流のみならず、
ライフラインにまでおよぶ深刻な影響は避けられない。

かといって経済と社会機能を優先して、
いつもどおりやりましょう!
そのうち集団免疫もつきますから。
この案で払わなければならない健康と生命の代償は計り知れません。

いやはや、どうしたらいいのか?

ここでディベートです。
目標はひとつ。

参加者は自分の個人的な利益を追求するのではなく、
公益の最大化を目指します。

僕はこうした議論が中学生くらいからできると思っています。
もちろん家庭でもいい。

みんなのために、
いま僕たちは、何をすべきであり、何をすべきではないのか?

Think together.

グラウンドに降りて、一緒に走りましょう。

えーじ
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2021年02月01日

ととらのスリールール

「これ、どこがやるんですか?」

「うちの担当じゃありませんよね?」

官民を問わず、職掌や職務権限の網から漏れたケースは、
とかく宙に浮きがちです。

どこがやるのか? 誰がやるのか?
お見合いをしているうちに始まるババ抜き。

このストレスとババを引かされた後にやってくる理不尽な思いは、
誰もが少なからず経験していると思います。

しかし、アンタッチャブルではないんですよ。

かくいう僕がこのゲームから解放されたのは、
ととら亭として独立したことがきっかけでした。

いや、これは何か特別な努力をした結果ではありません。
必然的に解放されてしまったのです。
だって考えてもみてください。
ととら亭はともこと僕の二人しかいないでしょ?
で、「これをやるのはそっちの仕事だよね?」なんて押し付けあったら、
なにも前に進まなくなっちゃうじゃないですか?

そこでどんな風に仕事をアサインしているのかというと、
ルールはたった三つだけ。

まず『やれる方がやれることをやる』。
これが大原則。
次が『手伝える時は手伝う』。

このふたつのルールに則って仕事をすれば、
結果は自ずと最適化された形で出てきます。
(もちろん自己ベストの範囲ですけど)

実をいうと、これは仕事に限らず、わが家のルールでもあるので、
オフから旅の時まで、すべからくこの調子でやっています。
これは絶対ともこが、えーじがやるべきだ、というのはない。

そして最後が『任せた仕事につべこべ言わない』。

「ちっ、僕がやったらもっとうまくできるのに」

こういう考えでは結果的にいいアウトプットが出せません。
(自己ちゅーな僕とともこは組織で働いていたとき、
 さんざんこのドツボにはまりました)

パートナーやフェローへのリスペクトこそ、
業務スキル以上に、働くうえで欠かせないことなんですよ。

10年以上、月に400時間はたらき続けていて、
なぜストレスで過労死しないのか?

以前、ふとそんなことを考えてみたのですけどね、
それはたぶん、このスリールールの仕組みが、
うまく動いているからではないのか?

そう、ストレスの耐性を上げる努力をするより、
そもそもストレスを作り出さない方がいい。

楽しくやろう!

僕らは今、シンプルに、そう考えています。

えーじ
posted by ととら at 02:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月30日

世界のギョーザ特集パート5が始まります!

もひ〜・・・24時のゴールは間に合わなかったか!

昨日の午後から在宅勤務でアパートにこもっていたのですよ。
ここだと静かで仕事が捗りますからね。

皆さんも同じような経験があるかと思いますが、
オフィス(僕の場合はお店)にいると、
電話が鳴ったり、不意な来客があったりと、
(ほとんどアポなしで来るからね〜)
なかなか集中して仕事ができない。

特に単純作業ではなく、
ゼロから何かを作るようなことをしているときは、
(ある意味このブログもそう)
中断させられると元に戻れなくなってしまう。
だからとにかく静寂が欲しい。
(というか Leave me alone!)

僕は入り込みやすいたちで、
条件さえそろえば、3〜4時間はノンストップでやっています。

え? はっ! もう夜だ!

みたいに。

実際、ととら亭の仕事はおもしろいんですよ。
量が多過ぎるのが問題ですけど、
(締め切りがじゃんじゃん来るのも!)
でも、11年近くやっていてモチベーションが下がったり、
オフの日の午後にブルーになったことは一度もありません。

そうした意味で僕はとてもハッピーだと思っています。

もちろんそれは社会的成功や経済的成功を意味してはいません。
11年前も今も僕はただの旅人ですし、それ以上でも以下でもない。
(つまりぜんぜん進歩がない!)
たぶん、素の自分にいちばんフィットしているんでしょうね。

今回の特集もしばらく前から温めていたものです。
食文化は本当におもしろい。
一皿のギョーザでさえ、想像を超えた広がりを持ち、
時間と空間を超えて、とんでもないところまで繋がっている。

モンゴルの旅は印象的でしたね。

取材ノートや資料を読み返しつつ、
キャプションを書いていたら、
僕は自分がすでに、旅に出ていることに気が付きました。

そう、一皿の料理が、旅のゲートを開けるのですよ。

Open your eyes.

えーじ

世界のギョーザ特集パート5
posted by ととら at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月28日

プログレッシブ レストラン

22時閉店の次は20時閉店。

営業時間の変更は業務オペレーションのみならず、
僕らの生活リズムに大きく影響します。

しかしながらいつぞやお話した『万年時差ボケ』と同じように、
不規則がデフォルトになっている僕らには、
この時短要請も業務変数のひとつなんですよ。

ですから今週のように、
店舗都合で1週間ディナー営業のお休みを追加しても、
そういうリズムでプレイするだけなので、
大きな不都合はありません。

そういえばバンドをやっていた時も、
僕は変拍子が得意でした。
それも Take Five みたいにシンプルな連続パターンではなく、
5拍子や7拍子が小節単位で不規則に変化する変態もの。
ドラムスは3拍子、ベースの僕は5拍子でプレイして、
最小公倍数の15拍目で揃うようなプログ系をよくやっていたのです。

とまぁ、マニアックな話はともかく、
半休を頂いて取り組んでいるのが旅のメニュー替え。

ランチ営業が終わって午後からはともこは仕込み。
僕はワインの商品撮影のあと、
アパートに戻ってキャプション書きです。
進捗状態からして、
明日の午後にはウェブサイトでリリースできるかな?

あ、ご安心を。
仕事は変拍子ですけどアプトプットはポップです。
世界のギョーザ特集ですからね!

えーじ

P.S.
ってことは、ととら亭をバンドに例えると、
イエスやキングクリムゾンではなく、エイジアなのかしらん?
ん〜・・・古い話ですみません。
posted by ととら at 14:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月25日

冬の旅の寒い宿

いや〜、この週末は寒かったですね。
雪こそ降らなかったものの、
どんより曇った空はいかにも冬〜って感じでした。

そんな夜道を毎晩あるいて帰った僕らですが、
熱いシャワーを浴びれば、凍える寒さもすっかり忘れ、
「あ〜、わが家はいいねぇ〜」なノホホン気分。

いや、アパートをアップグレードしたわけではありません。
相変わらず6畳間の寝室だけ暖房を入れて、
電子レンジで温めた賄いを食べていただけです。

ならば、その充足感のココロとは?

例によって価値観の基準がやたらと低いから。

まぁ、どんなところと比べているのかと申しますと、
たとえば2009年の南米の旅。
時期は7月〜9月だったのですが南半球なので季節は冬。
しかもアンデス地方は標高3,000メートル前後が当たり前で、
むちゃくちゃ寒かったんですね。

そんな旅では日暮れと同時に宿に逃げ込むのが一番!

っと、いいたいところですが、
1泊の予算が日本円で2,000円前後だった僕らは、
ついに3か月間、暖房付きの宿には泊まれませんでした。
そこで実際どんな部屋を泊まり歩いていたかというと・・・

『ただの部屋』です。

え? 意味不明?

ですから字義どおりに、ただの部屋なんですよ。
ドアを開けるでしょ、次に目に入るのはベッドがひとつ。

以上!

テレビやエアコンはおろか、
机も椅子もない。
そしてときにはこんなことも・・

「えーじ、寒いね」
「うひ〜、部屋の中も氷点下じゃないかしらん?
 息が白いよ」
「うん、なんか風も吹いてくるし」
「風? いくらなんでもそりゃないよ」
「でもす〜す〜するじゃん」
「すきま風?」
「ほら、もっと強い風がときどき吹いてくるよ」
「ほんと? 僕は感じな・・・」

と言って天井を見上げると、そこには天窓が。
そして凝らした目に飛び込んできたのは・・・

「ガ、ガラスが欠けて穴が開いてる!」

氷点下の世界で暖房がなく、窓の割れた部屋に泊まる。
それはいったい何を意味するのか?

そう、まさしく部屋の中で野宿!
さらにそこで過ごす一夜とは・・・

シャワーを浴びるなら滝に打たれるつもりで気合を入れ、
薄着で共用のシャワールームへ駆け込みます。
そこもまた当然、部屋と同じように、
すばらしく換気がいいものですから、
裸になれば気分はもう修験僧!
さらに人肌程度のちょろちょろシャワーを浴びれば、
5分もかからずしてじゅうぶん悟りの境地に至ります。

やがてニルヴァーナが見えてきたところで部屋に戻り、
さっきと真逆のことを超高速で行うのです。

そう、部屋に入ってきた時と同じ防寒ジャケットまで着込み、
矢庭にベッドへもぐりこむ!
こうしないと寒くて眠れません。
というか、凍死しちゃうかも。
ペルーやボリビアではほとんどこんな宿ばかりでした。

とまぁ、これが基準なので、
安アパートの6畳間とはいえ、暖房があって暖かい。
(ベッド(布団)は臭くないし、体も痒くならない!)
シャワーだって熱いお湯がじゃんじゃんでる。
となれば、僕らにとって、

「あ〜、わが家はいいねぇ〜」となるのも、
ご理解いただけるかと存じます。

ん〜、志が低いと生活コストは下がりますね。
もしかしたらこういうのも、
コロナ禍でのサバイバルに役立っているのかしらん?

えーじ
posted by ととら at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月22日

やっぱり、ととらスタイルで

学生にせよ社会人にせよ、
他人の評価は社会的生物である人間にとって、
とても重要な意味を持ちます。
だから成績に一喜一憂するのは程度の差こそあれみな同じ。

しかし、ここにディープな落とし穴があります。

評価は世界に唯一無二のものではないんですよ。

ちょっと固い言いかたをすると、
評価、すなわち価値とは、
評価される対象とコンテクストの相対的な関係で流動的に決まります。

万古不変の絶対的な価値なんてものは歴史上存在しない。
(あったら教えてください)

たとえば、卑近な例で恐縮ですが、
根回しが不得意で独断的な僕は、
会社員時代、地雷を踏むのをたいへん得意としておりました。

ですから企画のボツやプロジェクトの頓挫を意味する、
上司の「オレ聞いてないぞ」というフレーズは、
しごく耳慣れたものだったのでございます。
(ジョー、いつも尻ぬぐいしていただき、すみませんでした!)

しかし、組織内では困った要素の独断性も、
ととら亭の仕事、つまり個人事業主には不可欠のスキルなのですよ。
組織内では困った鉄砲玉野郎に固有の即断と突破力は、
ととら亭だけではなく、バックパッカーとしての旅に欠かせません。

ちょっとカッコつけると、
僕は反乱軍ではなくミレニアム・ファルコン号を駆る、
ハン・ソロとチューバッカや、
最近ではガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーのでこぼこチームを、
イメージすることがあります。

ヒエラルキーや規則や面倒くせえ根回しなんかクソくらえ!(失礼)
オレたちは自由に自分の旅を続けるぜ!

ってな調子で、昨夜も星図ならぬ月間予定表を広げ、
僕らは直近の作戦を練っていました。
そして例によって急に舵を切ることにしたのです。

今やっているチェコ・スロヴァキア料理特集パート2は、
期日を繰り上げて、1月24日(日)のディナーで終了します。

で、1月25日(月)から1月29日(金)までディナーをお休みし、
(ランチは火・金を除いて通常どおり営業します)
1月30日(土)のディナーから世界のギョーザ特集パート5をスタート!

今回のラインナップはギョーザ本でもご紹介した、
ドイツのマウルタッシェンとスロバキアのピロヒーに加え、
新作としてモンゴルの具沢山スープギョーザのバンシタイ・シュルをご紹介!

アンコールメニューも同時に変えて、
今回はエジプトのタゲン・サマックと、
ジョージアのスパイシースペアリブの2本立て!

そんなわけで当初メニュー替えのために休業する予定だった、
2月3日(水)、4日(木)は通常通り営業します。

ん〜、こういう身軽なのが好き。

Let's Rock!!

えーじ
posted by ととら at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月19日

Think together case1

3回前のブログ『プロ意識のその下に』を書いていて、
「ちと誤解を招くかもなぁ・・・」と思っていたことがありました。

それは二元論の罠。

これはもの凄く根深い問題なので僕も日常的に気を付けていますが、
つい何か好ましくないことが起こると反射的に、

「あんたが悪い!」

そう思ってしまう。

もうちょっと詳しく言うと、
ものごとをすべからく二項対立の概念で捉えるヤバイ癖のことなんですよ。
たとえば『善・悪』、『正・邪』、『優・劣』などなど。

で、この次が問題なんですが、
僕がさきに『反射的に』といったとおり、
「なんじゃこりゃ?」となった途端、
本人は自分が正しい側に立っていて、
同時に相手を間違っている側に立たせている。

このメタレベルの出発点は本能的といってもいいほど、
本人には透明化されていて気付くのが難しい。

「あ〜、今月も売り上げが悪い・・・
 コロナのせいだ! 政治家が悪い! お客さんも悪い!」

ってな具合にね。

でも、ことはそんなに単純な話じゃありませんよね?

ここで『プロ意識のその下に』に戻って、
僕の話だけを聞いていると、

『困ったちゃん』= 悪い人、間違っている。
『医療関係者』 = いい人、正しい。

そう思いませんでした?
ですよね?

じゃ、話が複雑になるので、あの時は省いた部分をお話しますと・・・

救急搬送されてきた『困ったちゃん』、
ここではS氏といい換えましょう。

手術で麻酔が効いていたときは何の問題もなかったのですが、
痛みや不快感を感じ始めるや否や、
ほとんど15分おきのナースコール攻撃を開始しただけではなく、
病室中に響き渡るノンストップの独り言DJに変身したのです!

しかもその内容はエンタメ系とは無縁の嫌悪感を催すことばかり。
さらに食事中でも「すんませ〜ん、うんこ行きたくなりました!」
関節が痛むと嘆いてはもらったサリチル酸系軟膏を塗りまくり、
強烈なメンソール系の臭いが充満した病室は、
ほとんど体育会系の部室!(う〜、食事ができん!)

うひゃ〜、スゴイねこりゃ、どんな人だろう?
とカーテンの隙間から覗いてみれば、年齢は50歳前後。

子供じゃない。
しかしその傍若無人のふるまいからは、
S氏は他者の存在をまったく認識していないとしか思えない。

僕は日中、ほとんど談話室に行っていましたし、
ベッドに帰ればヘッドフォンで音楽を聴いていたので、
それほど苦痛を感じませんでしたが、
困ったのは医療関係者と他の患者さんたち。

なかには最大で4人の寝たきり状態の方がいましたから、
病室は忍耐力の耐久テストルームと化してしまったのです。

ほどなくして、隣のベッドからは、
「こいつ、ぶっ殺してやろうか・・・」という声が聞こえたり、
テレビをタダで見たい、髭剃りを買ってきてほしい、
繁忙時に『うんこが出きらないのでもう一回トイレに行きたい』
攻撃を連打された看護師さんが声を荒げてしまったり、
(よくあそこまで耐えていたと思いますが・・・)
病室のムードは病院とは思えない、一種異様なものになってきました。

そしてついにある晩、

「うるせぇんだてめぇ!黙ってろ!」

と怒声が爆発し、

「あのさぁ、みんな我慢してんだよ。
 いい加減にやめてくれないかな、もう!」

との叫びが追従する緊急事態に発展してしまったのです。
キレたのは皆さん、普段は温厚な方ばかり。

さすがにここまでくると僕も傍観者ではいられなくなり、
「ナースセンターで相談してきますから、ちょっと待っていてください」

そうして結果的にS氏は個室に移され、病室には平和が訪れたのでした。
めでたし、めでたし・・・

で終わると、
まさしくS氏は他人の迷惑を顧みない『ひどい人』ですよね?
でしょ?
でも次を続けるとどうなります?

S氏は知的障害と聴覚障害を持ち、
家族とも離れ、ひとりで生活保護を受けながら生活していたのです。

怪我で救急搬送されるのは健常者でも大変なことです。
各種手続きや入院時の日用品の手配など、
なかなか思うようにはいかないでしょう。
それを3重のハンディキャップを抱えた彼は、
ひとりでどうにかしようと奮闘していたのです。
とうぜん、その手段も結果も、僕らがやるようにはいきません。

S氏が個室に移された後、看護師長さんが談話室に現れ、

「久保さん、すみません。
 たいへんご迷惑をおかけしました」

と頭を下げてきました。

「いや、これは誰かが誰かに謝ることではないんですよ。
 たしかに関係者全員が大変でしたけど、
 特定の誰かが悪いわけじゃない」

僕はこのエンディングがベストだったとは思っていませんでした。
結果的に病室は平常に戻りましたが、
コストのかかる個室を差額なしで提供するババを病院側が引くという、
代償を伴った結果だったからです。

民営の病院では医療行為もまたすべからくビジネスであり、
サービスと対価の比率が崩れれば経営が危うくなってしまいます。
また、病室側には平和が訪れたものの、
S氏はまだ入院していたので、
医療関係者は引き続きナースコール攻撃に晒されていたでしょう。

ではS氏を強制退院させればいいのか?
そうすれば患者さんも医療関係者もハッピーかもしれません。

しかし生活保護を受けている知的障碍者から、
医療のチャンスを奪ってもいいのか?
言い換えれば、社会的弱者は淘汰されてしかるべきなのか?

もっというと、
僕がS氏ではなく、S氏が僕ではなかったのが、
本人の意思が及ばない、持って生まれた運命だとすると、
もし僕が彼だったら、僕はどうすればいいのか?

そう、僕がここで一緒に考えてほしいのは、
あなたをイライラさせる『困ったちゃん』は、
ハリウッド映画に出てくる分かりやすい純粋な悪の権化ではなく、
僕らと少しも変わらない、同じ人間だということです。

ただ、置かれた境遇で、それぞれのスキルの範囲で、
自分の人生に取り組んでいるだけ。
しかし、その結果と他者に及ぼす影響が理解できないこともある。

退院するとき、僕は病院にメモを残しました。
この件は、誰かが悪いという問題ではない。
残念ながら僕には具体的な解決策が出せませんけど、
確かなのは、S氏が肉体的にも、精神的にも、経済的にも、
助けを必要としているということ。

Think together.

あなたがもし、
医療関係者だったら、患者さんだったら、僕だったら、
そしてS氏だったら・・・
どうしたらいいと思います?

僕は今でもその答えが見つからないでいるのですよ。

えーじ
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2021年01月16日

ミスターハッタリ & イエスマン

「これから面接なんですよ」

こんなご時世だからか、
年齢、性別を問わず、こうしたお話をしばしば聞きます。

面接・・・かぁ・・・

ヤドカリ人生の僕らもここ10数年は受けていませんが、
その前は珍しいことではありませんでした。
長い旅に出るたびに仕事を辞めてしまいましたからね。
ダブル失業中の時など、

「ともこ、明日はどこの面接だっけ?」
「えっと、求人雑誌の会社。えーじは?」
「給料が良さそうだからIT系に潜り込みたいんだけど、
 めぼしいのがないんで取り敢えず運送屋かな?」

こんな会話を交わしていたこともありました。

一般的にはこうしたときナーバスになるものでしょうけど、
(銀行残高も危機的状況でしたし・・・)
僕らは失業慣れしていたせいか、案外淡々とこなしていました。

たぶん、転職でシリアスになっている人より、
目標がシンプルだったからかもしれません。
なんといっても、

とりあえずカネになればいい!

でしたから。

どのみちまた旅に出るとなれば辞めちゃうだろうし、
出世とか定年退職なんて言葉も僕らの辞書にはなかったし。
(親は泣きますね)

となると、
取り組む仕事もやったことがない方がおもしろい。
旅と同じように、いろんな世界(業界)を見てみたい。

で、どんな風に面接を受けていたかというとですね、
僕はミスターハッタリかイエスマンに変身していたのですよ。

まず出合い頭に相手の虚を突いて、
その場のイニシアチブを取りに行きます。
たとえば、

ノックをしてドアを開き、物静かに、

「失礼します」

そして目線を面接官全員に素早く合わせながらニカっと笑顔を浮かべ、
対等な立場であるかのような自信に満ちた口調で、

「こんにちは! よろしくお願いいたします!」

ここで相手が呆気にとられた顔になっていたら、こっちのものです。
その後はもうシンプルに、

「××××はご存じですか?」と訊かれれば、
「はい」
「では〇〇〇〇はできますか?」と訊かれれば、
「もちろんです」

え? 本当にそうだったのかって?
知ってるわけないじゃないですか。
だって初めての業界だもの。

ですからIT業界に入り込んだ時も、
PCはDOS−VとMACしかいじったことがないにもかかわらず、
WindowsNTで構成されたドメインのヘルプデスクに応募しちゃったのです。
当然、ドメコンのプライマリとかDHCPとか言われても、
ぜぇ〜んぜんわからない。

そこで現場では知ったかぶりをキメながら、
ド根性で勉強して現実とのギャップを埋め始めたのです。
(Y部長、すみません。ご迷惑をおかけしました!)

え? バレたらだどうするんだ?

大丈夫、最悪、クビになっても、またハローワークに行けばいいだけのこと。
それに1週間いただけだって、
次の面接のときに「実務経験があります!」って、
さらにハッタリをかますネタになるじゃないですか?

さいわいそこではボロが出ず、数年務めた味をしめて、
次はサーバー管理者、そのまた次はネットワーク管理者というぐあいに、
「できます」「知ってます」式でキャリアアップしていったのです。

ま、白状しますと、
僕が逆に面接する立場になったとき、
そういう『手口』を知っていましたから、
単純に「知ってますか?」「できますか?」式ではなく、
より具体的な、例えばサーバ管理であれば、
「WindowsOSサーバでブルースクリーンになり、
 STOPコードが表示された場合はどうしますか?」
とか、
「担当ネットワーク内でネットワークワームが検知された場合、
 あなたはどうしますか?」
のような実戦でしか学べないような質問をして、
僕のような不埒な輩をふるいにかけていたのです。

しかし、結果的に採用不採用の判断は、
僕のいじわる質問の正解率ではなく、
応募者の方の人柄を見てのことがほとんどでした。

なぜならIT稼業といえどもスキルさえあればいいというわけではなく、
人間と人間で結果を出してゆく仕事でしたから。

もしかしたら僕が通った面接でも、
ハッタリを見破っていた面接官の方がいて、
「ふん、おもしろいやつだな」
という理由で採用してくれたのかもしれません。

うん、たぶんそうでしょう。

面接は気合です。
元気よく行ってみよう!

えーじ
posted by ととら at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月13日

幸せへのショートカット

コロナ騒動も始まって1年が経ちました。

感染者数は全国規模で相変わらず増えていますが、
その陰で前に進んだこともないわけではありません。

たとえば、重症化する確率や死亡率は、
月割りで比較すると昨年の4月、5月に比べて、
だいぶ改善されているように見えます。

しかしながら、
ち〜っとも進歩していないことがあるんですよね。

それは僕らの自己チューな性格。

報道に限らず、いろんな人の話を聞いていると、
皆さん見事なまでに自分の立場からのみ発言してる。

菅首相がやり玉にあげられている非常事態宣言がいい例ですよ。

僕が直接きいた範囲でも、発令を主張しているのは、
それが自分の生活にマイナスの影響がない方々がほとんどです。
(飲食店の経営者で、
「さっさと非常事態宣言を出せ!」なんて言っている人には、
 個人的に会ったことがありません)

反対にコロナなんて風邪と同じだよとばかりに、
公共の場でマスクを着けなかったり、
闇営業の店で盛り上がったりしている人々のなかに、
既往症を持つ高齢者はまずいないでしょう?

いずれも共通しているのは、
それがすべからく自己チューな立場で行われているということ。
言い換えれば、おもしろいくらいに、
自分とは異なる他者の存在がスコンと抜け落ちてる。

これは去年の4月からちっとも進歩がない。

でしょ?

というわけで、
1年を超えたコロナ禍から僕らが学ぶべき課題の筆頭は、
この視点なのではないか、と僕は思っています。

そしてほとんどが人災と化している今の状況で、
もっとも手っ取り早く、
コストをかけずに実現可能な幸せへのショートカットとは、
僕ら一人一人が、
自分とは異なる立場の人の身になって行動することではないのか?

これ、コロナ禍以外でも使えるからお得だと思いません?

ま、反対意見もあるでしょうけど、
少なくとも、
自己チューな僕が嘆くほど自己チューな世の中にはすべきではない。

これには同意していただけると願っております。

えーじ
posted by ととら at 22:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月11日

プロ意識のその下に

僕は職種に序列を感じない質ですが、
仕事の状況には敬意を払うことがままあります。

たとえば医療業界。

いや、コロナ禍のご時世ゆえのリップサービスではなく、
これまでお世話になったとき、現場で見た状況は、
なかなか困難なものがあったからです。

たとえば敵意。

タコ部屋が常だとイヤでも他の患者さんの挙動が目に入ってきます。
そしてどうしたわけか、必ずと言っていいほど、
中には『困ったちゃん』がいるのですよ。

どうでもいいことでナースコールを15分おきにするとか、
医療上の指示に従わないなど、
彼らのお戯れにはいろいろありますが、
共通しているのは自分を助けようとしている人々に、
ある種の敵意を持っていること。

時には暴君よろしく、
罵詈雑言の類を吐き捨てていたこともありました。

しかし、「おっちゃん、そりゃ言いすぎだよ」
と、僕の出る幕はありません。

彼、彼女たちは、その暴言や露骨な敵意をものともせず、
自分たちをののしる相手を救うことに献身していたのですから。

あれが博愛の精神なのかしらん?

僕はそうした光景を傍観しながら、
IT稼業時代を思い出していました。

コンピュータウイルスの感染事案やDMZのクラッキングなど、
火事場に投入されれば、僕らを待っているのは感謝や喜びの声より、
むしろ、「何分で直るの?」や、
「早くやってくれないと仕事になりゃしない!」
という、けんもほろろなお言葉の数々。

で、こっちも人間ですから、
「怪しい添付ファイルを開いちゃうんじゃあねぇ・・・」
くらいの『大きな』ひとりごとをお客様を前に呟いて、
上司をハラハラさせたこともありましたが、
それを思うと更なる侮辱を受けつつも仕事に徹する人々は、
ほんとに偉いなぁ・・・と感嘆せずにはいられません。

何が彼、彼女たちをそうさせるのでしょうか?

プロ意識?

いや、そのさらに深いところにある、
生き方を支える信念なのかも。

生き方と仕事の一致という意味では僕も引けは取らない、
と自負していますが、
やっぱり彼らを前にするとたじろいでしまうなぁ・・・

今年も頑張りたいと思います。

うん。

えーじ
posted by ととら at 22:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月08日

旅に嵐はつきものなので

さてさて荒れてきましたね。

予想通り非常事態宣言を背景に営業時短要請が強化されましたが、
東京都の新規感染者が一日で2千人台に跳ね上がったことには、
驚かれた方も多かったと思います。

かくいう僕もそうでした。

しかし、クールに行きましょう。
僕らは当面、行政指導の枠内で仕事をして行きます。

ディナー営業

18:00 オープン
19:00 オーダーストップ(お酒も)
20:00 クローズ



期間: 1月8日(金)〜2月7日(月)

ランチは通常通り営業します。

しかしながら席数は半分前後しか使えないので、
ご来店の際は事前にお電話いただけますと助かります。

なんか、ほんと、
リスキーな地域を旅しているときのようになってきたな。

大丈夫、僕らはこういうの慣れているんですよ。

えーじ
posted by ととら at 12:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月06日

仕事始め2021

さぁ、今日から仕事だ!

と、心機一転、がんばろうとした矢先、
出鼻をくじく非常事態宣言〜っ!

しかも僕らは嫌われ者の東京都民の上に、
(ま、全国の新型コロナウイルス感染者の4人に1人が都民じゃあねぇ・・・)
さらに悪者の飲食業者とあっては、
(ここの根拠はイマイチわかりませんが・・・)

新年早々パブリックエネミーですか?

なムード。

む〜・・・

でもま、ヒールをやらされるのは今に始まった話じゃないし、
(会社員のころもさんざんやりましたので・・・)
これまた僕たちらしく、
アフリカや南米を旅しているときと同じような気分で、
暖簾を出したいと思います。

ん?
それにしても不思議なのは、
非常事態宣言を出す政府がオフィシャルな発表をする前に、
メディアが先行して、
「複数の政府関係者の話によりますと・・・」
と具体的な規制内容を報道していること。

危機管理の大原則として、
関係者がみな同じ情報を参照して行動するってことが、
こういうところからもなし崩しなんですよね。

『関係者』さんもリークするより、
決まっているなら自分のとこで公式に発表する方が、
全体のアクションを速く進められるんじゃないかしらん?
媒体ごとの表現や内容の差異で現場が混乱することも避けられるし。

って僕は思うんだけどな。

とりあえずととら亭としては、
小池さんからのお達しを待ちます。

それじゃ、2021年も行ってみましょうか!

えーじ
posted by ととら at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月05日

ととらな賄い

「毎日おいしいものを食べられていいですね!」

この仕事を始めて、
よくこういうお言葉を頂戴しています。
そしてこれが答えに窮するケースの上位でもあるのですよ。

なぜなら、
その答えがイエスでもありノーでもあるから。

イエスという意味では、
確かにおいしいものを食べています。
曲がりなりにもプロの料理人が作っている料理ですからね。
僕の立場からすると、
専任のコックさんがいるようなものです。
考えようによってはスゴイことですよね?

しかし、ノーという意味もありまして。
それはまず、選択肢があまりないということ。

取材旅行のときは、
さっぱり軽くスープとサラダにしたいな・・・
な気分でも、取材リストに従って、
スニーカーくらいの大きさがある、
肉のかたまり系料理を食べなければならないことがあります。

それが日本にいる場合でも、
基本は残り物からのチョイスってことになるんですよ。
とりわけ今回の年末年始のように長いオフに入った場合は、
その後、売れ残ったものを延々と食べ続ける運命が待っているのです。

ロスだけではなく、
それを避けるためのともこの努力は計り知れないものがありますけど、
やっぱりゼロってのも無理なんですよ。

そこでこの年末年始に僕たちが食べていた料理なんですけどね、
前回お見せした『特別料理』を除くと、
こんな風になるのです。

makanai20210103.jpg

年末にご来店されたお客さまならすぐ分かったかな?
これはスポットで復活させたレバノン料理のラムケバブ。
しかし、彼女は愚直に残り物プレートを作っていたわけではなく、
残り飯をスパイスと一緒に炒めてアラビアチャーハンを作り、
それと合わせています。
(レバノンではこんな風にサーブされた時もありました)

サラダはこれまた残ったニンジンのマリネのてんこ盛り!

ちなみにワインや生ビールも飲み放題です。
わははは!

って、おいしかったけど、ロスはロスですから、
経営上はあんまり喜んでばかりもいられません。
こんなことをいいよいいよで続けていると、
コロナ禍以前の問題で、
お店は立ち行かなくなってしまいますからね。

とまぁ、飲食店の賄ってのは、
いずこも多少はビミョーなものなんですよ。

さて、それじゃお話はこれくらいにして、
今日の夕飯はなにかな?

えーじ
posted by ととら at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月04日

保守でリベラルな舞台裏

今年はどうやら、
今日から仕事始めの方が多いようですね。

僕らは休みに入って野方でのんびりしつつ、
ぼちぼち仕事を始めています。

といっても舞台裏ですけどね。

僕はアパートで新しいお仕事PCの仕込み。
ともこはシャッターを降ろした店で冷凍ストッカーの掃除、
などなど。

で、食事は一緒に食べるのですが、
場所によって内容が変わってきます。
アパートには調理器具がほとんどないので、
電子レンジで温める程度のものしか食べられません。

ま、パンとコーヒーのワンパターン朝食ならいいんですが、
出来立てが身上の料理となると、
ととら亭で食べることに。

たとえばこれ。

makanai20210101.jpg

やっぱりギョーザは焼きたてじゃないとね!

え? 来月からやるギョーザ特集の試食か?

いや、純粋に賄いです。
久しぶりのゆっくりしたオフなもので、
ともこが日本式ギョーザを作ってくれました。

これ、会社員時代はしばしば食べていたのですけど、
独立後は賄い作りに十分な時間をかけることができず、
なかなか食べれなかったんですよ。

いやぁ〜、おいしかったです!
(売り物には出せませんけど・・・)

それからこれ。

okonomiyaki2021.jpg

ずらっと並んでいるのは、いろんなバージョンのお好み焼き!

これもかつてはよくやったものですが、
ととら亭をはじめてからというもの、
賄いで食べる機会はまったくありませんでした。

というわけで、
朝は保守ですが、昼以降は、普段食べられないものを食べよう!
とリベラルに料理を決めている僕らでした。

えーじ
posted by ととら at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年01月01日

かつてない道を前にして

あけましておめでとうございます!

年末年始といえば、
公私ともにひとつの区切りというイメージでしたが、
今回に限っていうなら、
ハードな旅の中継点・・・かな?

そこであれこれ詰め込まず、
せめてこの休みの間くらいは、
体を休めて英気を養おうと思っています。

Simple and Slow.

実家に戻れなかったのは残念でしたけど、
こうしてのんびりするのもいいですね。

元旦は思いっきり寝坊して、
朝のコーヒーをゆっくり楽しみ、
家族や友人たちの顔を思い浮かべながら年賀状を書く。

午後は気分転換に沼袋の公園まで散歩に行きました。
2度の手術を乗り越えた左ひざも順調に回復しています。

2021年はいろいろな意味で、
これまでにない旅になりそうです。
そしてそれは既に始まっている。

これまでの経験を活かし、
僕たちらしく、目的地を目指したいと思っています。

まずはショートピッチでコロナ禍を切り抜けながら、
2月の旅のメニュー替えと決算の準備かな?

みんなでいい1年にしましょう!

nyannounce2021.jpg

ともこ & えーじ
posted by ととら at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年12月31日

ととら流のカウントダウン

今年は最後まで、
日本に居ながらにして旅を続けた僕らでした。

今日だって2010年の年末以来、
初めて野方でのんびり大晦日を迎えたのですからね。
今朝も目覚まし時計をセットすることなく、
自然に目が覚めるまで爆睡していました。

住み慣れた街でも、初めてというのは新鮮なものです。

さらに!
新鮮といえば、これまた11年目にして、
初めて大晦日の夜の野方を歩いてみたんですよ。
なんか、
見知らぬ街のような印象がありましたね。

こんな経験はそうそうあるものではありません。
ならば、とことん楽しもうじゃないか!

というわけで、
怒涛の1年であった2020年のフィナーレは、
来たる年への願いを込めて、
のんびり風呂に浸かり、ゆっくり夕食を味わおうと思います。

そう、
あんまりシリアスな顔ばかりしててもつまらない。
限られた条件の中でも、
楽しめることはたくさんあるじゃないですか。

2021年がすべての人々にとって、
小さな発見のある年になりますように。

us2020.jpg

ともこ & えーじ
posted by ととら at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年12月30日

僕たちらしく

今日は僕らの仕事納め。
2020年の営業最終日です。

こうして振り返るのは11回目になりますが、
この1年もまた、よくここまで歩いてこれたなぁ・・・
と感慨深いものがあります。

新型コロナ騒動は別としても、
とにかくいろいろありましたからね。

個々のイベントを思い出すと、
結果的に満点ではありませんでしたけど、
凡人なりに自己ベストは出せたかな?

やるだけやったぜ。

という感じ。

また、それと同時に浮かぶのが感謝の気持ちです。

ベストを尽くしたとはいえ、
自分たちだけでできることは限られています。

ほんと、この1年間も大変お世話になりました。
ととら亭の仕事だけではなく、
医療関係者や行政関係の方々など、
ここで一人ずつお名前を挙げていたら、
映画のエンドクレジットのような長さになってしまうでしょう。

どうもありがとうございました。
お蔭さまで、僕らはとても幸せです。

さて、まもなく今年最後のディナー営業。
フィナーレはひとつのことだけに集中して暖簾を出すつもりです。

それは、

僕たちらしい仕事をしよう!

はじまりも、終わりも、そうであれば、
一番ハッピーなんじゃないかな?

うん。

そうだと思います。

えーじ
posted by ととら at 15:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2020年12月28日

Our life on the jet coaster

2020年もあと4日で終わり。

なんだか訳のわからない1年間だったな・・・

という声をよく聞きますが、
新型コロナ騒動だけではなく、
僕の2度にわたる手術があったにもかかわらず、
実感としては、例年と変わらなかったような気がしています。

確かにこの1年間、旅にすら出られませんでした。
それでも二人して特別な年と感じていないそのわけは・・・

考えるに、多分、
僕らにとってのフツーの日々そのものが、
スリルとサスペンスに満ちた、
アドヴェンチャー映画のようだからかもしれません。

波乱万丈がデフォルトのライフスタイルですから、
いまさら何かが追加されたところでたいして変わらない。

これ、時差ボケにならない理由が万年時差ボケだからというのと、
同じ理屈だと思います。

新型コロナ騒動にしても、似たようなことは、
2009年に発生した豚インフルエンザのときに洗礼を受けていますし、
(あの時は爆心地のメキシコに行く予定があったので・・・)
また311で放射性物質騒動があったのも、
記憶に新しいことではあります。

それから個人的な経済危機だって、
僕らは二人そろってのダブル失業を過去2回しでかしていますから、
これまた新鮮味はまったくなし。
(仕事を辞めて旅に出てしまったのですから、ありゃ自業自得ですな)

手術にしても今回は2回とも計画入院だったので、
2012年1月の酷寒の夜に、裸で救急搬送されたことと比べれば、
むしろラッキーと言えなくもないでしょう。

そんなわけで、この1年間のドタバタは、内容がちっと違うだけで、
いつも通りのドタバタであることにはなんら変わりがない。

なるほど。
それじゃ、どうやって来たる2021年の希望を描くのか?

まず、みんなでいい年にしましょう!

それから個人的には、平凡な1年にしたい。
躍進とか大成功なんてこれっぽっちも望んでいません。
しごく平凡でいい。

と言いつつも分かっているんですよ。
来年は今年をはるかに超えた、
一大スペクタクルイヤーになるんだろうなぁ・・・

ふ〜・・・
その前に、正月休みの間くらい、のんびりしようと思ってます。

えーじ
posted by ととら at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年12月26日

とほほな『繁盛店』

今年の営業日数は今日を含めてあと5日間。

新型コロナウイルス騒動の影響でお客さまの来店パターンが激変し、
多くの飲食店が繁忙日と閑散日のギャップに振り回されるなか、
ととら亭も難しい舵取りを強いられています。

ほんと、むちゃくちゃ混んだと思えば、
翌日はカウンターに常連さんがひとりだけ・・・

なんてのは珍しくありません。

難しい舵取りといえば、
新型コロナウイルス対策としての客席数減と時短営業もそう。

昨夜もせっかくのご来店をお断りせざるを得ない理由がこれでした。
(すみません、寒いなか来ていただいたのに・・・)

なにを隠そう、実質的に使える席でご入店いただけるのは、
現状たった4組さまだけなのですよ。
(フルだったら7組さまなのに)

というわけで、繁盛店ではありませんが、
今夜もすでにご予約で満卓となってしまいました。

む〜・・・喜ぶべきか? 悲しむべきか?

ちなみに、同じ理由で
28日(月)と30日(水)のディナーは空席あとわずか・・・

で、ねらい目は27日(日)と29日(火)となっております。

ご来店の際はぜひご予約をお願い致します。

ほんと、繁盛店ではありませんが・・・

えーじ
posted by ととら at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記