2023年05月20日

ととら亭の音

時代は変わったんだなぁ・・・

この齢になると、そう思うことが少なくありません。
最近痛感したのは、
新しいととら亭を創っていたときのオーディオ機器に関してです。

かつてのようには売ってないんですよ、
CDプレーヤーやアンプ、スピーカーが。

名門オンキヨーの経営破綻など、
寂しいニュースが流れるなか、イヤな予感はしていましたが、
いざ久しぶりにアキバへ行けばオーディオ機器の専門店は激減し、
量販店での売り場も隅っこの方へ小さく追いやられていたではないですか。
(メイドさんとゲームの街になっちゃったのね・・・)

当然、陳列されている機器も層が薄く、
5万円〜10万円の中堅機は特に品薄状態。
なんとかDENONのPMA-390REを中古でゲットし、
ため息交じりで家路についた僕でありました。

ととら亭はクラブやジャズ喫茶ではありませんが、
野方時代から音にはそれなりのこだわりを持っていました。
そこで要のスピーカーは、会社員時代に自宅で使っていた、
スウェーデンのaudio pro社製、Cinema C2を設置。

speaker_230520.jpg
(15年以上鳴らして程よく枯れたマイルドな音)

これはその製品名のとおり、AVシステムのLRで使うもので、
カタログ上は低域を受け持つセンタースピーカーとのセットになっています。
しかし、ショップで試聴したところ、JBLの4312M2などよりむしろ、
大音量で鳴らせない日本の住宅環境にはいいじゃないですか。

そしてととら亭で使うにも、
周波数特性は100Hz〜20kHzといたってナローですけど
レストランで流れるメインの音楽はお客さまの会話ですから、
それを補助する意味で十分です。
(低域が出過ぎると疲れますしね)

それに、これは案外知られていないことですが、
高出力アンプに大口径スピーカーを繋ぎ、しょぼいボリュームで鳴らすより、
CDプレーヤーのアウトプットをアッテネータで落とし、
低出力アンプと小口径スピーカーをドライブさせた方が、
ずっといい音になるのですよ。

そうした点でCinema C2はととら亭程度の規模のレストランに、
最適なスピーカーだったのです。

また、もうひとつ、音作りの点で、
オーディオマニアでさえ見落としがちなポイントがあります。
それは、部屋の大きさと構造、そして壁の材質が持つ、
サウンドの決定要素としての役割。

野方時代から来ていらっしゃるお客さまから、
「前より音が良くなったね」としばしば言われますが、
それもそのはず、ホールをそういう特性に設計していたのですよ。

人間はスピーカーからの直接音だけではなく、
壁で反射した音も同時に聴き、それが臨場感を作り上げています。
音は一般的に並行する壁に当たると反射を繰り返しながら減衰しますが、
この余韻が伸びると、
いわゆる「エコーがかかったみたい」な音に聞こえるんですね。
(正しくはリバーブレーション)

柴又のととら亭のホールは野方時代に比べ空間が広がり、
並行して対面する壁が多いため、
以前より強くリバーブがかかっているのですよ。
それで臨場感が強調され、「いい音になりましたね」となったわけです。

spsystem_230520.jpg
(音の反射を考えて、高い位置に設置したスピーカー)

とまぁ、うんちくを述べましたが、
こういうネタ、実は女性にウケないんですよね〜。
と申しますのも、どうしたわけか、
昔からオーディオマニアは男性と相場が決まっているのです。
少なくとも僕は、アンプやスピーカーを熱く語る女性に、
これまで会ったことがありません。
(Audio Unionのお客さんもおじさんばかりだし)

え? でも、ととら亭の音はいいと思う?

であれば、
マニアなおじさまも報われるというものでございます。

えーじ
posted by ととら at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月17日

とはいえ!

自分を褒めた次に言うのも何ですが、
いかに自己チューの僕でも、
バックアップしてくれた人たちを忘れたことはありません。

思えば会社員時代に僕がどうにかやってこれたのも、
同僚たちやパートナー企業の方々の多大な支援があったからこそでした。

何より借りが大きいのは哀れな僕の部下たちです。
(部下って言葉はキライなんですが)
普通、上司というのは彼、彼女らの尻拭いが仕事ですが、
「僕はこれから現場に入って当分戻らない。
 君はオフィスで時間稼ぎをしていてちょうだい」
こう言い残して姿をくらまされちゃ、たまらんですよね?

パートナー企業の方々も、
「これで動かなかったら一緒にハローワークへ行きましょう。
 うひひひ・・・」
なんて火事場で言われたら、
妻子ある身じゃ内心穏やかではなかったでしょう。

そしてこれは独立して、さらに範囲が広がりました。

店を作る段階では不動産会社、大家さん、
工務店さんなくして手も足も出ませんし、
行政や銀行の方々の協力だって欠かせません。

さらに稼働したらしたで、
電気やガス、水道などインフラの担当企業から仕入れ先、
はてや廃棄物の処理業者さんまで、
いずれも一社欠けただけで仕事は止まってしまうのです。

ほんと、雨の日に配達や収集をして頂いている姿を見るだけで、
頭が下がります。

それから最後に忘れちゃいけないのが、ともこの存在です。

実は今も僕は複数のビッグプロブレムをハンドリング中でして、
定休日の昨日も朝からあちこち奔走しておりました。
自ずと留守がちになり、
営業日でも店や自宅のことを十分にする余裕がありません。

そこをワイフであり、また相棒として、
彼女が後ろを守ってくれているからこそ、
僕は正面だけにフォーカスして突撃できるのです。

いつもすまんね。
どうもありがとう。

えーじ
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2023年05月14日

Say well done to myself

早いですね。
柴又に引っ越して、ちょうど1年になりました。

僕らは過去を振り返って、
思い出に浸るタイプではありませんが、
去年の今ごろは、どうしてたんだろう?
とスケジュールを見てみれば・・・

はぁ〜・・・よくまぁ、ここまでやれたもんだ。
そんな深いため息が出てきたじゃないですか。

それもそのはず、
まずは4月下旬に住宅が引き渡されたとき、
電気だけではなく、ガスも水道も使えませんでしたからね。

とにかく、ないない尽くしからのスタート。

202205_05.jpg
(まだ通路もファサードもありません)

で、ようやく風呂を除くインフラが仮設レベルで動くようになったのが、
ちょうど今頃だったのですよ。
それで引っ越しとなったわけです。

しかし、これでもまだまだ道半場。いや、1/3か?
店舗部分の工事に着手したのが、5月の下旬です。
そこからは工事現場の上で寝起きする日々となりました。

202205_02.jpg
(工事が始まろうとしているホール部分)

当時のブログにもしばしば書きましたように、
移転計画を中心とした僕らの生活は、
東京にいながらにして、
さながらアフリカや南米の旅と変わらなくなってしまったのです。

そう、小さな問題は数知れず、
午前と午後にそれぞれやってくるビッグトラブル。
とにかく何ごともすんなり進みません。

202205_01.jpg
(カウンター部分のフレーム)

呪われたか?

と何度も天を仰ぎましたが、
そんな僕らを前向きにしてくれたのは、
待っていてくれる人々の声と、形になりつつある夢でした。

202205_04.jpg
(まだ何もないキッチン。)

心身ともに、えらくしんどい行程でしたが、
足を前に出せば、確実に前進する。
ゴールと思ったところが、まだ途中だと気付いてがっかりしても、
前進は前進ですからね。

いま、あらためて、稼働しているととら亭を見ていると、
珍しく、自分たちを褒めてやりたい衝動に駆られました。

今や当たり前になった柴又での仕事と生活。
それは僕らにとって、途方もない挑戦の結果だったのですから。

Say well done to myself.

えーじ

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(野方のアパートで食べた最後の食事)
posted by ととら at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月12日

日本のタブー

日本は住むのにいい国です。

と言ったものの、
僕は日本が何でも自由に発言できる国だと考えていません。
この国にもタブーはあります。

僕もそこは十分認識しており、
このブログだって支離滅裂に話しているようでいて、
意図的に触れない話題はあるのです。

ま、長らくお付き合い頂いている方は、
薄々感じていらっしゃるかと思いますが、
僕もまた、そうした日本の「当たり前」に疑問を持つ一人なのですよ。

そのタブーに共通しているのは、
議論そのものが許されない、という点です。
つまり、「なんで?」と声をあげるだけで、じろりと睨まれる。
それも政府にではなく、となり近所の人々に。
(ネットでは特にね)

たぶん、LGBTQの問題もそのひとつですが、
数あるタブーの中でも、
議論の土台に乗せられるだけ、いい方かもしれません。

個人的にはかつて、そうした議論を何度かしたことがあります。
しかし、その時に抱いた印象は、ほぼカルトに近いもので、
理性的に話そうとしても、感情的に否定されるだけだったのですよ。
ですから今では無駄なアプローチはやめ、
ただその問題や関わる人々とは距離を置くよう努めています。

しかし、それは個人的な解決を意味しているわけではありません。
身近な問題であるだけに、しばしば「何だかな〜・・・」
と、ため息が出ることだってあります。

それでもそれは、いま戦うべき相手ではない、
そう思い直し、見て見ぬふりをしているのです。
(後ろ向きかな?)

言論の自由とは、国家によって保証される権利ではなく、
民衆の寛容な心によって得られるものなのではないか?

ん〜、こういうのも国民性と言うのでしょうね。

えーじ
posted by ととら at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月10日

やっぱり住むなら日本かな?

帰国して空港に着いたとき、
多くの人が「ああ、日本はいいなぁ」
と思うのではないでしょうか?

たとえば僕の場合、入国審査で緊張する必要はなく、
バゲッジクレームで不安にならず、
アライバルロビーで妙な客引きに注意することもない。
これだけでも、「はぁ〜・・・」っと肩の力が抜けます。
さらに空港からの電車で荷物の心配をせずに爆睡できるでしょ?

他にもありますよ。

食事をして帰ろうかと入ったレストランで、
何の心配もなくコップで出された水を飲み、
生野菜だってもりもり食べられる。
その後のトイレも安心して行ける。

電車は時間通りに出発し、
夜道で後ろを気にせずに歩き、
家に入る前にコンビニに寄れば、
ニセ札を気にせず、クレジットカードも安心して使えます。

空港から家に着くまでの間だけでも、
諸外国と日本ではこんなに差があるのですよ。

さらに日常では、
内容を問わなければ仕事はありますし、
(つまり稼ぐ気があれば稼げる)
生活必需品が底をつくこともない。
119番すれば10分以内に救急車も消防車もやってきます。

それから内容を気にせず、
SNSで言いたい放題の発信ができるでしょ?
「打倒岸田内閣!」なんてネットに書き込んでも、
1時間後に警察が踏み込んできて、
矯正キャンプに送られるなんてことはありませんし、
殺し屋がやってくることもない。
夜道で警察官や自衛官にカツアゲされることもない。

外国を主に旅していると、日本以上に他の国が好きなんですね、
そう言われることがありますが、
長らく住むとなると、なかなか具体的な外国の名前が浮かびません。

僕は国粋主義者でも民族主義者でもありませんが、
総合的に考えて、日本は住むのにとてもいい国だと思っています。

ま、こうした認識も、海外に出て、
外国という鏡に映った日本から得たものなんですけどね。

えーじ
posted by ととら at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月08日

第20回取材旅行の準備 その3

連休が終わり、ほっと一息の月曜日。
皆さんと同じく、頭も体も切り替えてのスタートです。

ここから目指すのは来月の取材旅行。
期間が伸びたということは、
それだけ対象となる地域や料理も増えるわけで、
事前に読み込む資料もこれまでの1.5倍!
明日は二人で取材会議です。

今週中に航空券のブッキングにも入ります。
ルートからすると、バンコク往復を買い、
バンコク → ジャカルタ → パダンの片道をLCCで押さえる、
ってところかな?

気になるのはその値段です。
もしかすると1月のバリ島のように直行便に手が出ず、
(タイ航空で行けたらいいなぁ・・・機内食おいしいし)
台北やホーチミン、マニラあたりでトランジットすることになるかも。
となると、復路でストップオーバーして、
ついでに下見ってのもありか?

いや、いかん、いかん、
調子に乗っていると、どんどん期間が長くなっちまう。

さて、パダンからは陸路か海路なので、
移動手段は都度その場で手配して行きます。
ドゥマイからマラッカへのフェリーは1日1便しかないのかな?
この辺は情報が少ないんですよね。
ま、現地で探せば他に何かあるかもしれません。

宿は来月になったらパダンの数日分だけ予約。
ざっと見た限り相場は安いです。
お、ツインの一泊が日本円で842円ってのがある!
マジか?
どんなホテルでしょうねぇ〜・・・

街が世界遺産に指定されているマラッカとペナン島を除くと、
概ね一泊2500〜3000円も出せば、結構まともなところに泊まれそうです。
円安でも東南アジアは優しいなぁ。
あ、これは僕ら標準での話ですので、
皆さんはもっといい所に泊まりましょう。

装備は取り立てて特別なものは持って行きません。
暑い時期に暑い場所へ行く場合は、荷物も最小限になります。
それに精密機器や医薬品を除けば、
現地調達もできますしね。
この前のバリ島でビーサンも新調しましたし。

こんな具合に旅の準備は進行中。
盛り上がってきました!

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月06日

ゴールデンウィークの柴又

新型コロナの規制緩和による追い風か?
それとも物価高騰の逆風か?

街の人出を見ていると、
どうやら前者が勝ったみたいですね。
ここ柴又でも、駅前から帝釈天にかけての通りは、
連日、大勢の観光客で賑わっています。

片や、その反対側に位置する、
ととら亭のある柴又親商会通りはどうかと申しますと、
これまた膝元だけではなく、
高砂や金町など近隣から来た人々も交えて盛り上がっています。
やっと長いトンネルを抜けたという感じでしょうか。

マスクをしていない人も増えています。
やっぱり笑顔がはっきり見えるというのはいいですね。
ととら亭でも早々にアクリル板を撤去し、
僕らはマスクを外していました。

ランチに比べて回復が遅れていたディナータイムも、
この連休中はコロナ前の状態に戻りつつあるような気がします。
舞台裏から楽しそうなホールのお客さまたちを見ていると、
人々の間に張りつめていた緊張が解けきたのが分かります。
うん、本当の春という感じ。

ゴールデンウィークもあと2日。
久しぶりの混雑で二人とも疲れが出てきましたけど、
疲労というより、スポーツの後のような心地よい疲れですね。
何ごとも、前向きな努力でかく汗というのはいいものです。

さて、ぼちぼち暖簾を出しますか。

えーじ
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2023年05月03日

会話力よりも

言葉はどうするんですか?

取材旅行の話をしていると、
しばしばこの質問を頂きます。

海外旅行のハードルは言葉。
英語が話せないと外国には行けない。

そうお考えの方が多いですね。

しかしパックツアーで行くのであれば、
言葉はまず問題になりません。
移動、宿泊、食事、
観光のいずれも自分で手配することはありませんし、
必要に応じてツアコンさんが通訳もしてくれるでしょう。
実際、こうしてさまざまな国を旅している方が沢山いらっしゃいます。
これはこれで素晴らしい。

では個人旅行はどうかといいますと、
自分ですべてをやらなければならないため、
確かにある程度の会話力は必要になります。
しかし、英語が話せればいいというわけでもありません。

昨今、英語は世界語なんて言われていますけど、
これはとんでもないガセネタなんですよ。
メキシコから南はスペイン語しか通じない国がほとんどですし、
旧ソビエト連邦の国々で通じるのはロシア語、
北アフリカならアラビア語かフランス語です。
お隣の中国ですら英語はまったくと言っていいほど通じませんでした。
(そういえば日本だってあまり通じませんね)

ま、今どきはスマホの翻訳ソフトを使うという手もあるようですが、
個人的には精度に問題がある気がして使っていません。
そこで必要最低限の現地語を、
サバイバルレベルで覚えて行くというわけです。
今もマレー語を特訓中なんですよ。

こう言うと、やっぱり会話力は必要なんだ!
と思われてしまうかな?

確かに一面ではその通り。

でも、それ以上に求められるのは、
話す方法ではなく、話す内容なんですよ。
つまり現地で問われるのは、
日本人としてのあなたの考え方や知っていることなのです。
ですから流暢に現地語が話せても、
話す中身を持っていないと「・・・?」になってしまいます。

え? それもスマホで調べればいい?

いや、それは一般情報でしょう?
相手が知りたいのは「あなたの」考えであって、
学校で教えてもらったことや、政府の見解ではありません。
つまり個人的な経験がベースとなった「何か」なのです。

前置きが長くなりました。

というわけで、
外国に行く前に日本を旅してみましょう!

特にお若い方は、一人旅がお勧めです。

今、ここではピンと来ないかもしれませんが、
日本を一人で旅して、それから外国に行き、
現地の人々と接したときに、
僕が言っていることの真意をお分かりいただけるかと思います。

旅とはとどのつまり、個人的な経験の塊りですからね。

Open your heart.

えーじ
posted by ととら at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月01日

第20回取材旅行の準備 その2

1月のウォームアップが終わって、
ここからが取材旅行の本番。

これまでと大きく違うのは、時間の自由度です。

野方時代は限られた期間に複数の料理を探さねばならず、
ぎちぎちの予定で動いていたでしょ?
あれは僕らにとって、実に大きなストレスだったのですよ。

取材方針を決めたら、
後は航空券の手配と初日の宿の予約を済ませて出発!
現地では成り行きにまかせてフレキシブルにコマを進める。
これが僕らの本来のスタイルですからね。

宿も予約せずに旅するなんて不安じゃないですか?

と、しばしば言われますけど、僕らは決められた日時に、
決められた場所へ行かなければならないという条件の方が、
不安のタネなんですよ。

なぜなら何ごともすんなり行かないルートがほとんどですからね。
たとえばサハラ以南のアフリカや、南西アジア、中米、南米などでは、
オンタイムで進むことなんてまず期待できません。
往々にしてタイムテーブルそのものがないんですよ。
場合によっては天気待ちで停滞なんてことも。
「着けばいい。そのうちね」であり、
「終わりよければすべてよし」な文化圏。

ですからこうしたルートを旅するときに大切なのは、
おカネよりむしろ時間なのです。
実際、時間さえあれば大抵のことは何とかできますからね。

思えば、このスタイルで旅をするのは独立直前の2009年以来です。
あれは南米でしたから、
今回のように渡航地域がアジアともなると、
2002年のベトナムとカンボジアを3週間かけて周ったとき以来か。

ん〜・・・21年間。

ほんと、長らく待っておりました。
二人とも、子供のようにわくわくしております。

えーじ
posted by ととら at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月29日

第20回取材旅行の準備 その1

皆さん、今ごろ何処にいるのかな?

待ちに待った旅が始まり、
それぞれが初めて見る風景を前に、
目を輝かせていることでしょう。

しかし、ゴールデンウィークといえば飲食店は繁忙期。
僕らは新天地の柴又で朝から晩までお仕事・・・

なんですが、旅も始まっています。

そう、先日ちょろっとお話した取材旅行が、
机上ではもう進んでいるのですよ。

ルートはまず、
インドネシアの西の外れにあるスマトラ島からスタート。
パダンという中西部の街で、有名なパダン料理を調べ、東岸のドゥマイへ。
ここはのっけから10時間に及ぶ夜行バスの旅です。
次にフェリーでマラッカ海峡を渡り、
対岸のマレーシアに入国します。

海路で国境を越えるのは久しぶりですね。
2018年のスウェーデン、フィンランド間以来かな?
でもあの時はシェンゲン協定内だったので、
入国審査や税関はありませんでしたから、
パスポートチェックがあるのは、
2016年のマカオ、香港間以来かもしれません。
その前は2009年のアルゼンチン、ウルグアイ間だったかな?
ん? あれは大型船で渡ったとはいえ、海ではなくラプラタ河だったか。

さて、マレーシアの上陸地はマラッカ。
ここはこの取材旅行の重要ポイントです。
プラナカン料理やクリスタン料理など、
ユニークでおいしいものが盛りだくさんですからね。
街並みも美しいし。

そこから今度はバスで首都のクアラルンプールへ。
何とここを訪れるのはととら亭以前の2002年、
ベトナムとカンボジアを周ったときに経由して以来です。
あれから21年か、だいぶ変わっただろうなぁ。
こうした変化を見るのも楽しみです。

次はマレー鉄道で200キロほど北上し、
マレーシアで3番目に大きい都市、イポーへ。
ここも美食の街として有名なんですよ。
そこからまた鉄道でバターワースを目指し、
フェリーでペナン島に渡ります。
シンガポールで知ったラクサの発祥地というからには、
ただ通り過ぎるわけにはいきませんからね。

そして再びマレー鉄道に乗り、パダンべサールでタイとの国境を越え、
南部最大の都市ハートヤイ(ハジャイ)へ。
マレーの影響を強く受けたこの辺の料理は、
なじみ深い中部のタイ料理とはだいぶ違うそうで。
最後は夜行列車でバンコクに行き、
僕のブラザーに会ってから帰国します。

期間は6月12日(月)から7月4日(火)までの、
なんと23日間!

ふふ・・・
こういう旅をするための移転でしたからね。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 15:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月27日

待ちに待った連休

明後日から始まるゴールデンウィーク。
みなさん予定は立てられましたか?

今年は5月1日と2日に有給を取れば9連休!
(いいねぇ〜!)
新型コロナ禍で3年以上缶詰でしたが、
5類扱いも間近ですし、
そろそろ遠出をする方もいらっしゃることと思います。

ととら亭でもオーストラリアやアメリカなど、
「行ってきます!」という元気なお話を聞くようになりました。

それに伴い、先行しているのがインバウンド。
欧米を中心に、だいぶ旅行客が戻ってきています。
2020年よりめっきり減っていたととら亭を訪れる外国人の方も、
柴又にちらほらいらっしゃるようになりました。

おしなべて、皆さん表情が明るいですね。
その気持ち、よく分かる気がします。
先日、久しぶりに台湾を訪れたという韓国の友だちが、
「初めての海外旅行みたいに新鮮!」と喜んでいました。
僕らも空港に行っただけで感無量でしたからね。
待ちに待った旅の始まり。

また、それは旅行業界のメンタリティにも現れていると思います。
コロナの渦中、業界のお客さまに「どうですか?」と聞けば、
「忙しいですよ。キャンセルの手続きで」という、
同情を禁じ得ない苦境が続いていましたからね。
最近、ご来店されないところから察すると、
前向きな仕事で忙殺されているのでしょう。

さて、僕らはといえば、こちらもまた新鮮な気持ちで、
柴又で初めてのゴールデンウィークを迎えようとしています。
今回は正月と違い、通常通りに営業する予定

え? みんなが遠出してしまったら、
お店はヒマになっちゃうじゃないか?

なるほど! でもいいんですよ。
久しぶりの旅を楽しみましょう。
こんなに長らく待ち続けていたのですから。

行ってらっしゃい!

えーじ
posted by ととら at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月24日

見えている日常と気付けない世界

僕は運命論者ではありませんが、
ときどき理屈で説明できないものを感じることがあります。

たとえば先日、
ディナータイムにご来店されたお客さまは、
以前、西武新宿線の鷺ノ宮駅近くにお住まいだったそうで、
野方にいたころの僕らと、どこかで会っていたかもしれません。

そんな話をしていた隣のテーブルの方は、
なんと職場が15年ほど前から北千住の柳原2丁目とな!
そこは僕らが野方に引っ越す前に5年間住んでいたところで、
小さな街ですから、何度も会っていたと考えた方が順当でしょう。

はたしてこれが偶然なのか?
それとも僕らは何かの必然性に導かれて、
今日の、この場で顔を合わせているのか?
ならばその意味とは何なのか?

偶然というのは、説明できない必然の謂いである。
そんな話を聞いたことがありますが、
では、こうした出会いが必然であるのならば、
その意味とは何なのでしょう?
そして何者がそれを組み上げているのでしょうか?

ん〜・・・

僕は全知全能の神を信じていませんが、
人間の認識を超えた力の存在を感じることはあります。

そこでそんなとき、こんな風に思うのですよ。

「僕に何を知らせようとしているんだ?
 で、何をさせようとしているんだ?」

と。

世界は人間の目に見えて、
手で触れられるものだけで出来ているのではありません。
それはすなわち、僕らが何の疑いもなく生活している日常にも、
気付けない部分がたくさんあるということでもあります。

たぶん、それを知るための方法のひとつが、
旅なのかもしれません。

そういえば、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」は、
まさしくそんな物語でしたね。

えーじ
posted by ととら at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月21日

孤独が生まれる場所

現代人は孤独だそうで。

そう聞いて「その通り」と頷いた人は少なくないと思います。

でも不思議なのが、
僕らはみなウォールデンの森に籠ったヘンリー・D・ソローでも、
無人島に流れ着いたロビンソン・クルーソーでもないということ。
そう、誰もが沢山の人に囲まれているじゃないですか?
周りを見れば人がいっぱいいる。

なのになぜ孤独なのか?

それは多分、自ら心を閉ざしているからではないか?
と僕には思えてなりません。

たとえば今朝、家を出て学校や職場に着くまでの間に、
あなたは何人のひとに会いましたか?
そして、そのうちの何人と挨拶を交わしました?

え? 誰とも言葉を交わさなかった?
では会ったのに挨拶しなかったのはなぜですか?

みんな知らない人だから?
こっちから急に声をかけたら変な人と思われちゃう?

ならば声をかけられたら挨拶や返事を返しますか?

先日、コンビニに行ったとき、こんな光景を目にしました。

レジの人が、

「いらっしゃいませ。お支払いは現金でよろしいですか?
 袋は必要ですか? どうもありがとうございました」

こう話し続けていましたが、
お客さんは一言も返事をしませんでした。
耳にイヤホン、片手でスマホをいじり続けたまま。

これは一例ですが、
孤独とは、こうして作り出されて行くのですよ。
人との接し方を学ばず、学んでもそれを忘れてしまえば、
たとえ大勢の人に囲まれていようとも、
無人島にいるのと同じことになってしまいます。

閑話休題。

ととら亭はWi-Fiを開放していませんし、
APを設置しませんか?
という業者さんからのオファーもノーサンキュー。

え? 今どき珍しい?
Free Wi-Fiじゃないなんて時代遅れ?
ま、そうかもしれません。

でもね、僕はととら亭を、
ひとを孤独にする場所にはしたくないのですよ。

さぁ、人を前にしたら、スマホはしまいましょう。
そして自分から声をかけてみませんか?

えーじ
posted by ととら at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月19日

いよいよ素材も自家製に

柴又に引っ越したら、
あれをやろう、これをやろう!

こんな僕らの「やることリスト」がありまして、
その中のひとつに家庭菜園が入っていました。

え? どこに庭があるんだ?

いや、もちろん庭と呼べるような場所はないのですけどね。
建物の駅側の方に、
ウナギの寝床風のスペースがあるんですよ。
日当たりがとてもいいので、
そこにプランターを並べまして。

hurb_230419.jpg

担当はともこだから名付けて「ともこガーデン」。
まず植えたのが、パセリ、ミント各種、コリアンダー、
バジルに韓国トウガラシと大葉。
珍しいところではタラゴンです。

生育のいいコリアンダーは早速収穫して、
まかないで食べ始めました。
やっぱり取れたては香りが濃いですね。
パクチーマニアの僕らはタイ料理からちょっとしたスープまで、
何かとこれを入れて楽しんでいます。

お店でも先週末はタラゴンが登場。
ヘダイのムニエルに添えたのは、
ノイリー風味のトマトクリームソースだったのですが、
これだけでもゴキゲンなのにタラゴンまで入れたものだから、
主役のヘダイがかすんでしまったかも。
実際、何とも言えませんね、あの香りは。

そろそろ日差しも眩しくなってきましたから、
ミントを使ってモヒートをやろうかな?
ともこはタイムも育ててみるそうです。
お店に飾る花もいいですね。

ついに素材も自家製になり始めたととら亭でした。

えーじ
posted by ととら at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月16日

おカネ、大丈夫ですか?

と、心配されることがしばしばあります。

たとえば先日、

「新型コロナ対策が世界中でなし崩しになったことですし、
 そろそろ僕らも旅に戻ろうと思ってます」
「どのくらいの日数で行くのですか?」
「そうですね、3週間くらいかな?」

こんなお話をしていたのですが、
それを年内だけでも2回行くつもりだと言ったら、

「おカネ、大丈夫ですか?」

となりました。

ん〜・・・
まともな経済観念を持つ方なら、当然そう来るでしょう。

そういえばこれまた先日、
ご夫婦でビクトリアの滝を訪れるツアーを申し込んだ、
というお客さまがいらっしゃいました。
周遊ルートには南アの喜望峰も含まれており、
シートはビジネスクラス。

恐る恐る費用を聞けば、航空券を含むツアー代金だけで、
ひとり100万円を超えたそうな。
その他の雑費を含めれば、
二人で300万円弱くらいになるのではないでしょうか?

これを僕らの3週間、年内2回に当てはめたら、
当然「おカネ、大丈夫ですか?」になりますよね?
(訊いたお客さまは、
がらんとしたランチタイムにご来店されていましたし)

しかし何かと「一般的」ではないととら亭。
旅の予算もまた然り。

一例を申し上げますと、2009年のことですが、
南米を3カ月間旅したときの予算は、実費でひとり80万円也!
(航空券代などすべて込みで)

10日間で100万円超。
片や3カ月間で80万円。
この差は大きい。
というより、信じがたい。

このととら流シンプルライフ(サバイバル術?)が禍し、
銀行に融資の相談で行った際、僕の確定申告書を見た担当者から、
「こんな収入で大人ふたりが暮らして行けるわけがない!」
と、脱税容疑をかけられたこともありました。

ともあれ、実際どうにかなるのですよ。
このしょぼい予算でも。

しかし、だからといって「皆さんもどうぞ!」とは申しません。
いや反対に、お勧めできないのがととら流。
毎回お約束のようにスリルとサスペンスの旅になってしまうのも、
とどのつまり、このハイパー低予算が原因のような気がします。
(僕が個人的に招き寄せているのではありません・・・
と思いたい)

次の旅は6月中旬に出発予定。
さいわい、おカネの心配は今のところないのですが、
問題は・・・

それ故の必然的な結果なんですよね。

えーじ
posted by ととら at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月13日

学んで無駄なことはない

去年の初夏に励んでいた大工仕事。
それがまだ幾つか残っておりまして。
そこで先日、
ベッドのヘッドボードの設計図を書いていたとき・・・

まだ柴又での生活で実現していないこと。
それはベッドタイムの読書だ。
そこで必要なのが、もたれて楽なヘッドボード。
垂直じゃきついから、ある程度の角度を付けないとな。
それとメガネや本などが置けるスペースも欲しい。
ってことは・・・

奥行きになる側版の上辺が160で底辺が300くらいか。
で、ベッドマットから上に450。
そうなると背中が当たる背板の高さは・・・

ん?
あれ? どうやって計算するんだっけ?
背板の高さは・・・

そうか、もっと図形を単純化して、底辺が300-160で140、
高さが450の直角三角形で考えればいいんじゃん。

この場合の背板の高さは・・・
直角三角形の斜辺の長さってことだよね?
ん? どこかで聞いたような話じゃない?
直角三角形の斜辺の長さ。

そうだ! ピタゴラスの定理か!
確かあれは、斜辺の2乗 = 底辺の2乗 + 高さの2乗・・・
じゃなかった?
だからこの場合、Xの2乗 = 140の2乗 + 450の2乗。
Xの2乗 = 19600 + 202500 = 222100
でXは?

Xは?

あれ、これどうやって計算するんだ?
ん〜・・・っと・・・
そうか、つまりルート222100だから電卓のルートボタンを押して、
471.2748667! 丸めて概ね斜辺の長さは471.3ってところか。

こんなことをブツブツ言いながらやっていたのですけどね。
ピタゴラスの定理なんて使ったのは何年ぶりかしらん?
習ったのは中学生のとき?
それでもおぼろげながら頭に残っていたとは驚きです。
何ごとも学んで無駄はないってことか。

ところで、ルート(平方根)の手計算て、どうやるんだっけ?
電卓ポンじゃなくて。

ん〜?

えーじ
posted by ととら at 09:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月11日

せっかくの春なのに

生物多様性の回復へ向けて、
10年半ぶりに国家戦略が改定されるそうな。

ならばぜひ入れてほしいのが、異常なバランスの人工林。
不自然でしょ? スギやヒノキの数は。

木を伐りまくるのは森林破壊ですけど、
単一種ばかり植えまくるというのも、
自然のバランスを崩すという意味で、
「破壊」なんじゃないかな?

おかげで毎年多くの人が花粉症で苦しんでいるというのに、
(僕やともこも含めて!)
なぜかこれが自然災害や、
個人の体質に起因したアレルギー反応のように扱われてる。
こりゃ、どうしたわけかしらん?

僕の拙い脳みそでは、
どこをどう考えても花粉症は公害であり、
スギやヒノキを植えすぎた、
人災としか思えないんだけどな。

しかし、しょもないスキャンダルに食いつく野党さんですら、
ことスギやヒノキの異常な本数については、何も突っ込まない。

なぜだ?

僕の認識が間違っているのだろうか?

えーじ
posted by ととら at 20:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月08日

粋なルール

(注:ネタバレが含まれています)

これまたトップガン・マーヴェリックのお話なんですけどね。

ストーリーは全体的に前作へのオマージュでしたが、
今どきのネタとしてインサートされていたのがスマートフォン。
(1986年当時にはありませんでしたから)

「スマホなくしてわが命なし!」な風潮が世界的に広がるなかで、
アメリカからこんなルールが飛び出したことには、
僕もちょっと驚きました。

マーヴェリックがバーのカウンターにスマホを置き、
ペナルティーを取られたシーンがあったでしょ?
そう、「スマホをカウンターに置いたら全員に一杯おごる」
って壁に大書きされていたのですから。

へぇ〜、アメリカ人も、そういう風に思う人がいるんだ。

何でもそうですが、
僕はモノ自体に良いも悪いもないと考えています。
問題になるのは、
それを「いつ」「どのように」使うか、なんですよ。

その観点からすると僕の感性では、
スマホの使い方のTPOが、
ズレているように見えるケースが珍しくありません。

自動車の運転中や歩きながらはいわずもがな、
映画の劇中にもあったように、
バーは酒を飲み、居合わせた人々が歓談する場所です。
電話でそこにいない人と話したり、
ゲームやネットサーフィンをするところではない。
これはレストランも変わりません。

ここで反論もあるでしょう。
人に迷惑をかけているのではないのだから、
何をしようと勝手だってね。

でもそれは違うんじゃないかな?
人間が集う場には明文化されていなくても、
暗黙のルールがあります。
そしてそれが場の雰囲気を醸成しているのですよ。

想像してみてください。
たとえば、ととら亭に入ってきて、客席を埋めるすべての人が、
うつむいてスマホをいじっていたとしたら・・・
それもお一人さまだけではなく、2人、3人、4人で来ている人まで。
「な、なにしてるんだ?」ってなりません?
かなり異様なムードじゃないですか?

これ、電車では当たり前になってしまいましたけど、
対面に腰掛ける人全員が、同じ首の確度で、同じ手首の返し方で、
スマホをいじっている光景は、
それこそアンドレ・ブルトンやルイス・ブニュエルが見たら、
「トレヴィアン! これぞシュールレアリスムだ!」って叫ぶんじゃないかな?

いや、なにも難しいことを言っているつもりはありません。
逆にシンプルな生き方の提案です。

食べるときは食べ、飲むときは飲み、
人と話すときは、その人を見て話す。

ただそれだけのことですからね。

えーじ
posted by ととら at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月05日

世代を超えたトップガン

注:ネタバレが含まれています。

「トム・クルーズって、
 世界で一番サングラスが似合う男だと思います!」

先日、トップガン・マーヴェリックを観た20歳代の女性が、
こう力説していました。
なるほど、彼のこうした魅力も手伝って、
世代を超えたヒット作になったわけですね。

実は僕も観ました。
機内の小さな画面でしたけど。
シナリオ(特に後半)は、いかにも伝統的なハリウッドものでしたが、
確かにいい出来だったと思います。

それは多分、リアルなドッグファイトシーンより、
1986年の前作から経過した時間が、
そのままドラマに反映されていたからじゃないかな?

と申しますのも、
「トム・クルーズ素敵!」な20歳代の彼女は、
世代的に新たなトップガンメンバーに属し、
ハングマンたちが繰り広げる、
「現役」のストーリーを素直に楽しんでいたのでしょう。

片や1986年の1作目を青春時代に観た僕らは、
まさにマーヴェリックやアイスマンの視線で、
2作目に感情移入しているのですよ。

冒頭、マーヴェリックが開けたロッカーの写真を観て、
トップガン1作目だけではなく、
MA−1を自慢気に着ていた頃の自分を思い出したのは、
僕だけではなかったはずです。

さらにマーヴェリックが、
あの懐かしいKAWASAKI NINJA900Rにまだ乗っているとあっては、
胸を熱くせずにはいられないじゃないですか!
(僕もあのバイクに憧れて、
先輩が無理して買ったのを乗ったことがありました)

ほんと、マーヴェリックが若手を見る視線や、
いろいろあったけど同じ時代をともにしたアイスマンとの関係は、
まさに今の60歳代の、日常の感覚なんですよ。
(ね、ご同輩?)

そして「過去の人」になったマーヴェリックが、
もう一度「現在の人」に戻るストーリーは、
50歳代から上の世代がシンパシーを感じる、
第2のサクセスストーリーに他なりません。

まだまだやれるぜ。

もしかしたら、
僕たち以上に若い世代に追われるトム・クルーズ(彼も60歳!)の、
同世代に送ったメッセージでもあったのかもしれませんね。

えーじ
posted by ととら at 09:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年04月02日

ディスプレイに込めた思い

「これはなんですか?」

一般的に多国籍料理レストランの装飾といえば、
木彫りのお面や民族楽器でしょうか?

しかし、ととら亭でディスプレイされているのは、
何やら怪しげなものばかり。

そこでこんなご質問をしばしば頂きます。
たとえばこれ。

fatima.jpg

先日、5年ぶりに訪れたバリ島のウブドでゲットしたもの。
ムスリムの間では「ファティマの手」と呼ばれている魔除けです。

これを知ったのは2011年2月に取材旅行で行ったモロッコ。
マラケシュやカサブランカの、
混沌としたアンティーク(?)ショップを徘徊していて見つけ、
以来、ムスリムの多い国を訪れるたびに、
気に行ったデザインのものを買い求めていました。

そんなある日、
江古田のイスラエル料理店シュマイムさんに行ったおり、
壁一面にディスプレイされた大小さまざまなファティマの手を発見。

なぜムスリムの魔除けがユダヤ教徒の店にあるのかと訊けば、
彼らはこれをハムサと呼び、同じように護符として使っているとのこと。
合点のいかない僕の表情を読んだスタッフさんは続けて、

「これはユダヤとムスリムが仲違いする、
 ずっと以前から中東にあった Superstition(迷信)なんですよ」

なるほど。

調べてみれば、
その起源はレバント地方で紀元前12世紀ごろに栄えた、
フェニキアの時代まで遡るそうな。

それを知ってから僕は、
旅先でシナゴーグ(ユダヤ教の寺院)を見つけると、
ハムサがないか探すようになりました。
そしてととら亭でファティマの手とハムサを並べてディスプレイし、
双方の平和を祈ることにしたのです。

fatimaandhamsa.jpg

買い求めた場所は上から、

トルコ イスタンブール
インドネシア バリ島
ポーランド クラクフ
フィンランド テュルク(パレスティナ難民のお店で)
ポーランド クラクフ

隣り合わせた民族が争うのは歴史の常ですが、
同様に、隣り合わせた民族ほど同じ文化をシェアしているものです。

ムスリムとユダヤ教徒のように。
そして、日本と韓国や中国のようにね。

えーじ
posted by ととら at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月31日

Let's 決算2023

今年も決算が終わり、ほっと一息の3月末・・・

と例年なら書き出すところですが、
今回は違います。

予想は十分していたものの、
すべてのデータを入力後、決算書を出力してみると、
その結果は・・・

大赤字!

それも中途半端な数字ではありません。
ここまで来ると、
「げげっ!」というより「ほぉ〜」って感じ。

ま、それも当たり前の話で、
去年は移転が遅れて年間の半分も営業できなかったでしょ?
にもかかわらず、
その1年がこれまでの人生でマックスの大散財だったのですから。
信金さんが融資してくれなかったら、
完全にアウトでした。

体力のない中小企業ってのは、
多かれ少なかれ、こんな綱渡りをやっているものなんですよ。

ともあれ場当たり的にやっていたわけではなく、
信金さんへの事前説明どおり、
きちんと事業計画のレールには乗せています。

経済はコロナ禍の病み上がりに物価の高騰で、
当面、厳しい経営環境が続くと思われますが、
こんなときこそ旅と同じく僕らの得意とするところ。
氷河期を乗り切るセコさにかけては、
野方時代から定評がありましたからね。

さぁ、季節は始まりの春。
新しい世界へ漕ぎ出しましょうか!

えーじ
posted by ととら at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月28日

南米料理特集が始まります!

先週末の冷たい雨と風で、
散ってしまったかと思いましたが、
柴又の桜は満開になりました。

近所にお花見スポットが幾つかあり、
ちょっと町内を歩いただけでもけっこう楽しめます。
いよいよ春も本番ですね。

ととら亭も心機一転のメニュー替え。
始まりの季節といえば、
独立直前に行った南米の料理で決まりです。

南米料理特集

どの料理も僕らの思い出が詰まっているだけではなく、
まさしく、ととら亭の未来の旅を予感させるものでもありました。

目の前のこの一皿は、時間と空間を超えて、
いったいどこまで繋がっているんだろう?

そう、地球の裏側で出会った料理が、
はるかに歴史を遡り、
ヨーロッパ、中東、アジアまでをも結びつけているとは。

料理というのは、つくづく面白いと思います。
なぜなら、考えるのではなく、
食べる、つまり経験からすべてが始まるのですから。

皆さんは今回の料理を経験して何を思うのでしょう?
そこからまた、また別の旅が始まるんですよね。

えーじ
posted by ととら at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月26日

Such a beautiful spring day.

先日、
ジョギング中に柴又公園でストレッチしていたときのこと。

いかにもコーチっぽい男性が、
年齢の異なる小学生のグループを何やら指導していました。
まもなく始まったのはサーキットトレーニング。
僕の横を子どもたちが元気よく走り抜けて行きます。

Oh, kids, nice run!

2周目に入ったところで気付いたのは、
小太りの低学年の男の子。
全体からすでにだいぶ引き離されています。

意気込む顔の表情は一等賞ですが、いかんせん体が前に出ていない。
先頭が3週目に入るころには、早くも周回遅れとなってしまいました。
必死で走る彼を他の子たちは涼しい顔で追い越して行きます。

僕は心の中で話しかけました。

Hey Kid.
そんな顔しなくたっていいんだよ。
自分のペースで走ればいいのさ。

君の年齢でも、人生はすでに競争だ。
でも、それがすべてじゃない。
競争というゲームに参加しない選択肢だってある。
そして、それを楽しんじゃいけないってこともない。

今日はいい天気だ。
桜も咲いている。
素晴らしい一日だろう?

ならば誰かと競い合うのではなく、
ただ走ることを楽しむってのはどうだい?
河原はこんなに広いんだからさ。

ストレッチを終えた僕は軽いフットワークで体を整え、
自宅に向かって走り始めました。

子どもたちがすれ違って行きます。

Hey kids,
周りや後ろを気にして走らなくたっていいんだよ。
いつもトップでなくたっていい。
ただ、みんなで走ることを楽しむのもありじゃないか?
こんなに気持ちのいい春の日に、
仲間たちが一緒なんだからさ。

やがて僕は河川敷に出ました。
気付けば周りにはもう誰もいません。

眩しい光を全身に浴びて、
僕は空に向かって微笑みかけました。

だって、こんなに気持ちのいい、春の日なんだからさ。

えーじ
posted by ととら at 15:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月23日

柴又で初めての春

昨日と一昨日を連休し、
僕らは営業中にできなかったタスクと格闘していました。
そのひとつが大工仕事。
まだ住居部分の家具がいくつか未完成なのですよ。

これをやっていて思い出したのが、
去年の5月から6月のころ。
店舗工事の大工さんたちに混じって、
僕も店の什器や家具を作っていたのです。

こうして丸ノコでべニア板を切っていると、
あの慌ただしくも、
新しいととら亭が形になって行く日々が蘇ってきます。

その間の生活も不便でした。
引っ越してはみたものの、
キッチンはおろかシャワーすら使えませんでしたからね。

それでも楽しかったですよ。
一歩ずつ夢を形にして行くプロセスっていうのかな?

そこで気分が盛り上がった昨日は仕事を終えた後、
あの頃のように銭湯に行ってきました。
ん〜・・・いいですね。
もろ昭和の雰囲気に浸りつつ、大きな湯船で足を延ばしていると、
体も心もすっかりリラックスしてきます。

さっぱりしたところで、
夕飯はこれまた当時よく通った参道入り口左側にある、
中華料理の福園さんに行きました。
ここの定食はおいしくて、ボリュームも満点。
定休日が同じ火曜日なので最近ご無沙汰でしたけど、
おばちゃんが変わらず元気で良かったです。

そしてお腹をこなすために、
帰りは遠回りして江戸川沿いの柴又公園へ。
ここの桜はほぼ8分咲きでした。
柴又で見る初めての桜です。

この街はいろいろな楽しみ方があるので、
今年は少しずつやってみようと思っています。
まずは山本亭で優雅なティータイムかな?
寅さん記念館にも行かなくちゃ。

えーじ

sakura_0323.jpg
posted by ととら at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月20日

独立13周年記念が過ぎて

ととら亭とは、
僕らの旅の食体験をシェアする場所です。

こうして再現した料理は、かれこれ140品くらいになりますが、
なかでも思い入れ深いのがチレス・エン・ノガーダ

本来、メキシコの独立記念日に食べられているものを、
ノガーダ → 野方 と置き換えて、
僕たちの独立を祝う料理としました。

メキシコを訪れたのは2009年6月。
それはまだ野方という街を知る前であり、
独立に先駆けて中米から南米を3カ月間巡った、
記念すべき最初の料理取材の旅でもありました。

3月3日は、その印象深い旅や、
独立に向けた長い道のりを思い出す日です。
そして食文化だけではなく、
ノガーダを通して皆さんと僕らの経験をシェアできることは、
大きな喜びにもなりました。

今年、柴又で新しいお客さまに、
この料理を知っていただけたことは、
僕らにとって新しい旅の第一歩でもあります。

そしてまた、
野方時代の多くのお客さまがこの日を楽しみにしていてくれたことは、
言葉にならない感慨があります。

どうもありがとうございました。
この仕事をやって、本当に良かったです。

えーじ

P.S.
お仕事や健康上の理由でご来店頂けなかったお客さま。
遠く離れていても、
皆さまの気持ちはしっかり伝わっています。
どうもありがとう!

We will always be with you.
posted by ととら at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月18日

僕らの異動

ときはまもなく3月下旬。
多くの組織人が一喜一憂する人事も、
はっきりした頃ではないでしょうか?

独立して異動とは無縁になった僕らですが、
この春はちょっと違います。

気分的にはもとの部署に戻った感じ。

と申しますのも、
コロナ禍で缶詰のあいだ、実際の仕事も大きく変わって、
さながら「感染症対策課」に配属された状態だったでしょ?

それがマスクを外せただけではなく、
旅に戻れるとなれば、
慣れ親しんだ部署に異動したようなものじゃないですか?
ほんと、3年以上、人事課に希望を出し続けて、
ようやく認められたような気分です。

そこでさっそく取り掛かっているのが、
以前使っていたテンプレートを用いたスケジューリング。
いわゆる期初の業務計画です。

基準になるのは取材旅行の場所と期間、そして時期。
6月の東南アジア、11月のオーストラリアを軸に、
事前準備のタスクを逆算して予定表に落として行きます。

これがもう旅を始めているようなものですから、
資料のページを繰るだけでもわくわくしっぱなし。

また、今年からは旅行期間の制約が緩んだので、
思い切った取材ができるようになりました。
食文化の調査はフィールドワークが基本で、
どうしても時間がかかりますからね。

これからは今までのような、
みっちり組んだスケジュールをこなす旅ではなく、
往復の航空券と取材地、
それと初日の宿以外はフレキシブルに駒を進める、
僕たち本来のスタイルで行きます。

さぁ、忙しくなって来たぜ!

えーじ
posted by ととら at 09:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月15日

別々の道を歩んで

先日、会社員時代の仲間が来てくれました。
話をしていて、はっと驚いたのは、
同い年だった同僚が定年を迎えると聞いたとき。

そうか、もうみんな60歳だもんな。

僕が彼、彼女たちと一緒に働いていたのは、
もう14年も前のこと。
あれからその会社は業績を大きく伸ばし、
今では社員数も僕が在籍していた頃の倍を超えたそうな。

昇進とか、定年という考えとは無縁で、
ぱっと飛び出してしまった僕と違い、
ひとつのところで何十年も過ごしてきたのか・・・
そう思うと、すごいな、という感慨がこみ上げてきます。

そして、60歳という年齢がゴールラインの彼らと、
別のスタートラインになった僕の構図は、
社会の主流と傍流そのもののような気がしないでもありません。

安定を求めることも、変化に身を投じることも、
それぞれの人生の、それぞれの選択です。
そこには正解も間違いもない。
成功も失敗もない。
ただ、彼らと僕が違うように、あなたと僕が違うように、
純粋な差異があるだけ。

長い間、お疲れさまでした。
いつか、ととら亭で、懐かしい話をしましょう。

僕ですか?
いいおっさんになりましたけど、いまだに青臭いままですよ。

えーじ
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2023年03月12日

僕らにとって、ととら亭とは?

ととら亭の仕事はキツイですよ。

前回のブログでこう言いましたが、
実際のところ、その通りです。

繁忙期やメニュー替えを除いても、
睡眠不足は普通だし、
慢性疲労で目覚めたときに前夜より疲れてる!
なんてことは珍しくありません。

また、予算不足からDIYが基本なので、
労働時間は相変わらず月400時間前後。
それでも労基局は守ってくれませんし、労災も認められない。
有給休暇も退職金も産休も介護休もない。
おまけに収入は不安定でいっさい保証なし。

さらに個人事業主というのは孤立無援の存在でして、
指示を出してくれる上司も、相談できる相手もいません。
困ったときに読むマニュアルもない。
何でも自分で考えて判断しなくちゃならない。

そしてとどめが前回お話しましたとおり、
儲からない!

にもかかわらず、

楽しいです。

すんごく。
だから生涯現役でいたいと思っているくらい。

なぜか?

これだけマイナスの要素にまみれていても、
やりがいを感じていられるのは、
たぶん、自分たちにぴったりの仕事とその仕組みだからでしょう。

独立するまでのさまざまな職歴の中で、
僕らは何が自分たちに向いていて、
何が向いていないのかを知りました。

たとえば判断は速いけど根回しは苦手とか、
突破力はあっても協調性に欠けている、などなど。

そこでその特性を最大限に活かすには、どんな仕事と場がいいのか?
換言すれば、自分に最も無理のない環境とは、どんなところなのか?

これがありませんでした。
どこを探しても。

ならば自分たちで創るしかない!

こうして生まれたのが旅の食堂ととら亭だったのです。

ま、ふたを開けたら、
これがまたバックパッカーの旅とそっくりだったのですけどね。

えーじ
posted by ととら at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月09日

ととら亭というビジネス

「当店には競合がないので大丈夫です!」

これは移転に伴う融資の件で、
銀行に行ったときの僕の言葉。

公務員や会社員の方にはピンと来ないかもしれませんが、
個人事業主というのは社会的に信用がありません。

加えて10年以上の経営実績があっても、
野方から柴又への移転となれば、
固定客数は完全にリセット状態。
融資担当者が慎重になるのも無理からぬ話なのです。

そこで先方を安心させるために、
僕は旅の食堂というビジネスの「優位性」を説明したのでした。

え? ずいぶん大きく出たもんだ?

いや、これは十八番のはったりじゃありません。
本当にライバルがいないんですよ、ととら亭には。

なぜか?

儲からないからです。

そのわりに大変だからです。

つまり労働対効果がやたらと低い。
おいしい仕事は追従者が増えますけど、
その逆を真似する経済マゾヒストがどこにいます?

だからライバルなんて、頼んでも出てこないんですよ。
(もちろんこれは銀行で言いませんでしたが)

ではなぜ儲からないかと申しますと、
ビジネスをミニマムにチューニングしているからです。

住宅地型の商店街で非日常型のレストランをやる場合、
集客数のギャップはオフィス街などに比べて、
とてつもなく大きくなります。
たとえば先の週末の場合、

土曜日 → ランチがらがら → ディナー満席
日曜日 → ランチ満席 → ディナーとほほ・・・

ここで教科書的な経営者なら満席状態に規模を拡大し、
「すみません、ただいま満席でして・・・」を避けるでしょう。
稼げるときに稼いでおくのはビジネスの鉄則ですからね。
しかし規模を拡大すれば人件費などの固定費が上がり、
新型コロナショックのような急激な変化が起きると、
持ちこたえられなくなってしまいます。

ところがととら亭の場合、
がらがら&とほほにチューニングしているので、
従業員さんのいる中規模以上の店が景気良く稼いでいる時に、
や〜、うちも儲かった! とは残念ながらなりません。
反面、売り上げが悪くてもダメージは少なく、
ま、こんな日だってあるさ、と気分を変えてお風呂に入っちゃう。

大変さについては、
経費を節約するために可能な限り外注を避けているのに加え、
そもそも旅の食堂は頻繁にメニュー替えがあるため、
少なくとも4半期ごとに新しい料理をマスターしなければなりません。
そうなると労働時間が爆発的に増えるだけではなく、
精神的なプレッシャーも上がるので、
それこそ好きでなければできなくなるのです。

これがととら亭というビジネス。

誰も真似することが出来ないものではなく、
真似する気にはなれないお仕事なのでございました。

えーじ
posted by ととら at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年03月06日

僕らにとって、野方とは

僕らがどのようにして野方に行き着いたのかは、
以前「野方への道」シリーズでお話しましたが、
では僕らにとって、その野方とは何だったのか?

12年の歳月を過ごしたあの街は、
生まれ故郷とは別の意味で特別な場所でした。
何より引っ越しを繰り返した僕らには、
出生地に次いで圧倒的に長く過ごしたところですからね。

しかしながら居住地であり勤務地であった。
以上!

と、ドライに片付けられるわけではありません。

そこには多くの出会いがあり、
職場というより、学校に近かった気がしています。

街との関係もこれまでにないものでした。
たとえばアパートを出てお店まで歩くたった400メートルの間に、
いったい何人の人と挨拶を交わしたことでしょう。

お客さま、商店街のフェロー、
そして野方を職場とする郵便局や宅急便の人々。
みんな顔だけではなく、名前も知っている間柄です。

今の世の中で、こういうことはあんまりないでしょう。
とりわけ東京のような都会では。

思えば野方は出会いのときからフレンドリーでした。
こういうのを相性というのでしょうか?
不動産会社から出店地として紹介を受け、
初めて訪れたのが2009年11月上旬のこと。

昭和の雰囲気を残す細い路地の商店街を歩き、
いい感じのところだな・・・と思ったのを覚えています。

それから出店を決断するまで1カ月半。
住んでみると、思った以上に住み心地の良い街だと分かりました。
さまざまな個人店が軒を並べ、区役所の出張所もあり、
普段使いのものなら何でもそろいます。
また新宿まで15分程度とアクセスもいい。

そして何より、僕らのような風来坊にも、
土地の大先輩方が親切に接してくれたこと。

こうした風土だったからこそ、ととら亭が育ち、
僕らが12年間も住んでいられたのだと思います。

そうですね、僕らにとって野方とは、
旅先で出会った古い友人、そういう関係なのかもしれません。

えーじ
posted by ととら at 00:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記