2023年03月23日

柴又で初めての春

昨日と一昨日を連休し、
僕らは営業中にできなかったタスクと格闘していました。
そのひとつが大工仕事。
まだ住居部分の家具がいくつか未完成なのですよ。

これをやっていて思い出したのが、
去年の5月から6月のころ。
店舗工事の大工さんたちに混じって、
僕も店の什器や家具を作っていたのです。

こうして丸ノコでべニア板を切っていると、
あの慌ただしくも、
新しいととら亭が形になって行く日々が蘇ってきます。

その間の生活も不便でした。
引っ越してはみたものの、
キッチンはおろかシャワーすら使えませんでしたからね。

それでも楽しかったですよ。
一歩ずつ夢を形にして行くプロセスっていうのかな?

そこで気分が盛り上がった昨日は仕事を終えた後、
あの頃のように銭湯に行ってきました。
ん〜・・・いいですね。
もろ昭和の雰囲気に浸りつつ、大きな湯船で足を延ばしていると、
体も心もすっかりリラックスしてきます。

さっぱりしたところで、
夕飯はこれまた当時よく通った参道入り口左側にある、
中華料理の福園さんに行きました。
ここの定食はおいしくて、ボリュームも満点。
定休日が同じ火曜日なので最近ご無沙汰でしたけど、
おばちゃんが変わらず元気で良かったです。

そしてお腹をこなすために、
帰りは遠回りして江戸川沿いの柴又公園へ。
ここの桜はほぼ8分咲きでした。
柴又で見る初めての桜です。

この街はいろいろな楽しみ方があるので、
今年は少しずつやってみようと思っています。
まずは山本亭で優雅なティータイムかな?
寅さん記念館にも行かなくちゃ。

えーじ

sakura_0323.jpg
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2023年03月20日

独立13周年記念が過ぎて

ととら亭とは、
僕らの旅の食体験をシェアする場所です。

こうして再現した料理は、かれこれ140品くらいになりますが、
なかでも思い入れ深いのがチレス・エン・ノガーダ

本来、メキシコの独立記念日に食べられているものを、
ノガーダ → 野方 と置き換えて、
僕たちの独立を祝う料理としました。

メキシコを訪れたのは2009年6月。
それはまだ野方という街を知る前であり、
独立に先駆けて中米から南米を3カ月間巡った、
記念すべき最初の料理取材の旅でもありました。

3月3日は、その印象深い旅や、
独立に向けた長い道のりを思い出す日です。
そして食文化だけではなく、
ノガーダを通して皆さんと僕らの経験をシェアできることは、
大きな喜びにもなりました。

今年、柴又で新しいお客さまに、
この料理を知っていただけたことは、
僕らにとって新しい旅の第一歩でもあります。

そしてまた、
野方時代の多くのお客さまがこの日を楽しみにしていてくれたことは、
言葉にならない感慨があります。

どうもありがとうございました。
この仕事をやって、本当に良かったです。

えーじ

P.S.
お仕事や健康上の理由でご来店頂けなかったお客さま。
遠く離れていても、
皆さまの気持ちはしっかり伝わっています。
どうもありがとう!

We will always be with you.
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2023年03月18日

僕らの異動

ときはまもなく3月下旬。
多くの組織人が一喜一憂する人事も、
はっきりした頃ではないでしょうか?

独立して異動とは無縁になった僕らですが、
この春はちょっと違います。

気分的にはもとの部署に戻った感じ。

と申しますのも、
コロナ禍で缶詰のあいだ、実際の仕事も大きく変わって、
さながら「感染症対策課」に配属された状態だったでしょ?

それがマスクを外せただけではなく、
旅に戻れるとなれば、
慣れ親しんだ部署に異動したようなものじゃないですか?
ほんと、3年以上、人事課に希望を出し続けて、
ようやく認められたような気分です。

そこでさっそく取り掛かっているのが、
以前使っていたテンプレートを用いたスケジューリング。
いわゆる期初の業務計画です。

基準になるのは取材旅行の場所と期間、そして時期。
6月の東南アジア、11月のオーストラリアを軸に、
事前準備のタスクを逆算して予定表に落として行きます。

これがもう旅を始めているようなものですから、
資料のページを繰るだけでもわくわくしっぱなし。

また、今年からは旅行期間の制約が緩んだので、
思い切った取材ができるようになりました。
食文化の調査はフィールドワークが基本で、
どうしても時間がかかりますからね。

これからは今までのような、
みっちり組んだスケジュールをこなす旅ではなく、
往復の航空券と取材地、
それと初日の宿以外はフレキシブルに駒を進める、
僕たち本来のスタイルで行きます。

さぁ、忙しくなって来たぜ!

えーじ
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2023年03月15日

別々の道を歩んで

先日、会社員時代の仲間が来てくれました。
話をしていて、はっと驚いたのは、
同い年だった同僚が定年を迎えると聞いたとき。

そうか、もうみんな60歳だもんな。

僕が彼、彼女たちと一緒に働いていたのは、
もう14年も前のこと。
あれからその会社は業績を大きく伸ばし、
今では社員数も僕が在籍していた頃の倍を超えたそうな。

昇進とか、定年という考えとは無縁で、
ぱっと飛び出してしまった僕と違い、
ひとつのところで何十年も過ごしてきたのか・・・
そう思うと、すごいな、という感慨がこみ上げてきます。

そして、60歳という年齢がゴールラインの彼らと、
別のスタートラインになった僕の構図は、
社会の主流と傍流そのもののような気がしないでもありません。

安定を求めることも、変化に身を投じることも、
それぞれの人生の、それぞれの選択です。
そこには正解も間違いもない。
成功も失敗もない。
ただ、彼らと僕が違うように、あなたと僕が違うように、
純粋な差異があるだけ。

長い間、お疲れさまでした。
いつか、ととら亭で、懐かしい話をしましょう。

僕ですか?
いいおっさんになりましたけど、いまだに青臭いままですよ。

えーじ
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2023年03月12日

僕らにとって、ととら亭とは?

ととら亭の仕事はキツイですよ。

前回のブログでこう言いましたが、
実際のところ、その通りです。

繁忙期やメニュー替えを除いても、
睡眠不足は普通だし、
慢性疲労で目覚めたときに前夜より疲れてる!
なんてことは珍しくありません。

また、予算不足からDIYが基本なので、
労働時間は相変わらず月400時間前後。
それでも労基局は守ってくれませんし、労災も認められない。
有給休暇も退職金も産休も介護休もない。
おまけに収入は不安定でいっさい保証なし。

さらに個人事業主というのは孤立無援の存在でして、
指示を出してくれる上司も、相談できる相手もいません。
困ったときに読むマニュアルもない。
何でも自分で考えて判断しなくちゃならない。

そしてとどめが前回お話しましたとおり、
儲からない!

にもかかわらず、

楽しいです。

すんごく。
だから生涯現役でいたいと思っているくらい。

なぜか?

これだけマイナスの要素にまみれていても、
やりがいを感じていられるのは、
たぶん、自分たちにぴったりの仕事とその仕組みだからでしょう。

独立するまでのさまざまな職歴の中で、
僕らは何が自分たちに向いていて、
何が向いていないのかを知りました。

たとえば判断は速いけど根回しは苦手とか、
突破力はあっても協調性に欠けている、などなど。

そこでその特性を最大限に活かすには、どんな仕事と場がいいのか?
換言すれば、自分に最も無理のない環境とは、どんなところなのか?

これがありませんでした。
どこを探しても。

ならば自分たちで創るしかない!

こうして生まれたのが旅の食堂ととら亭だったのです。

ま、ふたを開けたら、
これがまたバックパッカーの旅とそっくりだったのですけどね。

えーじ
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2023年03月09日

ととら亭というビジネス

「当店には競合がないので大丈夫です!」

これは移転に伴う融資の件で、
銀行に行ったときの僕の言葉。

公務員や会社員の方にはピンと来ないかもしれませんが、
個人事業主というのは社会的に信用がありません。

加えて10年以上の経営実績があっても、
野方から柴又への移転となれば、
固定客数は完全にリセット状態。
融資担当者が慎重になるのも無理からぬ話なのです。

そこで先方を安心させるために、
僕は旅の食堂というビジネスの「優位性」を説明したのでした。

え? ずいぶん大きく出たもんだ?

いや、これは十八番のはったりじゃありません。
本当にライバルがいないんですよ、ととら亭には。

なぜか?

儲からないからです。

そのわりに大変だからです。

つまり労働対効果がやたらと低い。
おいしい仕事は追従者が増えますけど、
その逆を真似する経済マゾヒストがどこにいます?

だからライバルなんて、頼んでも出てこないんですよ。
(もちろんこれは銀行で言いませんでしたが)

ではなぜ儲からないかと申しますと、
ビジネスをミニマムにチューニングしているからです。

住宅地型の商店街で非日常型のレストランをやる場合、
集客数のギャップはオフィス街などに比べて、
とてつもなく大きくなります。
たとえば先の週末の場合、

土曜日 → ランチがらがら → ディナー満席
日曜日 → ランチ満席 → ディナーとほほ・・・

ここで教科書的な経営者なら満席状態に規模を拡大し、
「すみません、ただいま満席でして・・・」を避けるでしょう。
稼げるときに稼いでおくのはビジネスの鉄則ですからね。
しかし規模を拡大すれば人件費などの固定費が上がり、
新型コロナショックのような急激な変化が起きると、
持ちこたえられなくなってしまいます。

ところがととら亭の場合、
がらがら&とほほにチューニングしているので、
従業員さんのいる中規模以上の店が景気良く稼いでいる時に、
や〜、うちも儲かった! とは残念ながらなりません。
反面、売り上げが悪くてもダメージは少なく、
ま、こんな日だってあるさ、と気分を変えてお風呂に入っちゃう。

大変さについては、
経費を節約するために可能な限り外注を避けているのに加え、
そもそも旅の食堂は頻繁にメニュー替えがあるため、
少なくとも4半期ごとに新しい料理をマスターしなければなりません。
そうなると労働時間が爆発的に増えるだけではなく、
精神的なプレッシャーも上がるので、
それこそ好きでなければできなくなるのです。

これがととら亭というビジネス。

誰も真似することが出来ないものではなく、
真似する気にはなれないお仕事なのでございました。

えーじ
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2023年03月06日

僕らにとって、野方とは

僕らがどのようにして野方に行き着いたのかは、
以前「野方への道」シリーズでお話しましたが、
では僕らにとって、その野方とは何だったのか?

12年の歳月を過ごしたあの街は、
生まれ故郷とは別の意味で特別な場所でした。
何より引っ越しを繰り返した僕らには、
出生地に次いで圧倒的に長く過ごしたところですからね。

しかしながら居住地であり勤務地であった。
以上!

と、ドライに片付けられるわけではありません。

そこには多くの出会いがあり、
職場というより、学校に近かった気がしています。

街との関係もこれまでにないものでした。
たとえばアパートを出てお店まで歩くたった400メートルの間に、
いったい何人の人と挨拶を交わしたことでしょう。

お客さま、商店街のフェロー、
そして野方を職場とする郵便局や宅急便の人々。
みんな顔だけではなく、名前も知っている間柄です。

今の世の中で、こういうことはあんまりないでしょう。
とりわけ東京のような都会では。

思えば野方は出会いのときからフレンドリーでした。
こういうのを相性というのでしょうか?
不動産会社から出店地として紹介を受け、
初めて訪れたのが2009年11月上旬のこと。

昭和の雰囲気を残す細い路地の商店街を歩き、
いい感じのところだな・・・と思ったのを覚えています。

それから出店を決断するまで1カ月半。
住んでみると、思った以上に住み心地の良い街だと分かりました。
さまざまな個人店が軒を並べ、区役所の出張所もあり、
普段使いのものなら何でもそろいます。
また新宿まで15分程度とアクセスもいい。

そして何より、僕らのような風来坊にも、
土地の大先輩方が親切に接してくれたこと。

こうした風土だったからこそ、ととら亭が育ち、
僕らが12年間も住んでいられたのだと思います。

そうですね、僕らにとって野方とは、
旅先で出会った古い友人、そういう関係なのかもしれません。

えーじ
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2023年03月03日

The best day of our life.

世にさまざまな記念日がありますけど、
僕らにとって最高の日は3月3日。

雇われの身から独立した日であり、
ととら亭の開業日でもあります。

あれから13年が経ちました。

楽しかったこと、悲しかったこと、
いろんなことがありました。

そんな移ろいゆく社会の中で、
進むべき方向を見失うこともありますが、
どんなときも僕たちが立ち戻るのは、この日なのです。

そこには僕らの夢と希望がありますから。

この日を信じて進み。
この日があったからこそ今日まで旅を続けてこられた。

The best day of our life.

いつまでも忘れることはないでしょう。

daruma2023.jpg

ともこ & えーじ
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2023年03月01日

13年目のこだわり

明後日の独立記念日から、
2年ぶりにチレス・エン・ノガーダが始まります
(去年はととら亭が移転建築中だったので)

そこで、いきなり困ったのがピーマン。

重要な素材であるチレ・ポブラーノをシミュレートする、
大きめのピーマンを探していたのですが
何処をどう探してもSサイズしかないのですよ。

2009年に僕らがメキシコのプエブラで食べたのは、
日本の標準的なピーマンのほぼ倍はありましたから、
この雰囲気を再現するためにも特大を探さなければなりません。

nogadaorijinal.jpg
これがオリジナル

また、大きければいいというわけでもなく、
パプリカのように肉厚でもダメ。
火の通りが悪くなってしまいますからね。

そこでこの難題を相談したのが近所の八百屋の八百勝さん。
担当のヒロくん曰く、

「え〜! そんなに大きいのですか?
 困ったな・・・
 今季は例年になく小さいものしか出回ってないんですよ。
 でも太田市場ならあるかも・・・」

そうしていろいろな伝手に連絡して、
ようやく見つけてくれたのが茨城県行方(なめがた)産のこれ。

nogadapeman.jpg

どうです、この大きさ!
しかも肉厚過ぎず、チレ・ポブラーノそっくり。

料理というのは技術もさることながら、
素材がなければどうにもなりませんからね。
とりわけオリジナルの再現を目指すととら亭としては、
味だけではなく、見栄えも重要な要素。

今回はこれまでになく、
オリジナルに近いチレス・エン・ノガーダが作れそうです。
乞うご期待!

えーじ
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2023年02月27日

僕らの野望

「えーじさんの野望って何ですか?」

先日、こんなご質問を頂きました。

ん〜・・・野望ねぇ・・・

やっぱり、ミシュランの星を取って銀座に移転し、
ニューヨークやパリに支店を出す・・・

なんてないし。

ぱっと思い浮かんだのは、
夫婦そろって旅を続けること・・・かな?

え? 地味すぎる?

でも、旅が地球規模になると、
けっこう大きな話になってくるのですよ。

たとえば僕らが行った国の数は現在70数カ国ですが、
この数字だけでも国連加盟国の1/3程度しかありません。
さらにアメリカやロシアなど面積の広い国になると、
たかだかニューヨークやサンクトペテルブルクに1週間いたくらいで、
「知ってます」とはとても言えないでしょう?

そうなると、
「僕らは世界中を旅してきました!」と胸を張るには、
少なくとも3回くらい生まれ変わって続けていなければ、
無理だということが分かります。

地球は Google Earth で見るよりずっと大きい。

そして旅は大容量のシステムと、
高速化されたネットワークで構成された情報の堆積ではなく、
五感を通して感じる経験に他なりません。
だからその場に行くしかない。

というわけで、
「どれだけ遠くまで行けるか?」が、僕らの野望なのでございます。

えーじ
posted by ととら at 09:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記