2019年12月13日

第7回研修旅行 その10 最終回

この仕事を始めたころ、
世界各国の料理を紹介するために探していたのは、
たとえばイタリアのピッツァや中国の餃子のように、
その国『独自』の料理でした。

ところが!

料理を探す旅を続けるうちに、
そもそもな疑問が僕の中で膨らんできたのですよ。
それは・・・

ピッツァって、イタリアで生まれたんだよね?
ん? でも原料の小麦って、
メソポタミアで栽培が始まったんじゃなかったっけ?
そう言えばギリシャに袋状のパンでピタってのがあったよな。
似たような名前だけど、無関係なのかしらん?

とか、

イタリア料理・・・イタリア・・・
って昔はローマ帝国だったんだよね?
あれ? ローマ帝国ってヨーロッパから中東、
はてや北アフリカまでを含む、むちゃくちゃ大きい国じゃなかったっけ?
ん? でもイタリアってそんなに大きくないし、
国として統一されてから、まだ160年弱しか経ってないの?

なんてことを考えるうちに、

その国の文化100パーセントで創られたオリジナル料理ってあるのかしらん?
いや、それをいうなら、
他からまったく影響を受けずに純血を保ち続けている国ってどこかにあるの?
いやいや、そもそも、いまある国って、
アダムとイブの時代に神さまが創ったんだっけ?

という身も蓋もない、
『そもそも論』の無限ループにはまってしまったのです。

たぶん、それは僕が日本で生まれて日本で育った、
日本人だからなのかもしれません。

そしてこれまた多分、
大陸で生まれ育った人たちは、
こうしたそもそも論に陥ることはまずないでしょう。
特に、今回の旅で訪れたレバノンのような国の場合は。

古くはカナンと呼ばれ、フェニキア人が旅立ち、
その深い歴史の積み重ねを文化の土台として持ちながら、
住む人も、統治する者も、幾度となく入れ替わった場所。

さらに今の国境線は、
フランスが統治目的で大シリアを分割した結果ひかれたもの。

そこで生まれ育った人に、僕ら日本人がよく使う、
『わが国固有の領土』なんてフレーズは意味不明なんですよ。
ここでは『領土』という言葉を、
文化、民族、言語、宗教、はてや歴史と入れ替えても同じこと。

とどのつまり人間の営みにおいて、
パテントが取れるようなオリジナリティなんてのは、
ないのかもしれません。

レバノンの料理はそうした文化のダイナミクスを、
いちばん美味しい形で教えてくれたのでした。

えーじ

lb_us.jpg
See you on the next trip!!
posted by ととら at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月10日

第7回研修旅行 その9

ビジュアルレポート後編はトリポリの折り返しからですね。
ビブロス、バールベックと歴史を巡る旅を続けつつ、
さまざまな文化が混淆した料理のいくつかをご紹介しましょう!

lb_tripoliroad.jpg

トリポリバスターミナルは道路封鎖されていて使えなかったため、
僕たちは無料のシャトルタクシーで街はずれまで運ばれ、
そこで往路と同じようなバスに乗り換えました。
ビブロスはそれと分かるバスターミナルがあるわけではなく、
(バス停すらないのですよ)
ご覧のような幹線道路の『どこか』の路肩で降り、
そこから徒歩で遺跡まで行くしかありません。
とうぜん僕らはその場所がどこか分からない。
しかし心配は無用でした。
親切なドライバーさんは、僕らがビブロスで降りますと伝えておいたら、
ちゃんと一番近い所で停まって「着いたよ」と教えてくれましたから。

lb_byblos01.jpg

幹線道路から西へ10分ほど歩いたところにあるビブロス遺跡。
その歴史は古く、紀元前15世紀頃から紀元前8世紀頃にかけて、
ラテン文字の元となるフェニキア文字を発明した、
フェニキア人の都市のひとつだと言われています。
またその地名は本来のグブラより、
エジプトのパピルスがこの地を経由してギリシャに伝わったことから、
ギリシャ語で紙を表すバイブルスが転訛した、
ビブロスという名で知られるようになり、
さらにその言葉から書物を表すビブリオン、
はてや聖書を表すバイブルという言葉が生まれたそうな。
そんな深遠な謂れをよそに、
現代のこの街は、ひっそりと地中海から寄せる波に打たれていました。

lb_byblosfortres.jpg

フェニキア人の発祥地としても知られるこの場所は、
新石器時代の住居跡まで残っており、
300メートル四方という狭い範囲ながら、
1万年を超える時間の堆積が体感できます。
遺跡に入ると目の前に聳えているのが十字軍時代に造られた城。
それぞれの時代にさまざまな民族がこの地を支配し、
そして消えて行きました。
散在する各時代の遺構を縫うように歩いていると、
あまりひと気がなかったせいか、
ひょっこりローマ人やフェニキア人と出っくわしそうな気がしてきます。

lb_byblosshop.jpg

入場口から街の中心まで延びる土産物屋横丁。
ここに出ると、とつぜん現代に引き戻されます。
数千年を一挙にジャンプするので、
暗い映画館から日中の街に出てきたような、ちょっと白々しい感じ。
そういえば今、この地の多数派はアラブ人なんですよね。
でももし歴史は繰り返すのであれば、
今から数百年経つと、
また別の民族がここに住んでいるのかもしれません。
いや、もしかしたら誰もいないかも・・・

lb_byblossunset.jpg

時計は16時15分。
さぁ、いい時間です。港まで行ってみましょう!
で、ベストタイミングで見られたビブロスの夕焼け。
古代の港に沈む夕日はまた格別の美しさがありました。
ここから地中海の西へ向けて、レバノン杉で作った帆船に乗り、
フェニキア人たちは旅立って行ったのですね。
ちなみにその一派の作った街がカルタゴです。
そう、今のチュニジアですよ。

lb_vegetables.jpg

ああ、ここから悠久の旅が始まったのか・・・
と、感慨にふけってばかりはいられません。
お仕事に戻りましょう。
中東の食事で面白いのがこれ。
オーダーした料理以外に、この野菜セットと(あえてサラダとは言いません)、
ピクルスの盛り合わせが付いてくるのです。
ん〜、でもピクルスはともかく、この野菜はどうしたもんだろう?
見ての通り、ナイフでざくざく切って食べるのかしらん?

lb_kabab01.jpg

これは香ばしく焼き上げたラムケバブのキシュカシュソース添え。
中東の料理はこんな見かけをしていても、
それほどスパイシーではありません。
この料理も例外ではなく、ソースはトマトベースで、
ほんのりガーリックとスマックの酸味を感じる程度。
これがまたサフランライスとよく合うんですよ。

lb_kebabwithfruit.jpg

同じラムケバブでも、
料理がより洗練されたレバノンではバリエーションも豊富です。
いかがです? ちょっとデザートみたいでしょ?
これはヨーグルトソースにドライフルーツのソースを合わせたもの。
酸味と蜂蜜を思わせる濃厚な甘みが絶妙なハーモニーを奏でていました。

lb_tahinifish.jpg

これもレバネーズならではと思われる、
シーフードのタヒーニ(ゴマペースト)ソース添え。
ゴマとチーズの濃厚なソースと淡白な白身魚の相性は、
ちょっと想像できないものかもしれません。
実はこの料理、今年の1月に行ったカイロのレバネーズレストランで、
一度食べていたのですよ。
あんまりおいしかったものですから、
ぜひ本場で試してみようと思っていました。
ん〜・・・さすが!

lb_tomatokibbe.jpg

へぇ〜、この料理にも歴史を感じさせられますね。
『トマトキッベ』とメニューにあったのでオーダーしてみたら、
なんと出てきたのは、ととら亭でも紹介したことのある、
アルメニア版タブーレのアルメニアンイーチじゃないですか!
それもそのはず、第1次世界大戦中、
アナトリア半島のトルコ領に住んでいたアルメニア人は、
強制移住を強いられ、その一部がレバノンに辿り着いていたのですから。

lb_manti.jpg

となればこれもあるかな?
そう思って探したら、やっぱりありました!
ソースに埋もれていて分からないと思いますが、
エレバンで食べ損ねたアルメニアギョーザのマンティです。
かりっと焼いたラムギョーザが暖かいヨーグルトソースに入っていました。
表面に振られているのはスマックです。
人と食は一体であり、その人が移動すれば自ずと食もまた移動する。
そして食は環境の変化を柔軟に吸収し、ローカライズされて根を下ろす。
こんな一皿でも、料理はまさしくタイムマシンのように、
時間を横断したものなのですね。

lb_cora.jpg

さて、せっかく念願のレバノンに来たのですから、
もう一か所、足を延ばしましてみましょうか。
行き先はローマ時代の遺跡が残るバールベックです。
しかしホテルのフロントで行き方を訊いてみると、
「治安に問題はありませんが、
 あなたたちがローカルの交通機関を使うのは・・・
 どうでしょうねぇ?」
とのこと。
で、コーラにあるバスターミナルに行ってみたら・・・
なるほどこういうことか。
バス停はご覧の通り、ただの駐車場。
シャールへロウバスターミナルも同じでしたが、
公衆トイレはなかなかの恐ろしさがありました。
バスもトリポリに行ったとき乗ったようなものではなく、
だいぶ草臥れたミニバン。
ま、これはこれで僕らの旅にはよくあることですけどね。

lb_beccavallay.jpg

僕らを乗せたバンはベイルートから東に向かい、
息を切らせながらレバノン山脈の急な上り坂を登り始めました。
やがて標高1400メートルほどの高さの峠を越えると間もなく、
ベカー高原の街、シュトゥーラです。
奥に見える山脈はアンチレバノン山脈。
そしてあの向こう側はもうシリアなのですよ。
ここはアラビア半島とは思えない緑に覆われていました。
南部のクサラではワイン造りも盛んです。
(ここのワイン、ととら亭で出していたことがあったっけ)
そして田園地帯を1時間弱、北東に進むと・・・

lb_baarbak03.jpg

着きました、1世紀、ローマ時代に建造されたバールベック遺跡です。
内戦で荒廃した国の遺跡とは思えないほど保存状態が良くてびっくり。
10月から始まった騒動の影響か、
ほとんど観光客の姿がなく、ひっそりとしていました。
ん〜、これぞ廃墟というムード。

lb_baarbak01.jpg

かつて巨大なジュピター神殿があった場所に残る6本の列柱。
この遺跡のシンボル的な存在です。

lb_baarbak02.jpg

アテネのパルテノンを上回る大きさのバッカス神殿。
保存状態がよく、ギリシャ風の壁模様もはっきり残っているので、
内側からゆっくり見れるのもいいですね。

lb_beswarma.jpg

さて、歩き回ってお腹が空きました。
バールベックの街に戻って入ったお店は中東定番のシャワルマ屋。
(トルコのドネルケバブがアラブ圏ではこの名で呼ばれています)
直感で入った小さなお店でしたが地元の大繁盛店だったようで、
テイクアウトも多く、ひっきりなしにお客さんが入って来ました。

lb_beswarmaroll.jpg

ここでの取材対象はローカルファーストフード。
他の地域と比較するため
僕たちはここでチキンシャワルマとファラフェルを注文してみました。
出てきたのは野菜やピクルスと一緒にラヴァシュでロールしたもの。
で、お味の方は・・・どちらもほど良くスパイシーでうまい!
なるほど人気があるわけだ。

lb_sunset02.jpg

ベイルートへ戻ったのはちょうど16時過ぎ。
天気は晴れ。となれば間に合うかな? 
と一縷の望みをかけて途中でミニバンを降り、
タクシーに乗り換えて鳩の岩まで急ぐと・・・
おお、これまたジャストのタイミングでした!
地中海に沈む夕陽。
こんな夕焼けをぼ〜っと見ていられることが、
僕たちにとって、旅の中で一番の贅沢なのかもしれません。
ほんと、美しい・・・

lb_tomokobeer.jpg

え? わたしにはこれが一番のご褒美だって?
どうやらこの『バルコニー・ビール』を出発前から企んでいたそうです。
これまた普段はまず出来ないことですからね。
ま、取材も無事、予定通り終わり、あとは帰国するだけですからいいか。
あ〜、もしもし!
それもいいけど取材ノートのまとめもよろしくね!

次回はいよいよ最終回。
UAE・レバノンの旅のちょっとディープな裏事情をお話しましょう。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月07日

第7回研修旅行 その8

お待たせしました、
レバノン研修旅行のビジュアルレポート!
今回はかなり盛りだくさんな内容だったので、
前編・後編に分けてお伝えします。
まずはベイルートとトリポリ編から。
それではさっそく行ってみましょうか!

lb_flightmap.jpg

9時50分、定刻通りアブダビ国際空港を飛び立った、
エティハド航空EY535便は、アラビア半島を西北西に横切り、
4時間40分でベイルートへ。

lb_airmeal.jpg

先のブログで成田発便の機内食を嘆いた僕らでしたが、
アブダビ発の便でサーブされた、
ラムシチューのサフランライス添えはOKでした。
ここではたと気が付いたのですけどね、
エティハド航空さんに限らず、
成田発便の機内食はおしなべてNGなことが多いんですよ。
(あくまで僕らの主観ですが)
そこでもう一丁、その『なぜか?』を掘り下げてみますと、
ご飯にその原因があるのではないか?
という結論に至りました。
そう、ご覧のようなインディカ米は、
汁物がかかって時間が経っても美味しく食べられますが、
ジャポニカ米はぐちゃっとなってしまいますよね?
しかもエコノミーの機内食は、汁物ではないにしても、
おかずがご飯と隣接しており汁気が混ざるのを防ぐ構造になってない。
ましてやそれがかつ丼やカレーライスだったりすると、
再加熱されたときにはもう『おじや』状になっちゃってるんですよね。
今回、成田発便で僕らは機内食をチョイスできず、
問答無用でチキンカレーになってしまったのですが、
蓋を開けてみれば、これがチキンカツカレー。
カリカリのはずの衣はくしゃくしゃ、ご飯はぐちゃぐちゃで、いと悲し・・・
懐事情は苦しいと思いますが、航空会社さん、ぜひご一考を!

lb_beirutview.jpg

話を戻しましょう。。
つい機内食ネタで力が入ってしまいました。
レバノンは準戦時国なのでラフィック・ハリーリ国際空港の写真はなし。
レバノン空軍も共有している空港なので、
こういう場所ではカメラも出さない方が無難です。
そういえば2006年にヒズボラがイスラエル軍兵士2名を拉致した報復で、
この空港も爆撃され、退路を失った外国人観光客を、
各国の救援部隊が海から救ったという事件がありましたね。

lb_pigionrock.jpg

そんなドンパチもこうした風景を見ていると遠い過去の話のようです。
ここは観光客のみならず、ローカルも集う鳩の岩。
日中もいいですが、ここから眺める地中海に沈む夕日は格別です。
道路沿いには洒落たカフェやレストランが沢山あります。

lb_hamrastreetjpg.jpg

目抜き通りのハムラストリート。
ホテルや両替屋のほか、カフェやレストランがずらっと並んでおり、
ベイルートの随一の観光拠点です。
僕らはここの西の外れにあるホテルに投宿しました。

lb_wallpainting.jpg

ハムラストリートはアート感覚に溢れており、
至るところでこうしたウォールペインティングが楽しめます。
ちょっとっした現代美術館って感じ。
無造作に貼られたコンサートや演劇のポスターもいいセンスです。

lb_knafa.jpg

よそ行きのハムラストリートを離れ、ローカルタウンのサナヤ地区へ。
そこでいい匂いに引かれて近付いてみれば、
おおっ! クナーファ屋じゃないですか!
これアラブのホットチーズケーキともいえるスウィーツで、
(写真、ともこの右後ろにある円形のもの)
僕らはアンマンの有名店ハビービで初めて食べましたけど、
ほんと、ほっぺが落ちる美味しさなんですよ。
ここレバノンではさらにパンにはさんで朝食にも食べるそうで、
僕らもそうやって食べてみました。

lb_baricade.jpg

そんなほのぼの気分で歩きつつダウンタウンに近付くと、
中心のエトワール広場は警察に封鎖されているじゃないですか。
そう、ここは10月17日に始まった反政府抗議活動の中心地なんですよね。
有刺鉄線が物々しさを醸し出していましたが、
小康状態に入ったのか、警察官たちの様子に緊迫感はありませんでした。
でもバリケードの向こうに見える、
ムハンマド・アミーン・モスクまで行けなかったのは残念!

lb_civilwar.jpg

ダウンタウン周辺にはこうした内戦の傷跡が、
30年の時を経てもなお生々しく残っています。
写真ではよく分からないかもしれませんが、
壁には無数の弾痕がありました。
しかし、この一種のモニュメントが、
今回の騒動のブレーカーになっているような気もします。
そう、理念はどうあれ手段としての暴力がどんな結果をもたらしたか、
レバノンの人々がそれを一番よく知っているのだと思います。
今回も話し合いで解決するといいですね。

lb_hotel02.jpg

さて、僕らが投宿したのはこんなホテル。
場所はハムラストリートの西の外れの脇道にあり、
海岸沿いのラウシュ地区にも徒歩で行けます。
取材には利便性の高い立地でした。

lb_hotel01.jpg

いかがです? 広くてきれいでしょ?
このグレードにもかかわらずお代は一泊朝食付きで約5,200円也!
ハイパーコスパのホテルです。

lb_breakfast.jpg

朝食もご覧の通り。
中東料理とコンチネンタルのハイブリッドで、
コーヒーも抜群においしい!
スタッフはみなさんラブリーだし英語も問題なく通じるしで、
とても快適に過ごせました。シュクラン!(ありがとう!)

lb_money.jpg

レバノンの通貨はレバノンポンド。
ネットで調べた為替レートは100米ドルで150,000ポンドでしたけど、
ハムラストリートの両替屋では200,000ポンドになりました。
なんか得した気分。
ちなみにクレジットカードはホテル、
中級以上のレストランであれば問題なく使えます。
現地通貨を引き出すPlus対応ATMも健在。

lb_restaurant.jpg

僕たちが取材していたのは、
こんなファサードのローカルレストランが多かったです。
場所によっては英語のメニューがなかったりしましたけど、
英語がかなりの確率で通じましたから問題なし。

lb_humms.jpg

さて、それではそろそろお仕事を始めましょうか。
ヒヨコマメをペーストにしてタヒーニ(ゴマペースト)、
塩、レモンジュース、ガーリックを加え、
オリーブオイルを添えた中東料理の定番、フムス。
これとピタパンがあれば、十分朝食が成り立ちます。

lb_taboure.jpg

レバノン発祥ともいわれるイタリアンパセリのサラダ、タブーレ。
これ、先のアブダビでも食べましたけど、
レバノンはブルグル(弾き割小麦)がほとんど入らず、
レモンの酸味がより効いていてさっぱり食べられます。
右側はナスのペーストのムタバル。
ん〜、食欲が湧いてきた!

lb_fetteh.jpg

これは古くなったピタパンを油で揚げ、
ナッツ、ヒヨコマメと一緒にヨーグルトで和えたフェッタ。
結構ボリュームがあり、これ一杯食べただけで満腹になりました。
動物性の食材をまったく使っていないため、
ベジタリアンにもいいかな?

lb_kibbe.jpg

ほのかにオールスパイスが香る挽肉や野菜などを、
ブルグルでコーティングして揚げたキッベ。
これもレバノン発祥の料理と言われていますね。
ご覧の形がポピュラーですけど、
棒状のケバブでもブルグルでコーティングしたものは、
おしなべてキッベの名で呼ばれます。
前菜にいい一品。レバノンビールのアルマザにぴったり。

lb_chalehellow.jpg

さぁ、今日はちょっと遠出しましょう。
まずは北部にある第2の都市、トリポリへ。
シャールへロウバスターミナルはダウンタウン東部の高架下にあり、
ここまではタクシーで移動。
道々ドライバーさんと話をしていたのですが、
現在、景気がとても悪く、石油も不足気味で、
この週末はガソリンスタンドがみな休業してしまうとのこと。
「ガス欠じゃ商売になりゃしない!」と嘆いていました。
ちなみにここでバスチケットを買おうとしたら、
「トリポリ? それともダマスカス?」と訊かれたのですよ。
そう、今は入れないシリアの首都まで、
ここからほんの150キロメートほどしか離れていませんからね。
もしこの地域が平和だったら、
ヨルダンのペトラ、死海、アンマン、ジュラシュ、
イスラエルのエルサレム、
シリアのダマスカス、パルミラ、
そしてレバノンのビブロスやバールベックを、
あまり労せず、ぐるっと陸路で周れたんだけどな・・・
ほんと、重ねかさね残念です。

lb_byblosroad.jpg

シャールへロウを出発したバスは地中海を左に、
市街地を右に見ながら北上して行きます。
途中でビブロスを左に見ながら通過しました。
ここは帰りに寄る予定です。

lb_tripolicitycenter.jpg

ベイルートから約90キロメートル離れたトリポリまでの所要時間は、
途中で乗客の乗降を繰り返しつつ90分くらい。
景色を楽しんでいる間にすぐ着いた感じです。
しかしあと数百メートルというところでバスが停まってしまいました。
なんでもバスターミナルのあるラウンドアバウトは、
現在封鎖されているので、これより先は入れないとのこと。
僕らは帰りのバス乗り場を確認するため、
そこから歩いて行ってみました。
で、なるほど着いてみればこの通り。
改革というより革命を訴える拳が描かれているじゃないですか。
しかしながら人々が抗議活動をしている姿はなく、
軽食の屋台がならび、さながらちょっとしたお祭りのよう。

lb_tripoliwatchtower.jpg

向こうに見えるのは旧市街の中心、タール広場にある時計塔。

lb_tripolisouk.jpg

で、僕たちのお目当ては旧市街の東に広がるスーク(市場)です。
この辺りは迷路のように入り組んでおり、
僕らも歩き始めて5分も経たないうちに現在位置を見失いました。
GPSを使っても道が細か過ぎてよく分かりません。
それでも人はフレンドリーです。
観光地ではないこのエリアで外国人の姿は珍しいのか、
目が合って挨拶すると、
「レバノンへようこそ!」と何度も声をかけて頂きました。
なんか素顔のこの国に出会えたようでうれしいですね。

lb_tripolisoukorive.jpg

スークでは生活に必要なものなら何でも売っています。
こうした美味しそうなオリーブなんかは買って帰りたいなぁ・・・
といつも思うんですけどね。

lb_tomokorestaurant02.jpg

時間はまもなくお昼です。
僕らはローカルで賑わうレストランに入り、
先にご紹介したフェッタとフムスを注文。
これにピタパンを数枚食べたらお腹いっぱいになりました。
さて、ここで折り返し。
次は途中で通過したビブロスに向かいます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月05日

ととら亭再起動 201912

昨日はふたりしてほぼ終日お店にこもり、
再起動に向けた仕事をやっていました。
ともこはもちろん仕込み。
僕は月末月初のペーパーワークと取材ノートのまとめ。

今回は僕も頭の切り換えが早くできたようです。
たぶん、UAE、レバノンともに治安と衛生環境が良く、
心理的なギャップも少なかったからかもしれません。

ここで一度、仕事をリセットし、
心機一転、次の新しい旅へ向けて駒を進め始めます。

思えば旅は、
僕たちにとってメニュー変え以上に仕事の区切り、
いや、生活の節目なのですよ。
ほら、みなさんも、学期末や年度末のように、
何かしらの大きな節目があるでしょう?

ちょうど12月といえば、
僕たちにとって来季の予定を決める時期にもあたります。
この1年を振り返り、旅の軌跡を辿りながら、
次の来たる1年に行くべき方向を決めるのです。

訪れた国は、
トルコ、エジプト、中国、モンゴル、UAE、そしてレバノン。

ご紹介した料理は、
ポーランド、アゼルバイジャン、エジプト、そしてスウェーデン。

となると次は・・・

世界は広いですね。
何処まで行けるかは別として、旅に終わりはないのでしょう。

野方での1日もその旅のひとつ。
さて、ディナーの準備を始めますか。

えーじ
posted by ととら at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月04日

第7回研修旅行 その7

いやぁ、東京も冬に入りましたね!
昨日は意外と暖かくて温度差を感じませんでしたけど、
今朝の冷え込みはさすがに帰国したことを実感させてくれました。

僕らが野方に戻ったのは昨日の日暮れ前。
ロングフライトの後は熱い風呂に入り、
体を伸ばして爆睡しましたから今日は朝から元気いっぱいです。

ではさっそく、
時計をレバノン時間12月2日の12時に巻き戻して、
帰路のお話を始めましょうか。

ホテルをチェックアウトした僕らはタクシーで、
市内から南へ9キロほど離れたラフィック・ハリーリ国際空港へ。
(レバノンには鉄道がないのですよ)

道々ドライバーのおじさんと話をしていたのですが、
昨今の経済事情は最悪だそうで。
ひどいインフレにもかかわらず賃金は上がらず、
加えてレバノンポンドが米ドルに対してだいぶ値下がりしたため、
平均月収はおおよそ800米ドル程度、
(日本円で約8万7千円)だろうと言っていました。
なるほど、どうりで市内は空テナントが目立ち、
走る自動車も草臥れたものが多かったわけです。

そうした事情を反映してか、
空港もボーディングゲートは20以上あるもののショップはぼちぼち、
飲食店に至っては、しょぼいカフェとレストランが3軒しかありません。

正午にもかかわらず乗客も少なかったです。
僕たちはさらっとチェックインして保安検査から出国審査へ。
ここでUNIFIL、
(国際連合レバノン暫定駐留軍)のイタリア軍の方々と一緒になり、
この国が未だ準戦時国であることが思い出されました。
イスラエルとは因縁の仲ですからね。
ほんと、この辺の事情は複雑なんですよ。
そもそも中東一帯の国境線は他国によって引かれたものだし、
僕らがあたり前だと思っている近代国家の概念ですら、
アフリカの国々と同じく、強引に押し付けられたようなものですから。

そんなことをつらつら考えているうちに、
ボーディングタイムとなりました。

そうそう、今回のフライトでふと気付いたのですが、
なんと往路復路共にバックパッカーの姿を見かけなかったのですよ。

偶然かな?

でも観光資源の乏しいアブダビはともかくとして、
ラフィック・ハリーリ国際空港のターンテーブルでも、
回ってたバックパックは僕たちのものだけ。
ビブロスやバールベック等の観光地でさえ見かけなかったってことは、
偶然ではないような気がします。
そういえば、
今年の1、2月に行ったトルコやエジプトでも会わなかったな。
もしかしたら中東は、
欧米人バックパッカーから敬遠されているのかもしれませんね。

アブダビで日本に向かう便のボーディングゲートまで来ると、
急に日本人の数が増えてきました。
今回の旅でUAE入国以降、日本人の姿を見かけたのは、
アブダビのレストランで2回だけでしたから、
(レバノンではゼロ)
ああ、帰路についたんだな、という実感が湧いてきます。

みなさん、どんな旅をしてきたのでしょう?

僕たちの前のベンチで、
ツアーアンケートを真剣に記入しているふたりの女性は、
手荷物からするとスペイン帰り?

さすがに帰路となるとみなさんお疲れですから機内は静かです。
そこでひときわ目立つのが、
元気いっぱいな、ここから出発となる日本人以外の乗客たち。
やたら賑やかな白人グループは、
言葉からしてロシア人以外のスラブ系だと思っていたら、
なんとセルビアの方々でした。
これから日本のどこを訪れるのかな?

旅の始まりと終わりが交錯する機内と空港には、
さまざまなドラマがあります。
夢の詰まった荷物を持つ旅人ひとりひとりが、
それぞれの物語の主人公なんですよね。
いろいろありましたけど、
僕たちの旅も、とてもいい物語になりました。

さて、次回はいよいよレバノンのビジュアルレポートです。
お楽しみに!

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月02日

第7回研修旅行 その6

今はレバノン時間午前8時40分。
外は雨上がりの快晴です。

今回の旅は天候に恵まれました。
アラビア半島に位置するとはいえレバノンは地中海性気候なので、
ヨーロッパの国々と同じく普通に雨が降ります。
昨夜も僕らがホテルに戻った後、強い雷雨があったのですが、
僕らは滞在中、一度も傘を使わずに済みました。

さて、間もなく僕らはホテルをチェックアウトして、
14時発の便で帰路につきます。
アブダビでトランジットして22時15分発の便で成田へ。
予定通り行けば、3日の昼頃には日本に帰っているでしょう。

そこでその前に、
取り急ぎUAEの旅をビジュアルレポートしましょうか。

ae02_seaview.jpg

UAEを訪れたのは2度目ですがアブダビは初めてです。
同じアラビア湾に面しているせいか、
海沿いの風景はドバイやカタールのドーハとそっくり。
土地が豊富なため社会主義国のように街の区画が大きく、
大雑把な造りなので、歩いて回るのはお勧めしません。
僕らは取材予定の、
散在しているスーク(市場)に行きやすい場所のホテルに泊まりましたが、
案の定、日中てくてく道路を歩いている人は殆どいませんでした。

ae02_hotel02.jpg

で、これがそのホテル。
ドバイと違い、アブダビの中心部は安ホテルがありませんね。
底値を狙っても1泊7千円台で、
それに税やサービス料が加わって8千円を超えました。

ae02_hotel01.jpg

それでしょぼい宿だったら泣けますけど、
チェックイン時に部屋がアップグレードされ、
(booking.comのフリクエントトラベラーだからかな?)
広い寝室のほかにこんなリビングまであるゴージャスな部屋へ。
む〜、こうなると値段以上かな?
ちなみにこのホテル、
レビューではスタッフの態度がボロボロに批判されていましたけど、
僕らが会った人たちはみんなラブリーでしたよ。

ae02_asahi.jpg

トイレでふと気づいた謎です。
排水溝の蓋にこんな刻印がありました。
ここから秘密のビールが出てくるのかしらん?
そんな訳はないか。

ae02_nightview.jpg

ホテルの周辺は広い道路が縦横に走り、
中東産油国にありがちな高層ビルが林立する近代都市という感じ。

ae02_seafoods.jpg

人間臭さのない街はあまり僕らの好みではありませんけど、
スークに足を踏み入れてみれば、おお、これこれ!
アラビア湾で獲れる魚がずらっと並んでいます。
アラブ料理というと肉というイメージが強いのですが、
実はシーフードが美味しいんですよ。

ae02_restaurant.jpg

それじゃ市場の取材が終わったら、
外縁に併設されているレストランに行きましょう。
僕らはメニューを見せてもらいながら直感でこの店へ。

ae02_taboure.jpg

まずはサラダの定番、イタリアンパセリとミントのみじん切りに、
ブルグルを少々加え、たっぷりのレモンジュースでさっぱり和えたタブーレ。
この爽やかな酸味が食欲を目覚めさせます。
ちなみにヨルダンで食べたものよりブルグルが少ないですね。

ae02_seafoodtajin.jpg

メインはこれ、シーフードタジン。
イカがたっぷり入ってボリューム満点!
ソースはスパイス感がなく、ガーリックの風味と辛味がほんのり感じる程度。
シーフードの旨味を主役にした料理です。
料理名のタジンはもちろんモロッコ由来と考えられますけど、
とんがり蓋つきのなべ焼きではなく、
単純に土鍋でサーブしているから付けられているようですね。

ae02_seafoodrice.jpg

で、もうひとつのメインはシーフードライス。
どうですこのボリューム!
山盛りではなくピラミッド盛りって言うんですかね?
そして肝心の味の方もピラミッド級でした。
色のわりに薄味でとても美味しい。
これに先のタジンをソース代わりにしてもりもり食べてしまいました。
うう、初日からフードファイトになっちゃった。

ae02_farafel.jpg

アブダビの滞在は正味1日しかないため、厳しい取材は続きます。
ショッピングモールに併設された近代的なスークでは、
レバノンタイプと目される、
ヒヨコマメとソラマメをブレンドしたファラフェルを見つけました。
覚えてます?
エジプトではこれがソラマメで作られターメイヤと呼ばれているのを。
そのハイブリッドタイプはどうなのか?
ん〜・・・味的にはそんなに大きな違いはないかな?

ae02_pita.jpg

ちなみにファラフェルはこのまま齧るより、
軽く潰して野菜やピクルスと一緒に、
このピタパンにくるんで食べるのもポピュラーです。
屋台の定番料理のひとつですね。

ae02_huumsswarma.jpg

もうひとつの中東の定番と言えばヒヨコマメのペーストに、
タヒーニ(ゴマペースト)とガーリック、レモンジュースを混ぜたフムス、
そして言わずもがなシャワルマ(ドネルケバブのアラブ名)。
これまた先のピタパンに入れて食べると、とても美味しいです。
また豆料理なので腹持ちもいい。
つまり・・・僕らのお腹はもうパンパンです。
うう・・・ホテルに帰ろう。

ae02_airport.jpg

翌日は早出で空港に戻り、
今回の主取材地、レバノンのベイルートへ。

この続きは冬の入り口の東京からお伝えしましょう。
それでは!

to be continued...

えーじ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

え? なに?
ブログ書いたからアップしてくれ?
おいおい、もうすぐチェックアウトしなくちゃいけないのに!
こういうのは早く言ってちょうだいよね!
じゃ・・・


ともこです!
はぁ〜、間に合った!

今日で今回の旅も最終日。
いつもながらに早かったなぁ。
短い間でも、とっても収穫の多い旅になりました。
今まで行ったことがあって、食べたこともある国の料理と、
レバノン料理の比較が興味深かったです。
野菜、特に豆類や乳製品をたっぷり使った料理は、
ヘルシーで美味しいものばかり!
いつかぜひ、ととら亭で再現してみたいです。
きっと皆さんにも楽しんでいただけると思います。
レバノンワインとビールも一緒にね!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・?
終わり? ほんとに?

じゃ、アップロードしちゃうからね。
まったくもう!
posted by ととら at 16:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2019年12月01日

第7回研修旅行 その5

今日のベイルートは晴れ。
気温は東京の10月中旬といったところでしょうか。
オープンテラスに面した席で朝食を食べていると、
気持ちのいい風が入ってきます。

今日は僕らにとって珍しい完全なオフ。
目覚まし時計に起こされるのではなく、
自然に目が覚めるまでぐっすり寝て、
シャワーを浴びた後は、
時間を気にせずにのんびり美味しい朝食を楽しむ。
(中東系とコンチネンタルが混ざったこのホテルの朝食は最高!)

かつて会社員時代にはあたり前だったことが、
今では年に数回しかなくなってしまったせいか、
今日は心の底から「オフ」って気分を堪能しています。

一昨日と昨日は情報収集を重ねに重ねた結果、
プランA通り、トリポリ、ビブロス、バールベックを周ってきました。
一部は外務省さんの危険情報レベル2地域にあたるので、
かなりいろいろな角度から慎重に検討してきましたが、
それぞれ当日は治安上の問題がなかったのはラッキーでした。
実際に現地では他のツーリストの姿もあり(ぼちぼちですが・・・)、
危険な雰囲気はまったくなかったですね。

かといって、もちろん「だから大丈夫ですよ!」とはいいません。
レバノンは様々な根深い国際・社会問題を抱え、
その緊張が人々の忍耐の限界まで高まっているので、
ちょっとした針の一刺しが、
一挙に連鎖反応を引き起こす可能性は十分あると考えられます。
しかもその正確な予測は現地の専門家でもつかず、
ひとたび起こってしまったら、政府や軍ですら制御することは難しい。

ま、この辺の詳しいお話は帰国後に譲るとして、
本題の料理の報告に入りましょうか。

タイトルは『研修旅行』のままですが、
クッキングクラスは不確定要素が多すぎるので、
今回は取材に徹することにしました。

レバノンは中東料理の発祥地である・・・
と言ってしまうと語弊がありますけど、
料理が最も洗練された国であるというならば、
同意してくれる人は少なくないでしょう。

で、その前置きとして、
皆さんの先入観をクリアするとこらか始めたいと思います。

1.中東の料理はスパイスをたっぷり使っている。

 →違います。使っていても「ほんのり」という表現が正しい。
  南西アジアや中米のようなスパイス感はまずありません。

2.中東の料理は辛いものが多い。

 →違います。
  確かにハリッサやシャッタのようなホットペーストはありますが、
  それとて辛味より香り・うまみ付けの要素に軸足が置かれており、
  料理そのものがデフォルトで辛いケースは稀れ。
  あってもピリ辛程度です。
  そもそもアラブ人は辛い物が苦手な方が多いのですよ。

3.祖先は遊牧民なので肉料理が多い。

 →違います。もちろん肉は食べますが、
  主要なたんぱく質は豆や乳製品から摂っており、
  朝食の献立はベジタリアンといってもいいほど。
  油っぽくもないのでヘルシー。

意外ですか?
僕らもすべての地域を周ったわけではありませんが、
少なくとも中東のトルコ、ヨルダン、カタール、UAE、オマーン、
そして今回のレバノン、
それから同じくアラブの食文化を共有する、
北アフリカのモロッコ、チュニジア、エジプトを調べた結果、
先の結論に達したのでした。

あ、もうひとつ付け加えるなら、
どれもおいしい! かな?
僕たちは中東料理が大好きです。

ここレバノンは人口構成でクリスチャンが3割前後いますから、
コシェル(ユダヤ教徒)、
ハラール(ムスリム)などの食の戒律が全体としては緩く、
お酒も普通に飲めるので料理のバリエーションはとても豊富。
かつ面白いのは、同じ料理の各国間における比較です。
フムスのように違いのないものもあれば、
タブーレやファラフェルのように素材が微妙に異なるケースもある。

アルメニア人が多いことからその影響も垣間見られます。
名物料理のキッベを調べていた時、
とあるレストランのメニューに『トマトキッベ』とあったのでオーダーしてみれば、
出てきたのは僕らがアルメニア版タブーレとして紹介した、
『アルメニアンイーチ』じゃないですか。
なるほどレバノンではブルグルを入れると、なんでもキッベになるのかもしれません。
他ではひき肉のケバブにブルグルをまぶして焼いたものを、
同様にキッベと呼んでいましたし。
そうそう、エレバンでは食べ損ねたギョーザのマンティもありましたよ。
もちろんチェック済です。

ユニークなものでは、
タヒーニ(ゴマのペースト)をソースに使ったシーフード料理。
これ、今年の1月に行ったエジプトのカイロで、
レバネーズレストランに入った時しったのですが、
トマトとゴマを合わせたソースは意表を突かれるおいしさでした。
もちろんベイルートでも本場のものを試してみましたよ。

また、ラムひき肉のカバブにヨーグルトソースをたっぶりかけ、
フルーツの甘味と酸味を加えた料理も他では類のないものでしたね。
それからレバノン産のビールやワインも美味しい。
しかもオープンに楽しめるし。

物価は東京よりちょっと安いかな? というレベルなので、
アラビア半島標準からすると、やや高めだと思います。
ちなみVAT(付加価値税、日本でいう消費税)は11パーセント。

今日はこれから昼食を摂りに出かけつつ、
ぶらぶらハムラストリート界隈の撮影をやってこようかな、
っと思ってます。
取材もあらかた終わっているので気分は楽。

明日は帰国かぁ・・・

うう、もっといたい。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 18:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年11月29日

第7回研修旅行 その4

ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!
ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!

な、なんだ?

ヴぃ〜ぃ〜ぃ〜ぃ〜!

え? 火災警報?

「な、なにこれ? どうしたの?」

ぐっすり眠っていた僕らは未明の警報音でたたき起こされました。

「火災警報だ。起きて、貴重品をまとめて」
「うん!」
「僕は外の様子を見てくる」

手早く服を着て靴を履き、
ドアにそっと手の甲を当てると・・・

大丈夫だ。熱くない。
ってことは廊下は燃えてないな。

次はゆっくりドアを開け・・・

煙はないし焦げた臭いもしない・・・
ここは6階だったな・・・
なら火災は7階以上か、閉鎖された部屋の中か・・・
とりあえず様子を見ながらフロントまで行ってみよう。

僕はゆっくり階段を降り始めました。

4階・・・3階・・・2階・・・

グラウンドフロアまで来ると、
フロントの裏手にあるレストランでは朝食の準備が進められています。
僕はフロントデスクに近づき、

「火災警報がなりましたが大丈夫ですか?」
「え? 何階ですか?」
「5階です」
「ああ、5階でも鳴ってしまいましたか!
 大丈夫、あれはFalse Alert(誤報)です」
「では危険はありませんね?」
「ええ、すみません。お騒がせしました」

「どうだった?」
「ああ、大丈夫、誤報だってさ」

僕はテラスに出て外から各階の様子を見てみました。

煙も炎もなし・・・か。

対面するマンションのベランダでは、
外を見ながら早起きの老人がのんびり煙草を吸っています。

彼も何かに気付いた様子はない。
どうやら本当に誤報のようだな。

「ところでいま何時?」
「えっと、もうすぐ6時」
「やれやれ、目が覚めちゃったな」

こうして幕を開けたベイルートでの2日目。
僕らは旅行中でしかない、ゆっくりした朝食を楽しみ、
昨日下見しておいた観光庁へ向かいました。
ところが・・・

「はぁ〜、やっぱりな」
「ツーリストインフォメーションは開いてないね」

室内をのぞき込むと什器や資料が散らかっており、
さながら夜逃げしたテナントです。

仕方ない。
ダウンタウンに向かって進みながら旅行代理店を探すか。

ほどなく僕らは警備にあたる警察官や軍人の姿に気づきました。
それも進むにつれて数が増えてきます。

なるほど、反政府デモの中心地はダウンタウンの広場だったな。

しかし警察官や軍人の様子から緊張感は見て取れません。
むしろのんびり談笑しているではないですか。
ならば一番治安の情報に詳しい彼らに訊いてみるか。
僕はニカっと笑顔を浮かべ、

「やぁ、皆さん、こんにちは!
 どなたか英語を話す方はいらっしゃいますか?」

突然現れた東洋人に面食らった3人の警察官は、
フランス語で応えてきました。

「すみません、フランス語は話せないんですよ」

するとひとりが偶然通りかかった女性に話しかけ、

「あら、こんにちは、どうしたのですか?」
「突然すみません。
 僕たちは昨日はじめてレバノンにやってきた外国人です。
 もし分かったら教えていただきたいのですが、
 僕たちが公共の交通機関を使ってビブロスやトリポリ、
 バールベックを訪れることは可能でしょうか?」

彼女がすぐフランス語に通訳すると、
彼らのくだけた話しぶりからして、

「ああ、なんだ、そんなことですか、ぜんぜん大丈夫ですよ」

そう言っているのが分かりました。
続けて彼女は、

「もし行くのであれば、まずコラのバスターミナルまで行って、
 目的地に行くバスを探して下さい。
 これは私の意見ですけど、初めてであれば、
 まずビブロスをお勧めしますよ。
 それから念のためにニュースは必ず目を通しておいてください」

気さくなお巡りさんたちといい、偶然通りかかった親切な女性といい、
なんだか皆さんとてもフレンドリーです。
僕たちはお礼を言って先に進み始めました。
そしてエトワール広場に近づくと急に警察官の姿が増え始め、
広場を中心に、いくつかの道路が封鎖されているのが分かりました。
その中に入れるのは住人か仕事の用がある人だけのようです。

「OK、ここで戻ろう。
 どのみちこの先の旅行代理店は開いていないだろうし、
 必要な情報も得られた」

僕らは内戦の跡が今も残る建物の間を抜け、
庶民の街、サーエフ・サラム通りを西に進んで地中海に出ました。

2千数百年前、
フェニキア人はここからレバノン杉で造った帆船に乗って、
オリエントの文化を西に伝えたのか・・・
そう、あの水平線の向こうは南ヨーロッパと北アフリカなんですよ。

旧約聖書で語られた約束の地。
入れ替わる民族と統治者。
そしてその痕跡が凝縮された料理の数々。

僕たちは海を見下ろすレストランで取材を進めながら、
地層のように重なり合う悠久の時の厚みを肌で感じていました。

明日は天気と状況次第で、
別の街まで行ってみようと思います。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 01:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2019年11月28日

第7回研修旅行 その3

ボンソワール!(こんばんは!)
僕たちは今、レバノンのベイルートにいます。

今日はアブダビのホテルを朝6時半にチェックアウトし、
眠い目をこすって9時50分発の飛行機でベイルートへ。
フライトタイムは4時間少々。
日本との時差は7時間になりました。

毎回おなじことを言っているかもしれませんが、
外国の空港からさらに別の外国へ移動するときは、
まず他の日本人を見かけませんね。
ま、イギリスやフランスなど西ヨーロッパへ行く便ならいざしらず、
ととら亭の取材対象となるような国の場合は尚更かもしれません。
今回もベイルートへ向かう飛行機の中は、
日本人というよりむしろ東洋人代表になった僕らでした。

ベイルートのラフィック・ハリーリ国際空港は、
いささか年季の入ったこじんまりしたもの。
ハイテク化が進む成田に比べ、
入国審査、税関検査ともにオールドファッションな感じでしたね。
僕らにとってはこうした空港の方が手慣れたものですが、
今回は飛行機を出たところから旅人センサー全開!
そう、政情不安のムードを検知するには、
こうした場所の警備や人々の表情から読むのが一番手っ取り早い。
そこで乗客、空港職員の様子を何気なく伺っていると・・・

フツーです。なんともない。

僕らはあっさり入国審査を抜け、
空いていた所為か、バックパックもさらっと受け取り、
あれよあれよというまにアライバルロビーへ。

そこで無料ピックアップをお願いしていたホテルのドライバーと落ち合い、
移動中に話をしてみれば・・・

「このところレバノンの治安はいかがですか?」
「・・・? 治安?」
「そう、日本の外務省によると、
 現在、レバノンは反政府デモが活発に行われており、
 滞在には注意が必要だとのことでした」
「はっはっは! ぜ〜んぜん大丈夫!」
「本当に? それでは僕らがバールベックやビブロス、
 トリポリに行くのも問題ありませんか?」
「もちろん! 私は昨日バールベックへ行ってきたばかりですよ」

しかし、ここで「はいそうですか」とならないのが僕ら。
重要な判断をするときには、
相手を変えて同じ質問を3回するのがととらルールです。

そこで次はホテルのフロントのお兄さんに訊いてみると・・・

「え? 治安ですか? そうですね・・・」

ここで彼はしばし考えこみ、

「今日のところは問題ありませんでした。
 でも、明日はどうなるか分かりません」

なるほど、そりゃごもっともで。

確かに空港からホテルまでの道中で、
軍隊の姿や警察の検問はありませんでしたし、
デモや道路封鎖もなく、一見したところ平和そのもの。
しかし、それが明日も続くとは限らない。

それでは最後に、
観光庁直営のツーリストインフォメーションで訊いてみよう!

と目抜き通りのハムラストリートを東に向かって歩いてみれば、
反政府活動こそ目に入らなかったものの、
傷んだ街並みや道路の様子は僕らの記憶に照らすと、
中東というより南米やアフリカの都市に近い感じ。
数時間前までいたアブダビとはまったく違います。

その印象に不気味さが加わったのは、
なんと目的の観光庁の前まで来たとき。

「あった、ここだ」
「え? どこ?」
「目の前の建物だよ」
「え〜っ! これ?」

ともこが訝るのも無理はありません。
平日の午後3時だというのに建物にはひと気がまったくないだけではなく、
1階のツーリストインフォメーションと思しき区画は、
さながら空きテナントのような状態です。
しかしよく見ると数カ所の窓から明かりが漏れていました。

「こりゃどうしたことだ?」
「やってないんじゃない?」
「いや、まがりなりにもお役所だよ。やってないってことはないと思う。
 おや、あそこに警察官がいる。ちょっと行って訊いてみるよ」

「すみません。
 ツーリストインフォメーションはもうやっていないのでしょうか?」
「ああ、明日の10時に開きますよ」

とな?

こうして旅行者が集うハムラストリート周辺をざっと歩いてみた限り、
空港からの道中と同じく軍隊の姿はありませんし、
警察が特別な警備態勢を取ってるわけでもない。
むしろ彼らの姿はほとんど見かけませんでしたし、
市民の様子からも緊張感は感じられません。

しかし、旅人の勘が「気を付けろ」と僕に囁きます。

「とりあえず料理の取材を始めて、
 明日の午前中にもう一度観光庁に行ってみよう。
 ベイルート以外の場所を訪れるかどうかはそのあとで判断だ」

僕たちはレストランの下見をしながら、
日が暮れる前にホテルまで帰りました。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年11月27日

第7回研修旅行 その2

海外旅行をする際、航空会社でUAEのエミレーツや、
エティハドを使う人は少なくないと思いますが、
入国する人はあまりいないのではないでしょうか?
特に観光資源の乏しいアブダビは、
中東ビジネスの拠点にもなっているドバイと異なり、
観光客の姿さえ見かけることは稀です。

そんな場所で僕らは何をうろちょろしているのか?

いや、旅の食堂のネタならあるんですよ。
それもふんだんに。

今朝から僕らが行ったのは、
西部海岸沿いのミーナ地区に散在するスーク(アラビア語で市場)。
特にフィッシュスークはアタリでした。
ペルシャ湾で獲れる魚の種類が分かるだけではなく、
隣接するレストランでは新鮮なシーフードを使った、
いろいろな種類のアラブ料理が楽しめるじゃないですか。
直感で入った店もまた大アタリ。
さっぱりしたタブーレから始まり、
シーフードタジン、シーフードライス、
そのどれもが極上の出来だったのです。

夜は夜でチキンのドネルケバブを添えたフムス、
取材予定だったヒヨコマメとソラマメをブレンドしたファラフェルなど、
思わぬ収穫で取材初日からフードファイトのはじまりはじまり。
アラブ料理ってほんとに美味しいんですよ。
どの経験も皆さんとシェアしたいなぁ。

さて、入ってみたい店はまだまだありましたが、
今回の取材の軸足は念願のレバノン。
いよいよ明朝のフライトでベイルートに向かいます。

で、気になる現地の状況なんですけどね。
なんか、芳しくなさそうで・・・
とりあえず内戦のような状態にはなってなさそうですが、
28日から30日まで全国的なゼネストが呼びかけられているそうな。
やれやれ・・・
飲食店がシャッターを下ろしてしまうと僕らは万事休すです。
でもこればっかりは行ってみないと分かりません。

ま、明日の夕方には詳しい状況が分かるでしょう。
それでは明日5時半起きなのでおやすみなさい。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 03:04| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記