2023年01月04日

三が日が過ぎて

「やるに決まってるでしょ!」

元日からの営業について商店街の先輩方に相談したところ、
おしなべてこうした鼻息の荒い回答が返って参りました。

なんでもゴールデンウィークに並んで、
年間最大の混雑だそうな。

なるほど。
それじゃ、ととら亭もやろう!

と即断はしませんでした。
それというのもお正月の料理といえば和食。
元旦から外国の料理を食べようという人はいるのかな?
それも旅の食堂なんて得体のしれない店で。

む〜・・・

ともあれ、何でも考えているだけじゃ分かりません。
取りあえず今年は来年に向けたデータ収集のつもりで、
変則的な時間帯のランチ営業をやることにしました。

そしてふたを開けてみると・・・

思いのほか、チャレンジャーの方がいらっしゃるのですね。
ぼちぼち席が埋まって驚きました。

それも興味深い傾向がありまして、
11時の立ち上がりでささっとお客さまが続き、
Let's Rock! なムードになるかと思いきや、
12時になったらぱたっと止まり、
13時になるとまた盛り上がる。
この2ピーク型が3日間続いたじゃないですか。
これは野方でも経験したことがなかったですね。

さて、一般的には今日から仕事が始まります。
先輩のご指導に従い、
ととら亭は正月プログラムを5日の木曜日まで続けますが、
はたしてどんな展開になるのか?

毎日とても新鮮な気分です。

えーじ
posted by ととら at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年01月03日

時差慣れ 後編

実はこの元旦からのランチ営業が、まんま時差慣れの訓練なのでした。
と申しますのも、通常は、

11:30 オープン
13:30 オーダーストップ
14:30 クローズ

なのを1月5日(木)まで、

11:00 オープン
15:00 オーダーストップ
16:00 クローズ

にしているでしょ?

そうなるとまず、
朝のルーチンを30分ずつ繰り上げなければなりません。

そこで普段は7時に起きているところを6時半にして、
掃除から食事まですべからくずらすことになったのです。

更にクローズ後も変則的です。
通常は17時30分か18時からディナー営業なので、
昼食が16時30分、夕食が23時前後のところを、
昼食はそのまま、夕食を繰り上げて22時にしました。

ディナーが始まる6日までのランチ終了後はパラレルで動き、
ともこが仕込み、僕はトルコ料理特集のデスクワーク。

仕事と生活の時間を状況に合わせて組み替える。
6月の取材旅行で予定しているインドネシアとマレーシアは、
隣りあっていても1時間の時差がありますから、
マラッカ海峡を渡ると時計が1時間進むことになるんですよ。

ですから電波時計やNTPで時刻を合わせるスマホは要注意。
気を付けねば。

「えーじ、ブログ書いてるのもいいけど、
 寝坊しないでよ!」

はい。

えーじ
posted by ととら at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年01月02日

時差慣れ 前編

不規則な生活が幸いして万年時差ボケの僕らは、
アメリカに行こうがヨーロッパに行こうが、
体調が悪くなることはありません。

しかし取材旅行に戻るにあたって、
やらなければならないのが時差慣れ。

僕らにとって時差は長距離より短距離の方が厄介なのですよ。
たとえばペルーから陸路でボリビアに入ったときのこと。
チチカカ湖畔の街、コパカバナから太陽の島に渡ろうとした僕らは、

「まだ船はあるかしら?」
「ん〜・・・あ、ある。最終便が16時30分だ。
 ということは出港まであと1時間半か」
「あたし、お腹空いた」
「国境越えでろくなものを食べてなかったからな。
 お、あそこに感じのいいカフェがあるぞ。
 何か食べて行こう」

ここでサンドウイッチ・カリエンテを頬張りつつ、

「やれやれ、ほっと一息だな」
「毎回、国境越えは緊張するね」
「まったく、バスに置いてけぼりを食わされたかと思ったよ」
「ところでえーじ、いま何時?」

僕は腕時計に目を落とし、

「15時25分だよ」
「ねぇ、あの時計、進んでるのかな?」

ともこが指差したのは壁にかかっていたオンボロ時計。

「ああ、動いてるのが不思議なシロモノだから」
「ペルーとボリビアって時差はなかったっけ?」
「いや、経度はほとんど同じだから・・・いや、待てよ。
 大変だ! たしかボリビアが1時間進んでいたんじゃ・・・」
「ということは?」
「今は16時27分、船が出るまであと3分しかない!」

僕らはバックパックをひっつかみ、

La cuenta!(お勘定!)」

そこから湖畔までの坂道を駆け下り始めると、
渡し舟はまさしく岸を離れて沖に向かおうとしているところ。

Heeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeey!
Waaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaait!
(とっさのことでスペイン語が思い出せない)

富士山の山頂より35メートル以上も高い場所で、
25キロの重さがある荷物を背負ってダッシュするのは、
実にしんどいものがございました。

さいわい僕らに気付いた船頭が船を戻してくれましたが、
あまりこういうエクササイズはやりたくありません。
そこで必要なのが「時差慣れ」なのですよ。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年01月01日

仕事始め2023

あけましておめでとうございます。

柴又で再スタートして5カ月あまり。
ここから僕らも本来のスタイルに戻ろうと思います。

で、未知の未来へ飛び込むその第一歩は元旦営業!

大晦日はその下調べで数回にわたり、
街の状態をリサーチしておりました。

17:00
商店街は買い物客で大賑わい。
明日からお休みとなる生鮮店の前は、
たくさんのお客さまが取り巻いておりました。

19:00
走り納めで河原に行くと、さすがにここは人影もまばら。
柴又公園に至っては僕の貸し切りで、
40分余りのジョギング中に見かけたのはコアなジョガーが4人。
チャリダー2台、犬のお散歩が2人だけ。
商店街も急に人出が減り、
スタッフさんたちは最後の力を振り絞って店じまい。
と、ここまでは野方と同じ。

22:00
柴又駅はひっそりと嵐の前の静けさに包まれていました。
灯りが点いているのは終夜営業のお店だけ。
みなこれからに備えて仕込み中です。

23:45
外に出てびっくりしました。
まるで日中のように人々が繰り出しているではないですか!
駅前はもうかなりの盛り上がり。
ほんの1時間半前の静寂が嘘のようです。
終夜営業のお店からは威勢のいい客引きの声が上がり、
すでにほどよく出来あがった人の姿も。

更に驚いたのは、柴又街道まで出たときです。
警察がしっかり人流を整理しており、
参道は帝釈天から出る人に限られた一方通行になっていました。
そして屋台が出る江戸川へ通じる側道は参拝客が溢れ、
山門前はカウントダウンを待つ人でいっぱい。

ここで驚きのダメ押しです。
ぐるりを見渡せば、ここは渋谷か原宿か?
参拝客は30歳以下の若者ばかりじゃないですか!
そこでカウントダウンが始まれば、
「3,2,1、あけおめ〜っ!」

こうして一緒に「あけおめ〜っ」と叫べない浮いたおじさんは、
お参りも諦め、すごすごと、ととら亭に戻ったのでありました。

さて、一夜明けて元旦の朝。
シャッターを開けた6時には、すでにちらほら参拝客の姿が。
今年最初にして初の元旦営業はどうなるか?

Let's dive into the unknown future!

えーじ
posted by ととら at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月31日

2022年のノーサイド

どんな形であれ結果を受け入れる最高の条件とは、
最後まで走り切ることではないか?

この激動の1年だけではなく、
自分の過去を振り返って、僕はそう信じています。

星の数ほど失敗をしでかし、
学生時代、会社員の頃を通して、
100点満点など取ったためしはありませんが、
僕が後悔と無縁なのは、
この生き方のお蔭なのかもしれません。

やるだけやったんだ。
上出来じゃないか。

ノーサイドのホイッスルを聞きながら、
何度そう思ったことでしょう。

2022年は飛び抜けて困難の多い年でしたが、
トライはされまくっても、
こっちだって無得点だったわけじゃない。

今日はその最後の日。
僕の心は晴れやかです。

ゆっくり休んで、また立ち上がろう。
新しい旅に向かって。

えーじ
posted by ととら at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月30日

仕事納め2022

今日でととら亭も仕事納め。
去年は11月末で「閉店」でしたから、
2年ぶりですね。

長い旅路のひと区切りというこの感覚は、
野方から柴又へ場所が移っても変わりません。

とりわけこの1年間は、
僕の人生でも未経験だったことの連続でしたからね。
振り返ると、よくまぁ、ここまで来れたものだ、
としみじみ思います。

地図のない旅は迷いの連続。
今の判断が正しかったのか、それとも間違っていたのか、
リアルタイムで確認することはできません。
ただ信じて、歩くしかないのです。

でも、ある程度進んだところで、
ああ、この道でよかったんだ、
そう胸をなでおろすときもあります。

今年最後のディナーは、
カウンター席が野方のお客さまで、
テーブル席が柴又のお客さまのご予約で満席となりました。

僕らはどうやら道を踏み外してはいなかったようです。

時計は17時40分。
さて、そろそろ暖簾を出しましょうか。

えーじ
posted by ととら at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月27日

年末に向かって

今年も残すところ、あと5日。
ととら亭の仕事納めは30日(金)です。

それじゃ大晦日は初めての大掃除で汗を流そう!

というわけにはいきません。

なぜなら仕事始めが元旦ですし、
その後は6日に旅のメニュー替えが控えており、
定休日はずっと先の1月10日!

体力もつかしらん?

そう心配する間もなく、
いま二人して取り組んでいるのは仕入れと仕込みです。

そう、お店は営業していても、
仕入れ先はみんなお休みでしょう?
そこでえらい数の荷物が届いているのですよ。

ま、これも住居付き店舗だからできること。
ひんやりした2階の廊下には、
段ボールに入った乾物やお酒がずらっと並んでいます。
もちろん冷凍庫や冷蔵庫もぱんぱんに。

それから大切なのが支払い。

お世話になったお店や企業に、すべて送金が終わって、
はぁ〜、今年も終わりだな・・・
というか、乗り切れたな・・・
そんな実感が湧いて来ます。

何せ2022年は独立を超えたTReP、
ととら亭移転プロジェクトがありましたからね。
ほんと、よくここまで来れたと思いますよ。
まさに Mission Impossible な1年でございました。

さて、そんな記念すべき年のフィナーレです。
最後まで僕らしいプレイを心掛けたいと思います。

えーじ
posted by ととら at 17:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月24日

柴又での贅沢

贅沢といっても人それぞれですが、
柴又に移り住んで以来、僕が楽しんでいるのはジョギング。

いや、ジョギング自体は野方時代もやっていましたけど、
走る場所がまったく違うのですよ。
今日はそのショートコースをちょろっとご覧に入れましょうか。

ととら亭を出て閑静な住宅街を750メートルほど走ると、

jog_01.jpg

まもなく江戸川の土手に出ます。
そしてこの階段を駆け上がれば、

jog_02.jpg

どうです、この空間!
野方時代によく走った、
明正寺川沿いから平和の森公園までのルートもお気に入りでしたが、
ここまで空が大きく開けた場所はありませんでした。

jog_03.jpg

そして違うのは広さだけではなく空気。
広大な河川敷だけではなく、川向うに農地が広がっているせいか、
空気がぜんぜん違うんですよ。
秋には草刈の香りもあって、
胸いっぱいにその匂いを吸い込みながら走っていると、
日常のちまちましたことなんか、どうでもよくなってきます。

それに平日はご覧のとおり、
この素晴らしい環境をひとり占めできるのですからね。
これを贅沢と言わずしてなんと言いましょうか?

jog_04.jpg

ショートコースの折り返しは、
寅さん記念館に隣接する柴又公園の駐輪場。
ここでストレッチをやって、ととら亭に戻ります。
僕が走る時間は夕焼けがきれいですよ。

街灯が灯った商店街を過ぎるころには、
なんだか心がとても豊かになったような気がします。

こういう贅沢もいいもんだ。

実に安上がりな男なのでございます。

えーじ
posted by ととら at 17:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月21日

ラストスパート2022

昨日は今年最後の定休日。
今日から30日の仕事納めまで、年末恒例のマラソン営業です。
(23日(金)と27日(火)のランチはお休み)

柴又で初めての年末年始。
23日(金)と24日(土)のディナーはほぼ満席ですが、
後はどうなるか、僕らもまったく分かりません。

毎日どうなるか予測がつかず、
ある意味、日々これ新鮮ですね。
この齢になってまた1年生というのも悪くないかな?
元旦からいきなり営業というのも、
野方時代ですらやったことがありませんし。

思えば僕らの旅は、ずっとこの繰り返しのような気がします。

慣れに甘んずれば楽なのは分かっていますが、
どうも退屈しちゃうのですよ。
同じように、歩けば楽なのに走ってしまう。

そんなわけで、今日からの10日間も、
ととら亭らしく、やるだけやってみたいと思います。

えーじ

P.S.
とはいえ、大晦日に燃え尽きて寝込まないよう気を付けます。
はい。
posted by ととら at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月19日

虹色のクリスマス

柴又で初めてのクリスマス。

というわけで、野方ではお馴染みでしたが、
ここでもう一度ご説明を。

ととら亭では特別のクリスマスコースはありません。
それどころか、リースやツリーなどのデコレーションもない。
(僕もサンタクロースのコスプレはしていません)
つまり、いつもどおりフツーに営業しています。

なぜか?

ん〜・・・違和感があるんですよ。
このイベント性に。

24日、25日のちょっとお洒落なレストランは、
さながらカップルと家族連れ専用になっちゃうでしょ?
普段はお一人でふらっと来る方も少なくないととら亭まで、
ここぞとばかりに余所行きのセレモニーを始めるのは、
いかがなものかと思いまして。

いや、先に白状しておきますと、若かりし頃は、
僕も気張ってクリスマスディナーに出かけたり、
当時流行っていたペンションを予約して行ったりしていました。
(あ〜、青春だ)
だからそうした過ごし方を批判しているわけではありません。

ただ1軒くらい、
フツーにやっている場所があってもいいのではないか?

一日の過ごし方とは、引き延ばせば一生の生き方とも言えます。
それを家族でなければ、
カップルでなければいけないと決めつけて、
暗黙の社会圧を醸し出すのはどうかと思うんですよ。

一時にせよ、一生にせよ、
ひとりで生きるという選択肢があったっていい。
それはけして後ろめたいものではない。

イエス様だって、
自分の誕生日に仲間外れを作るのは喜ばないでしょう?

だから虹色のMerry(楽しい・ほがらかな) Christmas。
すべての人にとって、この日が楽しい一日でありますように。

えーじ
posted by ととら at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月16日

小さなお菓子と大きな思い

クリスマスケーキにクリスマスコース、
そしておせち料理・・・

この時期になると、
普段にも増して頂くリクエストですが、
2010年にデビューして以来、僕らの回答はずっと、

「すみません、やってないんですよ」

お客さまのご要望に対して「できません」というのは、
まがりなりにもビジネスマンの端くれとして、
センスのない話だと分かっております。

しかしながら、これを実現するということは、
ととら亭が皆さんの知るととら亭ではなくなるという、
意味にもなるからなのですよ。

と申しますのも、
クリスマスケーキを仮に100台作るとしたら、
それをスポンジの段階から保存する、
冷凍冷蔵スペースが必要になります。

また、お渡しする1カ月前から、
デコレーションを始めるわけにはいかないので、
直前に大勢のスタッフも雇わなければなりません。

これはおせち料理も同様で、
50人前を用意するだけでも今の新店舗でさえ、
保存、作業スペースともにまったく足りないのです。

そしてクリスマスコースも、
客席キャパ満席の16人分を提供するとなれば、
同じように盛り付けスペースと、
専門職のマンパワーの不足に直面することとなります。

これらを解決する答えはひとつ。
店舗を拡張し、従業員を雇うこと。

それもまた経営の選択肢のひとつでしょう。
顧客ニーズに合わせた事業規模の拡大は、
ハウトゥー本的なサクセスストーリーの王道です。

でもね、その株式会社ととら亭が運営する柴又店や野方店には、
ホールに僕の姿はありませんし、
料理もともこではなく、
オーサライズされたレシピに沿って、
あなたの知らない「誰か」が作ったものになるのですよ。

そうなったととら亭に、皆さんはまだ来てくれますか?

僕らにしても求めているのは、
事業の拡大による年収の増加と社会的ステータスの向上ではありません。
そこでクリスマスも年末も、
いつも通りにやってます・・・となるわけです。

しかし、そんなフツーの日々でも、
ともこなりの、ととら亭らしい季節ものがあります。

それは手作りのシュトーレン。

例によって数に限りがありますけど、
小さなお菓子に彼女の大きな思いが詰まっています。

これが独立以来かわらない僕らのポリシーなのですよ。

Stollen2022.jpg

えーじ
posted by ととら at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月13日

小さな体と大きな勇気

幾多の荒波を乗り越えて、
何とかたどり着いた柴又の師走。

ここまで来れば安心だ。

と思いたいのが人情ですが、
トラブルや困難というのは波のように寄せては返し、
終わることがありません。

それもときには同時にやってきますから、
いい加減、

どうしてオレだけ?
勘弁してくれよ。

そう弱音のひとつも吐きたくなります。

だけど冷静になれば分かるように、
けして「オレだけ」じゃないんですよ。

周りを見渡せば身近なところにも、
より厳しい条件と直面している人がたくさんいる。

僕はそうした友人に囲まれているので、
もらえる勇気が不足したことはありません。

君が小さな体で精いっぱい生きているのに、
僕がへこたれてどうする?

そう思いながら友人の顔を思い浮かべれば、
どんなときでも、また立ち上がれる。
だから僕らは旅を続けて行ける。

大きな勇気をありがとう。

えーじ
posted by ととら at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月10日

ホームがアウェイに

この前の定休日、
今年最後の「仕入れ」で新宿まで遠征してきました。

野方時代は買い物に限らず、
どこへ出かけるにもハブになっていた街。
思えばもうひとつのホームだったのかもしれません。
引っ越してまだ半年あまりしか経っていませんが、
もうどこか懐かしい感じがしますね。

さて、訪れたのはお馴染みのディスクユニオン。
小売り業はネットショップの波に押され気味とはいえ、
やはり実店舗ならではのサプライズは捨てられません。

たぶん両者の最も大きな違いは、全体の俯瞰性だと思うのですよ。
現実の世界は情報を面と奥行きで多元的に捉えますが、
ディスプレイに表示されるのはレイアウトされた点ですからね。

「検索」と「見回す」という行為は、
認知的にも似て異なるもののような気がします。
いわば理性(意識)に対する感性(無意識)みたいなものでしょうか。
考えて点と点を結ぶ行為の結果は推測の確認ですが、
心をニュートラルにした「気付き」は発見ですからね。

と、妙な理屈をこねましたけど、僕にはネットショッピングより、
実店舗をぶらぶらする方が断然たのしい!!
と言いたかっただけです。
しかしながら時間のないなか、
ぽちっとオーダーすれば翌日届けてもらえる利便性は、
ありがたいと思っていますが。

で、仕入れの首尾は上々でした。
さすがに相場は上がっていましたが、
中古市場で品薄気味の "Under stars" Lonely Robot から、
Billy Sherwood がプロデュースした
"A tribute to Keith Emerson & Greg Lake" や、
Shai Maestro Trio の "The road to Itahaca" など、
長らく目を付けていた作品をゲット。

そして帰りはビックカメラから地下に降りて、
丸ノ内線の上に続く地下道へ。
ここで左に曲がってサブナードを抜ければ西武新宿駅・・・

なんですけど、曲がったのは逆の右側。
目指したのは都営新宿線の新宿三丁目駅です。
もう野方はアウェイなんですよね。
ん〜・・・ちょっと複雑な気分。

ここから新しいホームへの帰宅ルートは、
馬喰横山で都営浅草線に乗り換えて京成高砂まで。
最後はお馴染み京成金町線です。

となると、帰りがけに戦利品をチェックする喫茶店も、
新しく探さなくちゃな。

かつてのホームがアウェイになり、
その逆もまた然り。

まさにこれ、流れ者の人生でございます。

えーじ
posted by ととら at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月07日

「お客さまの声」よりも

昨今、そこかしこで見られる「お客さまの声」の収集。
買い物をしたときだけではなく、役所に出向いた時ですら、
「ご意見をお聞かせください」との表示が目に留まりますよね?

僕はそれに気付くたび、周囲を見回して思うのです。

ここで働いている人たちは、どう感じているのかな?
と。

つまり飲食店でいえば、
スタッフは自分たちの店で提供している料理を、
おいしいと思っているのか?
病院でいえば、
職員たちは自分が病気になったとき、
自分が勤める病院で診てもらいたいと思っているのか?
役所でいえば、担当者が一市民として窓口を訪れたとき、
この内容なら満足だ、と納得しているのか?

そして何より「お客さまの声」を聞こうとしている人たち自身が、
やりがいを持って働いているのか?

この答えがイエスであったら、
次に聞くべきなのが「お客さまの声」なんじゃないのかな?
そうでなければ、
こんなのカネを払ってよく食べに来るなぁ・・・
自分がここの診察台に乗るなんて冗談じゃない・・・
受付てるこっちでさえ面倒な手続きなんだから、
市民に分かるわけはないだろう・・・

と思いつつお客さまを迎えることになってしまいますし、
そんなメンタルで仕事にやりがいを感じろといっても、
無理な相談でしょ?

いや、僕が突然こんなことを言いだしたのも、
ここ最近、クリティカルな事案で、
申し入れをしなければならなくなったことが何度かあり、
その度に最後に言ったのが、

「あなたが僕の立場だったら、どう思います?」

だったからなのですよ。

そして相手の反応で共通していたのは、
この質問には沈黙を持って応えるしかなかったこと。

もし、自分たちの仕事を改善したいと本気で思っているなら、
「お客さまの声」なんてまどろっこしいことをやるより、
自分がまず「お客さま」になる方が、
手っ取り早いんじゃないかな?

そう思いません?

えーじ
posted by ととら at 16:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月04日

新しい冬の入り口で

三の酉まであった今年の酉の市。
先週の月曜日、僕らは金町の葛西神社へ行ってきました。

kasaijinjya.jpg

これまでは浅草や新宿、そして練馬に出かけていましたが、
まさか今度も歩いて行ける距離にあるとはラッキーですね。

yomise2022.jpg

規模は小さかったですけど、
鄙びたムードに子供の頃を思い出し、
懐かしい感じがしました。

kumadetomoko.jpg

酉の市が終わるといよいよ東京も冬の入り口。
朝晩はだいぶ冷え込んできました、

初めての柴又の冬。
ちょっとわくわくしています。

えーじ

kumade2022.jpg
posted by ととら at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年12月02日

It's a wonderful world.

野方のととら亭を閉めて1年が経ちました。

移転を告知してからの2カ月間は、
沢山のお客さまにご来店いただき、
まさしくグランドフィナーレという感じでした。

そこでお客さまだけではなく、
フェローやパートナーの方々から頂いた言葉は、
12年間の評価であり、
また、更なる困難な試みとなったTRePの大きな励みとなっています。

本当にありがとうございました。

いま、柴又の新しいととら亭から振り返ると、
あの冒険の日々があったからこそ、この新しい旅がある。
そう思えてなりません。

多くの出会い。
笑いと涙。
そして広大な世界への旅。

It's a wonderful world.

えーじ
posted by ととら at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月30日

どっちに転んでも

柴又で初めての連休。
7月20日の再スタート以来、溜まった疲れをここで癒し・・・

というわけではありませんでした。

昨日は新型コロナワクチンの4回目の接種。
そう、副反応を見越して今日はオフにしていたのです。
3回目のときは、翌日もともこが38度後半の熱を出し、
とても仕事どころではありませんでしたからね。
そして昨日は・・・

午前10時、近くの病院でワクチンを打ってから、
昼食後、早々にカロナールを服用したともこ。
僕は前の3回がほとんど何も起こらなかったのでスルー。

ところが夕飯を食べ始めた20時ごろ。

「なんか今夜は涼しいな」
「あたし体がだるくなってきちゃった」
「ん? 室温は21度ある」
「熱が出てきたのかな?」
「そうかもね。
 食べ終わったら追加でもう一錠飲んでおいた方がいい」
「えーじも念のために飲んでおけば?」
「そうするよ。この室温で涼しく感じるのは変だ」

そして22時。
僕が仕事部屋から寝室へ戻ると、ともこは早々にベッドの中。

「どうだい?」
「熱が38度6分くらいまで上がったんだけど、少し下がったよ。
 薬が効いてきたのかな?」
「良かったね。そのまま寝ちゃった方がいい」
「えーじはどう?」
「さっき熱を測ったら37度4分だった」
「大丈夫?」
「この程度なら平気だよ。これ以上は上がらないだろうし」

ところが24時を周るころ、僕は読みかけていた本を閉じ、

なんか寒気がするな。
嫌な感じだ。

そこで熱を測ると・・・

うげ。38度2分だって?
ありゃりゃ、今回は僕も出ちまったか。

寝室ではともこが熱を測っていました。

「起きちゃった?」
「う〜・・・寒い。
 また熱が上がってきたみたい。
 体温は・・・えっと・・・38度6分」
「ん〜、やっぱりカロナールじゃ効かないか」
「えーじは大丈夫?」
「僕も38度超えだよ」
「え〜!? ふたりして?」
「そう。旅先だったら洒落にならないけど。ま、自宅なら大丈夫さ。
 追加でもう一錠飲んでおくよ。
 ともこは間隔が短すぎるから様子をみよう」
「あたしはもう座薬にしようかな?」
「ああ、ボルタレンの座薬か。この前はあれが効いたからね」

そして26時。

「どう?」
「悪寒は消えたけど熱が下がらない。
 ともこは?」
「すごい汗。でも平熱に下がったよ」
「そんじゃ僕も座薬に切り替えるか。
 シャツを着替えて眠れるならそのまま寝ちゃった方がいい」

しばらくして僕も眠りに落ち・・・

ん・・・? 朝か? 何時だ? 10時?

「起きた?」
「ああ。爆睡しちゃったな。体調は?」
「戻ったみたい。平熱だよ」
「僕も測ってみるよ」

36度5分・・・か。はぁ、やれやれ。

新型コロナが発生して早3年。
皮肉なことに、この間、僕らが寝込んだのは、
すべてワクチン接種絡みでした。

そういえば、ずいぶん前のことですが、ヘルプデスク時代、
コンピュータウイルスの感染事案より、
アンチウイルスソフトに起因するトラブルシューティングの方が、
数的にはずっと多かったっけ。

こういうときは、
どっちに転んでも楽なことはありませんね。

えーじ
posted by ととら at 13:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月28日

らしくないお店

柴又らしくないお店ですけど、どうしてここを選んだのですか?」

入りにくい店、
分かりにくい店、
気になる店、

これに続いてよく言われるのが、らしくない店

実のところ、これについては地名だけを入れ替えて、

野方らしくないお店ですけど、どうしてここを選んだのですか?」

というご質問を12年に渡って頂いておりました。

そこで反対に僕らが首を傾げていたのは、
ではどこなら、ととら亭は「らしいお店」になるのか?

ん〜・・・たぶん、どこへ行っても、
「らしいお店」とは言われないんじゃないかな?

これには思い当たる節がありまして、
僕らは個人的に、
どんな組織や集団に属していても浮いた存在でありました。
いや、別に目立ちたかったわけではありません。
本人は至ってフツーにしているつもりでも、
なんだか周りから浮いてしまうのですよ。

実際、なぜだ? と自問したことも何度かありました。
何かと不便ですからね。

残念ながらこの問題、
いまだに「これだ!」という答えを見つけておりませんが、
思うに、価値観や考え方が、いわゆる社会的スタンダードとは、
だいぶズレているからのような気がしています。

これは僕だけではなく、ともこも同類で、
皆さま薄々お気付きのように、そのはみ出し方は、
とても公言できないレベルだったりします。
(中国や北朝鮮であれば再教育キャンプ行きでしょうな)

いや、繰り返しになりますが、
僕らはあくまでマジョリティに対するアンチではありません。
そうした意味ではマイノリティでもない。
だから社会活動家や革命家にはなれない。
誤解を恐れずたとえるなら、
皆さんが参加していて当然と思うゲームのプレイヤーではない。
そういうと当たらずとも遠からずなのかしらん?

そんな二人が自分たちの理念を形にしたのが、
旅の食堂ととら亭という場とスタイルなんですよ。

というわけで、ととら亭が実に僕ららしいお店であるからこそ、
どこの街に行こうとも、「らしくないお店」にならざるをえない。

組織に属していたころは、こいつは困ったな、と悩みもしましたが、
今ではこれでいいと納得しています。

やっぱり、素の自分自身でいるときがいちばん自然で楽ですからね。

えーじ

P.S.
ととら亭に第3のメンバー、つまり従業員がいないのも、
これが最大の理由になんですよ。
僕らと一緒にやるのは難しいでしょうからね。
posted by ととら at 13:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月26日

気になるお店

「前からずっと気になっていたんですよ」

柴又へ移転して4カ月余り。
建築期間を含めると、かれこれ1年になります。
この間、ご来店されたお客さまだけではなく、
店頭でお声がけ頂いた方々から、
しばしば同じ言葉を頂戴していました。
それは、

気になるお店。

多分、旅の食堂? → なんだかよく分からない 
→ ちょっと覗いてみたい → でも中が見えない!

この疑問と好奇心が満たされないことから、
発せられた言葉かもしれません。

実はこのフレーズ、柴又で始まったわけではなく、
野方時代からよく言われておりました。

一応、店頭のメニュースタンドで概略はお伝えしていますが、
(それとウェブサイトでも)
知れば知るほど更に謎は深まってしまう・・・のでしょう。

確かにファサードが目に入ってもアプローチしか見えませんから、
客席部分がどうなっているのか、まったく知りようがありません。
さらに上部の住宅部分が目立つので、
1階は入り口しかなく、2階、3階がお店なのかしらん?
そう思っていた方もいらっしゃいました。

また、アプローチの狭さからカウンターしかない立ち飲み屋?
と想像していた方も。

しかし、暖簾をくぐって内ドアの先を見れば、
「わぁ、奥にこんな空間があったんだ!」
というサプライズが待っているわけです。

さて、僕らが逆の立場で関心を持っているのは、
気になって頂いたものの、
実際にご来店されるまで、どれくらいの日数が経っているのか?
たいていは2〜3カ月前後なのですが、
野方を旅立つころ、

「いやぁ、以前からずっと気になっていて、
 移転されると聞いて、駆け付けたんですよ」
「そうですか、ありがとうございます。
 ちなみにいつごろからご存知でしたか?」
「お恥ずかしいのですが、10年くらい前から知っていました」
「10年!」

こんなこともありました。
まぁ、自宅の近くにあり、いつでも行けると思うと、
つい先送りしてしまうものですからね。

しかし、ご注意を。

一般的かつまともなお店なら心配ありませんが、
得体のしれない旅の食堂は、
10年後はおろか、1年後だって同じ場所にあるとは限りません。

行こうと思ったらお早めに。

えーじ

P.S.
先日、野方の営業最終日のランチで初めて来た、というお二人が、
最初で最後ではなく、
ほぼ1年の時を隔てて柴又まで来てくれました。
僕らにとって思い出深い日でもあったので、嬉しかったですね。
posted by ととら at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月23日

ちょっと待った!

「ととら亭は僕にとって学校みたいなものでね。
 オヤジになっても学ぶことはなくならないよ」

先日、仕事に悩む30歳代半ばの女性と話をしていたときのこと。
彼女はしばし考えこんだあと、

「えーじさんがミスすることってあるんですか?」

彼女はうちに子供がいたら、それくらいであろう年頃です。

「・・・? どういう意味で?」
「いや、ととら亭の仕事で失敗したことってあるのかな?」
「そりゃ、あるさ! たんまりと!」
「たとえば?」

ここで僕もちょっと言葉が詰まってしまいました。
もちろん失敗が思い浮かばなかったからではありません。
彼女はもしかして、

えーじさんは失敗しない。

どうやら、そんな風に思っている節が・・・

ちょっと待った!
なぜそういうイメージになるんだ?

そこで一息つき、

「オーダーを忘れるとか、
 食器を割るなんて小さなことは山ほどあるけど、
 ビッグなのでいうと、お客さんの頭からウーロン茶をぶっかけたり、
 ワインのサーブ中、同じ人に通算4回も、
 グラスをひっくり返して服を台無しにしたことがある。
 5,000円以上の釣銭を渡し忘れて後で気付いたこともあったな。
 残念ながら、そのお客さんとはそれっきりになっちゃったけど」
「へぇ、そんなことがあったんですか!」
「それも過去形じゃないよ。いろんなミスをするのは今でも変わらないさ」

そう、確かに僕は彼女と同じ年ごろにしでかしたような、
ドジは踏まなくなりました。(当人比)
しかし、それは彼女がイメージしていたような、
過ちを犯さないおっさんになれたということではなく、
立場や環境が変わってドジの種類が別になっただけのことなのですよ。

ミスは幾つになってもなくならない。
人間なんだもの。(ね、ご同輩?)

と、ここで相田みつおさん風に開き直っても始まらない。

ただ、彼女と同じ齢だったころの自分と比べて、
学習したこともあります。
それはミスに対する姿勢。

極論かもしれませんが、
僕は基本的にミスそのものを悪いことだと考えていません。
なぜなら人間はミスをする生き物だから。
その事実を無視してミスを純粋悪にしてしまうと、
必然的に世の中は窮屈な疑心暗鬼の隠ぺい社会になってしまう。

考えても見て下さい。
ミスが許されない社会って、息が詰まると思いません?
(もちろんミスはどうでもいいという意味でもありませんが)

むしろ、まずいのはミスを認めないこと。
それからミスから学ばないことだと僕は学習しました。

そしてもう一つ大切なのが、
ミスをしても必要以上に落ち込まないこと。

「はぁ・・・やっちまった。なんてこった。最悪だ」

そこで10分ほど(それでも気が済まなければ5分追加して)落ち込んだら、

「何でこうなったんだ?」

と客観的に反省し、

「ふぅ・・・よし、2度とこのドジは踏まないぞ」

とポジティブに頭を切り替えて、

「次、行ってみよう!」

このアプローチは思いのほか役に立っています。
とりわけ自分に対してだけではなく、
他人にも適用することで寛容になれるし。

そう、彼女にとって僕が気楽そうに見えていたのは、
多少なりとも、この効果があったからかもしれませんね。

えーじ
posted by ととら at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月20日

ととら亭を創ろう! その11

趣味であろうが仕事であろうが、
打ち込んでやったことは無駄にならないものです。
ととら亭を創るにあたって役立ったスキルは、
かつてさまざまな場所で身に付けたものでした。

たとえば照明のデザイン。

totoralighting04.jpg

このベースになっているのは、演劇や音楽ライブの舞台なのですよ。

totoralighting01.jpg

バンド小僧だった僕は高校生の頃からステージに上がり、
体育館から音楽ホール、ライブハウスなどでプレイしていました。
その延長で劇団の方々とも知り合いになり、
ときには俳優さんたちとのコラボレーションも。

ここで勉強になったのは舞台裏です。

プロではありませんから、プレイするだけではなく、
舞台装置を作ったり、照明やPAのセッティングから、
当日は音響卓や照明卓に陣取ることもありました。

そこで印象的だったのが、
光の当て方ひとつで舞台の表情が、がらっと変わることです。
これはもう、感動的でしたね。

totoralighting03.jpg

たとえば暗転からピンスポでひとりを狙うのと、
ローホリを背景にサイドスポットを当てるのとでは、
同じ物理空間とは思えないほどの劇的な変化が生まれます。
片や、仕込み中の地明りに戻すと、
それまでの魔法が一瞬にして消えてしまうじゃないですか。

また、光の当て方によって、
空間の大きささえ変えることができます。
たとえば極端に明度の低い部分を四隅や背後に配置すると、
実際の空間より広く感じるのです。

totoralighting02.jpg

そんなわけで、ととら亭では明暗のコントラストを強調し、
立体感を際立たせています。
そして舞台で役者にスポットが当たるように、
光束を絞った光源でテーブルを照らしているのです。

totoralighting05.jpg

そう、いうなればととら亭は一種の小劇場であり、
訪れた方は、
無意識のうちに登場人物のひとりになっているのですよ。

やがて、それぞれのテーブルで世に一つの物語が始まります。
そこを行き交う僕らは、
さしずめ、オムニバス映画の狂言回しなのかもしれませんね。

えーじ
posted by ととら at 15:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月17日

柴又での年末年始は・・・

先輩たちのご意見を拝聴しつつ、
いろいろ検討した結果、年末は野方時代と変わらず、
12月30日(金)までの営業としました。

また例によって、クリスマスは何も特別なことはせず、
いつもどおりフツーに営業します。
とはいえ何かと混みあう師走ですから、
ご予約はお早めに頂けると助かります。

そして年始。大きな違いはここです。
野方は純粋に住宅地の商店街でしたから、
元旦に開けたところで寂しい思いをするばかり。
しかし柴又には帝釈天があります。
なんでも先輩いわく、
柴又の集客ピークは年末年始とゴールデンウィークだそうな。
(それと花火大会ね)
となれば僕らも寝正月というわけにはいきません。

そこで気合を入れて、元旦を仕事始めとしました。
内容はちょっと変則的で、
1月1日(日)から3日の火曜日も営業し、5日(木)までが、

11:00 オープン
15:00 オーダーストップ
16:00 クローズ

ディナーはお休みします。

そして6日(金)から通常営業に戻り、
ランチをお休みしてディナーからトルコ料理特集がスタート!

こんな感じで行ってみたいと思います。

はてさて、柴又で迎える初の年末年始。
新型コロナの第8波が迫り、
物価の高騰も天井知らずのなか、
ととらの小舟はどんな旅立ちとなるのか?

ん〜・・・穏やかな航海は・・・

期待できないか。

えーじ

年末年始の営業スケジュール
posted by ととら at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月15日

業務改革道遠し

独立したら爆発的に増えた労働時間。
ブラックなIT稼業時代に比べても、
その約1.5倍の1人400時間/月!

当然、野方時代からこのクレイジーな状態を改善するのは、
業務課題の筆頭だったのですが、
これがどうにも短くならない。

そこで究極的な対策として考えたのがTRePです。
店舗付き住宅で、いわゆる在宅勤務になれば、
公私ともに効率が上がって仕事は楽になるに違いない。
理論上はそうでした。

ところが!
ふたを開けて4カ月。
これがぜんぜん短くならない。

というより、逆に増えている!

それというのも、
風呂もベッドもすぐ近くにあるのだから、
ぎりぎりまで仕事をしてしまおう。
となってしまったのでございます。

これを一般的な労働にあてはめると、
会社に着いてからではなく、
通勤中も働き続けていることになってしまうじゃないですか。

む〜・・・なんてこった。

と頭を抱える僕をわき目に、
気が付けば、いそいそ階段を降りて行くともこさん。

「ほんと、便利だよね〜! すぐ仕事ができるんだもん」

atwork.jpg

いや、そのために移転したんじゃないんだけどな。

えーじ
posted by ととら at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月12日

ととらな繋がり

「今度、友だちを連れてきますね!」

彼女はととら亭が柴又に移転してから来はじめたお客さま。
次は友だちと一緒にいろいろな種類の料理を楽しみたいとのことで、
ほどなく5名さまのご予約を頂きました。

そして当日。

先に到着した彼女に遅れること約10分。
内ドアのベルの音を聞いた僕は振り返りつつ、

「いらっしゃいませ。こんばん・・・はぁ?」

ご来店された4名の方は、
意味深な微笑みを浮かべて僕を見つめています。
僕は素早く自分の記憶の画像検索を始めました。

えっと、誰だったっけ?
彼女たちは僕を知っている。
僕も彼女たちを知ってる・・・でも、柴又のお客さんじゃない。
ご予約の方々じゃないのか?

と困惑しつつ柴又の彼女を見れば、
彼女もまた同じような笑顔を浮かべています。

こ、こりゃどうしたこった?
彼女たちは知り合いっぽいぞ。

と思った矢先、僕は後から来た4人が、
野方時代の古いお客さんたちであることを思い出しました。
しかし、分からないのはその関係です。

「驚きました?」
「驚いたのなにも、お知り合いなのですか?」
「実はね〜」

彼女曰く、友だちを誘おうと電話したときに、

「ねぇ、この前、柴又駅の近くでいい面白いお店を見つけてね。
 いろいろな国の料理をアレンジしないで紹介してるんだって」
「・・・?」
「ワインも珍しい国のものを取り揃えていて、
 あなたたちならきっと気にいると思うわよ」
「ねぇ、それ、ととら亭じゃない?」
「え? どうして知ってるの?」
「だってあたしたち、その店が野方にあったときによく行ってたもん」
「え〜っ? そうだったんだ!」

こんなやり取りがあったそうで。

野方と柴又。
古くからのお客さまと新しいお客さま。
関係なさそうで、実は繋がっている。

そんな接点になれたのも嬉しいですね。

えーじ
posted by ととら at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月09日

この時のために

先日、柴又で発生した朝火事。
ニュースでご存知の方もいらっしゃると思いますが、
ととら亭の並び、南へ9軒目だったこともあって、
一時は僕らも「消火器とバケツリレーで水際消火作戦か!?」
な緊迫感に包まれました。

しかし15分もすると火勢は衰え、
僕らも胸をなでおろしていたのです。
(亡くなった方がいたのはお気の毒でしたが)

その主役となったのが消防隊。
場所からすると、金町消防署柴又出張所のチームでしょう。
てきぱきした迷いのない動き。
阿吽の呼吸によるチームワーク。
ものすごい水圧で暴れそうになるホースを腰だめで固定し、
ピンポイントで炎の中心を狙う姿は、
まさしく英語でいうところの Firefighter そのものでした。

思えば金町消防署柴又出張所は、
ととら亭を創るにあたって消防法上の問題を相談しに、
何度か通ったところ。(その節はお世話になりました!)

テーブルを介して話す隊員の方々は、みな礼儀正しく、
穏やかな口調の方ばかり。
しかし、ひとたび現場となると、別人のようです。
確かに僕がお邪魔したとき、裏手で訓練していた方々は、
まさしく真剣勝負の目でしたね。

この日、この時のために日頃から訓練し、
出動命令があれば、いつ、どんな現場にも急行する。

実際、僕が煙に気付いて駆け出したときには、
もう消火体制が整っていましたから、
おそらく通報があって5分もかからず、
ここまで来ていたのでしょう。

さすがですね。

さて、僕らも僕らなりの「この時」のために、
何かを始めるべきかしらん?

ん〜・・・そうですね、まず防災用具をそろえて、
ととら亭の消火訓練から始めますか。

えーじ

firefighter.jpg
Thanks Fire Fighters!
posted by ととら at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月06日

ととら亭を創ろう! その10

僕の性格がそのまんま反映されているこのブログ。
企画が散漫なところなんかモロにそう。

と、
懺悔したところで8年ぶりに再開するのがこのテーマです。

ととら亭を創るにあたって大切なこと。

それは設計やデザインから事業スキームなど、
いろいろなことがありましたが、
中でも難しかったのは「パートナー選び」。
これを最初に実感したのは会社員の頃でした。

たとえばプロジェクトを立ち上げ、主要な取引先を選定する際、
コンペの結果を持ってお偉いさんたちに決済を求めますが、
彼らが着目するのは決まってコスト。

そう、コストを松竹梅にソートし、
お約束どおり「それでは梅で進めて下さい」と来る。

しかし、ものごと安けりゃいいってもんじゃありません。
換言すると、安いからにはそれなりの理由があるのです。

そこでプロジェクトチームとしては、
「松」か「竹」で進めたい意向を上奏するのですが、
これが当然、実に難しい。
とりわけ評価が企業の信頼性だった場合は、
起こっていもいない事故を前提とするより、
目の前の確実な数字が優先されてしまいますからね。

でも、実体験の結果から申しますと、
遅かれ早かれ「やっぱりねぇ・・・」になるんですよ。
それも梅を松にリプレイスする手間と費用とリスクまで背負い込んで。

そこから学んだ選定の優先順位を、

1.人柄(企業体質)
2.モチベーション
3.コスト

にしたのです。

企業の規模は関係ありません。
これまた実体験に基づいていいますと、
ビッグネームだろうが一部上場企業だろうが、
とんでもないポカをしでかします。
それも一個人ではなく、組織の構造上の原因がもとで。

反対に小さいからといって業務レベルが低かったり、
いい加減だったりというわけでもない。

確かに分かりやすい金額ではなく、
人柄とモチベーションという定性的要素を評価するのは難しい。
しかし、ここにこそ人間とその集団の本質が現れる。
だってそもそも人間自体が定性的な存在ですからね。

僕はそう思って相手に接し、
また、自己評価の軸にもしているのです。

えーじ
posted by ととら at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年11月03日

お散歩のすすめ

ととら亭があるのは柴又駅のすぐ脇。
そして柴又駅は京成金町線の駅のひとつです。

この路線、思えばこじんまりした柴又以上に、
ととら亭にぴったりの感がありまして。

なぜなら、
駅数は高砂、柴又、金町のたった3つしかない。
距離に至っては、たった2.5キロメートル!
しかも全線単線。
走っている車両は4両編成。

いかがです?
ととら亭が東京駅の八重洲口にあって、
新幹線で行くとなったら妙な感じですけど、
このミニチュア感はまさに似つかわしいと思いません?

そのせいかお客さまに
「どちらからいらっしゃいました?」と訊くと、
金町や高砂から「散歩してきました」、
という方がたくさんいらっしゃいます。
ぶらっと歩くにはちょうどいい距離なんですね。
そしてルートも街中から江戸川沿いなどバリエーションに富み、
それぞれの楽しみ方があります。

空が高い秋の一日。

ととら亭にいらっしゃるなら、
散歩も絡めてはいかがでしょう?

で、ご参考はこれ。

さんたつ by 散歩の達人
京成金町線に吹き込む新しい風
〜東京23区ローカル線さんぽ〜

先日お話しました「散歩の達人」の記事が、
ウェブ版でもリリースされました。

こちらは写真も大きく、新しいととら亭の店内がご覧いただけます。

ん〜・・・僕なら、
高砂から新柴又へ歩き、柴又街道を北上して柴又駅へ。
で、ととら亭でランチした後は、
帝釈天を抜けて江戸川まで行き、土手沿いを金町まで・・・
かな?

きっと小さな発見がありますよ。

えーじ
posted by ととら at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月31日

Old but New

今日で10月も終わり。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?

僕らは柴又での再スタートから3カ月余りが経ち、
仕事もだいぶスムーズになりました。

そこで考えているのが年末年始の営業予定。

柴又は野方と違い、観光地でもあります。
とりわけ帝釈天を巡る年末年始の人出は、
商店街の先輩がた曰く、年間最大のイベントだそうな。

はてさて、そこで1年生のととら亭はどうすべきか?

ただいま二人であれこれ意見を出しつつ、
検討を続けています。
たとえば店頭に屋台を出して、僕が謎のトルコ人に扮し、
「メッチャウマイヨ〜っ!」とケバブを売るとか。

それとも大晦日のカウントダウンから、
元旦の朝までオールナイト営業?

ま、老朽化した体を鑑みつつ、
11月前半には1月末までのスケジュールを発表する予定です。

それからパラレルで進めている取材旅行の再開。

このまま何ごともなければ、
1月下旬にはウォームアップで、
バリ島のウブドに行こうと思っています。
しかしこのところの円安はどうにかならんかしらん?
ま、予算は例によってしょぼいので、
何十万円も損をするわけではありませんが、
割高感は否めませんからね。
(黒田さん、頼みますよ!)

柴又から出発するのも初めてです。
成田、羽田空港ともに、
アクセス特急を使えば1時間ちょいで行けますから、
野方のときよりだいぶ楽ですね。

国外に出るのは3年ぶりか。
本来の自分たちに戻り、新しいスタート。
変わっているようで変わっていない。

こうして僕らの旅は続いて行くのでございます。

えーじ
posted by ととら at 09:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月28日

もののふたちのノーサイト

毎朝、ざっとニュースサイトを閲覧していますが、
政治欄の読後感は大抵、「なんだかなぁ・・・」なもの。
しかし先日、秋晴れの朝にふさわしい内容がありました。

それは野田元首相による安倍元首相への追悼演説。

政敵に贈る言葉としての体裁をとっていましたが、
行間からにじみ出ていたのは、
同じ方向を向いて進んだフェローへの哀悼だったような気がします、

それというのも、そもそも論でいうと、
政党は敵同士になっちゃダメなのですよ。
(なれ合いも困りますが)

なぜならお互い究極の目的は、
「この国を良くしよう」でしょ?
違いは「良いの定義」と、「そのための方法」だけじゃないですか?
けして相手は親の仇ではありませんからね。

僕が野田元首相の言葉からくみ取ったのは、
先日お話した50プラス1型民主主義を超える希望でした。

繰り返しになりますが、
数で押し切るだけであれば、結果はヘゲモニー国家と変わりません。

しかし、合意形成型民主主義は、
多数派だけの意見が通るのではなく、
少数派の意見を組み込む懐の深さがあります。
たとえば、

「この法案は多数決の結果によって通させてもらいます。
 しかし、少数派のあなたがたもそれぞれ有権者の代表でしょう。
 ならば可能な範囲で、
 あなたたちの意見を取り入れる議論をしませんか?」

ここにあるのは「我々か彼らか」のOR思想ではなく、
「我々と彼ら」というANDの発想です。

妥協とは敗北の結果ではなく、共存の条件であり、
社会的生物である人類が生存するために不可欠な叡智なのですよ
政治的議論がこの認識を欠いて行われる限り、
僕らの民主主義はいつまでも勝者の論理の先へ進むことができず、
少数派の居場所はやがてどこにもなくなってしまうでしょう。

野田元首相の言葉からは、少なくとも何人かの政治家が、
このヴィジョンを持ちつつあることを感じられたような気がします。

政治にも勝ち負け以外の選択肢はある。
僕ら個人の人生と同じようにね。

えーじ
posted by ととら at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年10月25日

書の香り

前から疑問に思っているのですけど、
本とネットの読み物の違いって何でしょうね?
言い換えると図書館とネットカフェの違いとは?

僕は「これだ!」と断言できないのですが、
感覚的には明らかな違いを感じている。

端的に言ってしまいますと、
図書館や書店の書架を前にしたときのワクワク感が、
スクリーン上のブックリストを前にしたときには感じられないのですよ。

どうしてだろ?
両方とも同じ文字と画像の情報なのにね。

そういう意味では、
読んでいる時の感じも違うんですよ。

紙の本のページを繰っているのと、
タブレットやスマホの画面をスクロールしているときでは、
同じ読書をするにしても別物のような気がします。

電気仕掛けは、どうも意識が散漫になるというか、
なんか集中力に差が出ているような。
読破した満足感も少ないし。
ま、Kindleペーパーホワイトならともかくhtmlのテキストだと、
いろいろ「便利な」仕掛けやら広告やらが賑やかで、
さながら駅で立ち読みしているようなものですからね。

そうか、それとディスプレイには匂いがないんだ。
ほら、図書館や古本屋に入った時に感じる、
あのインクの香りというか、かび臭ささというか・・・

たとえばこれ。

oldmagazine.jpg

この前ゲットした晶文社の「季刊同時代演劇」創刊号と第二号。
最初の発行日は1970年2月10日です。
開封して目次を開いたときの微かな匂いに惹かれて、
思わず鼻を近付けてしまいました。
なんか、半世紀にわたって封印されていた空気が、
ふっと解き放たれたような・・・

僕はけして古書フェチではありませんが、
こうしたレアものを手にすると、
読む前にあれこれ弄り回してしまいます。

夜が長くなりました。

たまには電気ガジェットのスイッチを切って、
紙の本と向き合うのも乙なものです。

えーじ
posted by ととら at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記