2019年06月04日

自分の旅のために その4

「何かおかしい」

5月第4週目の週末。
するどいお客さまは、ととら亭の異変に気が付いていました。

「今夜はやたらと、ともこさんが料理を運んでくるな」
「でも、えーじさんはカウンターの中にいるよ」
「あ〜、きっとまた腰を壊して動けないんだ」
「あれ? こっちに出て来た!」
「普通に歩いてるね」
「う〜ん、でも、やっぱり何かが違う」

ふ、アタリです。

実は『自分の旅のために その1』からお話しております、めまい、
治ったと思った矢先の5月24日の朝、
起きたら再発していまして。
なんとかフラフラお店まで来たものの、
状態は前回とほぼ同じ。

「大丈夫? 帰って休んでていいよ」
「と甘えてばかりもいられない。
 ととら亭の営業はともかく、旅先で発症した時のことを考えて、
 どこまで動けるかこの機会に試してみるよ」
「え〜っ! やるの? 無理しない方がいいんじゃない?」
「もちろんダメだったら途中で帰らせてもらうさ」

そう始めてみたのはいいのですが・・・

よ〜し、そんじゃ行ってみますか。
うん、ただじっと立っているだけなら、
たまに震度1の揺れが来るくらいだな。
あ、お客さんだ。

「いらっしゃいませ。お二人さまですか?」

こうしていつものように動き始めると・・・

お、おお、揺れが大きくなりはじめたぞ。
震度2・・・
おわっ、視線を下げたらつんのめりそうになっちゃった!

2分経過。

「お待たせしいたしました。
 アゼルバイジャンの冷たいヨーグルトスープです」

OK、まだ大丈夫。
効率的に動いて体の動きを最小限に抑えればいい。

3分経過。

あ、またお客さんだ。

「いらっしゃいませ。お一人さまですか?」

4分経過。

お、おお、揺れが震度3くらいになって来たぞ。
うぁ〜、カラータイマーがピコピコだ!

5分経過。

「2番テーブルの前菜できたよ!」

うげぇ〜、船酔いみたいになってきた。
タイタニ〜ック!

「ちょ・・・ちょっと座っていい?」
「ほら〜、もう! 無理するから!」

僕はお客さまの視線からブラインドになる、
ともこの立ち位置の横で座り込んでしまいました。

む〜・・・動作を最適化しても普通に動けるのは5分間程度か。
ま、ウルトラマンより長いな。

目を閉じたまま15分ほどじっと座っていると、
だんだんめまいが治まって来ます。

よ、よし、落ち着いてきたぞ。動作確認だ。
ゆっくり立ち上がってみよう。
OK、次は首の動作。
右見て、左見て・・・下を・・・うぇ、上下動がダメだな。

ゴングが鳴ってコーナーから立ち上がったボクサーのように、
僕は慎重な足取りでパントリーに戻りました。

「すみません、この料理に合うワインは何ですか?」
「あ、は、はい、かしこまりました。少々お待ちを」

これはともこにパスできないんだよな。
何とかまたカラータイマーがピコピコし始める前に、
リコマンドしてサーブまで進めなくちゃ。
タイムリミットは5分だ。いくぜ!

こんな風に5分働いて15分休むという、
奇妙な僕の登場サイクルに気付かれたお客さまが、
「何かおかしい」と言っていたのですよ。

当然、忙しかった週末は、最後のお客さまを見送ると、
僕はベンチシートにダウン。
座るより横になった方が回復も早いのです。

さて、今回は金曜日に発症して土曜日がピーク、
日曜日から回復し始め、火曜日にはほぼ普通に動けるようになりました。
ということは日常生活への影響は4日間。
ここまでは分かったのですが、未だに診断はつかず、
具体的な should do と should NOT do は分かりません。
ただ思い起こすと、
2回の発症で共通していたのは直前にジョギングしていたこと。

これが原因かトリガーなのかしらん?
頭位性めまいの場合は反対に運動が推奨されているくらいなのに。
でもこうした場合は先入観を捨てて、すべての可能性を考量すべきだよな。

そこで僕は先週の金曜日から少しずつトレーニングを再開しました。
今のところ身体感覚に異常はありません。
で、今日の夕方、いよいよ発症した時と同じメニューで、
人体実験をやってみようと思います。

1回目と同じであれば、今日の夜に、
2回目と同じであれば、明日の朝、めまいが再発するはず。
そうしたら2回は偶然でも3回続けば必然です。
病気の診断もより絞り込めるでしょう。

はたして僕は明日のランチ営業に出られるか否か?

to be continued...

えーじ
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2019年06月02日

サザエさんなんか嫌い

「だって、サザエさんなんか嫌いですよ!」

このところ日曜日のディナーはお客さんが減りましてね、
なんて不景気な話をしていた時、
僕と同世代の男性が唐突にそう言って来ました。

なぜだ?

サザエさんといえば、
僕らが小学生の頃から放送されている国民的なアニメーション。
その何が気に入らないのだろう?

この反射的な疑問が的を外していることに、
僕はすぐ気がつきました。
彼の発言の真意はサザエさんに対してではなく、
番組の放送時間帯のことだったのです。

それは日曜日の18時30分。
四季を通しての日暮れ時。

ああ、明日からまた仕事が始まるのか・・・

これだったのですね。

なるほど、かつてはブルーマンデーと言われていたこの感覚、
今はちょっと繰り上がってブルーレイトサンデー・・・なのか。

そういえば僕も覚えがあります。

確かにネクタイ締めて仕事に行っていた頃は、
サザエさんが始まる時間帯あたりから、
なぁ〜んか気分がブルーになってきましたっけ。
そんな時にハレの日使いのレストランには・・・行きませんよね?

む〜、不景気はこんなメンタル要因も関係していたのか。
ディープだ。

ともあれ、今の僕らはどうかと申しますと、
皆さんの日曜日に当たるのは定休日の火曜日。
じゃ、火曜日の18時30分頃の気分は・・・

フツーです。
別に外食でもOK。
はぁ〜・・・やれやれ・・・って感じはありません。

なんでだろう?
仕事はブラックそのものなんですけどね。

簡単に言ってしまうと、
たぶん『仕事が楽しいから』か『仕事で嫌な部分がほとんどない』・・・
なのかもしれないな。

もちろん会社員の頃も仕事そのものはやりがいを感じていましたよ。
でも、組織のヒエラルキーとか、根回しなんてのは苦手だったし、
人事的なすったもんだに巻き込まれたり、
手かせ足かせをはめられて、
チーム全体がルームランナーみたいになってしまうと、
さすがに日曜日の夜は外出する気分になりませんでした。

今は仕事量こそ爆発的に増えても、
足を前に出せば、何ごとも先に進みますからね。
そうした意味で自分のやっていることに虚無感や徒労感はない。

奇妙に聞こえるかもしれませんけど、
肉体的に過酷な労働条件 + 環境であるにもかかわらず、
少なくとも、ととら亭の仕事でストレスを感じることは、
あんまりないんですよ。

独立して良かったこと。
そのひとつは、サザエさんが嫌いではなくなったことかな?

あ、でも見る時間はないんですよ!
今日も18時からディナー営業ですから。

えーじ
posted by ととら at 15:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月30日

だから世の中うまく行く

「僕ならあの選択はあり得ないね」
「あんなの私はゴメンだわ!」

皆さん、他人の行動を見て、こんな風に言うことありません?

僕はしばしば言っています。

その相手が見ず知らずの他人だけではなく、
友人、知己、いや、家族も含めて、

「よくまぁ、あんなことをするもんだ」

と首を傾げながら。

でも、先日、ふと気付いたんですよ。
確かに、彼、彼女は、僕なら絶対やらないようなことをする。
時にはその選択の根拠が僕の想像を超えていたりもする。
だけど、だからこそ、
世の中は上手く行っているんじゃないのかな?

だってね、極端な話、みんなが僕のようになったら、
日本は、いや、世界は破滅の危機に瀕してしまうでしょう?

それはまた凡人の僕だけに当てはまることではなく、
たとえ偉人賢人と称される人たちですら、
すべての人が彼らと同じ価値観を持ち、
ある選択を迫られた時に同じ決断をするようになったら、
それこそ世界は立ち行かなくなってしまいますよ。

判断の基準になる価値観が多様だからこそ、
さまざまな選択肢が生まれ、
そしてその壮大なネットワークが個々の満足感に支えられて機能する。

僕らの世界が持つ多様性というのは自然な成り行きというより、
必然的な前提なのではないかしらん?

もちろんこれには『意見がまとまらない』という、
状況によっては悲劇すら引き起こしかねない負の側面もあります。
でも僕たちには寛容という叡智だって、
ちょっぴりだけど備わっているじゃないですか?

僕の生き方をあなたが選ばないのと同じように、
僕もまたあなたの生き方は選ばない。

そこにはどちらが優れているとか正しいとかをジャッジする、
素朴な二元論はないし、あるべきでもない。

これはもしかしたら、
人類が社会的な生き物として進化する過程で備わった、
本能レベルの特徴なのかもしれません。

だから理論に支えられた全体主義がドグマと力で民衆を統率しようとしても、
やがては自壊して行かざるを得ない運命を避けられないのでしょうね。、

なんて、カタイ話なってしまいましたが、
身近な例で言えば恋愛や結婚だってそうですよ。
かつて僕をふった女の子が何人かいましたけど、
そうではなかった子たちもいた。
彼女たちはそれぞれ自分自身の価値観に従ったまででね。

え? 最後はそういうオチか?

はい。

恋の相手も、あなたにとって絶対あり得ない相手と、
あなた以外の誰かが結び付く。

これもまた多様性が機能しているという現れのひとつでしょう。

だから世の中うまく行く。

真実というのは、身近にあるものでございます。

えーじ
posted by ととら at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月26日

Just you and I.

この週末も家族連れのお客さまが何組かいらっしゃいました。
3人、4人、5人組・・・
その人数と続柄の組み合わせはまちまちですが、
みなさん、とても楽しそう。

いいですね。
こうした『家族の風景』というのは。

そんな場としてととら亭を使って頂けることを、
僕たちはとても嬉しく思っています。

と、パントリーから見ていて、
僕はふと、そうしたご家族に共通している、
あることに気付きました。

それは交わす目線と楽しそうな会話。

家族の中でひとりうつむいてる人がいるわけではなく、
誰かが一方的に喋っているのでもない。
それぞれのメンバーが食事と会話に参加し、
いわば食卓という空間を均等にシェアしているのです。

家族の定義とはさまざまですけど、
『みんなで日常を共有する集団』という側面は、
血縁という生物学的な事実以上に、
大きい意味を持っているような気もします。

それから、気付いたもうひとつの共通点は、
食卓に余計なものがない、ということ。

たとえ小学生のお子さんがいるご家族でも、
楽しそうな食卓には、ゲームマシン、スマートフォン、マンガ本など、
本来パーソナルなシロモノが転がっていない。

考えてみれば、それは当たり前の話で、
みんなで何かをする場に個人で楽しむ物があるのは、
不自然だと思いません?

どうしても個人的なことをしたいのであれば、
家族であれ、友人同士であれ、いや、恋人同士であっても、
その場で一緒にいる必要はない。
一緒にいる意味もない。

Just you and I.

幸せというのは、
多くの条件を満たさなければ得られないものではなく、
実は、反対に、とてもシンプルなことなんですよ。

そうじゃありません?

えーじ
posted by ととら at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月24日

ととら流写真術

「それじゃ来月は、その料理が食べられるんですね!」

今年1〜2月に行ったトルコ・エジプト取材旅行から帰って間もなく、
こうしたお言葉を何度か頂きました。

いや、これ、今回に限ったことではなく、
旅の食堂という仕事を始めて9年余、
しばしば頂戴している定番的なご質問なのですけどね。

で、その答えもまた定番でして・・・

「いいえ、5ヵ月くらい先になります」

なんですよ。

なぜか?

料理の完全再現を目指すだけではなく、
安定供給することがいかに難しいか。
その舞台裏は今までも何度かお話してきましたけど、
それはどちらかと言うと、ともこが担当している部分。

これとは別に僕がやっていることもあります。
たとえばそのひとつが・・・

eg_shooting.jpg

え? 洗濯物を干してるのか?

違いますよ!
いや、それも別でやってますけどね。

これはメニューで使う料理の撮影。
ほら、中央下にカメラがあるでしょ?

じゃ、右手で持ってる手ぬぐいはなんだ?

ふぅ、ようやく今回の本題に来ました。
これはレフ板(のつもり)です。

メニュー撮影の良し悪しを決める最大のファクターは、光の当て方。
よく見るとお分かり頂けますように、
バウンス可能な外付けストロボを料理とは違う方向に向けているでしょう?
これはストロボを右に向け、
レフ版で反射させて料理の右側から光を当てようとしているのです。
手ぬぐいの位置で光の角度を、
光の強さは料理と手ぬぐいの距離で調節します。
ととら亭のメニューはすべてこうして撮影しているんですよ。

eg_prototype.jpg

これは先の方法で撮影した、
7月から始まるエジプト料理特集の一品。
おいしそうでしょ?

で、なんで『手ぬぐい』なんだ?

その理由はふたつ。

1.レフ板を買う予算がない。。
2.買ったところで使っていない時の置き場所もない。

とまぁ、相変わらずの、ないない尽くしでございます。
しかし、そんなことでへこたれてちゃいられません。
臨機応変はバックパッカーの身上。
柔軟な発想で、その場で使えるものを流用する。
こうして生み出したのがこの『ととら流写真術』なのです。

もともと持ち歩ける荷物が限定されているバックパッカー。
となると、『それにしか使えない』という、
融通の利かないものはあまり所有しなくなります。
これは僕らの場合、旅先だけではなく日常にも当てはまり、
こうして手ぬぐいがレフ板になったりもするのですね。

ほんと、荷物も持ち物も、できるだけ少ない方がいい。
Simple is best.

eg_tasting.jpg

で、料理撮影の最後はこれ。
撮影が終わった料理は、試食兼まかないになります。
これもまた無駄のない、一石二鳥、いや、三鳥のととら流。

と自慢げに舞台裏をご紹介しましたけど、
タネを明かせば、
乏しい懐具合を知恵と努力でカバーしているだけなんですけどね。

徹頭徹尾、
バックパッカースタイルのととら亭でございました。

えーじ
posted by ととら at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月20日

華麗なチームプレイ

おひとりさま、カップル、友人同士、職場の仲間、そして家族。

お客さまは、さまざまな組み合わせでととら亭にご来店されます。

これは曜日によって偏りが変わり、
特に週末は3名様以上のご家族連れで、
ご来店されるお客さまの割合が増えますね。

そこでいつも思うのは、それぞれのテーブルが、
それぞれのご家庭の食卓を再現しているのではないか?

ということ。

とりわけリピーターさんはよりリラックスされているせいか、
外食用のよそ行きではなく、
素顔の家族の在りようそのものなのではないかしらん?
とさえ思えることも少なくありません。

僕はそうしたテーブルをサーブするのが大好きなんですよ。

先日はこんなことがありました。

来店されたご家族連れは6名さま。
50歳代のご両親に最近では珍しい4人の息子さんとお嬢さんたち。

4人の子供たちをこうして成人するまで育て上げるのは、
さぞ大変だっただろうな。

僕は飲み物をサーブしながらそんなことを考えていました。
たとえば食事ひとつを作るにしても、
お母さんは毎回6人分を作らなければなりません。
しかも日によっては1日に3回も!

しかし、それが杞憂に過ぎなかったと悟るのに、
あまり時間はかかりませんでした。
そう、最も単純な解決方法をそのご家族は見つけていたのです。

僕が次の料理をサーブする前に先の料理の皿を片付けに行くと、
食べ終った食器がすべからく一か所に集められていました。

ん〜? いつのまに?

そしてその疑問が驚きに変わったのは、
次の料理をサーブしに行った時です。
新しい取り皿を手前の方に渡した途端、
さながら強豪のハンドボールチームがパスを回すように、
瞬く間にそれぞれの前へ配りだしたではないですか!

き・・・、君たちはいったい何者だ?

僕は料理を置いてパントリーに戻ってから、
彼らの動きをじっと見ていました。

すると彼らは再び連携して、
あっと云う前に料理を配り終わってしまったのですよ。
しかもその動きには迷いがない。

こ・・・このファミリーは・・・ただものじゃない。

その後も誰かが指示するまでもなく、
殆ど兄弟姉妹間のアイコンタクトですべてが流れて行きます。

僕はこの華麗なフォーメーションを確認するため、
食器がまだ片付け終わっていないうちに近付いてみました。
すると何が起こったと思います?

僕に気付いた兄弟のひとりが皿を集め始めたかと思うと、
F1のタイヤ交換さながらに各メンバーがシンクロして素早く動き、
それこそ数秒でさっきのように、
食べ終った食器が一か所に集められてしまったのですよ。

驚きました。ほんとに。そしてまた納得したのです。

このご家族の両親は、
がんがん指示を出すような専制君主タイプではありません。
とりわけお母さんは物静かでおっとりした方です。
お二人の様子からは、
とても4人の子供たちを育てたという荒業は想像し難い。

しかし、それを可能にしたのが家族全体の協力だったんですね。

たぶん、彼らの阿吽の呼吸からして、
物ごころ付く前から、少しずつ学び合ってきた結果なのでしょう。

お帰りになる際、会計を済ませたお父さんを見送った僕は、
彼の職業が分かったような気がしました。

中学校か高校の先生じゃないかな?
それもなかなか強い運動部の顧問をしている。

なぜなら彼のチームは、
素晴らしいプレイをしていましたから。

えーじ
posted by ととら at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月17日

自分の旅のために その3

火曜日

16時頃、セルフナビのタクシーで帰りついた僕は、
アパートの階段で身も心もゲームオーバー。
そこで待っていてくれたともこに処方箋を渡してダウン。

そういえば22時間以上、なにも食べていませんでした。

しかし、こんな時にも僕は意外と冷静で、
ちょっとした発見があったんですよ。

ストレッチャーの上で点滴を受けていた時、
すっかり気分が良くなると蘇ってきたのが空腹感。
帰り道にラーメンでも食べて行こうかしらん?
とマジで思ってました。

ところが起き上がってめまいと吐き気が戻ってくると、
一瞬でさっきの食欲はどこかへ行ってしまったんですね。

そう、吐き気と食欲は共存しないのです!

え? そんなどうでもいいことを病院で考えていたのか?

はい。

じゃ、話を戻して火曜日の夜。

薬を飲むには、その前に何か食べなくてはいけない。
しかし船酔い状態ではなかなかものも喉を通りません。
それでもせっかくともこが食事を用意してくれたので、
寿司を少々つまみ、薬を飲んだら朝まで気絶。

カイセリの一件を髣髴させる、なんとも長い一日でありました。

水曜日

ぐっすり眠って気分よく起床。
ところが起き上がると同時に戻ってくるのがあのしつこい船酔い。
薬のおかげで昨日ほど酷くはないものの、
仕事に戻るには程遠い状態です。

良性発作性頭位めまい症・・・か・
やれやれ、この症状のどこが『良性』なんだか、
まったくネーミングセンスを疑うよ。
マゾな人だね、きっと。
と、ボヤいたところで始まらない。
まず三半規管に入った耳石をどうやって外に出すかだな。
その方法をから考えよう。

僕は頭を揺らさないようにゆっくり起き上がり、
自分の部屋のPCを立ち上げました。

確かエプリー法っていう体操みたいなのがあったはずだ。

ユーチューブで検索すると、
分かりやすい説明が幾つもヒットしました。
僕は繰り返し見てやり方を覚え、

そうか左の三半規管に耳石が入っている場合は、
顔を左45度方向に向け、そのまま仰向けになり、
頭を水平より下に下げて30秒キープ。
次はそのまま右45度方向に向けて、同じよう30秒キープ。
最後は体ごと左側に傾けて30秒キープ。
そして上半身を起こして終了・・・か。

右の三半規管に耳石が入っている場合は、
この逆をやればいいんだな。
なんだ、簡単じゃないか。

僕は早速スマホにインターバルアプリをインストールし、
インストラクションに従ってエプリー法を試してみることにしました。

左右どっちの三半規管に問題が起こっているのかは分からない。
ってことは、取りあえず両方やっとけば間違いないってことだな。

ではインターバルアプリに時間をセットして開始。
続けて調べたセモン法やローリングマヌーバーもやってみましたが、
昨日、親切な看護師さんが教えてくれたでんぐり返しは、
アパートの襖に穴を開けそうなのでパス。

ん〜・・・どうなんだろう? 効果はあったのかな?
なんかめまいが余計にひどくなったような気もするけど。

暫く仰向けになったまま、船酔いが落ち着くのを待ち、

よし、第2ラウンド、行くぜ!

こうして再びすべての方法を試し、また休んでは試す。
こんな涙ぐましい努力で午前中が過ぎて行きました。

自分で言うのもなんですが、
この一連の行動を客観的に見ていたら、
けっこう笑えたかもしれません。
変ですから。
本人は至ってマジですけど。

あ、傑作だったのはこの病気の予防方法。
ざっと読んでみたらですね、

・運動不足にならないよう心掛ける。
 → おいおい、これ以上トレーニングやったら別の問題が起こるよ。

・長時間の側臥位を避ける(テレビを横になって見ない)
 → いいね、こういう生活を送りたいもんだ。

・骨粗鬆症の予防をする
 → 毎日牛乳を飲んでますし、ヨーグルトも食べてるよ。

・頭部打撲を避ける
 → ああ、これはともこに言っておこう!
 
とまぁ、いまさら言われても困るものばかり。

午後は少し食欲が出てきたので、ともこの差し入れの弁当を食べ、
読書と昼寝で静養していました。

え? 彼女はどうしているんだ?
そうそう、今日はともこのソロステージなんですよ。

木曜日

は〜、よく寝た。頭はすっきり。元気いっぱい。
でも起き上がったらどうだろう?
お、いいね、あんまりぐらぐらしないじゃん。
昨日の努力が実ったみたいだ。
手当たり次第に何でもやったからな。

揺れ具合は大型船でクルージングしている程度になっています。
こうなると吐き気も収まり、食欲が戻って来ました。

僕はコーヒーを温めて軽い朝食を摂り、
普段通りに読書を始めました。

窓から入って来る春の風。
お気に入りの音楽。

あ〜、こうして時間を気にせず本を読むのは本当に久し振りだ。
前は確か・・・
1月に腰部椎間板ヘルニアの痛みでダウンした時だった。
結局こんな風にならないとまともな休みにならないとは。
堅気の皆さま、個人経営の飲食店で独立することだけはやめましょう。

こうして午前中はのんびり過ごし、
午後はまた耳石の取り出し大作戦の再開です。

これ、終わった途端にぱっと効果の出るものではありませんが、
じわじわ良くなってくるところからして、
それなりの効果は期待できるのかもしれません。
事実、夕方には殆ど症状がなくなりました。

どれ、それじゃちょっと試してみるか。

僕はゆっくり、軽く筋トレを始めてみました。
2日半、部屋にこもりっぱなしだったので体がすっかり鈍っています。

お、いいね、まだ少し揺れている気がするけど、
この程度なら無視できる。

時計はそろそろととら亭の閉店時間。
今日もともこがソロでやっています。
彼女の方もだいぶ疲れてきているでしょう。

OK、じゃ、お店に行って、
リハビリがてら片付けを手伝ってみよう。

本日

今は13時40分。
お店のカウンターでキーを叩いています。
朝から体調はよく、ほぼ95パーセントくらい回復したかな?
まだ時々ふわっとした感じが残っていますが仕事に支障はないでしょう。
今日のディナーから現場に復帰します。

いや〜、今回も大変勉強になりました。
この病気は原因の具体的な特定が難しく、
いつまた再発するか分かりませんから、
最悪、医療施設のない地域を旅している時を想定して、
善後策を作って行こうと思います。

結構しんどい症状なのでネット上には悲観的な意見もありますけど、
僕はこうしたことも付き合い方だと考えているんですよ。

そう、自分自身の旅のために。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月16日

自分の旅のために その2

聴覚障害を伴わない急なめまい。
そしてそれは横になると数分以内に消失する。

僕は数年前に、
知人がほぼ同じ症状で苦しんでいたことを思い出しました。

「検索してほしいキーワードはね、『良性発作性頭位めまい症』だよ」

めまいというと、
安静にしていても症状が治まり難いメニエール病が知られていますが、
これには聴覚障害も伴うため、僕の症状とは一致しません。
となると、残りはあれしかない・・・?

「えーじ! 大変だよ! 脳卒中の場合もあるって書いてあるよ!」

こ、怖いことを言うね。

「じゃ、とにかく病院に行かなくちゃ」
「でも歩ける?」
「ん〜・・・今日、別件で行くY病院は内科もあったな。
 でもいつもみたいに自転車に乗るわけにはいかないし、
 バスで行くには歩く距離が長すぎる。
 かと言って救急車を呼ぶほどじゃないしなぁ・・・」
「じゃ、タクシーを呼ぼうか?」
「そうしよう」

しかし電話をかけた数社の配車センターからは、
いずれも出払っていますとのつれない回答。
ようやく5件目くらいで、
15分後に1台回してもらえることとなりました。

そして10分ほどで電話が鳴り、

「えーじ、来たって!」

ところがふらふらしながら外に出るとタクシーがいません。

「どこいっちゃったんだろう? あたし探してくる!」
「待った! 僕が見つからなければまた電話してくるはずだよ。
 ともこはそのまま部屋にいて」
 
5分ほどすると、案の定、電話が鳴り、
迷っていたタクシーがやってきました。

「それじゃ行ってくる。容態が分かったらメールするよ」
「気を付けて!」

「こんにちは。新井1丁目のY病院までお願いします」
「そ、そ、そこまでの道を教えてもらえますか?」

ドライバーは40歳代の男性。
どうしたわけか非常におどおどした様子です。

「では住所を言いますからカーナビに入力して下さい」

「こ、これでいいでしょうか?」

む〜・・・なんでそんな遠回りするの?
仕方ない。自分でナビやるしかないか。

「それでは僕の言うとおりに走ってください。
 まず道なりに右折してT字路に当たったら左折します」

うげぇ〜、よけいに気持ち悪くなってきた!
やっぱり救急車を呼べばよかったかな?

いつも自転車で行く道ですから大した距離ではないのですが、
つっかえつっかえのハンドルさばきのおかげで、
僕は素人が羽生君の、
5回転ジャンプをまねたような状態になってしまいました。

ようやく料金を払ってタクシーを降りると、
病院の入り口がムンクの絵のように見えます。

お、おっとっとっと・・・

何とかまっすぐ歩こうとするものの、
傍から見たらバッテリーが切れかけたC3−POみたいだったでしょう。

「こんにちは。
 今日は整形外科でMRIの結果を聞きに来たのですけど、
 その前に内科で診てもらいたいのですよ。
 めまいがひどくて吐き気もあって」
「吐き気ですか? それではまず検温をして下さい」

む〜・・・あんまり関係ないと思うんだけど、
ま、そういう手続きなんだろうね。

「35.8度です」
「ではそちらでお待ちください」

と言われて待つこと30分。

やれやれ、今日は天気が良くないのにけっこう混んでるなぁ。
うげぇ〜、頭を動かすと吐き気が倍増する。
じっとしていなくちゃ。
と言っても、この姿勢じゃ難しいんだよな。

そこで通りかかった看護師さんに、

「すみません。
 めまいがひどいんで横になって待っていてもいいですか?」
「え? ちょっと待ってて下さい!」

するとすぐ僕の名前が呼ばれました。
別にそういう意味じゃなかったんだけど、
横入りになっちゃったかな?
すみません、待っているみなさん。

担当は50歳前後の男性のドクター。
僕がこれまでの状況を話すとすぐ看護師さんに、
てきぱき血圧と心電図を撮る指示を出しました。

はぁ〜、これでバトンタッチだ。
あとはお客さん気分で言われるがままにしていれば、
前に進むだろう。

血圧と心電図には異常なし。
次は頭部のCTスキャンです。
で、おっかないその結果は?

「脳に異常はありませんね」

OK、最近の物忘れのひどさも器質的な問題じゃなかったのね。

「血管も詰まっていません」
「ではどうなのでしょう?」
「耳も聞こえているので・・・」
「良性発作性頭位めまい症?」
「ん〜、その可能性が考えられますがまだ断定はできません。
 まず、めまいを軽減する薬を入れた点滴を打ちましょう」
「ありがとうございます。
 それから今日は別件で整形外科に行かなければならないんですが」
「それじゃ整形の先生に伝えておきますよ」

不思議なもので横になっていると、
この短時間の間でも症状が消失しています。

僕はストレッチャーに乗せられて、
空いている緊急処置室へ運び込まれました。

ああ、ここには見覚えがあるぞ。
去年の8月に腰部椎間板ヘルニアで救急搬送された部屋じゃないか。
まさかこんな形でまたここに来るとはね。

点滴が始まって間もなく整形外科の先生が現れ、

「あらあら、今日はめまい?」
「ええ、何かと忙しいんですよ」
「で、こっちは左ひざの件ね。
 やっぱり右の半月板が損傷しているわ。
 ここはあらためて削るかどうかの判断をしましょう」
 
OK、こっちは的が絞れたぜ。
めまいをどうにかしたら次を考えよう。

ドクターが退出すると部屋の照明を消してくれたので、
僕はいつしか眠ってしまいました。
そして点滴が終わるころ40歳前後の看護師さん現れ、

「どうですか? 起きれそう?」
「どうだろう? 寝ていれば何ともないんですけどね」
「それではゆっくり起きてみて下さい。無理しないで」

来たときは嵐のタイタニック号に乗っているような状態でしたが、
薬が効いたのか、今はやや穏やかな海を航行中です。

「つらかったでしょう? このまま帰れますか?」
「ん〜・・・なんとかゆっくり歩けば帰れると思います」
「めまいがひどいなら動かない方がいいですよ」

彼女が同情に満ちた眼差しで僕を見ています。

「もしかして経験者?」

彼女はその質問に苦笑いをもって応えてきました。

「では教えてください。
 この病気でやるべきことと、
 やるべきではないこととは何でしょう?」
「そうですね、個人差があると思いますが、
 ストレスを溜めないことが大切だと思います。
 といっても今の社会では難しいでしょうけどね」
「いろいろな体操がありましたよね?」
「エプリー法とか?
 ああ、わたしもでんぐり返しだってやりましたよ」
「それで?」
「ん〜、さっと治ったわけではありませんでしたね」
「分かりました。僕もいろいろ試してみますよ。
 いろいろアドバイスありがとうございました」

何度もいろいろなところの医療機関でお世話になっていて、
僕が都度感じていることがあります。
それは医療関係者に必要なのは、医学的な知識だけではなく、
彼女のように、自ら苦しんだ患者としての経験なのではないか?
その有無が医療行為だけではなく、
会話の一つにも如実に表れているような気がするんですよ。

そしてもうひとつは、医療関係者の仕事に関する患者側の理解。
今回、僕が点滴を受けていた緊急処置室は整形外科の隣でした。
おのずとあちらの声は聴き耳を立てるまでもなく、
はっきりと聞こえてきます。
僕の心を打ったのは、
午前中だけで30名を超える患者を診続けたドクターが、
患者の入れ替わりの合間に漏らした2回の大きなため息。
それは僕に接する時のクールで気丈な彼女からは、
想像しにくい響きを持っていたのです。

日本ではドクターに限らず、
医療介護従事者の数が圧倒的に不足しています。
そうした高度で忍耐力を求められるサービスを必要とする
高齢化が進む現在、これは未来の話ではなく、
本当に、今ここにある深刻な問題なんですよね。

なんて感慨にふけっている場合じゃなかった!
うちに帰らなくちゃ!

会計を済ませた僕を見るスタッフさんたちは、
おしなべて心配そうな面持ちです。

「無理していま帰らなくてもいいんですよ。
 もう少し休んでいかれてはどうですか?」

この病院は事務方さんも親切なんですよね。
しかしそんなお言葉に甘えてばかりはいられません。
外に出ればタクシーの1台くらい通りかかるでしょう。
そこで出てみるとちょうど走ってくる空車が。

お、ラッキー!

で乗り込み「野方5丁目の大和幼稚園の近くまで」と言ったら、

「そ、そこまでどうやって行ったらいいでしょう?」

がちょ〜ん・・・ま、またですか・・・

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 14:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月15日

自分の旅のために その1

出かける前に都度お話している『取材旅行の準備』。
これとは別に、日常的な準備があります。

それは健康管理。

というと地味な話題に聞こえますが、
旅の食堂という仕事柄、
旅先だけではなく、日常的にも求められるのが、
身体能力と持久力。
1日10時間前後の立ち仕事にデスクワークを足すと、
月の平均労働時間は400時間前後になりますからね。

加えてこれまでも『入院日記』などでお話しましたように、
腰部椎間板ヘルニアなんでハラショーな持病まであるので、
こいつのケアも忘れちゃいけません。

というわけで、ここ7年間続けているメニューが、
週2〜3回の6キロメートル前後のジョギングと、
これまた週4〜5回の40分間程度の筋トレ。

これ、55歳のおっさんには、なかなか楽な内容じゃないんですよ。

加えて自然の摂理と申しましょうか、
生き物はすべからく歳と共に故障個所が増えるもの。

最近は腰部椎間板ヘルニアに加え、
左手親指付け根の痛み → 関節炎という診断で治療中。
左ひざの痛み → 変形性膝関節症との診断でしたが、
ヒアルロン酸の注射では改善しないので先週MRIを撮ってもらいました。

とまぁ、
なかなかデラックスなコンディションになってまいりまして。

しかし厄介ごとというのは、
ひとつが終わって次がやって来るとは限りません。

それでは時計を一昨日に巻き戻して、
僕が直面した、いや、直面中の新しい『課題』をお話しましょうか。

時刻は16時。
ジョギングから戻り、
近くの公園でストレッチして立ち上がると・・・

お? おっとっと!
危ねぇ・・・立ちくらみか。

僕はバランスを取り戻して直立したまま、
ゆっくり深呼吸を繰り返しました。

OK、大丈夫だ。
さぁ、帰ってシャワーを浴びたらお店に戻らなくちゃ。

立ちくらみはよくあることなので、
僕は何も気にせず再び走り始めました。

そこからは何ごともなく、
普段通りにすべてが進んでいたのですが、
ディナー営業が終わる1時間ほど前から僕は今まで経験したことのない、
奇妙な感覚に襲われ始めていたのです。

ん? 地震か?

揺れたような感じがしたのですが、
グラスハンガーを見てもワイングラスは揺れていません。

・・・? 気のせいか?

そしてまた暫くすると、
まるで大きな船に乗っている時のようなゆるやかな揺れを感じました。

・・・? なんだこりゃ?

これが断続的に続いているうちに、
軽い船酔いのような症状になってきたのです。

「どうしたの?」

ともこが僕の様子に気付きました。

「ん〜・・・なんか調子悪い。
 時々めまいがして気持ち悪くなっちゃった」
「え〜っ! 風邪ひいたんじゃないの?」
「風邪っぽくはないな。熱が出ている感じはないし」
「賄いは食べられる?」
「いや、そんな気分じゃないよ」
「大変! じゃ先に帰って休んでて。あとは私が片付けるから」

アパートまで帰る途中も、まるで酔っぱらった時のように、
ときどき体がふわふわします。
僕は寝室で横になるなり、そのまま寝入ってしまいました。

そして朝。

「どう? 調子は?」

布団の上で目を開けると吐き気も目眩もなく、
頭はしゃっきりしています。

「ああ、いいよ。どうやら治ったみたいだ」
「よかった!」

そうして起き上がり、顔を洗って戻ろうとすると、
突然、昨夜と同じ症状がまた・・・

な、なんだこりゃ?

僕はゆっくり布団に横たわり、
自分の症状を過去の記憶に照らし合わせました。

「え? どうしたの?」
「どうやら治ってないみたいだ」
「大丈夫?」
「じゃないな。昨夜より悪化してる」
「どうしよう?」

僕は目を閉じたまま暫く考え込み、

そうか。もしかしたら・・・

「ともこ、タブレットは持ってる?」
「うん」
「起動してグーグルを立ち上げて」

「上がったよ」
「検索して欲しいキーワードがあるんだ。
 それは・・・」

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2019年05月12日

第18回取材旅行の準備 その2

旅とあらば、俄然モチベーションの上がる僕ではありますが、
今回は、ちとブルーな要素がございまして。

そう・・・前回お話しましたルートからすると、
例によって英語が通じる可能性は・・・

ない。

いや、ないどころか、ギョーザ本の第2章、
『本場のおいしさとの出会い 〜中国のジャオズ〜』
でもお話しましたように、
道を訊いただけで、とんでもないことになったトラウマもあるんですよ!
さらに、今回はただでさえ厄介な陸路での国境越えもあるし。

さらに、さらに、次に入るモンゴルの言葉もチンプンカンプン。

直近でほぼ同じルートを旅したバックパッカーからは、
ご丁寧にも「モンゴルでは水を買うのも大変でしたよ」
なんて脅しまで頂戴し、ただいま受験生よろしく、
北京語とモンゴル語の1カ月漬けに勤しんでいる次第でございます。

いやぁ〜、昔から僕はどうも中国語の抑揚が苦手でして。
モンゴル語は聞いたこともないような音の並びだし。
ロシアやブルガリアなどのスラブ語圏や中央アジアを旅したおかげで、
キリル文字がある程度読めるのが救いですけどね。

む〜・・・調べてみれば、モンゴル語の比較言語学における分類は、
アルタイ諸語になるそうなんですけど、
この学説はまだ定説化されておらず、
なるほど下位言語にチュルク語族や朝鮮語族、
はてや我ら日本語族まで十羽一絡げにされているところからして、
カテゴライズできない『その他』みたいなものなのかもしれませんね。
西欧発のあのメソッドは、
やっぱり印欧語系にしかフィットしないのかしらん?

ちなみに『こんにちは』は『サイノー』で、
『ありがとう』は『バイアルラ』。
『僕はウランバートルに行きたい』は、
『ビ ウランバーター ルー ヤヴマー バイナ』ってな具合。

もちろんこれは強引にカタカナ書きしたものなので、
ベタ読みしてもまず通じないでしょう。
翻訳ソフトなどを使って、
事前に抑揚やアクセントを掴んでおくことが大切です。

ま、今回に限らず、
こうして日本語と英語が通じない地域を旅する時は、
こんな風に現地語を挨拶、移動、食事、買い物、
宿泊の各状況カテゴリーに分けて、サバイバルレベルで覚えて行くのです。

え? 指差し会話帳やスマホのアプリを使ったらどうかって?

ま、それもいいんですけどね。
なるべくモノに頼らないのがオールドファッションな、
僕の旅のスタイルなんですよ。

オジサンというのは不器用な生き物なのでございます。

to be continued...

えーじ
posted by ととら at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記