2017年07月22日

コックコートにかける思い

毎日「暑いねぇ〜」が口癖のようになっています。
言っても何も変わらないのは分かっていても、つい・・・
朝から汗びっしょりになり、
ランチが終われば、まずは顔を水でジャブジャブ洗い、
Tシャツを着替えます。

えーじは3年前から、
夏の間はシャツから黒のポロシャツに衣替えすることにしました。
涼しくてずいぶん楽になったみたいです。
私もアイロンがけから逃げられるのでラッキー!

私は仕込みの間はTシャツです。
営業が始まる直前、
よしっ!と気合を入れてコックコートを着るのですが、
これがものすごく暑い!
それなら夏の間だけでもTシャツでやればいいのにと思うでしょう。
私だってその方が楽なのは分かっているのですが、
この暑さを我慢してでもコックコートを着続ける理由があります。

今から17年前。
箱根のオーベルジュでフランス料理の修業を始めた頃、
30歳直前の何の調理経験もない私を雇ってくれたシェフ。
まずは半年間、ホールでサービスをやって、
それでも気が変わらなければ調理場に入れてくれる、
という約束のもとスタートしました。

毎日、いつ料理を覚えられるのか、
不安になりながらサービスの仕事を頑張っていました。

半年たったある日、シェフが突然、
「明日から調理場に入れ」と言ってくれたのです。

当日、生まれて初めてコックコートを着て、
タブリエ(前掛け)の締め方も分からず、
先輩(といっても年下の料理人)に教えてもらい記念撮影。
あの日のうれしさと、これからだという気持ちが、
毎日コックコートを着る度に思い出されます。
あの日の気持ちを忘れず、真面目に頑張るためにも、
どんなに暑くても、私はコックコートを着続けているのです。

ともこ
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2017年07月16日

リッチな旅へ

3連休の中日。
皆さんはどこにいるのでしょう?

お客さまと旅の話をしていると、
人それぞれ色々な旅があるものだなぁ、と思います。
ある意味、それはミニ人生ともいえるもので、
よく聞いてみれば二つと同じものはありません。

僕もライダー時代から振り返ると、
実に様々な旅をしてきました。
そのどれもが思い出深いものですが、
今でもふと思い出すことが多いのはリッチだった旅です。

え? ウソを言うな?

ああ、確かにライダー時代はキャンプが殆どでしたし、
50歳を過ぎても本の著者紹介欄には、
「いつかはリッチな旅がしたいと常に夢見ているが、
 いまだ実現していない」と書かれていますけど、
ちょっとそれとはニュアンスが違うのですよ。

たとえば今朝、朝食を食べていて頭に浮かんだのは、
1998年6月下旬、オートバイで沖縄と南西諸島を周った旅。
東京の晴海ふ頭からフェリーに揺られて48時間。
明日のことはおろか、今日やることもその場で決める、
そんな気ままな45日間の旅でした。

腕時計はしていたものの、殆ど見なかったんじゃないかな?
目が覚めたら起きて、お腹が空いたら食べて、眠くなったら寝る。
日時計のスピードで流れる時間。
石垣島の米原ビーチから見た海に沈む夕焼け。
旅人たちと夜な夜な浜辺で見上げた満天の星空。
パソコンも携帯電話もなし。

海外では、ニュージーランドをトレッキングしながら回った旅、
ベトナムからカンボジアへアンコールワットを目指して抜けた旅、
インドからバングラデッシュ、ネパールを巡った南西アジアの旅、
そして中南米9カ国を彷徨った旅・・・

そのいずれもが予算はジリ貧でしたけど、
時間はたっぷりありました。
(仕事を辞めて行っちゃったので・・・)
そう、僕にとって豊かさの第一基準はこれなんですよ。

ま、いつかは足を伸ばして飛行機に乗りたいなぁ、
との切ない思いはありますけど、
家に帰って何年か経っても思い出す旅。
そうした意味でリッチな旅がしたいものです。

えーじ
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2017年07月13日

料理長の憂鬱

ととら亭を始めて8回目の夏。
旅のメニュー変えをやりつつ、「今度で何回目かしらん?」
と数えてみれば、
第1回の『世界の市場料理特集』以来、なんと30回目!
再現した料理数も34ヵ国94種。

よくもまぁこれだけやったというか、
皆さまもお付き合いしてくださったと申しますか、
正直、ほぇ〜・・という感じです。
同業者であれば説明は要りませんが、
フツーやりませんね、こんなこと。

というのも料理業界の慣習として、
一般的には修業したジャンルの料理を独立後もやるものです。
和食なら和食。イタリアンならイタリアン。
中華料理を修業した料理人が突然ドイツ料理レストランを開業する、
なんてのは、聞いたことがありません。

理由は言わずもがな、
素材は共通していても、調理方法が別だからです。
そりゃそうでしょう、先の例でいうなら、
北京鍋を振っていたコックさんに、
突然ザワーブラーテン(ドイツ風ビーフシチュー)を作って下さい、
と言っても、なんのことやら? ですからね。

しかし、不幸にも、ととら亭ではこれが『通常業務』なのです。

一人で料理を担当するともこが修業したのはフランス料理とドイツ料理。
にも関わらず、
中南米はメキシコ、キューバ、ペルー、エクアドル、ブラジル・・・
アジアは韓国、インドネシア、シンガポール、ウズベキスタン、キルギス、
アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア・・・
中東はトルコにヨルダン、ヨーロッパはハンガリー、ポーランド、
スロバキア、チェコ、ポルトガル、ルーマニア、ブルガリア・・・
はてやアフリカはモロッコ、チュニジア、エチオピア・・・

これらお互いに素材のみならず、
調理方法に関連性のない料理を約3カ月ごとに切り替えて出す。
こりゃたまらんですよ、実際。
だから労働時間がひとり400時間/月という、
ブラックレストランになっちゃったんですね。

で、その無理難題を押し付けているのが僕・・・

と思っているお客さまが少なくないようですけど、
違いますよ。

確かに取材先の候補を探し出すのは僕ですが、
そもそもととら亭のコンセプトは二人で考えたものですからね。

ともあれ、ここまで大変になるとは、正直考えていませんでした。
そこで料理を再現する上での僕の役割は、最初のレシピの解読。
これはゴルフに例えるなら、最初の一打。
ドライバーでガーンとグリーンに乗せるところです。

で、オンしたのを見届けたら選手交代。
ともこが自分なりのプレイでホールに近付けて行きます。
僕は彼女がバンカーにはまらない限り、後は基本的にお任せ。

ところがともこに言わせると、
ここからのパターでホールに沈めることこそが難しいそうで。
(もうちょっと僕の仕事を評価して欲しいものですが・・・)
そういえば今回もホールのすぐ手前で、行ったり来たりしていましたね。

それじゃちょっと訊いてみましょうか。

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ともこです。

今回いちばん苦戦したのは『ペリペリチキン』。
南アフリカのケープタウンで食べて、
一口でふたりともすごく気に入ったお料理です。

えーじの訳してくれたレシピの通り、まず1回目の試作。
美味しいけど何か違います。(えーじのレシピは大雑把なんですよ!)

ここから現地で食べたのと限りなく同じものを作る為の作業がはじまります。
レシピを考える時は、科学の実験をしている気分。
イメージした味に近づけるため、1グラム単位で変えて結果を比べて行きます。

この料理のチキンをマリネするペーストに入っている材料は14種類もあるんですよ。
味がイメージ通りでない時は、
どれを足してどれを引くか、一つずつ試してみるしかないのです。
今回は酸味と辛みのバランスがなかなかうまく行かなかったり、
玉ねぎの生臭さが消えなくて、えーじに八つ当たりしそうになりました。
(気配を察して逃げちゃいましたけど)
それでもサンプルで買ってきたびん詰のソースと味を比べながら、
調整して行ったのです。

やっと味が決まってもチキンのマリネ時間、焼き方、
焼く時間、オーダーが入ってからの提供の仕方など、
まだまだ完成するまでには越えなくてはならないハードルがいくつもあります。
定休日は誰もいないととら亭でひとり黙々と試作を続けるしかないのです。
何度やってもうまく行かない時は焦ってきて逃げ出したくなることもあります。
でも旅の景色と旅先で出会った人たちの顔を思い出して、
何があっても仕上げて紹介しなくちゃ!
とまたガンバる気が起きるのです。

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再びえーじです。

そんなこんなで始まった南アフリカ料理特集
昨日の初日は3種類すべての料理にご注文を頂き、
くだんのペリペリチキンも上々の評判でした。

ま、ともこも言う通り、
再現に向けた紆余曲折はなかなか骨が折れたようですけど、
お客さまの笑顔と「美味しい!」の一言で、
すべてはOKになっちゃうんですよね。

とどのつまり僕たちの最高の報酬とは、それなのかもしれません。
posted by ととら at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年07月12日

南アフリカ料理特集が始まります!

旅のメニュー変えをする時、
最近は連休して無理のないよう作業しているのですが、
今回は諸般の都合により、1日でやらねばならなくなりました。

そうなると「待っていました!」とばかりに起こるのがトラブル。
今回はワインセラーが壊れたのです。

この時期は赤ワインでも普段より冷やしてサーブしているのに、
ボトルを手に持ってみると「ん? ・・・室温と変わらなくない?」
で、フィルターを掃除しても、電源をリセットしてもダメ。
やっぱりこの過酷な環境でペルチェ式は厳しいか。

そして急遽手配しましたコンプレッサー式の新型。
これがメニュー変え作業ピークの今日納品だったのですよ。
しかも支払処理まで重なって、
久し振りにトップギアで終日仕事してました。

ああ、わが哀しき「定休」日よ。

しかし、悪いことばかりではありません。
8年酷使したEPSONのA3プリンターが、
前回のメニュー変え作業で遂に天に召され、
やって来たのが同じくEPSONのSC−PX7V2。
こいつがノントラブルで頼もしい助っ人となりました。

更に自宅のデスクトップPCはスペックを大分上げているので、
ウェブサイトの更新作業をしながら、
A3プリンタとA4プリンタで2種の印刷物を同時プリント。

10年前では考えられないハイパーマルチタスクで、
日中の遅れを取り戻したのでした。

とはいえ・・・やっぱり日付が変わってもう2時か。
それではおやすみなさい。

えーじ

力作です!
南アフリカ料理特集
posted by ととら at 02:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年07月09日

お勧めをふたつ

まだ7月上旬にもかかわらず東京地方は今日も真夏日。
しかもそれが当分続くそうな。
梅雨を蹴散らして、はや夏本番ですね。

となれば、話は言わずもがな夏休み!
ととら亭でも、お客さまからいろいろな旅の計画を聞いています。

ポーランド、オーストラリア、台湾なんて海外から、
沖縄、四国、北海道など国内も魅力的な話題が盛りだくさん。
楽しみですね〜。

そこで今日はふたつご提案を。

お若い方たちは、
出かける前に、Google Earth などでしっかり行き先のチェックを。

え? そんなの当たり前?
美味しいレストランや、素敵なお店も、
Trip Adviser とか 食べログ でみんな調べてる?

さすがはデジタルエイジ。
その辺は時代遅れのSEが出る幕ではありませんね。

でも僕のポイントはその先にあります。
旅先ではぜひ、自由に行動してみてはいかがでしょう?

せっかく初めての街に来たのであれば、
事前に得た情報を再確認するだけではつまりません。
匿名の他者の行動を追体験するのでもない、
自分だけのコンパス(価値観)に従って方向を決めるのです。

食事をするのなら、
うまいかマズイかをどなたさまかの星の数で決めて頂くのではなく、
自分の感覚で判断するのです。

旅は情報の中にはありません。
そのリアリティは個人的な経験の中だけに存在します。
そして決めて頂くお客さまとしてではなく、
決める主人公として未知の世界に踏み出せば、
先に調べた情報の積み重ねが、
実はただの0と1の羅列でしかないとお分かり頂けるのではないか、
とオジサンは思うのですよ。

それからご同輩への提案は、
旅先で半日の空白を!

これです。これに尽きる。
できたら丸一日白紙のままにして過ごしてはいかがでしょう?
ただでさえ常日頃は公私ともにスケジュールびっしりなのだから、
旅先でまでそれを繰り返すのはもったいない。

脱刺激中毒。

え? 沖縄のビーチまで来て、
なんで一日中、退屈していなきゃいけないのか?

それがいいんですよ。
オリオンビールを飲みながら、波の音を聞いていましょうよ。
山ならハンモックに揺られて蝉の歌に耳を傾けるのもいいじゃないですか。

月100時間以上の残業をものともせずにこなしていた(こなしている)方や、
ゴーストバイブレーションに怯えて、日がな一日スマホを握りしめている方なら、
僕の提案の趣旨がお分かり頂けるかと思います。
SNSのメッセージなんか、放っておけばいいじゃないですか。
どうせ大した意味はないんだから。
それより電気ジャンクはいっさい持たず、自分だけの時間を楽しむのです。

はい? かく云う僕はどうするんだ?

残念ながら夏休みは取れないんですけど、
その代り8月中に半日は、空白の時間を作る予定です。

そう、思いっきり『退屈』を楽しもうと思っているのですよ!

えーじ
posted by ととら at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年07月06日

分かっちゃいるけど...

「パン屋のお兄さんたち、大丈夫かな?」

丁度1年前、僕たちが訪れたウズベキスタンのタシュケント。
そこにあるチョルシーバザールのパン屋さんで、
ともこはナン作りの飛び入り修業をさせてもらいました。

2基の大きなパン焼き釜がある工房は、
ドライサウナも顔負けの温度。
そこで彼らは1日中働いているのでした。

僕たちがそんな旅のエピソードを思い出したきっかけは、
とあるニュースのヘッドライン。

5月以降、北半球の一部では異常な高温が続き、
パキスタンやイランの南西部では54度前後まで上昇したそうです。
心配になって世界天気予報を見てみれば、
今日のタシュケントは最高気温が48度!
7日の土曜日には50度に乗ると予想されているではないですか。

そういえばウズベキスタンの後で廻ったキルギスのビシュケクで、
こんな話を聞きた記憶があります。

「暑いでしょう?
 以前ならこの時期は花が見ごろのいい季節なんですけどね、
 ここ数年は夏がすごく暑く、反対に冬は寒さが厳しく、
 春と秋が短くなってしまったんですよ」

これと同じような話を、僕たちは日本でしていませんでしたっけ?

『異常』気象なんて言葉が『日常』化した昨今、
その範囲は字義通り、世界規模になってきている気がします。

極端な夏の高温と冬の低温。
想定を超えた干ばつと水害。
そして計り知れないエネルギーを持ったスーパー台風。

歴史上、経験したことのない状況に入りつつある僕らは、
こうして過激化した気象に翻弄されつつも、
未だに足並みをそろえて対策を実行することができずにいます。

ん?
ものの本によれば、僕らはこの星における『万物の霊長』であり、
その姿も創造主を模していた・・・はずですよね?

木を切ること、そしてそれを燃やすこと、
これが度を超えるとどういうことになるか、
気象学者や考古学者を連れて来なくても、
僕たちはみな、ご先祖様たちから学ぶ機会が十分にありました。
しかし・・・

分かっちゃいるけど、やめられない。

そういうエンディングは・・・

泣くに泣けない気がしませんか?

えーじ
posted by ととら at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年06月30日

2017年の下期に向けて


昨日は少し厚着をしてジョギングに行き、
強制的に体を気候適応させました。

北ヨーロッパと日本の東京。
この季節だとまだ気温の差はそれほどでもありませんが、
湿度は大分違いますね。
成田で降機してすぐに感じましたが、
空気がしっとりしているのですよ。
飛び交う日本語以上に帰国を実感する瞬間です。

さて、昨日の朝から始めたお店の再起動も完了し、
今日のディナーから営業再開。

世界のギョーザ特集も7月10日(月)で終わり、
12日(水)からは南アフリカ料理特集が始まります。
これは試作と写真撮りが終わり、
僕は次の定休日からぼちぼちキャプション書きを始める予定。
楽しみにしていて下さいね。

これが終わると、僕たちの仕事もひと段落です。
2017年の下期はどんな旅が僕らを待っているのか。
ほんと、旅の終わりは、次の旅の始まりなんですね。

えーじ
posted by ととら at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年06月29日

第14回取材旅行 その13 最終回

じゃ〜〜〜〜・・・ブシュ!
ガタン・・・ゴゴゴゴゴ・・・・

はっ!
なんだ? どうした? ここはどこだ?
あ? ああ、洗濯機の音か。

やれやれ、
けさ目が覚めた時は自分が何処にいるのか、一瞬わかりませんでした。
ここは東京の野方。帰ってきたのですね。

一部の読者の方には物足りなかったかもしれませんが、
今回の旅は珍しく平穏無事に終わりました。

当初は『いろいろあるだろうなぁ・・・』と身構えていたロシアですら、
蓋を開ければ他のヨーロッパの国々と同様、普通に旅ができましたからね。

それでも情報で組み立てた事前のイメージと、
実際に行った経験のギャップがあるのはいつものこと。
これまでずっとロシアはヨーロッパの一部と思っていたのですけど、
サンクトペテルブルグを歩いた限り、
多くの面で西欧とは異なる印象を受けました。

言うなればアジアでもない。
東欧やバルカンとも違う、異質の文化圏。
白系ロシア人のルックスや、
キリスト教の一つであるロシア正教のイメージから、
イギリス、フランスやイタリアなどと同列に考えていましたが、
日本と同じく、150年前後まえに西欧から多くの文化を取り込んで、
今の姿になったため、
ちょっとめくれば見えてくるのは違う顔だったのです。

そう、ロシアは違う。
こういう認識は西欧諸国の人々からしてみれば、
周知のことのようですね。
僕が「次はロシアに行くのですよ」、
と言った時の、欧米人のお客さまの微妙な反応が思い出されます。

そして変化の速さも並々ならぬものがありました。
それはゼネラルインフォメーションに数字で表されているものではなく、
街角で散見されるものです。

流れる音楽は殆どが欧米のもの。
若者たちのファッションもまたしかり。
賑わうマクドナルドにケンタッキー・フライド・チキン。
ストリートミュージシャンの楽器はバラライカではなく、
フェンダーが作るようなエレキギターですし、
曲もロシア民謡ではなく80〜90年代のアメリカントップ40。
英語を話す人も思いの外、沢山いました。

そう、少なくとも民主化以降の世代が向けいる顔の方向は、
マルクス、エンゲルスやレーニン、スターリンではなく、
明らかに欧米、特にアメリカのファッションと物質主義なのです。
それらはこれまでに旅した中央アジアや東欧、
バルカンでも顕著に見られた傾向でした。

思えば物資が著しく欠乏した時代の反動がこうなるのは、
僕たちの国を戦後から振り返れば容易に想像がつくことでしょう。

だから僕もまた微妙な気持ちになってしまったのです。
核家族で所有するマイホームとマイカーに3種の神器、
次にはミニチュア化された家電が個人レベルですべからく行き渡り、
情報化が一段落したパラダイスがどんなものか。
皆さんも知っているでしょう?

僕たちと違うのは、
それを彼らが倍速以上のスピードで経験していることです。
故に格差の開き方も凄まじい。
ロシアのジニ係数は日本を2.1ポイント上回っているのです。
ほんの25年前まで、あそこは一応格差のない社会だったのですからね。

そしておカネの使い方を知らない人々が富を得た時にする愚行は、
バブル時代の僕たちの姿を鏡に映しているようで恥ずかしい。
肌の色や言葉が違っても、人間は所詮、人間なんだな。
そう思わずにはいられないものがあります。

僕は個人的に、ロシア人たちが今、
どう、かつての社会主義を総括しているのか、そこに興味があります。
そして彼らが思い描く、未来の幸福とはどんなものなのか?

残念ながら、僕たちの大きな幸福のモデルだったアメリカは、
いまやあの通り。
いや、僕たちが気付かない間に、その代役を務めさせられつつある日本ですら、
胸を張って「世界の皆さん、僕たちのようになりましょう!」なんて、
とても言えないでしょう?

リーダーを、ヒーローを失いつつある世界。

すいません。ちょっと重い話になってしまいました。
ロシアを出国してエストニアのタリンへ向かうバスの中で、
僕はつらつらとこんなことを考えていたのですよ。

バルト3国も同じソビエト連邦を構成した国々だという視点で捉えると、
これまた興味深いものがありました。
首都を周った限りでは、
そこに社会主義のレガシーを見出すのは稀です。
これは中央アジアやコーカサスと大きく違うことで、
バルト3国がNIS(New Independent States)諸国に、
含まれていないのも頷けます。

リトアニア人のエヴェリナと話した時に、この理由を質問したのですが、
彼女はこう即答してきました。

「NIS諸国とバルトの国々が違うのは、
 国家が近代化するプロセスをロシアに依存しなかったことよ」

なるほどこれは、事前に調べた情報とも符合しています。
エストニア、ラトビア、リトアニアはソビエト連邦に併合される前から、
その渦中においてさえ、連邦内で最も経済的に栄えており、
ある意味で先進的な地域だったのです。
彼らにとって社会主義化するメリットは、殆どなかったでしょう。
ここも工業化から識字率の向上まで、
ソビエト連邦時代に大きく伸びた中央アジアの国々との差があります。

しかしながら、若者が向けている顔の方向は同じ。
エヴェリナ曰く、

「みんな、モノと素早く出る結果に憧れているの。
 これはちょっと困った傾向よ」

なるほど。
こういうのもどこかで聞いた話じゃありませんか?

今回取材した範囲ではリトアニアのツェペリナイを除いて、
他の地域にはない固有の料理というものに出会えませんでした。
呼び方は多少違っても、
ものとしてはほぼ同じ料理がシェアされているのです。

食文化は永い時間をかけて影響し、影響され、
近代国家のフレームや民族すら超えて重層的に重なり合っている。
そしてそれは食に限らず、社会的な問題も例外ではない。

そうなんですよ。
良くも悪くも僕たちは、多くのものごとをシェアしている。
ただそれに気付いていないだけ。

そんなことを考えながら、
成田空港のバゲッジクレームで行き交う肌の色の違う人々を見ていた僕は、
こう呟やかずにはいられませんでした。

Have a nice trip, Brother.

えーじ

ee_atfinlandbay.jpg

We would like to thanks to

Nozomi and Mayumi Haga @ Hand Crafts & Antiques RUNGTA
Maiko Hashiguchi @ Orient Star Trading Ltd.
Mr, Yanai
and Everina
posted by ととら at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年06月28日

第14回取材旅行 その12

今は日本時間16時32分。
自宅のアパートでこれを書いています。
いやぁ〜、無事に帰ってまいりました!

昨日の朝はビリニュスの空港でチェックインからフライトまで、
何かと待たされたものの、
モスクワでのトランジットタイムが6時間もありましたから、
往路とは大分事情が違います。
僕らは慌てず、それぞれの待ち時間を楽しんでいました。

こうした様々な国籍の人が行き交う場所では、
マンウォッチングしているだけで退屈はしません。
なんてシェレメチェボ空港のトランジットルートをのんびり歩いていたら、
パスポートチェックの手前で後ろから騒がしい足音が近付いて来ます。
振り返えれば息を切らせた20代前半の白人女性が二人。
僕を見るなり「ロシアン?」、
「違いますよ」と英語で応えると、
どうやら共通言語がなさそうな雰囲気です。

しかし、ここはトランジットで悪名きシェレメチェボ空港。
そして逼迫した彼女たちの表情を見れば、状況は自ずと分かります。
さっと彼女のボーディングパスの搭乗時間を確認したら、
13時30分。で、僕の腕時計が指しているのも同じ時間!
で、「お先にどうぞ!」
彼女たちはイミグレーションのブースに突撃し、
ボーディングパスにスタンプを押してもらうと、
「スパシ〜バ〜っ!(ありがと〜!)」との声を残して走って行きました。
ま、いいダッシュしていたから、何とか間に合ったんじゃないかな?

それから僕らは帰国便が出るターミナルDでのんびりしつつ、
取材のノートをまとめたり、
ブログの写真の仕込みをやったりしていました。
そう、最後のリトアニア編です。
これでようやくレポートが追い付きましたね。
では!

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ラトビアのリガを出発したミニバスは、
2時間15分でリトアニアの地方都市シャウレイへ。
バスターミナルは商業施設に隣接しており、
ちょっとした買い物や食事にも便利。

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そこから10分ほど歩いたところにあるホテル。
まだお昼前でしたが、チェックインさせてくれました。

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ホテルは地方都市によくあるタイプ。
部屋は清潔で、質素でも居心地は良かったです。
ちなみに今回の旅ではここが最も低予算でした。
日本円にしてツインで約4,900円。

lt_crosshill.jpg

シャウレイで訪れた十字架の丘。
ご覧の通り無数の十字架で埋め尽くされていますが、
墓地ではありません。
ちょっと特殊なクリスチャンの信仰の場です。
僕らがここを訪れた本当の目的は、
首都と地方の料理の比較だったんですけどね。

lt_station01.jpg

翌朝は鉄道でビリニュスへ。
ここはシャウレイ駅です。
昨日お世話になった切符売り場のおばちゃんは、
あまり英語が話せませんでしたが、とても親切な人でした。
僕に気付くと声をかけてきて、
列車が20分遅れていることを教えてくれたのです。
遅延を告知するインフォメーションボードの表示は、
リトアニア語だけでしたから助かりました。

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さすがは首都のビリニュス駅。
キオスクや食堂も充実しており、それなりの規模です。
と言っても、西武新宿線田無駅より小さいけど。

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着いた頃にはあいにくの雨。それも結構雨脚が強い。
それじゃホテルまではタクシーで行こう。
と思って乗ってみると、
ドライバーはメーターを動かさずに走りだそうとしました。

「あ、ちょっと待って、メーターを動かして下さい」

列車の中で話をしていた、
リトアニア人のエヴェリナからも言われていたのですが、
ここでは外国人をカモろうとするドライバーが多いとか。
するとドライバーは、

「10ユーロでいいよ」

おいおい、ホテルまで2キロちょっとの距離だぜ。
それを約1,200円とは、いい根性してるな。

「駅のインフォメーションで相場を訊いたら4ユーロでしたよ」
「それじゃ8ユーロでいいよ」
「メーターで行きましょうよ」
「ダメだ、降りてくれ」

というわけで交渉決裂。
さて、どうしたものかと空を見上げれば雨が小降りになってきています。
なら全然安いトロリーバスで行きましょう。
初めての街ではどの停留所で降りるべきか分かり難いのですが、
Google MAPで現在位置を確認していればどうにかなるでしょう。
で、ひとり1ユーロでホテルまでアクセス完了。

lt_hotel03.jpg

これがビリニュスで泊ったバックパッカーズです。
え? 写真が間違ってる?
いや、このパルテノン神殿みたいなのでいいんですよ。
実は僕らもこれには首を傾げてしまいました。
見かけだけじゃなく、1階はカジノなんですよ。
それっぽいエントランスを入ると、
安ホテルのフロントというよりカジノのレセプションじゃないですか。

「あの〜・・・ここはバックパッカーズなんですか?」

僕がおずおずとカウンターにいた女性に訊くと、

「はい、そうですよ」

へぇ〜、こいつは驚いた。
これの逆はよくあることなんですけどね。
かなり年季の入った安宿が『グランドパレス』って看板だったり、
なんちゃってゲストハウスが、
『マリオット』や『リッツ』なんてのも珍しくありません。
入り口に鼻高々と星が書いてあることもありますが、
冗談程度に受けとめておいた方が笑えるんですよ。

lt_hotel04.jpg

部屋に入れば、ほぇ〜って感じ。
これはバックパッカーズじゃないでしょ?
よほど自己卑下しがちなオーナーさんなのかな?
それともお茶目な外国人に、
英語で高級ホテルのことをバックパッカーズって言うんだよ、
と、かつがれたのかしらん?
ともあれ手頃なお値段で居心地抜群でした。
旧市街に近い立地もいいですしね。

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バルト3国の旧市街では最も規模が大きいと言われるビリニュス。
確かにちょいと歩きでのありそうな広さです。

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一番目立つランドマークは、小高い丘の上に立つゲディミナス城。
ここから町全体が一望できます。

lt_church.jpg

古い建築物もたくさん残っていました。
聖アンナ教会は、
15世紀末に建てられたちょっと異色のゴシック様式建築。
1812年にロシアへ侵攻したナポレオンがここへ入場した際、
この美麗な建物がいたく気に入ったそうで。
へぇ〜、と眺めていて、
205年前に彼はどの辺に立ってこの教会を見ていたのかな?
と想像してみました。
ヨーロッパの国々を訪れていて面白いのは、
僕らにとって歴史上の人と、
時間を超えてその場を共有できることなんですよね。

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僕たちが主に取材を進めたピリエス通り。
いつも沢山の人々で賑わっています。

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lt_street02.jpg

しかし、例によって徘徊するのはこうした裏道。
うまいレストランも大抵こんなところにあるものです。
雨上がりの石畳が美しい。

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首都に流れる河とは思えない清流のビリニャ川。
とにかくバルト3国は緑がいっぱい。
心休まる空間がそこかしこにあります。

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ムードがあるからか、橋の欄干は『愛の重さ』でこのとおり。
最近これは世界的に流行っているみたいですね。
2月に訪れたブダペストでも見かけました。
一番古い記憶は2007年に行ったフィレンツェかな?

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週末だった所為か、そこかしこでウェディングを見かけました。
お幸せに!

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日本でいうなら銀座に相当するゲディミノ通り。
お洒落なショップやカフェが軒を並べ、
ここが四半世紀前まで社会主義の国だったとはとても思えません。

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レストランも料理だけではなく、
デザインセンスのいい所が多かったですね。
僕らは入店する時、必ず入り口の禁止事項のサインを確認するのですが、
昨今、マナーの悪いお客が増えたのか、
写真撮影禁止の店も同じく増えてきた気がします。
へたすると断りもなく動画を撮っているからなぁ。
ありゃ、やり過ぎだ。
でもとある落ち着いたレストランでは、
メニューブックにユーモアを交えて書いてあり、
僕は思わず吹き出してしまいました。
タバコやカメラにバツが付いていた隣で、
『KARATE』にもバツが付いていたんですよ。
このセンスがリトアニア流なのかな?

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ボルシチと黒パンは旧ソビエト連邦圏の西寄りでは、
どこもしっかり根付いているようです。
しかしその味わいは微妙に違います。
とくにリトアニアのパンの旨さは格別でした。
深い香りともっちりした食感が独特なのですよ。

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ニシンのマリネとビーツのサラダも定番です。

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リトアニア版の肉じゃがとも言えるトロスキニュス。
ニンジンと豆、ピクルスも入ってリッチな味わい。
マヨネーズソースを添えるのがご当地流かな?
ところ変われば品変わる・・・ですね。

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そしてもちろんギョーザもあります。
でも名前はペリメニではなく、コルディナイ。
ものも微妙に違っていまして、
大きさはペリメニよりやや大きく、
中身の具にしっかり味が付いています。
そしてスメタナを添えるのですが、
ゆで汁が少々入り、ネギを散らすとロシアを始め、
他のバルトの国とも異なる味わいに。
ん〜・・・
もしかしたらペリメニの系列ではないのかもしれませんね。

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ポテトのパンケーキは今回の渡航国全体にあるものですが、
リトアニアのものが一番大型だと思います。
食べ方もそれぞれで、スモークサーモンや、
ニシンのマリネを添えていたり、
ここのようにスメタナや、
マッシュルームのソースを添えるところも。
焦げ目が香ばしくて美味しい。

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しかし、このツェペリナイだけは、
リトアニアでしか見かけませんでした。
ツェッペリン飛行船の形からその名が取られたこの料理。
してどんなシロモノかと申しますと、
北海道のイモ餅とそっくりの生地で挽肉を包み、茹で上げているのです。
スタンダードなレシピは、
茹でてスメタナとベーコンのクルトンを添えて食べるのですが、
形、中身ともに様々なバリエーションがあり、
この写真のように茹でてから焼いたバージョンもあります。
僕らはこっちの方が好みでした。
味は奇をてらったものではなく、くにっとした食感が独特ですね。

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街の規模にしてはそれほど大きくなかったハレス市場。
もしかしたらMAXIMAやRIMIなど、
スーパーマーケットチェーン店に押されて、
昔ながらの店は減りつつあるのかもしれませんね。
ここでも外周には市場の素材を使った、
美味しそうな食堂が並んでいました。

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今回もお腹に余裕があれば入ってみたいのがコンディトライ。
しかし常に腹12分目の僕らには、なかなか難しい。
そこで毎日平均2万歩くらい歩いて、なんとかクリアしました。
リトアニア名物はスポンジではなく、メレンゲを使ったパヴロヴァ。
キリッとしたエスプレッソがよく合います。

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さ〜て、それでは日本に向けて帰路につきましょう。
ホテルからタクシーでほんの10分の距離にあるビリニュス空港。
国民数が東京都の約1/4しかない小国ですから、
その規模もまた推して知るべし。
僕が知っている所で比べるなら旭川空港くらいかな?
ちなみにチェックインカウンターはひとつの航空会社につき、
たったの二つ!
しかもひとつはビジネス用だから、
100人以上のエコノミー客をひとつのブースで、
ひとりの地上職員が担当しているじゃないですか。
カウンターがオープンする10分前に行った僕たちですら、
ちょうど1時間待っていました。
更に驚いたのは、セキュリティチェックを終えて入った先に、
男性用のトイレがたったひとつしかなかったこと!
女性がトイレ前でずらっと並んでいる光景は見慣れたものですけど、
この逆は僕も初めて。
すいすい入って行く女性たちが物珍しそうに見ていました。
まぁ、これは工事中で今月末には複数が使える状態になると、
張り紙がしてありましたけどね。
(緊急の人には譲って下さい! との注意書きも忘れずにありました)
とにかくこの空港ではよく並びました。

そんなこんなで最後の国、リトアニアの取材も予定通り終わり、
僕たちは機上の人となったのです。
日本までのフライトタイムは約9時間。
思いの外、モスクワって近いんですよ。

えーじ

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posted by ととら at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年06月27日

第14回取材旅行 その11

ともこです。

今日は旅先から出す最後のブログなので、
トリは私も参加することになりました。
そこで何をお話するかちょっと迷いましたけど、
二人の旅先での役割分担がいいかな、と思いました。

えーじが旅の準備段階からガンバってることは、
ブログを読まれている皆さんも知っていらっしゃると思います。
(その辺を本人がよくアピールしているので!)

何が起こるのか分からないのが旅です。
それに備えて下調べや準備は、できる限りのことをするのが大切です。
私から見ても日々の忙しい仕事の合間に、
本当に一生懸命(仕事以上に楽しそうに)細かいことまで調べていて、
大変だなぁ・・・と思います。

私は・・・というと、
目の前の仕込みや旅の料理の試作に追われて、
ガイドブックに目を通して、調べたい料理のリストを作るだけで精一杯。
毎回えーじに頼り切っての出発となってしまいます。

旅に出てからも、移動、ホテルのチェックイン、
空港での手続きなどはすべておまかせ。
じゃあ、私は何をしているのかしら?
と心配になりましたけど、書き出してみたら、意外と沢山ありました!

1.食事に行くレストランの候補を探すこと
2.毎日の洗濯(こまめにやった方が楽だから)
3.レストランでのオーダー
  (昔はできなかったけど、今はだいぶ慣れてきました)
4.市場やスーパーでの買い物
  (値切りも上手になりました)
5.ととら亭で飾る旅の特集の国旗を安く手に入れること
6.毎回食べた料理をノートに絵で描いて記録すること
  (盛り付けの資料として写真より役に立つのです)
7.万歩計で1日にどれくらい歩いたか記録すること
  (体重が気になるので!)
8.バックパックのパッキングの荷物配分を考えること
9.えーじが手配や交渉している時の荷物の見張り
10.市場での食材調べ(値段も細かくチェックしています)
11. ホテルにチェックインした後の洗面所周りのセッティング
12.現地通貨の管理。
  (ドルやユーロであれば問題ないのですが、
  エチオピアのブルのように次に行くのがいつかになるか、
  分からないような国のお金はなるべく残さないように調整しています。
  これは結構難しいんですよ)

これくらいやっているんだから、まぁいいですよね?
こんな風に協力しながら、いつも旅を続けています。

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えーじです。

僕からは3番目の渡航国、
ラトビアのビジュアルレポートをお届けしましょう。

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エストニアとラトビアの国境を越えたバスの車窓から見える風景は、
相変わらず森、農地、小さな街の繰り返し。
長閑で美しい景色が流れて行きます。

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そして民家が増え、その民家が小さなビルに変わり始めると、
まもなく街の中心部。
ダウガヴァ川の雄大な流れが右手に見え始めたら、
バスターミナルはすぐそこです。

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真ん中がこの街で投宿するホテル。
バスターミナルからここまでは歩いてほんの10分。
ヨーロッパらしい、重厚な建物や、
僕たちのいで立ちが浮くゴージャスなラウンジに気圧されて、
「値段を間違えたかな?」と心配になりましたが、
(ドイツ人の友だちは箱根で、
 一泊6千円だと間違えて6万円の旅館に泊まってしまいました!)
価格は朝食まで付いて意外とリーズナブル。

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部屋もこのとおり中世のお屋敷風。
僕たちが住んでいるアパートの倍以上の広さじゃないですか。
ま、たまにはこんな所もありですね。

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このホテルはビュッフェ式の朝食。
取材を控えてお腹を空かしておかねばならない僕たちですが、
こんなご馳走をちらつかされて後に引けるわけがありません。
見て下さい、この美味しそうなチーズやサラミを。
キノコのピクルスもいけます。
あ〜、しっかり食べてしまいました。
それじゃ、出かける前にプッシュアップとスクワットを10セットだ!

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タリンに続き、リガも美しい街です。
ご覧の通り、中世に遡る過去と現代が違和感なく共存しているのですよ。

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ね? こういうところですから、
エストニアだけではなく、
バルト3国を『新婚さん御用達』と僕が言った理由が分かるでしょ?

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脇道をぶらついているだけでも楽しいですよ。
治安がいいので裏通りに入っても危険な気配はないし。
深夜の一人歩きは何処の国でもNGですけどね。

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お洒落なレストランやショップが沢山あります。
オープンテラスの席で優雅な食事が楽しめます。

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週末ともなれば、そこかしこにストリートミュージシャンの姿も。
彼らの演奏レベルは実に高かった!
こうしたライブを梯子しているだけでも時間が経つのを忘れてしまいます。

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よく見ていると、こんな愉快な連中も。
リガはブレーメンと姉妹都市なのです。
さて、それでは仕事を始めましょうか?

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となれば、まず足を運ぶべきはここ、大きな中央市場です。
かまぼこ型の独特な建物が連結されていますが、
これは元々飛行船の格納庫だったそうな。

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中は活気が溢れています。
特にシーフードは種類、鮮度ともい素晴らしい。
獲れたての魚介類だけではなく燻製製品がこれまた美味しそう!
空腹で行きましたからたまらんです。

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売り手と買い手の真剣勝負。
アジア的に声量とジェスチャーで値切るのではなく、
じっくり根気よく、理詰めで攻めているようですね。
勉強になるなぁ。

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もうダメだ、お腹空いた!
で入ったのは連結部にあったシーフードの食堂。
字義通り、市場直送の料理が売り物です。
まずはスモークサーモンとサバの燻製から始めましょう。
如何です? この脂のノリ具合!
これとビールかキリッと冷えた白ワインだけでも天国が見えますよ。

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しかしまだ序の口。
メインは本日の鮮魚3品のおまかせグリル。
何が出て来るかワクワクしながら待っていたら、
期待を上回る連中が並んだじゃないですか。
意表を突かれたのは手前の丸い切り身。
これウナギのグリルなんですよ。
セージバターとガーリック添え。
美味すぎますね!

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この市場にはまだお目当てがあったので、翌日も来ました。
それは旅人仲間の羽賀さんが教えてくれたペリメニ屋。

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場内にはこうした軽食堂が沢山あります。
確かにここのペリメニはモチモチの皮と中身のバランスが良く、
とても美味しかったですね。
スタッフの会話を聞いていると、何となくロシア語のような。

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そこで話しかけてみたら、やっぱりそうでした。
リガに来る前、サンクトペテルブルグに寄ったんですよ、
と言ったら、おかみさんもハラショー!
僕らは「オーチン フクースナ!(とても美味しい!)」

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場外にも沢山の店があり、
そこではウズベキスタン料理のレストランも。
プロフ、ラグマン、マンティなど、
懐かしい料理が貼り出されていました。
ソビエト連邦時代の縁でしょうか。
そういえば中央アジアを旅していたのはちょうど去年の今頃でしたね。

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さてディナーはホテルのあるブロックの反対側のレストランALAへ。
ここも羽賀さんに教えて頂いたのですけど、
やっぱり旅人の直情報はハズレません。

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ALAはライブもやっているローカルレストラン。
100席以上はある大きな店なのですが、
僕らが行った日は2人分の空席を探すのも一苦労。
旅行者だけではなく、
ローカルもじゃんじゃんやって来るハイパー人気店です。

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なるほど雰囲気、スタッフ、料理ともに素晴らしいところでしたが、
ムードが良い故に料理の写真を撮るとご覧の通り。
これでも目立たないよう、
小型のペンライトで光を当てていたのですけどね。
なにが写っているかといえばチキンのローラーデン。
取材の資料としてはあまり役に立たないか・・・
ともあれもう一度行こうということになり、
翌日は予約を入れました。

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リガもまた様々な楽しみ方が出来る街です。
建築に興味がある方はぜひアルベルタ通り周辺を訪れるべきでしょう。
アールヌーボー様式の建築が肩寄せ合っています。
もちろん博物館ではなく、現役のアパートやオフィスとして。
ちなみにこの呼称、直訳すると『新しい芸術』となりますが、
今となってはレトロなテイストとなってしまいました。
こういうのはいつぞやお話した、
プログレッシブ(進歩的な)ロックが懐メロ化したのと同様、
諸行無常を感じさせますね。

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そしてリガでも行って参りましたパイプオルガンのミニコンサート!
今度お邪魔したのはリガ大聖堂。
パイプオルガンはドローバーの操作によって倍音加算式で、
様々な音色を作ることが出来ますが、
響き方は共鳴器としての機能を持つ教会によって異なり、
どこもふたつとない音色を持っています。
ここのオルガンは結構エッジの効いた硬い音が出ますね。
特に低域は唸るような凄みがあります。
また音量もかなり大きなものでした。
そういえば10メートル級のパイプも使われていましたね。
また聴きたいなぁ・・・

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丁度夏至の御祝だった所為か、街にはストリートミュージシャンの他、
大道芸人もたくさん見かけました。
これはシャボン玉使い。飛び入りの女の子も上手でしたよ。

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一息入れるには持って来いの素敵なコンディトライも沢山ありました。
何とかお腹の隙間を作った僕たちのチョイスは、
プラハでも食べたことがあるハニーケーキ(左)。
キャラメルクリームとスポンジが層になり、
蜂蜜の濃厚な甘みが加えられた魅惑的スィーツ。
これ、マジでほっぺが落ちますよ。
え? カロリー?
そんなことを考えていちゃ料理の取材なんて出来ません。

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バルト3国はロシアと多くの料理を共有しており、
この夏の風物詩、ビーツと発酵乳のケフィールなどで作った、
シャルティ バルシチェイもそう。
知らないとドキッとする色ですがビーツから出た自然なものです。
独特な酸味とコク、そして仄かな甘みが相まってとても美味しいです。

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ラトビアでお肉と言えばポークなだけあって、
ブタ肉料理は沢山あります。
このハーブ風味のチーズ焼きなんてのもポピュラーな一品。
ボリューム満点!
他の料理も食べていたので僕らの胃腸には少々難敵でした。

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こうしてぎゅっと密度の濃い4日間を過ごした僕らは、
来た時と同じバスターミナルから、
今度はミニバスでリトアニアのシャウレイへ。
所要時間は約2時間15分。
最後の目的地はもうすぐそこです。
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はぁ〜、明日は朝から空港に移動です。
さっきウェブチェックインも済ませました。
往路と同じアエロフロートさんで一度モスクワに飛び、
6時間ほどのトランジットタイムの後、
19時発のSU260便で成田に向かいます。
何ごともなければ、
日本時間28日の午前10時半ごろには、
飛行機を降りているでしょう。

毎度のキメ台詞になってしまいましたけど、
旅の空間に流れる時間の速いことといったら!
あっという間に最終日だ、と溜息をつきつつも、
振り返ると、サンクトペテルブルグやタリンなど、
ほんの1週間前のことが、ずいぶん昔に感じられる。

思えばこういう時間感覚こそ、人生そのものなのかもしれませんね。
特にオヤジになると殊更そんな風に思えます。
ま、旅の終わりは次の旅の始まり。
リトアニアの写真は帰国してから『その12』でお見せしますね。

それでは次は梅雨空の東京でお会いしましょう!
posted by ととら at 05:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記