2017年02月26日

第13回取材旅行 その10

ブダペストでの2日目。
取材は順調に進んでいます。
心配していた僕らの胃腸の調子は、おっと危ねぇ!
な時も何度かありましたが、
ピンポイントの胃薬ドーピングで辛うじてクリア。

今回は比較的にやり易い取材です。
と言うのも、
ギリシャ、ハンガリー共に郷土料理のバリエーションが多く、
それを提供する店も沢山ありますので。

出発前に心配していた気温は拍子抜けするくらい。
4カ国を通じて東京と殆ど変わりません。
反対にちょっと暖かいくらいな街さえありました。
一番寒かったのは、調子が悪いのに僕らだけバスを降ろされた、
マケドニアとセルビアの国境かな?

治安はとてもいいです。
難民問題で入出国のチェックが厳しくなっているかな?
と旧社会主義国家のレガシーが微妙に残る、
マケドニアやセルビアではホテルの滞在証明もしっかり取っていましたが、
(ウズベキスタンやカザフスタンのレギストラーツィアと同じものです)
先にちょろっとお話しましたように、
僕たちが通過した国境は何れも緊張感が希薄・・・
と言うか、はいはい、いらっしゃい〜、それじゃまたね〜、な感じ。
インスペクターも至ってフレンドリーです。
税関は僕ら程度の持ち物とおカネではスルー状態。
他の人々も頓着していなかったご様子でした。

各国の経済状況は昨今の欧州のそれを反映して厳しい印象を受けました。
特にマケドニアとセルビアは、
公共サービスもかなり草臥れているのではないでしょうか。
ゼネラルインフォメーションを参考にそれぞれの懐事情を算出すると、

ギリシャ
 平均月収約235,000円 世界ランキング31位(日本の約2/3)
 ジニ係数34.3%(93位) 貧困層の割合20.0%(103位)

マケドニア
 平均月収約 40,000円 世界ランキング88位(日本の約1/10 世界平均以下)
 ジニ係数39.2%(65位) 貧困層の割合30.4%(63位)

セルビア
 平均月収約 50,000円 世界ランキング80位(日本の約1/9 世界平均以下)
 ジニ係数38.0%(72位) 貧困層の割合9.1%(140位)

ハンガリー
 平均月収約112,000円 世界ランキング46位(日本の約3/10)
 ジニ係数24.7%(138位) 貧困層の割合14.0%(131位)

データの精度と確度を差し引いても、僕らが見た状況とこれらの数字は、
あながち乖離したものではありませんでした。
実際、ギリシャやハンガリーでも物乞いは少なくありません。
社会的な弱者はどこも老人と身体的ハンディキャップのある人、
小さな子供連れ、そして少数民族です。
僕はマルクス・エンゲルスファンではありませんけど、
凍てつく路上でうずくまる人々の脇を、
高級外車が通り過ぎる光景を目の当たりにしていると、
わ〜い、資本主義の国に生まれて良かった〜!
とは手放しで喜べませんね。

確かに自由競争は文化の発展のみならず、
ミクロな個人の幸せにも大きく寄与していることは事実ですが、
原理的に言って、
一握りの勝者を多数の敗者が支える仕組みであることには、
変わりがないでしょう?
だから先般亡くなったキューバのフィデル・カストロは、
資本主義国、特に先頭を行くアメリカを『帝国主義』と、
呼んだんじゃないのかな?

僕たちは今、産業革命華やかりし時代の経済、
そう、『むき出しの欲望』を原動力とする、
『見えざる手』に再び自らの運命を委ねようとしています。

バルカン半島の国家間の、EU諸国間の経済格差、
これは遠く離れた世界の話ではないのではないか?
僕にはそう思えてなりません。

おっと! また話がマクロになってしまいました。
それでは僕らが下見したマケドニアとセルビアの旅を、
写真を交えながらダイジェストレポートしましょうか。

mc_minibus.jpg

ギリシャのテッサロニキを出発したミニバス。
旧ソヴィエト連邦圏でよく使うマルシュルートカそっくり。
ピカピカでしたけどね。

mc_road.jpg

テッサロニキはギリシャ第2の都市と言われていますが、
バスターミナルを出発して30分もすると、あたりはこんな景色に。

mc_border.jpg

ギリシャの国境。
高速道路の料金所とそっくりです。

mc_square.jpg

マケドニアの首都スコピエの中心部、マケドニア広場。
ここでハイティーンの子たちが片言の英語で、
「写真を撮って下さい!」
と言うから彼女のスマホを受け取ろうとすると、
「いえいえ、一緒に写って下さい!」
東洋人は珍しいのでしょうね。

mc_bridge.jpg

地味ですがスコピエのランドマークの一つ、カメンモスト(石橋)。
この周辺は夜景が美しいと楽しみにしていたのですが、
熱を出した僕はモーテルで沈没。
リベンジの課題がまたひとつ増えてしまいました。
そうそう、この先にあるオールドバザールにも行けなかったんですよ。
うう・・・

mc_station.jpg

驚くなかれ、13時頃のスコピエ中央駅のチケット売り場です。
日本で言ったら東京駅ですよ!
誰もいません。しかも設備はご覧の通り。
待合室は鍵がかかり、ホームに上がれば冷たい北風がひゅ〜・・・
廃線になっちゃったのかしらん?
との印象を抱かざるを得ませんが、一応運行はされているそうです。
という訳で、僕らは選択の余地なく、国際バスを使ったのでした。

mc_motel.jpg

駅から徒歩5分ほどの所にある僕らが投宿したモーテル。
建物よりも周囲の状態にご注目を。
これも日本の場所に例えれば、丸の内か八重洲ですよ。
まぁマケドニアの規模と歴史を考えれば、
仕方のないことなのかもしれません。
面積は九州の約2/3、人口は東京都民の約1/6くらいなのですから。

mc_beans.jpg

代表的な料理と言えば、
白インゲン豆を煮込んだタフチェ・グラフチェ。
じわっと美味しい素朴な料理でボリュームもあります。
これにパンがあれば、一食成立するでしょう。

mc_humburg.jpg

マケドニア版ハンバーグのブリュスカヴィッツア。
スパイス感はありませんが、お肉そのものがジューシーで美味しい。
これはチーズ入りバージョン。お腹いっぱいになります。

mc_bustarminal.jpg

スコピエ中央駅に隣接したバスターミナルから夜行バスで、
セルビアのベオグラードへ。
さて、それでは僕は気絶させて頂きます。

sr_rever.jpg

ふと意識が戻れば5時間前後が過ぎてベオグラード。
旧ユーゴスラヴィアの中心地だけあって大きな都市です。
これはカレメクダン公園の丘から俯瞰した市街。
この上空をNATOの戦闘機が飛んで爆弾を落としたのか・・・
目の前に流れるのはサヴァ川です。
これがすぐ右側でドナウ川と合流します。

sr_street.jpg

地味ですが美しいクネズ・ミハイロ通り。
西側の資本がボチボチ進出しており、
マケドニアでは見かけなかったマクドナルドもありました。
しかしセルビアの人々にとっては少々高級なお店です。

sr_street02.jpg

ここは個性的なお店が集まっているスカダルリヤ。
ランドマークはなくてもこうした街歩きはとても楽しいですよ。
よく見ていると小さな発見が沢山ありますから。

sr_street03.jpg

スカダルリヤ周辺はミニモンマルトルと称せられることもあって、
街中にアート感覚が溢れています。センスいいね。

sr_kaki.jpg

あ、中央市場をぶらついていて驚いたのがこれ。
柿ですよカキ! しかも名前に注目です。
JAPANSKA!
日本から伝わったんでしょうね。
ちなみにカキは日本原産ではありません。
中国の長江流域が原産地と言われています。
本名は『シィ』。韓国では『カム』と変化しているので、
朝鮮半島経由で日本に伝播した可能性が考えられますね。
そしてヨーロッパには日本経由で伝わったのか?
そう言えばトルコの市場では『KAKI』で売っていました。
場所は違いますがブラジルでも同じ。
いずれも熟れ過ぎでぐずぐずが好まれています。
不思議ですね。

sr_room.jpg

夜に熱がぶり返してしまったので、夕飯はホテルで。
取材にはあまりなりませんけど、
僕らはこうした食事が意外と好きでして。
長旅の時には、よくこんな風に食べていたものです。

sr_breke.jpg

バルカン半島一帯でファーストフードと言えばブレキ。
これはチーズやホウレンソウを入れたパイ。
一説によるとトルコのブリックが伝わったと言われていますが、
チュニジアのブリックは、
とろっと卵が溶け出す大型揚げギョーザ風だったので、
変化の大きい料理なのかもしれません。
冷めても美味しいですよ!

sr_hotelstaff.jpg

僕たちが投宿したホテルのラブリーなスタッフと。
彼女はとても親切な人で、
ハンガリーのセゲドへ向けたアクセスを色々調べてくれました。
余談ですけど、ご覧の通り、セルビアは美人が多い!
男性は体格が大きく、僕の身長(176.5センチメートル)で小柄な方。
180センチメートル級はごろごろいるし、
10頭身の190超えも珍しくありません。
サッカーやテニスを始め、スポーツが強い訳ですね。

sr_localhouse.jpg

ベオグラードを出発した僕らはまず北端の街、スボティザへ。
途中は広大な田園地帯。時折、こんな家がぽつぽつありました。
素顔のセルビアのひとつです。

hu_border.jpg

スボティザで国際バスに乗り換えてハンガリーのセゲドへ。
これはハンガリーの国境。
右側にバスが停まっているでしょう?
あそこでインスペクターが乗って来てパスポートを集め、
スタンプ押してを返してくれます。
で、ようこそEUへ!
セゲドの市内まではここから20分ほど。

如何でしょう?
今回は下見だけでしたので、さらっと通り過ぎてしまいましたが、
何だが惹きつけられるものがあると思いませんか?
華やかさこそなくても、西欧とも東欧とも異なる、
バルカン独自の魅力を僕たちは感じました。
でも特に印象に残ったのは、見ず知らずの旅人にやさしい人々の笑顔かな?

ん〜・・・やっぱりもう一回来てみなくては!

えーじ
posted by ととら at 18:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月25日

第13回取材旅行 その9

セゲドのホテルをチェックアウトしたのは今朝の10時。
そこから曇天の下、15分ほど歩いて駅まで行った僕たちは、
インフォメーションボードの前で佇んでいました。

「ふ〜・・・またこれか・・・」
「どうしたの?」
「僕らが乗る10時45発のブダペスト行きインターシティだけ、
 ホームナンバーが表示されてないんだよ」

僕の脳裏には、かつてブカレストやクラクフの駅で、
散々な目に遭った記憶が蘇って来ました。
自分の予約した列車に乗る。
ただそれだけで大汗をかかねばならないのが僕らの旅・・・か。

「仕方ない、取り敢えずホームに行ってみよう」

駅舎から外へ出てみると、
5番ホームにだけ人が沢山います。
時間からしてあそこの可能性が一番高いでしょう。

こうした時に不思議なのは、
幾ら探しても周りに鉄道会社の職員が見当たらないことです。
しかしプラスの材料もあります。
以前に比べてハンガリーの英語の普及率は格段に上がっていました。
であれば僕と同じ乗客に訊くまでです。

「こんにちは、
 このホームの列車は10時45分発のブダペスト行きでしょうか?」
「ええ、そうですよ」
「どうもありがとう」

この質問を移動しながら3人の乗客にしてようやく一安心。

一瞬イヤな予感がしたものの、13時10分、
僕らは無事に今回の旅の最終目的地、ブダペスト西駅に到着したのでした。
最後のアクセスはセゲドから2時間20分。

ここまで来てしまえばこっちのもの。
ブダペスト西駅からは隣接する地下鉄に乗り換えて3駅先のFerenciek tere駅へ。
地上へ出たら繁華街のヴァーツィ通りに南で直交する、
ピルヴァックス通りに面したホテルはもうすぐそこです。

ブダペストでなぜこんな風にスイスイ歩けるのかと言うと、
12年前に来た時の土地勘がある程度残っていたからなのですよ。
そう言う意味ではあまり変わっていない気がします。

ホテルに荷物を置いた僕らが早足で目指したのは、
そこから南に800メートルほど下ったところにある中央市場。
実はここ、取材と言うより、リベンジの場なのでした。
あの時の僕は疲労が祟って前日の夜にホテルでダウンしており、
翌日も胃腸の調子が芳しくなく、
市場の2階にある軽食堂の実に美味そうな焼きソーセージが、
食べられなかったのです。

「よ〜し、帰って来たぜ! 下の市場は後回し、目指すは2階だ!」
「あ、あるある、ソーセージ売ってるよ!」
「一番美味そうな店にアタックするぞ!」
「ハンガリービールも忘れずにね!」

hu_sausage.jpg

これですよこれ! 美味そうでしょ?
下に敷いてあるのは蒸し煮したザワークラウト。
ディジョンマスタードをたっぷり付けて頂きます。

hu_atstool.jpg

12年間僕らの頭にあったハンガリーのソーセージとビール。
いやぁ〜、もう美味いのなんのって。
(ともこの表情が全てを語っていると思います)

しかし、これで終わりではありません。
もうひとつ、忘れてはならないミッションがあったのです。

それは料理の名前の同定。

ととら亭でかれこれ90種類以上の旅の料理を紹介していますが、
ひとつだけ、料理の現地名が分からないままだったものがあります。
それがこの市場で食べた、
キャラウェイが香るザワークラウトとポークのシチュー。
当時は英語が殆ど通じなかった上に、
マジャール語の響きがどうにも僕の耳に入り難くて、
お互い肩をすくめるばかり。
後日、見かけから画像検索して、
多分「Székely Cabbage(セーケイキャベツ)」
ではないかと考えていたのですが、あまり自信はありませんでした。

今回はマジャール(ハンガリー)語の「ミエズ?(これは何ですか?)」
を覚えて来たから大丈夫!
そこで居並ぶ料理を見回してみれば、

hu_foodspalette.jpg

「あった! これだよ!」
「どれどれ? お〜、間違いない!」

ところが料理を指差して喜んでいる僕らに気付いたお姉さんは、

Hi! Would you like to try Hungarian cooking?
Come on! It's really good!
(ハーイ、ハンガリー料理を試してみません? ほら〜おいしいわよ〜!)

という訳で、このまま英語の会話になったのでした。
(せっかく覚えて来たのに・・・)
しかし分かりましたよ、本当の名前が。

hu_selkelyglyas.jpg

ととら亭で召し上がったお客さまも多いと思いますが、
この料理は『Székely Gulyás(セーケイ グヤーシュ)』。
直訳すると『セーケイ地方のシチュー』と言い、
僕の推測もあながちNGではなかったのでした。
食べてみれば何とも懐かしい味がするじゃないですか。

思えばこうした10年越しのリベンジは、
2015年6月の中欧旅行の時もありました。
あの時はスロバキアでの取材がちょっと早めに終わったので、
日帰りでウィーンに行き、
以前行きそびれたデメルでショコラ―デントルテを食べたのです。

僕らは基本的に過ぎたことはあまり執着しない方ですが、
食べることとなれば話は別。

ん〜・・・Mission Complete!!!

さて、話はハンガリーから日本に変わり、
発売されましたね!

『世界まるごとギョーザの旅』

最初は3月上旬になるかな、というスケジュール間でしたが、
出版社さんからの話では、もう書店に並びつつあるそうです。
ウェブでも紀伊国屋さんやamasonさんでも売り始めていました。
あ、もちろんととら亭の隣の『はた書店さん』でも売っていますからね!

面白いですよ〜!
よろしくお願い致します!

えーじ
posted by ととら at 04:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月24日

第13回取材旅行 その8

今日はセゲドで終日のんびりしていました。
ここは所謂『観光地』ではないので、世界遺産はおろか、
ランドマークになるようなものは殆どないのですが、
この地味さがスロバキアのブラチスラヴァにも似た、
落ち着きと静けさを醸し出しているのですよ。
端的に言えば素顔のハンガリー・・・なのかな?

それでも外国人がいない訳ではなく、
ローカルレストランや駅でも大抵英語が通じます。
僕のマジャール語は挨拶だけなので助かりますね。

泊っているホテルはこんなところ。

Science Hotel

『科学ホテル』とは、ちょっとコンセプトが面白いところで、
ロビーは図書館かお洒落な書店風。
お値段はダブルルームで1泊日本円で約5,400円。
今回の取材旅行でもっとも高い部屋です。(しょぼい予算だね・・・)

しかしコスパがスゴイ!
部屋はきれいで広く、
ベッドなんて僕らが住んでいるアパートの寝室と同じくらいの大きさ!
当然安宿のぼよよんベッドではなく、程よい硬さで寝心地抜群。

朝食がまた素晴らしく、
セゲド名物の超うまいサラミやチーズがずらっと並び、
美味しいパンが何種類もあります。
日本でならこの朝食ビュッフェだけで、
1人2,000円はするだろうという、
ゴージャス、デリシャス、デンジャラスな内容。
それを考えると二人分の朝食代と部屋代で先の料金ですから、
なんかすごくお得な気分になりました。

スタッフもみな英語が堪能でフレンドリー。
たまにはこうした小さな贅沢もいいものですね。

おおっと、仕事もちゃんと再開していますよ。
でもマジャール(ハンガリー)料理の話をする前に、
今日は前半に行ったギリシャの取材をビジュアルにご報告しましょう。

grc_airport.jpg

イスタンブールを経由して僕たちが着いたのは、
アテネ国際空港(エレフテリオス・ ヴェニゼロス国際空港)。
意外とこじんまりしたところです。
市内へのアクセスは良く、空港から道路を挟んで地下鉄の駅があり、
ここから2号線で中心部のシンタグマ駅まで乗り換えなしで20分くらい。

grc_athenaiview.jpg

アクロポリスの丘から眺めるアテネ市街。
高層建築物は殆どありません。
2000年を超える歴史を俯瞰できる稀有な場所です。

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オモニア駅から南へ200メートルほど行ったところにある、
アテネの中央市場。
威勢のいい売り子の声が飛び交っています。
海が近いため、新鮮な魚介類が豊富でした。
野菜の品種も多く、食文化の豊かさが実感できます。
料理の内容を反映してスパイス系の販売量は、
隣国のトルコに比べてずっと少なかったですね。
ここに散在するタベルナ(ローカル食堂)のシーフードは絶品でした。

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grc_nightview02.jpg

僕たちが投宿したホテルのあるプラカ地区。
歩いているだけで楽しめる、美しい街です。
夜は映画の世界へ迷い込んだようにロマンティックですよ。
治安がいいので不安はありません。

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こんな素敵なタベルナが沢山あります。
観光客の減る冬季は休業する店が多いと前情報にありましたが、
どこも普通に営業していましたね。
価格はリーズナブルで、
前菜1品と主菜2品を二人でシェアし、
ワインやビールを飲んで東京相場の2/3くらい。
場所によっては1/2ほどの予算で満腹するタベルナもありました。
例によって量は・・・スーパーサイズです。
ものにもよりますが前菜でととら亭の主菜くらい。
で、主菜は・・・体育会系御用達ですね。
エンゲル係数の高さにお悩みの方には打ってつけでしょう。

grc_menu.jpg

店の前にはこうしてメニューがあり、
ラブリーなホールの人もいるので、取材にはとても便利。
ちなみにアテネのタベルナのホール担当は、
ととら亭と同じく大体オヤジです。
これがいいんですよ!

grc_staff.jpg

ほらね?

grc_restaurant.jpg

タベルナはレストランよりワンランク下と見なされがちですが、
店内は見ての通り、とてもいい雰囲気の店が多いです。
お客さんも地元の人が沢山おり、常連さんに交じってアットホームな感じ。
プラカ地区以外だと英語は微妙になりましたけど、
それでもコミュニケ―ションに困ることはありませんでした。

それではいよいよ取材の成果の一部をご報告しましょうか。

grc_gsalada.jpg

まずは前菜から。グリークサラダです。
サラダにででんと乗っているのは豆腐ではありません。
羊や山羊の乳で作るフェタチーズ。
僕が横浜のギリシャ料理レストラン食べたグリークサラダには、
角切りのフェタチーズがコロコロっと入っていましたが、
本場ではこの通りの大盤振る舞い。
これが実に美味しいんですよ! チーズ好きにはたまりません。
このサラダとパンだけでも白ワインかビールがあれば、
あなたは天国を垣間見れるでしょう。

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トルコの影響を感じるドルマダキア。
ブドウの葉で挽肉と米を包んで煮たものです。
ソースは軽いベシャメルにレモンジュースを少々。
この料理、トルコを中心にバルカン半島南部の国々を始め、
コーカサス、アラビア半島、中央アジアにかけて広がっているのですが、
僕らがこれまで食べたドルマの中でアテネのものが一番おいしかったな!
クセもなく、ソースとの相性もばっちり。

grc_eggplant.jpg

これはナスのドルマ。
トルコでは何かで巻いたものがサルマと呼ばれ、
詰め物系がドルマと呼ばれますが、
ギリシャではみなドルマ。スパイス感はあまりありません。
これは先のドルマダキアとはまた別の味わい。
前菜とはいえナスが大きいのでボリューム満点です。
東洋人の女性ならこれとパンで一食完結でしょう。

grc_octopus.jpg

タコのマリネ。
シンプルな一品ながら計算され尽くした逸品です。
鮮度のいいタコを取り巻くのはケッパーの風味と塩味、
干しブドウとそっくりなドライトマトの甘み、
オレガノとタイムの香り、そして全体を包むフレッシュなオリーブオイル。
ともこはこれだけで白ワインをかなり飲んでいました。
ちなみにギリシャのワインは美味しいですよ。
キリキリのドライではないのですが、
ふくよかな丸みがあり、瑞々しいフルーツの余韻が残ります。
これがこうしたシーフードの料理と相性抜群なのですよ。

grc_sardin.jpg

そしてイワシのフリッター。これはマジでクセになります。
食べ出すとかっぱえびせん並みに止まりません。
揚げ物でも重さがまるでなし。
僕らは市場で食べたので鮮度は折り紙付き。
あ〜、もう一回食べたい!

grc_mousaka.jpg

そろそろメインも行ってみましょう。
まずは有名なムサカです。これはナスやポテトを敷き、
その上にシナモンが香るトマトソースで和えた挽肉のラグーを乗せ、
軽いベシャメルとチーズをかけてオーブンで焼いたもの。
元々はアラブ発祥の料理と言われていますが、
今は完全に換骨奪胎され、
バルカン地方の料理としてのアイデンティティが感じられます。
異なる素材を積み上げ、単純な足し算を超えた味を創造するところは、
まさしくアートと呼べるのではないでしょうか?
ここでワインは赤に切り替えましょう。
フルーティなミディアムボディタイプがぴったりです。

grc_meatball.jpg

トルコのミートボール、キョフテに似たスズカキャ。
やはりこれもギリシャ化が進んでおり、
肉はポークを含む合挽き肉が使われ、スパイス感が減っています。
しかしながら、この変奏曲が素晴らしい。
肉の引き具合にもこだわりが感じられます。
ちょっと粗っぽいんですよ。そこがいい。
ワインが進みます。

grc_lemonlamb.jpg

最後はラムのレモンソース添え。
煮込んだラムと言えばチュニジアのクーシャを思い出しますが、
この料理にはスパイスが殆ど使われていません。
味に輪郭を与えているのはご当地らしくフレッシュなレモンジュースです。
これがコクのあるスープに一服の清涼感を与え、
あっという間にボリュームのある料理を平らげてしまう、
魔法を生み出しているのです。
お供はポテトがお約束。

如何です? お食事前の方はお腹が空いて来たでしょう?
実はこれ、取材した料理のごく一部なのです。
先の市場でも見たように、ギリシャは豊かな山海の食材に恵まれ、
料理のバリエーションは多岐に渡っています。
また街が変わればそれが更に変化して行くので、全部食べ尽くすには、
強靭な胃腸と数カ月の日にちが必要になるのは間違いありません。
食後のデザートもいろいろありますが、
最後はリキュールのメタクサや蒸留酒のウーゾで締めるのも一興。
楽しみ方は十人十色ですね。

grc_us.jpg

最後はこれ。
たまには僕らもお約束通りにやってみました。

明日は今回の旅の最終目的地、ハンガリーの首都、ブダペストに移動します。
天気は・・・雨かなぁ?

えーじ
posted by ととら at 03:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月23日

第13回取材旅行 その7

ご心配おかけしましたが、僕はすっかり回復しました。
昨日はベオグラードに着いてちょっと安心した所為か、
夜にちょろっと熱がぶり返しましたけど、
一晩ベッドでぐっすり眠ったからもう大丈夫!

それにしてもバルカン半島の文化は奥が深いですね。
2013年に取材した東ルートのルーマニアとブルガリアに続き、
今回は中央を北上するギリシャ、マケドニア、セルビアを訪れましたが、
アテネとテッサロニキ以外は下見程度とはいえ、
2000年以上を遡って重層する歴史の深みと広がりにはため息が出ました。

ドイツ人の友人のビルギッタさんにアテネからメールを出したところ、
こんなレスを頂いたのでご紹介しましょう。

 Travelling is study in action
 and meeting the many different forms of 'homo sapiens...'
 loved Greece...the origin of my culture...

”旅は行動で学ぶことであり、
 そして幾つもの異なるホモ・サピエンスの形との出会いなのです・・・
 愛されしギリシャ・・・私の文化の起源よ・・・”

そう、ドイツ人とかギリシャ人という「ラベル」の話ではなく、
バルカン半島と呼ばれる悠久の時の断層から露出しているのは、
まさしく彼女の言う通りホモ・サピエンスの「歩み」の一部なのですよ。
だからドイツ人の彼女がギリシャを想い、
「私の文化の起源よ・・・」と言っても矛盾はないのですね。

僕らの専門の料理にしても、
トルコ、アラブ、ペルシャ、マジャール(ハンガリー)、イタリア、
ブルガリアなどの食文化が微妙な割合で混じり合い、
かつ現在の土地の文化と融合したもので、
簡単に近代国家の呼称を引用して、『マケドニア料理』とか、
『セルビア料理』とは言い切れないものばかりでした。
ん〜、次はぜひ西ルートで回ってみたいですね!

さて、今日の僕らは朝10時前に、
再びベオグラード駅に隣接するバスターミナルまで行き、
セルビア北端の街、スボティツェへ。
所要時間は約3時間。
ハンガリーのセゲドまで直接行く便がなかったので、
ここで乗り換えです。

スボティツェではチケット売り場で訊いてみると、
セゲド行きは国際バスなので、ここでチケットは売っていないそうで。
バスドライバーから直接買って下さいと言われました。
ただターミナルに入る入場券も必要なので、それは窓口で購入。
発車時刻は15時。ターミナルは20番です。

スボティツェからセゲドまではたった40キロメートル。
走り始めてまもなくセルビア側の国境になりました。
ここも高速道路の料金所そっくりな建物。
バスが止まるとインスペクターが乗って来てパスポートを集め、
10分もすると束のままポイッと返してくれたのですが、
困ったのはそれを受け取ってしまった乗客。
まじめに名前を読み上げながら返し始めたものの、
同じラテン文字でも言語によって発音が違いますから、さぁ大変。

それが終わる間もなくすぐハンガリーの国境。
ここではバスを降りてイミグレーションのブースへ。
EU圏内に入るので、EUシチズンは身分証明証だけを提示してスルー。
僕たちはスタンプをもらうのですが、
日本人は珍しいのか、インスペクターは仕事と言うより、
個人的な好奇心で日本のパスポートをひっくり返して、
「へぇ〜・・・」って感じ。

そう言えば、
今回僕たちが取ったルートは一般的な観光ルートではないのか、
マケドニアから出る時も、
寒い国境で僕たちだけ外へ呼ばれたから何かと思いきや、
数名のインスペクターが集まって来て僕らを見ながら、
「あ〜、ホントだ、日本人だ!」
「あ! もういいよ、寒いから!」

だって。調子悪いのに・・・
さんきゅ〜べりまっち。

さっきもスボティツェのバスターミナルで昼食のパンを食べていたら、
僕の隣に座っていた小学生くらいの男の子がずっと僕の方を見ていたっけ。
最初はお腹が空いてるのかな? パンが欲しいのかな?
と思いましたが、間もなく現れたお姉ちゃんと一緒にバスに乗る時も、
僕らをちらちら見ていたあの眼差しは、
好奇心以外の何ものでもなかったと思います。

ともあれ、こうして僕らは今回の旅の4番目の国、
ハンガリーに辿り着いたのでした。
セゲドはガイドブックにも載っていない街。
明日は情報収取から始めて、
ブダペストまでの鉄道チケットをゲットしなくては。

えーじ
posted by ととら at 06:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月21日

第13回取材旅行 その6

今回の取材旅行はかつてないほどスムーズに事が運び、
ギリシャの取材も滞りなく終わって、
ハンガリーのブダペストへ向けた移動に入りました。

いやぁ〜、良かった、良かった!

と喜んでいた矢先、
最初のトラブルがやってきたのです。
それも静かに・・・

マケドニアのスコピエで一泊した僕らは、
翌日の朝、モーテルで簡単な朝食を摂り、
ともこが近くのスーパーに行っている間、
僕は部屋で取材ノートをまとめていました。

時刻は10時半。
低いテーブルでの書き物で疲れた僕は、
ちょろっとベッドに転がって体を延ばすと、

ん〜・・あいたたた・・・背中が強張ったな。
ともこが帰ってくるまでこのまま横になっていよう。

11時。

「ただいま〜! ・・・あれ?
 えーじ、また寝ちゃったの?」
「ん? ああ、姿勢が良くなかったんで背中を延ばしているんだ。
 それにしても、なんかちょっと寒いな・・・」
「え〜! こんなに暖房が効いてるのに? 暑いくらいだよ」
「そうなの? なんだかさっきから背中がぞくぞくする」
「いやだ、風邪ひいたんじゃない?」
「ん〜・・・それはないと思う」
「熱を測ってみようよ」

「どう?」
「36度6分」
「ほら大丈夫だろう? パソコンを使っていた姿勢が良くなかったんだ。
 少し疲れたんで昼までこのまま横になっているよ」

12時。

「そろそろランチに行く?」
「ん〜・・・寒いな」
「ちょっとぉ、ほんとに風邪を引いたんじゃないの?
 もう一回熱を測ってみようよ!」
 
「大変! 37度3分もある!」
「え? さっきは平熱だったのに? ヤバ・・・」
「今夜は夜行バスで移動でしょ?」
「それまでまだ11時間半ある。なんとか熱を下げなくちゃ。
 ファーストエイドのポーチから解熱剤を出してくれる?」

15時。

「どう?」
「あ〜、37度4分! 熱がちょっと上がっちゃった」
「薬を飲んだのに上がったのか・・・イヤな兆候だな」
「今夜移動できる?」
「今は何とも言えないよ。この程度の熱なら動けないことはないけど、
 バスの中で悪化すると、どうなるか分からない」
「予定を調整して、ここでもう一泊しようか?」
「そうだな・・・プランAは薬で熱を下げて予定通り移動する。
 プランBはベオグラードまでのバスチケットを取り直して明日移動しよう。
 判断は・・・19時」

そして19時。

「ん〜・・・まだ37度あるか」
「熱下がらないね、移動は止めようよ」
「とは僕も思うんだけど、交通手段の再調整が増えるんだよ。
 しかもベオグラードからハンガリーのセゲドまでは情報がない。
 現地で時間があればいろいろ聞いて回れるけど、
 明日移動すると夜行なら6時間で着くところが日中は8時間かかるんだ。
 となると現地に着くのは朝8時の便でも16時は過ぎる。
 そこからブッキングするのは微妙だな。余裕がまったくない」
「でもさ、具合が悪そうだよ」
「38度を超えなければバックパックを背負っても体は動かせるさ。
 温かい恰好をしてバスで6時間爆睡すれば良くなると思うよ」

そうしてプランAで進めたのですが、
バスの中で僕は汗びっしょりになり、
吐き気も重なってマケドニア=セルビア間の国境を越えて、
1時間もしないうちに気絶・・・
気が付けば早朝のベオグラードに着いていました。

「大丈夫? すごく辛そうだったね」
「ああ、でも気分はすっきりしたよ。
 荒療治だったけど、移動中が山場だったんだな。
 ここでセルビア・デナールをゲットしたら、
 セゲドまでの移動手段を確保しよう」

こうして朝8時。
僕たちは何とかベオグラードのホテルに辿り着いたのでした。

いや〜、やっぱりただじゃ済まないか、僕らの旅は・・・

えーじ
posted by ととら at 18:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月20日

第13回取材旅行 その5

島国に生れ育つとイメージし難いのが国境。

場所よっては、ほんの数10メートル歩いただけで、
言葉や通貨だけではなく、時間まで変わることがあります。
そんな体験を味わえる場所の一つが、ギリシャとマケドニアの国境。

朝7時にホテルをチェックアウトした僕たちは、
小雨が降る中、テッサロニキ駅まで歩いて戻りました。
そこでチーズパイとコーヒーの朝食。

8時に昨日チケットを買った国際バスのカウンターに行き、
チケットを提示すると、受け取ってくれたのは昨日と同じ彼女です。
バスは20人ほどが乗れるバンタイプ。
マケドニア人、ギリシャ人、ドイツ人、そして僕たち2名の日本人が集まり、
15人が乗ったところで定刻の8時半に出発しました。
アジアや南米の乗り合いバスと違って皆さんとても静か。
ともこは早々におやすみなさい。

バンは最初寂れた工業地帯を20分ほど西に向けて走り、
やがて北北西に曲がると、
霧の立ち込める幻想的なぶどう畑や草原を縫いつつ、
信号機のない、高速道路のような道を黙々と走り続けました。

出発して1時間が過ぎた頃、前方に見えてきたのは高速道路の料金所・・・
ではなく、ギリシャ側の国境です。街の名前はEvzonoi。

はてさて、ここでの手続きはどうなるのかしらん?

バンがバス用のレーンに入って停まるとドライバーが僕らに向かって、

「パスポート」

乗客全員のパスポートとバスチケットのカーボンコピーを持って、
建物の中へ入って行きました。
そして待つこと15分。
戻って来た彼は最前列に座っていた女性にパスポートの束を渡し、

「自分のパスポートを取ったら後ろに回して下さい」

これでおしまい。
さらばギリシャ。

この建物の出国側には何故か免税品店があり、
そこで15分のトイレ休憩。

次は目の前の同じような建物に進み、
停まるとマケドニアのインスペクターがバンに乗って来ました。
ドライバーと笑顔で挨拶を交わし、
握手している様子から顔馴染みなのでしょう。

彼は全員のパスポートを集め始めました。
その際、一応国籍は見ているようでしたが、
写真と本人を照合している様子はありません。
僕らのパスポートを受け取った時に、

「日本人ですか?」

と訊いてきただけ。
ここでも15分ほど待ってドライバーがパスポートを戻して終了。

ハロー、マケドニア。
ゆ、ゆるいね。

こうしてするっと国境を越えてしまいましたが、
冒頭でお話しましたように、
言葉はギリシャ語からマケドニア語へ、
通貨はユーロからマケドニア・デナールへ、
時間は日本時間マイナス7時間からマイナス8時間へ変わったのです。

もちろん他にも多くの違いがありますけど、
僕たちにとってすぐ影響するのは通貨と時間。
両替はともかく、すぐに腕時計を1時間遅らせました。

道路は長閑な田園地帯を北北西へ伸びています。
ギリシャと同じく信号機のない一本道。
しかしバンはあまりスピードを上げません。

そう、ゼネラルインフォメーション以上に、
その国の経済状態を物語るのが道路事情。
マケドニアに入った途端、路面の荒れ方がはっきり分かりました。
こういうのは以前、ベトナムからカンボジアに入った時もありましたが、
約2.5倍近い差のあるギリシャとマケドニアのGDPは、
こんなところにも表れているのですね。

テッサロニキを出発して丁度4時間。
僕たちは予定通り、スコピエ中央駅に隣接するバスターミナルに着きました。
ここでは2つタスクがあります。

タスク1 セルビアのベオグラードに行く交通手段を確保せよ

選択肢は鉄道かバスのふたつしかありません。
まず鉄道をチェックしようとチケット売り場に行ってみれば・・・

あ、あの〜・・・鉄道は潰れちゃったんですか?

の状態。
乗客はおろか、職員の気配もありません。
あ、誰か来た! と思ったらおまわりさんじゃないですか!
胡散臭い目で僕を見ていますから「ドーバルデン!(マケドニア語のこんちは!)」
と挨拶してバスターミナルまで退却。

OK、プランB。

インフォメーションに行って英語で、

「こんにちは、ベオグラード行きのバスチケットはここで買えますか?」
「はい」

ラッキー、言葉が通じるじゃん。

「タイムテーブルを教えて下さい」

人のいいおじさんが僕のメモ帳にバスの出発時刻を書き始めました。
5時10分の始発から深夜2時の最終まで1日11便あります。

すごいね、全部暗記しているんだ。
っていうか、印刷した時刻表がないのね。

「始発から21時半までの便の所要時間は8時間。
 23時半から最終までは6時間だよ。出発はみな3番トラックだ」
「ありがとうございます」

ここでともこと相談して23時半の夜行で行くことに決定。
この方が時間を有効に使えますからね。
今日はスコピエで一泊しますから明日の便のチケットを購入。
料金は1,450デナール(日本円で約2,900円)/1人。

タスク2 マケドニア・デナールをゲットせよ。

バスチケットはクレジットカードで払いましたが、
当面の現地通貨が必要です。
しかしマケドニアの滞在は2日間だけですから、
多めに両替して残すのは避けたい。
そこでざっと滞在費用を計算して5,000デナールが必要だと分かりました。
で、どうやってそれをゲットするか?
選択肢は3つ。

1.両替の窓口で日本円から両替する。

窓口のお姉さんに訊いたら苦笑されました。
そりゃそうだよね。

2.手持ちのユーロから両替する。

もちろんこれは可能ですが、
既に日本円から両替したものなので2重両替は手数料の面で避けたい。

3.ATMで自分の銀行口座から現地通貨を引き出す。

スキミングやカードを飲み込まれるリスクを避けるため、
僕は基本的に営業中の銀行のATMでしかキャッシュカードを使いませんが、
駅のインフォメーションの目の前にあるものなら大丈夫でしょう。
ってわけで、ここから5,000デナールをゲット。

今夜の宿は駅から徒歩5分ほどの所にあるモーテル。
これがテッサロニキの安ホテルを豪華に見せるようなところでした。
外見だけでも女性の一人旅の人は、二の足を踏むだろうな。
中庭に入ってみれば、僕たちを迎えてくれたのは6匹の野良猫たち。

ん〜・・・ネコ臭い・・・

でもフロントのおじさんはフレンドリーです。
部屋は・・・
ベッドはボヨヨンで少々かび臭く、シャワーは使えるかギリギリの温度。
まぁ1泊ツインで2,790円ならこんなもんでしょ。
2名分の朝食付きだし。それなりにお得ってもんだ。

一番心配だった気温は、それほど下がっていないと思います。
部屋にはヒートパネル1枚しかなく、外に面した部分は全部ガラス張りなので、
(寒さが厳しいところなのに何故だろう?)
ポカポカではないものの着込んでベッドにもぐればOK。

マケドニアは下見だけなので、
ちょっと体を(特に胃袋を)休めようと思っています。

えーじ
posted by ととら at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月19日

第13回取材旅行 その4

朝6時。
まだ暗い中、ホテルをチェックアウトした僕たちは、
地下鉄2号線のアクロポリス駅へ。
ここからアテネ中央駅に連結するラリッサ駅まではほぼ15分。
途中で通過したシンタグマ駅は、前情報通り封鎖されて真っ暗でした。

週末の所為か早朝にもかかわらず、
アテネ中央駅は大きなカバンを持った乗客がパラパラと。
僕たちは開いていたベーカリーカフェで熱いコーヒーを買い、
待合室で昨日買ってきたパンの朝食です。
人それぞれ色々な旅があるものですが、
しみったれているようでも僕らはこうした旅が大好きなのですよ。

7時になると、
落書きだらけの列車が息を切らせながらホームに入って来ました。
駅員さんに訊けば、これが7時18分発のテッサロニキ行き。
僕たちのコーチは4号車、座席は51番と53番です。

車窓を流れる風景は、
すぐにオリーブやブドウの畑が続く郊外のものへと変わり、
やがて進行方向左側には冠雪した山並みが続き始めました。
アテネを出発して2時間。
乗客のほとんどが眠りの中へ。
ともこも隣でぐっすり。
僕はこうしてブログを書いたり、取材のノートをまとめたり。
飛行機の移動もそうですが、
日ごろ時計とにらめっこの生活をしている僕らにとって、
こうしたひと時は何とも贅沢なものなのですよ。

僕らを乗せた列車は30分遅れてテッサロニキ駅へ。
どことなくブルガリアのソフィア駅を彷彿させる古びた建物です。
ここでの次なるタスクは、
明日のスコピエ行きバスチケットをゲットすること。
ホールで辺りを見回してもそれらしいブースはありません。

さて、どうしたものかしらん?

誰かに訊こうと外に向けて歩き始めたところで、
出口の脇にバス会社のブースが。

「ヘーレテ!(こんにちは!)
 スコピエ行きのバスチケットはここで買えますか?」
「はい。日にちは?」
「明日なんですけど、タイムテーブルを見せてもらえませんか?」

カウンターの女性は流暢な英語で応えてきました。
バスは1日2本しかなく、8時半か17時半の出発。
所要時間は約4時間とのこと。
僕らは迷わず午前便をチョイス。
お値段は二人で40ユーロ也。
鉄道なら25ユーロほどで行けるのですが、
運行が不安定らしいので、こちらを取りました。

今夜の宿は駅から南東へ800メートルほど行ったところにある、
『いかにも!』という感じのよくある安ホテル。
ダブルで一泊32ユーロ(約3840円)です。
雑居ビルの1階に入り口だけがあり階段を2階に上がるとレセプションです。
殺風景な灰色の部屋、パイプベッドと粗末な机。

ん〜・・・いいねぇ。

僕らの旅ではこういうのが、まぁスタンダードなんですよ。
一応セキュリティは形になっているし、火災の時も脱出し易い。
セントラルヒーティングの暖房が効いていて、
ぬるいけど、何とか使えるシャワーもある。
それからこうしてブログもアップロードできますからWi-FiもOKですね。

テッサロニキは観光地と言うより旅人にとっては移動の中継地。
あまり華やかさはありませんけど、
エーゲ海に面した歴史あるローカルタウンの風情が味わえます。
荷物を置いた僕らは早速市場へ出かけて遅めのランチ。
ここでのチョイスはシーフードに尽きるでしょう。
ブドウの葉で巻いたドルマを前菜に、
ムール貝のサガナキ(チーズとトマトソースの煮込み)、
スタッフド・スクィード(チーズや野菜を詰めたイカのグリル)。
これにご当地のビール、EZA Hellenic Pilsener Beer!
ああ、うまい・・・幸せとはこのことだ・・・
じゃなくて仕事です!
ちゃんとメモも写真もとっていますよ。

明日はまた駅で朝食を食べて、いよいよマケドニアに向けて出発か。
さらばギリシャ! この後もスムーズに行きますように!

えーじ
posted by ととら at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月18日

第13回取材旅行 その3

一昨日は夕方取材から帰ると、
ともこが珍しくブログを書いたというので、
前回に追記しておきました。

あ、彼女が『書く』というのは字義通り『紙に書く』という意味なので、
タイプするのは僕。
本人の意向を尊重し、赤ペンなしのダイレクトプリントです。

さて、市場での仕事が終わった僕たちは、
明日のテッサロニキ行きの鉄道チケットを買いに、
ブラブラ歩いてアテネ中央駅へ。
手前のオモニア駅周辺からは一般エリアなので、
ある意味、素顔のアテネが垣間見られます。

道々歩いていて気になったのは物乞いの数。
かなり目につきます。
アテネに到着早々、
空港から市内への地下鉄内で喜捨を求めるロマがいましたが、
市内ではハンディキャップを持つ人々を始め、
時には幼稚園くらいの子供を連れた家族が、
冷たい北風に吹かれながら紙コップを持ってうずくまっていました。

ギリシャの失業率は昨年10月のデータで23.0%。
域内格差も大きく、
25歳未満の若年層に至っては何と40%を超す状態だそうです。
この数字がけして誇張ではないことが、
たった数日滞在しただけの僕たちにも分かる気がしました。

実際、公共機関のストライキは日常茶飯事で、
今日も僕たちが使おうとした地下鉄のオモニア駅は、
13時から17時まで閉鎖されてしまったではないですか。
明日も朝は最寄りのシンタグマ駅が閉鎖されてしまうとのことなので、
テッサロニキへ向かう列車の出るアテネ中央駅までのアクセスは、
一つ手前のアクロポリス駅から地下鉄2号線に乗ることにしました。

それでもギリシャはバルカン半島に割拠する国々のなかで、
最も平均所得の高い国なのですよ。
これから行くEUに加盟できなかったマケドニアやセルビアは、
どんな状況なのか、料理は楽しみな反面、微妙な気持ちもあります。

テッサロニキ行きの列車は明朝7時18分発。
たった4日間とはいえ、
顔馴染みまで出来てしまったアテネを離れるのは、
ちょっと寂しいですね。
ほんと、僕たちには肌の合う街でした。
しかし明日からがこの旅の山場。
テッサロニキで一泊した後は、
毎日国境を越えて移動しながらハンガリーの南端の街、
セゲドを目指します。
バスか鉄道か、交通手段はテッサロニキから先は未定。
現地でお馴染みの出たとこ勝負です。

幸い寒波は緩み、
一番寒いマケドニアのスコピエでも青森県くらいでしょうか。
天気は概ね良さそうです。

さて、次はテッサロニキからお話しできるかな?
ホテルのWi-Fiがちゃんと機能していることを祈っています。
僕らが泊るようなホテルでは、『Wi-Fiがある』というのと、
『Wi-Fiが使える』というのは、別の意味の場合が多いので。

えーじ
posted by ととら at 05:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月16日

第13回取材旅行 その2

今日はアテネでの3日目。
これから市場へ行って来ます。
いつもなら最初に行くべき場所ですが、
昨日は絶好の晴天に恵まれ、
ホテルのフロントの女性からも、
「アクロポリスへ行くならチャンスよ!」
と背中を押されてしまったので、
朝からアテネ観光のゴールデンコースへ。

確かに彼女の言う通り、終日雲一つない晴天で風もなく、
パルテノン神殿まで丘を登ってみればTシャツ姿の人もいたくらい。
僕らもこの景色には感無量でした。
と言うのも、
ギリシャは2つの意味で思い入れがあったからなのです。

僕が生まれ育った横浜の本牧。
ここは当時、まだ米軍に接収されたままで、
広大な彼らの居住地の周りには、
米軍相手の飲食店がそこかしこにありました。
かつて知られた『リキシャルーム』や『アロハカフェ』などは、
その中のひとつです。
そして僕が出入りしていたレストランに、
ギリシャ料理店があったのです。
ですから僕にとってギリシャ料理は異国の味と言うより、
どこかノスタルジックなものなのですよ。

それからもうひとつは2013年のこと。
冬の取材地の第1候補はギリシャだったのですが、
皆さまご存知のように、
政治的、経済的な混乱が続いたアテネではゼネストが頻発して、
取材地の変更を余儀なくされた経緯がありました。
(結果的に行ったのは第2候補だったチュニジアです)

そんなこんなで、いよいよ念願のアテネ。
知恵と芸術の女神の名を冠したこの都市は、
僕たちをフレンドリーに迎えてくれました。

取材の中心地となるプラカ地区は、
アクロポリスや古代アゴラなど世界遺産が密集していることもあって、
どこも普通に英語が通じます。
日本人の観光客も多いので、
片言の日本語で挨拶されることもしばしばありました。
アテネっ子はおしなべてラブリー。
今朝も近くのカフェへコーヒーを飲みに行ったら、
前日も来た僕たちを覚えてくれていたマスターが、
チーズパイやホウレンソウのパイをサービスしてくれました。
取材先のレストランでも僕たちの質問に皆さん快く答えてくれますし。

そうそう、僕たちが投宿しているホテルはここ。

Myrto Hotel Athens

プラカ地区の中心にあり、
アクロポリスの入り口まで徒歩10分という好立地ながら、
1泊なんとダブルルームが約2,250円!
と聞くと恐ろしい安宿と思われるかもしれませんが、
実際はかなり居心地のいいホテルなのですよ。
もちろんこの価格で朝食は付いていませんけど、
先ほどお話したような雰囲気のいいカフェが近くに沢山あるので問題なし。

さて、こちらの時計は間もなく午前10時。
そろそろ市場へ出かけます。
食材を調べた後はタベルナ(ローカル食堂)で取材です。
ギリシャの食事は量が多いですから、お腹をすかせて行かなくては!

えーじ
_________________________________
ブログは久し振りのともこです。

毎回どこの国に行っても市場巡りが楽しみなので、
今日は朝からワクワクしていました、
アテネの中央市場は大きな道路を挟んで魚と肉売り場、
野菜、フルーツ、乾物売り場に分けれています。
商品のディスプレイの仕方にも各国の違いがあって面白いです。
アテネは海が近いので魚介類の種類が豊富。
色々な種類の魚は見ているだけで楽しくなります。
売り場のおじさんたちが威勢の良い声で呼びかけて来るので、
買いたい気持ちを我慢するのがつらかったなぁ。
近くにこんな市場があったら、
毎日どんな充実した仕入れになるか!
羨ましくなってしまいました。
ランチは市場内のタベルナで、
新鮮な魚のサヴォロ(フリット)を頬張り大満足。
でも食べた分のカロリーの消費が・・・ちょっと心配です。
posted by ととら at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2017年02月14日

第13回取材旅行 その1

日本の皆さま、こんにちは、そしてこんばんは!
僕たちは今、ギリシャのアテネにいます。
そちらとの時差は7時間。
ですからまだ外は太陽が燦々。
気温は東京とほぼ同じですが、
今日は風がやや強くて寒いですね。

野方を出てからここまでは、
皆さまのご期待に反してとてもスムーズに来れました。
航空会社はターキッシュエアラインズさん。
丁度10年前に一度お世話になったことがありますが、
そのサービスレベルの上がり方には出発前から驚きましたね。

前日にウェブチェックインをしたところ、
卒業旅行シーズンの所為か、
出発の20時間前にもかかわらず、席の指定はほぼ不可能の状態。
機体は座席の配置の使い勝手が悪いボーイング777ですから、
仕方なく、中央の列の通路側を二人別々に指定していたのですが、
チェックインの担当の方が、確保していた空き席から、
隣り合わせに変えてくれたのです。
それだけではなく、乗継便の座席まで使い易い席に変更して頂き、
何だか恐縮してしまいました。

そしてアメニティの充実度。
ソックス、アイマスク、スリッパ、歯磨きと歯ブラシ、
耳栓、リップクリームがセンスのいいお洒落なポーチに入っており、
乗客の間から「わぁステキ!」「へぇ〜、いいなこれ!」
と言う声がそこかしこから聞こえました。
中身はともかく、僕もこのポーチなら後で使えると思います。

それから食事。
10年前の記憶では、正直、あまり期待していなかったのですが、
今回提供されたのは、
ブリティッシュエアウェイズ、KLMオランダ航空と並ぶ美味しさ。
昨今、経営難から長距離フライトにも拘らず、
コンビニの弁当にも負ける悲しい機内食が増える傾向にある中、
エコノミーでこのレベルが出てくるのは嬉しい。

ちなみにイスタンブールからアテネまでの、
55分のフライトで出て来た軽食のホットサンドウィッチでさえ、
「お、こりゃ美味しいね!」でした。

アテネでの入国はパスポートコントロール、税関共にさらっとスルー。
通貨はユーロですから事前に日本で両替済。
空港からアテネ市内までの移動も直結している地下鉄一本ですから楽なもの。
僕たちは11時丁度、プラカ地区にあるホテルに着いたのでした。

野方を出てからほぼ24時間の旅。
今日は早めに休んで体調を整え、
明日から本格的に取材を始めようと思っています。

えーじ
posted by ととら at 23:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記